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「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー【シーズン3.5前編】:アクラ・ジェビアとHR100古龍と狩人祭
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印刷2008/10/07 18:12

インタビュー

「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー【シーズン3.5前編】:アクラ・ジェビアとHR100古龍と狩人祭

画像集#001のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー【シーズン3.5前編】:アクラ・ジェビアとHR100古龍と狩人祭
 9月3日に大型アップデート「シーズン3.5“狩人たる証”」(以下,シーズン3.5)が実施された,「モンスターハンター フロンティア オンライン」(以下,MHF)。アップデート実装から1か月近くが経過したこともあり,プレイヤーの多くは,新要素を満喫していると思う。
 4Gamerでは,アップデート恒例となりつつあるが,カプコンのMHF運営プロデューサーである杉浦一徳氏にいろいろと話を聞いてきた。杉浦氏へのインタビューは,前回が「シーズン3.0 "変幻、アクラ・ヴァシム"」(以下, シーズン3.0)実装直前だったので,約3か月振りとなる。今回は,シーズン3.0以降の手応えとシーズン4.0に向けての展望をテーマとさせてもらった。ただ,こちらも恒例(?)となりつつあるが,インタビューが長時間にわたってしまったため,前後編に分けさせていただく。前編となる今回は,「アクラ・ヴァシム」と「アクラ・ジェビア」,「新古龍」「狩人祭」の話題を中心にお届けしよう。

評価の高い「アクラ・ヴァシム」と続く亜種「アクラ・ジェビア」


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。まずはシーズン3.0で実装された新モンスターのアクラ・ヴァシムですが,プレイヤーの評価もなかなか高いようですね。

MHF運営プロデューサーの杉浦一徳氏
画像集#019のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー【シーズン3.5前編】:アクラ・ジェビアとHR100古龍と狩人祭
杉浦一徳氏(以下,杉浦氏):
 ええ。MHFで実装した新モンスターの中では,群を抜いて高い評価をいただいています。ただ,ほかのモンスターと比べてクエストの受注数がものすごく多いというほどではないです。実装からしばらく経ったので,今ではほかのモンスターと同様に,恒常的に狩れる存在になっていますね。

4Gamer:
 その一方で,ガンナーの出番が比較的少なくて残念と感じる部分もあります。せっかく尻尾の結晶を簡単に壊せるのに,結晶が壊れた状態で尻尾を切断すると剥ぎ取り箇所が減ってしまうのが理由の一つかと思います。生産や強化に「尾晶蠍の輝晶石」を使う武器や防具はそれほど多くないですが,尻尾を切ること自体が難しいので尾晶蠍の輝晶石を剥ぎ取れないと不満が出てしまうというか。

杉浦氏:
 確かに,実装当初はともかく,現状はガンナーでアクラ・ヴァシムを狩りにいく人はあまり見かけません。良い事か悪い事かは別として,モンスターによってガンナーが有利,剣士が有利といった特性は過去から存在します。その観点からすると,アクラ・ヴァシムは剣士タイプに相性の良いモンスターということになるでしょう。

4Gamer:
 なるほど。ただ,「体質変移」が非常に凝った仕掛けとなっていて,打属性武器と斬属性武器はそれぞれの特徴を活かせているだけに,ガンナーだけ蚊帳の外というというのがちょっと残念です。

画像集#003のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー【シーズン3.5前編】:アクラ・ジェビアとHR100古龍と狩人祭
杉浦氏:
 アクラ・ヴァシムは,状態異常攻撃がほとんど効かなかったり,討伐クエストしかなかったりすることから,真剣勝負で立ち向かってほしいという意図を持って開発したことを理解していただけると思います。ただ,そういう傾向を強めてしまうと,一部武器の活躍する場が失われてしまうことは理解しています。それは,今後のモンスターを開発していくうえで配慮しなければならない課題の一つですね。
 今後どのようなモンスターを用意していくかを考えると,ハンターの皆さんに満足していただくためのハードルがどんどん高くなっている気がしますけれども,それを乗り越えてこその開発ですから。皆さんに評価していただいた部分は伸ばし,そうでない部分は素直に受け止めてもっと頑張ろうと考えています。

画像集#004のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー【シーズン3.5前編】:アクラ・ジェビアとHR100古龍と狩人祭
4Gamer:
 モンスターといえば,10月に,アクラ・ヴァシム亜種の「アクラ・ジェビア」が実装されますね。対象ハンターランク(HR)は71以上で,登場フィールドは沼地と発表されていましたが。

杉浦氏:
 そうですね。アクラ・ヴァシムがHR51以上ですから,それよりHRが20高いHR71から受けられるクエストで配信されます。中級者以上の方が対象となりますね。

4Gamer:
 アクラ・ジェビアは,原種とはどういった違いがあるのでしょうか?

杉浦氏:
 うーん,皆さんが狩りに行く前に話してしまうと,楽しみが失われてしまうでしょうから,少しだけお話します。まず亜種ですから,基本となる攻撃パターンなどはアクラ・ヴァシムを踏襲します。もちろん新しい要素も入りますが,体質変移が進んでいくなかで徐々に明らかになっていく感じなので,第一印象はアクラ・ヴァシムとの差を感じることは少ないかもしれません。
 こう言ってしまうと期待しているハンターの皆さんを少しがっかりさせてしまうかもしれませんが,アクラ・ヴァシムを亜種にすると,こういうアレンジになるなあと納得していただけるんじゃないかと思います。

4Gamer:
 確かに,ダイミョウザザミとかショウグンギザミなど,甲殻種のギミックは地味めですね。アクラ・ヴァシムはほとんどエリア移動しませんでしたが,今度は沼地なので頻繁にエリア移動をするなんてこともあるのでしょうか?

杉浦氏:
 エリア移動に関しては,アクラ・ヴァシムとそれほど違いはありませんが,たとえば大技だと“溜め”が長くなったりします。これはエスピナス亜種でもそれなりの評価をいただきましたので,今回も特徴として生かされています。とはいえ,アクラ・ジェビアが溜めて大爆発するような攻撃をするわけにもいきませんし,そのあたりをいろいろと考えています。
 あとはアクラ・ジェビアの素材で作れる防具もすでに発表していますが,スキルだけでなく色も変えていますので,ファッション的にどう組み込んでもらえるのかなあとか,楽しみにしています。今言えるのは,このくらいですね。

画像集#005のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー【シーズン3.5前編】:アクラ・ジェビアとHR100古龍と狩人祭 画像集#007のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー【シーズン3.5前編】:アクラ・ジェビアとHR100古龍と狩人祭 画像集#006のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー【シーズン3.5前編】:アクラ・ジェビアとHR100古龍と狩人祭 画像集#008のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー【シーズン3.5前編】:アクラ・ジェビアとHR100古龍と狩人祭

4Gamer:
 あと気になるのが初登場クエストの扱いです。ヒプノック希少種は,初登場は狩人祭の勝ち組クエストでしたよね。アクラ・ジェビアも同じような扱いになったりするのでしょうか? 

杉浦氏:
 普通に期間限定クエストのフロンティアクエストとして配信します。ヒプノック希少種は特別なケースだったんです。あのときは,勝ち組クエストに何か特典のようなものを用意したいと考えていたところに,ちょうどヒプノック希少種の実装タイミングが重なったので,組み合わせたという経緯です。
 また,ヒプノック希少種クエストでは「上竜骨」を出やすくしたので,それがどういう結果を招くか慎重になっていました。勝ち組クエストだとプレイできる人/期間/回数が限定されるのでテストケースに向いていた,という部分もあります。

4Gamer:
 なるほど。普通に配信されるということで安心しました。実装を楽しみにしています。

歯応えのあるクエストとして登場した「新古龍」


画像集#009のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー【シーズン3.5前編】:アクラ・ジェビアとHR100古龍と狩人祭
4Gamer:
 それでは次に,シーズン3.5で気になることをお聞きします。まずはHR100以上を対象とした古龍種についてですが,良くも悪くもHR71までの古龍とはケタ違いに強いという印象でした。

杉浦氏:
 開発の意図としては,MHFをやり込んだ皆さんに挑戦していただく歯応えのあるモンスターという位置付けだったんです。ハンターの皆さんの反応は,「こんなに強くちゃ絶対勝てないので弱体化してほしい」と「このままでいい」という二つの意見に分かれていますね。

