業界動向
奥谷海人のAccess Accepted / 第178回:ゲーマー向けの不思議なデバイス3点盛り
ゲーマー向けデバイスというと,入力の精度が高そうだったりするトーナメント用のマウスやキーボードを連想しがちだ。だが中には,妙なギミックや先進的すぎる機能を持ったデバイスも少なくない。今回は,脳波を感知するデバイスや,心拍数を取り込むものなど,一風変わった周辺機器を紹介する。
PCには,用途がものすごく限定的な周辺機器が数多くあり,存在そのものがネタになるものも少なくない。だが,製作している側は自分達の技術を生かしたデバイスを,多くの人に使ってもらおうと真剣だ(と思う)。今回紹介するのは,ゲームでの利用を目的に開発された三つのデバイス。愛を込めて“クレイジー”といいたくなるほど風変わりで,どれもSF的な雰囲気をかもしだしている。ちょっと未来を感じながら,歴史ものゲームなどを遊ぶと,いろいろと感慨深いかもしれない。
Neural Impulse Actuatorは,最近よく耳にするようになった脳波系のヘッドマウントコントローラーである。ゴム製のヘッドバンドを付ければ,キーボードやマウスに触らずにゲームを遊べるというシロモノ。
Neural Impulse Actuatorには,前頭部に仕込まれた三つのセンサーが装着者の脳波を感じ取り,ゲーム内のキャラクターの動きに反映させる。自分の思ったとおりにコントロールするには慣れが必要だろうが,それなりに動かせるようだ。いくつかのゲームに対応しているということだが,FPSなどでよく利用するマウスルックには上手く対応できないらしい。同じようなタイプのデバイスとしては,2008年2月のGame Developers Conferenceで紹介されたEmotivのEPOCなどもあるが,市場に本格投入されたのは,Neural Impulse Actuatorが初めてとなる。
両手が空くので,ゲームを遊びながら原稿を書けて便利と思ったが,筆者の処理能力がついていけないかもしれない。
Navigator 365は,一見普通のワイヤードレーザーマウスなのに,なんとフリップ式携帯電話のように開けることで,ゲームパッドに変形してしまうという一品だ。
ゲームパッドとしては,8方向の十字ボタン,そして六つのアクションボタンに,連射機能や二つのショルダーボタンも備えている。ちょっとしたゲームなら十分に楽しめるだろう。
Navigator 365は,解像度が1600/800dpiの可変式で,ホイールも付いており,マウスとしてもそれなりの能力を持つ。シーンによって,マウスとパッドを使い分けたほうが遊びやすいゲームをプレイするときは,かなり威力を発揮しそうだ。
なお,日本でも3500円程度で輸入品が販売されているので,“一石二鳥”のデバイスとしてはお買い得かもしれない。
「脳波」や「変形」などのキーワードに驚かない人でも,「バイオフィードバック」と聞けば気になるかもしれない。この「The Journey to the Wild Divine」は,使用者の心拍数や体温,血圧を読み取って,それをゲームに生かしてしまうというもの。デバイスの名称を直訳すると「荒ぶる神聖への旅」という奇妙なもので,どこかニューエイジ系のようなネーミングだ。それもそのはず,このデバイスはバイオフィードバックを利用して付属のアドベンチャーゲームを進めていくことで,やがてはプレイヤー自身が自分の感情をコントロールできるようになると謳われているのだ。
The Journey of the Wild Divineは,2003年に同名タイトルでゲームとしてリリースされた。最近になって,専用のバイオフィードバック用デバイスを対応させたのだ。ソフトもハードも同じ会社が開発したものなので,現在発売されているものは進化型と表現してもよさそうだ。
ゲームを進めるには,深呼吸して心を落ち着かせなければならない仕組みがある。ストレスでイライラが募りがちな人には,利用価値はあるかも。ちなみに,瞑想と同じ原理を利用しているそうだ。使っているうちに悟りを開く……,なんていうことがあるかもしれない。
|
- この記事のURL: