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印刷2008/08/15 12:09

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奥谷海人のAccess Accepted / 第184回:PC離れが止まらないゲーム業界

奥谷海人のAccess Accepted

 「第171回: 違法コピーに頭を抱えるPCゲーム業界」でお伝えしたように,違法コピー問題に対してPCゲーム開発者が発言する機会が目立ってきた。そして,違法コピー品の横行を理由に,PCゲーム市場から離れ始めたデベロッパも現われている。ついには,id Softwareまでもが,PCゲーム市場を最重要ターゲットにしないようなのだ。

PC離れが止まらないゲーム業界
id Softwareが完全マルチプラットフォーム化を決定

 PCゲームの代表的なデベロッパid Softwareが,戦略の転換を図ってるようだ。同社の創業者であり,メインプログラマのJohn Carmack(ジョン・カーマック)氏は,アメリカのゲーム情報サイトTom's Gamesで,PCゲーム市場は昔のような活気を失ったと発言している。「PCゲームはサポートするに価値のある市場ではあるものの,我々はPC市場を中核にすえて,ビジネスの判断をしていません。毎日開発にPCを使っていますが,クロスプラットフォーム戦略を考慮した場合,PCは“ジュニアパートナー”くらいの位置づけです」と語ったのだ。

 id Softwareが方向転換をするきっかけになった理由は,大きく分けて二つある。一つは,id SoftwareのPCゲーム所有者の多くが,コンシューマ機も所有していることがアンケートなどで明らかになったこと。そしてもう一つは,PCソフトの違法コピー問題だ。

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id Softwareは,新型ゲームエンジンid Tech 5で画像の「Rage」に加えて,「DOOM 4」の開発にも着手している。id Tech 5はチームを大型化することなく,開発できることが特徴のようだ

 id Softwareは,新作「Rage」用に開発したid Tech 5エンジンの開発を始めたときから,PCやMacだけでなく,Xbox 360,そして PLAYSTATION 3をターゲットにしたマルチプラットフォーム化を構想していた。id Tech 5は「id Softwareの作る第5世代エンジン」だが,完全な3D世界を一人称視点で表現した1996年の「Quake」の発売以来,同社がマルチプラットフォームを念頭にゲームエンジン作りをするのは,初めてのことだ。しかも,これまでメインプラットフォームであったPCは,もはやid Softwareにとっては“ジュニアパートナー”の地位でしかないのだから,長年にわたって同社のゲームに慣れ親しんできたPCゲーマーは,複雑な心境だろう。

 また,id Softwareは,ゲームエンジンのライセンスビジネスを切り開いた元祖としての役割を,id Tech 5で復活させようとしている。3Dゲームは,プラットフォーム固有の解像度設定によって,視界の広さやオブジェクト数が変わるという問題があり,それを処理する専門の開発チームを用意するというのが一般的だ。だが,id Tech 5ではこの問題が解消されており,比較的少人数でクロスプラットフォームのゲーム開発ができるのが,強味となっているという。

 

もはやゲームエンジンの主戦場ではなくなったPC

 id Softwareに先駆けてゲームエンジンのクロスプラットフォーム化に成功したEpic Gamesも,今後はPCエクスクルーシブからマルチプラットフォームへとシフトさせていくようだ。ゲーム業界向けサイトGamasutraによると,Epic Gamesはすでに次世代ゲームエンジン「Unreal Engine 4」の開発に着手しており,同社社長のMichael Capps(マイケル・キャップス)氏は,「次世代機を念頭に,大雑把だけど2012年から2018年の間までに完成させる」と話している。早ければ2012年には新型エンジンが完成するわけだ。

 「1世代5年周期」と考えると,次世代ゲーム機が登場するのは2012年以降になる。次世代ゲーム機のローンチに合わせるつもりなのかは明らかにしていないものの,Epic Gamesはid Softwareとは比較にならないほどビジネス上手であり,「Gears of War」の成功を考えると,ローンチタイトルの一つや二つはUnreal Engine 4のゲームであっても不思議ではないだろう。

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CryTekの「Crysis」は,正規販売されたソフトの15〜20倍が違法にダウンロードされたという。画像は「Crysis Warhead」だが,CryTekはその販売状況を見極めて,今後の戦略を決定するようだ

 PCゲーマーとして気になるのは,「Unreal Engineの第4世代は次世代ゲーム機にターゲットを絞り込む。Xbox 360の後継機種,PLAYSTATION 3の後継機種,そして任天堂も同じようなスペックの機種を出してくるなら,それにも対応させる。PCは,そのあとのことだ」というキャップス氏の発言だ。ここでもPCが後回しにされてしまっているのである。

 開発の中心をPCゲームからコンシューマ機にシフトするという戦略には,Crytekも続く(関連記事)。ゲームエンジンのライセンスビジネスでは3番目の核といえる「CryENGINE 2.0」を開発した同社も,FPS「Crysis」の違法コピーが出回ったことが原因で,PCゲーム市場と距離を置きつつあるのだ。Crysis三部作の終了後には,ターゲットを完全に変えてしまう可能性もあるだろう。

 もちろん,いち早くオンライン流通システム「Steam」を成功させたValveや,Will Wright(ウィル・ライト)氏の率いるEA Maxis,そして数々のA級タイトルを持つBlizzard EntertainmentのようにPCゲームに軸足を置きながら,トップを維持し続けているメーカーもある。しかし逆にいえば,数社しかPCエクスクルーシブで成功できない状況なのだ。これも開発者達のPC市場離れを加速させる要因の一つだろう。

 たった数年前までは,Peter Molyneux(ピーター・モリニュー)氏のLionhead Studiosや,「Mass Effect」で飛躍したBiowareなどは新作を出すときに,「コンシューマ機向けに発売するが,我々の心はPCにある」とコメントしていた。 これは,それぞれの開発者達のルーツである,PCゲームファンを配慮しての発言だったのであろう。

 ところが,違法コピーによる被害といった,開発者がコントロールできない問題が明らかになり,id SoftwareやEpic GamesのようなPCゲームにおける代名詞的な存在だった開発チームが,誰に気を使うことなく,コンシューマ機へのシフトを公言し始めている。そんな状況に,一抹の不安を覚えるPCゲーマーは,筆者だけではないだろう。PCゲーム市場は,大きな変換期を迎えているのは間違いなさそうだ。

 

■■奥谷海人(ライター)■■
本誌海外特派員。週末に家族と一緒に遊園地に行った奥谷氏。「E3 Media and Business Summit 2008」の取材とは違い,忘れ物は一つもなく,家族旅行を満喫できたそうだ。だが帰ってきてみれば,サングラスやシャンプー,挙げ句の果てには携帯電話までもホテルに忘れてきたのだという。ここまで忘れグセがひどいと,来週から始まる「Games Convention」の取材に,なにを忘れてくるのか,なにを忘れて帰るのかが逆に楽しみだ。

※8月22日のAccess Acceptedは,Games Convention 2008取材のため休載いたします。ご了承ください。次回の更新は8月29日となります。

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