4Gamer:
 HR100古龍は最強クラスの装備を身に付けていてもかなり苦戦するので,HR100になったばかりの人などは,その強さをかなり理不尽に感じるかもしれませんね。変種モンスターと比べると,同じHR100以上で受けられるクエストとは思えないほどの難度ですし。

杉浦氏:
 配信後に開発・運営チーム内で反省会をしたのですが,HR100古龍を今までどおりの「古龍クエスト」として配信したことがまずかったと反省しています。つまり従来の古龍クエストの延長線上にある難度だと連想するお客様が多かったのではないでしょうか。ただ,実際のHR100古龍は,HR41/71以上の古龍と比べて飛び抜けて強くなっているわけで,そうなると「これはおかしい,修正してほしい」というご意見が出てくるのも当然だと思います。
 これらの飛びぬけて強い特殊なモンスターは,配信クエスト内でも「新ジャンル」としてわかりやすく配信していれば,「今までのモンスターとは何かが違うはずだ」ということで,もっと多くのお客様が納得できたのではないかとも思います。運営/開発ともに,ハンターの皆さんに提供する方法について,もう少し工夫すればよかったなと反省しています。

4Gamer:
 ……ということは,難度は修正される可能性があるんですか? 

画像集#010のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー【シーズン3.5前編】:アクラ・ジェビアとHR100古龍と狩人祭
杉浦氏:
 今述べましたように,シーズン4.0ではHR100古龍を含めた「新ジャンル」を設けて専用窓口となるNPCを用意しようというアイデアが出ています。すなわち,現時点で難度の修正は考えていません。HR100古龍は,あくまでも歯応えのあるクエストを楽しみたい方向けのコンテンツとして考えています。

4Gamer:
 そうなると,難度の修正を求めているハンターからの反発もありそうですが。たとえば,HR100古龍クエストでは,HR100古龍素材の武器限定の募集を最近よく見かけます。HR100古龍を倒せる人がそちらの募集に流れてしまうと,HR100古龍素材の武器がない人の募集にはメンバーが集まりにくいし,クエストの成功率も下がりがちです。結果として,アクションゲームが得意でない人やスタートダッシュに出遅れた人は,いつまで経ってもHR100古龍素材の武器を作れないという悪循環に陥ってしまいます。実際,私も古龍武器を作るまでは,メンバーを集めるのに苦労した記憶があります。

杉浦氏:
 ええ。そうした歯応えのあるクエストでは,参加するハンターへの武器指定が生まれがちなのが頭の痛いところです。
 HR100古龍の武器/防具を生産するためには,入手確率が低い素材が多く必要になります。そうなると,古龍をたくさん狩らなければなりませんから,どうしても効率を求めがちです。じゃあ生産の難度を下げれば問題が解決するかというと,そういうわけにもいきません。誰もが欲しくなる強い武器が簡単に作れるようだと,今度はそれを基準にバランスを考えないといけなくなりますし,全体のゲームバランスが崩れてしまいかねません。このうち,どこかを妥協しないとループは続きます。

4Gamer:
 難しいですね。

画像集#011のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー【シーズン3.5前編】:アクラ・ジェビアとHR100古龍と狩人祭
杉浦氏:
 生産レシピの必要素材を緩和する案などは出ていますし,実際そうしたご意見をいただいています。また「古龍の靭尾」が出にくいという事態も把握していまして,どうしようか検討している部分もあります。ただ,今回は「歯応えのあるもの」というコンセプトで投入したばかりですから,どういう推移になるのかもう少し見守りながら,対応策を考えていきたいと思います。

4Gamer:
 確かに,最初は誰もHR100古龍武器を持っていない状態からスタートしたわけですしね。古龍の靭尾が報酬でも出るようになれば,武器指定も多少は緩和されるのではないかと思いますが。ともあれ,シーズン3.5でHR100古龍の登場は,ハンターにとっていい刺激になったと思います。

杉浦氏:
 そうですね。ただお客様の傾向はさまざまで,装備もスキルもガチガチに固める性能重視派,あるいは見た目重視派,コミュニケーション重視派に大きく分かれます。このうち,一番HR100古龍を狩りに行ってくださっているのは,性能重視派の方が多いと思います。ですが,見た目やコミュニケーションを重視する方の中には,HR100古龍にまったく興味を持っていただけない方もいらっしゃるのも事実です。オンラインゲームには,どのタイプのお客様も満足させなければならないという宿命がありますから,それぞれに何を提供すべきかをもっと考えなければいけません。

4Gamer:
 これまた悩みの多いところですね。

杉浦氏:
 はい。まだまだやらないといけないことは山積みです。おかげさまでシーズン3.0からシーズン3.5にかけては,夏休みと重なったこともあってか新米ハンターの方もだいぶ増えましたし,アクティブ率も非常に上がりました。その一方で増えた新米ハンターの皆さんをどのように導いていくのかも考えなければなりません。この1年間でさまざまな経験をしたので,それを生かして今後のサービスに繋げていきたいですね。


実装した新機能が裏目に出てしまった狩人祭の今後について


4Gamer:
 それでは次に狩人祭についてお聞きします。9月22日付けの運営レポートで発表されましたが,新しく追加した要素が裏目に出る結果となってしまいましたね。

画像集#012のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー【シーズン3.5前編】:アクラ・ジェビアとHR100古龍と狩人祭
杉浦氏:
 ええ。詳しくは運営レポートで報告させていただいたとおりですが,前回の狩人祭については,多くのお客様からいろいろとご指摘をいただきました。
 こう言ってしまうと不謹慎かもしれませんが,納品主体で単調とは言われながらも,皆さんが一生懸命プレイしてくださったのはとても嬉しかったです。でも,やはり狩人祭ですから,狩りを主体としたものにならないと複雑な気持ちになってしまいます。
 第7回狩人祭ではその反省を踏まえて,ターゲットは基本的に大型モンスターに絞って,対象モンスターを増やします。また,初心者の方やHR下位の方向けに設定していた小型モンスターですが,効率がいいとそこに集中してしまうので対象から外しました。納品系は,部門賞を狙う人のためだけに魂数を抑えた形で残します。

4Gamer:
 なるほど。入魂対象モンスターが増えて小型モンスターが対象から外れれば,前回までのように,一つのクエストに皆が殺到するという状況も緩和されそうですね。ちなみに,下位ハンター向けのターゲットは上位ハンターが狩っても無効にするなどの手段は取れないのですか?

杉浦氏:
 現在は仕様上,そのような形にするのは難しいんです。だったら小型モンスターはなしにしましょう,と。
 あとは魂数もクエストの手間に見合ったものになるよう見直します。たとえば,第7回はヤマツカミが入魂対象モンスターになりますが,時間がかかるクエストなので,ほかと比較して魂数が多くないと割に合わないというご意見を反映しました。

4Gamer:
 塔のヤマツカミは1クエストで30分近くかかりますものね。狩人祭ともなれば時間当たりの効率を重要視する人も多いでしょうから,魂数が多いほうがありがたいですね。ちなみに,シークレット試練の魂数はどのくらいになるでしょう? 

杉浦氏:
 ボーナス試練(シークレット試練)の魂数は,ちょっと極端かもしれませんが多めに設定します。ターゲットについての考え方は同じですが,前回と同じ轍を踏まないように出し方を工夫します。さすがにこれ以上具体的な話は勘弁してください。

画像集#013のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー【シーズン3.5前編】:アクラ・ジェビアとHR100古龍と狩人祭
4Gamer:
 シークレットですから当然そうですよね(笑)。入魂祭が始まったら探してみることにします。
 次に,「俺たちの試練」についてはどうでしょう? 結果的に第7回狩人祭以降ではいったん取り下げる形になりましたが。

杉浦氏:
 現段階では,入魂祭の最終日だけ開放する形にしようという案が出ています。どの試練をどちらの組が占有したかについても,告知と開始時間次第でかなり変わりますから,いろいろと考えないといけませんが。
 また,基本的な考え方として,前回の「燃石炭」納品のように,取った組が圧倒的に有利となるようなものは出しません。また各組四つずつの占有は多すぎるので,一つずつに絞って様子を見るつもりです。もし物足りなければ,その次に増やすこともできますから。
 「俺たちの試練」の機能を作ったから活用したいという気持ちは確かにありますが,それを使いこなせないままお客様に押し付けてしまうのは単なる運営のエゴですから,一度機能を外して,もう一度使い方を検討し直すべきだという結論ですね。

4Gamer:
 なるほど。期間賞と部門賞についてはいかがでしょう。こちらもボーナス試練のせいで影がかなり薄くなってしまった気がします。

杉浦氏:
 そうですね。各組の総入魂数がインフレした結果,魂数固定の期間賞と部門賞は相対的な価値が下がってしまいました。第7回狩人祭でインフレが抑えられれば,影響力は大きくなるはずです。期間賞/部門賞の魂数を変動制にしようかとも考えたのですが,それではまた要素が増えてしまい,お客様にご迷惑をかけてしまうかもしれません。まずはインフレが起きないようにして,その状態でどれだけ影響があるか確認したいと思います。

4Gamer:
 不確定要素を可能な限り少なくして,試してみるわけですね。

杉浦氏:
 はい。加えて,総入魂数が毎回乱高下するのも問題ですから,たとえば「リオレイアは5魂」と一度決めたら,基本的には変えないという方針にします。もちろん,クエストによっては効率が良すぎるとなったら,調整する可能性もありますが。これはイベントの安定運用という観点から非常に重要なことです。安定運用があってはじめて,多少の冒険ができると考えています。
 本当は,第6回狩人祭で総入魂数を安定させるのが運営側のテーマだったのですが,低い次元での失敗が目立ってしまいそれどころではありませんでした。お客様にはご迷惑をおかけしてしまい大変申し訳ありません。

猟団運営に一石を投じるメンバー別入魂数の公開


4Gamer:
 今回の狩人祭から,猟団メンバーそれぞれの入魂数が表示されるようになりました。猟団がギスギスする原因になるのではないかと懸念するプレイヤーもいるようですが。

画像集#020のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー【シーズン3.5前編】:アクラ・ジェビアとHR100古龍と狩人祭
杉浦氏:
 これは最初から入れようと思っていた機能なんです。確かに「今まで曖昧に済ませていたのに,入魂数が見えたことでシビアになった」というご意見もいただいていますが,それは波風を立てたというよりも,各猟団の運営方針に一石を投じたんじゃないかと捉えています。
 というのは,猟団というものはお互いにコミュニケーションを取ることが前提ですから,その中で話し合って結論を出してほしいんです。話し合って狩人祭の参加方針を決めてもらいたいですね。運営からすると,話し合うことで解決してほしいという希望があります。

4Gamer:
 システム的に解決する前にまず話し合ったほうがいいと,以前もおっしゃってましたよね。

杉浦氏:
 私が猟団長を務める猟団でも,事情があって入魂数の少ない人はいます。でも,チャットやショートメールで「今週忙しいんであまり入魂できない」「先週は協力できなくてごめんね」と事後報告でもかまわないので一言言いましょう,という決まりを作ったんです。そうしておけば「そういう週もあるよね」「学業,仕事がんばって!」と皆納得して終わるんです。それはコミュニケーションで解決できる問題ですよね。

4Gamer:
 そうですね。

杉浦氏:
 もちろん狩りよりコミュニケーションを優先してほしいとまではいいません。でも,たった一言で印象が違う場合もあります。まずは一回でも話し合ってみることをお勧めします。これは私個人のお願いに近いですけどね。
 逆に入魂数を見えなくしたら,皆どうするつもりなんだろう? という疑問も出てきますよね。それに対して,あまり明確な答えは返ってこないんじゃないかとも思います。

4Gamer:
 少なからず後ろめたい気持ちがあるのかもしれませんね。

杉浦氏:
 その状態で「曖昧にして」という要望があっても,ちょっと賛成しにくい部分が出てきます。また,組織というものは何か目的がないと成立しませんから,それを踏まえて猟団長を中心に話し合ってみたり,あるいはせっかくモットーを設定する機能もありますので見直してみてもいいんじゃないでしょうか。そうやって価値観が同じ人同士が集まった方がお互い楽しくプレイできると思います。もし,それでも解決できない問題なら,運営としても具体的に解決方法を考えていきます。

画像集#015のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー【シーズン3.5前編】:アクラ・ジェビアとHR100古龍と狩人祭
4Gamer:
 祭ポイントの猟団内均等配分も同様の考えなんですよね。

杉浦氏:
 はい。お客様のご意見が個人単位での頑張りに比例した見返りを求める傾向が強いことは承知しているのですが,すべてが個人評価ばかりになってもどうかなと思うところがあるんです。個人評価ではない,違った形式があってもいいということで,狩人祭というものがあります。現状変更の予定はないです。これも猟団内の話し合いで解決できる範疇だと考えています。

4Gamer:
 なるほど。猟団ポイントを寄付してきた猟団を離れることになったら複雑な気持ちになるかもしれませんが,意見がかみ合わない状態でプレイするよりは,心機一転別の猟団に移籍するのがいいのかもしれませんね。


HR100古龍や狩人祭は
「がんばったからこその特別なご褒美を」
というコンセプトが顕在化したコンテンツ


4Gamer:
 先ほど,狩人祭における期間賞と部門賞の話をしましたが,今回はどのサーバーでも紅竜組の猟団が多く受賞しているのに,負け組になってしまいましたね。

画像集#017のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー【シーズン3.5前編】:アクラ・ジェビアとHR100古龍と狩人祭
杉浦氏:
 そうですね。入魂を頑張った方には不謹慎な言い方かもしれませんが,大規模猟団の力だけでは勝敗に差が出ないという結果になったとは思います。ただ,かなり僅差まで追い上げたのも事実ですから,上位猟団の皆さんの頑張りには我々も非常に驚いています。なにか別な形で報いてあげたいくらいですね。今回は期間賞が翌日の中間結果発表に反映されてしまうという不具合が出てしまったのは,本当にお詫びするしかないのですが……。

4Gamer:
 入魂祭の期間中,それぞれの組が特定のランドに集まって入魂をしている姿をよく見かけました。サーバー1では,最終日の昼間に出た中間集計結果では蒼竜組が優勢でしたが,最終日は紅竜組のほうが集まっている数が多くて,勢いから紅竜組が逆転するかなと思っていたのですが。

杉浦氏:
 実のところ,規模が大きい団体戦では,ランドに集まる100人,200人の影響力ってそれほど大きいわけではなくて,全体の入魂数にはさほど結びつかないんですよね。仮にサーバー全体で1万人ログインしているとして,そのうち100人が100入魂するのと,残りの9900人が1入魂するのではわずか100魂しか差がないんです。

4Gamer:
 厳しいですね。

杉浦氏:
 ただ,それが無意味かというと決してそういうことはありません。組全体の「頑張ってる人がいるから自分も入魂しよう」という活気を盛り上げる意味では,大変有意義なことです。そう考えると,狩人祭で勝つには自分が頑張るだけでなく,いかに仲間と協力して入魂するか,そしてその中で率先して中心に立つ人物の役割が重要になってきますよね。

4Gamer:
 ただ,個人や一猟団では大勢に影響を与えられないとなると,勝ち組に入るには,ますます組振り分けのときの運が重要になってきそうです。紅竜組と蒼竜組の組み分けはランダムとのことですが,両陣営で人数が均等になるようになっているんですか?

杉浦氏:
 いえ,完全なランダムです。唯一チェックしているのは,同盟に所属している猟団が同じ組になるようにしている点だけですね。
 MHFの場合,狩人祭には数千もの猟団が参加しますので,参加する猟団をランダムに二つの組に振り分けるだけでも自然に均等になります。もちろん猟団内の登録人数だけでなく,アクティブ率も含めてほぼすべてが均等になります。入魂数についても同様ですね。

4Gamer:
 勝ち負けでいえば,狩人祭の勝ち組限定のクエストって報酬が大盤振る舞いになっていますよね。「棘竜の尖角」とか,今まで手に入れるのに苦労していた素材があっさり出た気がします。

画像集#016のサムネイル/「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー【シーズン3.5前編】:アクラ・ジェビアとHR100古龍と狩人祭
杉浦氏:
 ええ,私も自分でプレイして「こんなに出ていいの?」と思うほどでした。実は,私の猟団は最近初めて勝ち組になれたのですが,褒賞祭の期間中,猟団メンバーはチャットをせず,黙々と勝ち組クエストをプレイしていたほどです(笑)。

4Gamer:
 そういう状況であったのであれば身にしみて感じていることだとは思いますが,勝ち組に入れなくて,エクエスシリーズ防具や一部の特殊リーチ武器などをいまだに生産/強化ができないハンターがいることについてはどうお考えですか? 

杉浦氏:
 そうですね。私自身も最近ようやくエクエスシリーズを手に入れました。本当に長かったなあ,という気持ちと長かった分手に入れたときの嬉しさは格別でした。
 MHFの代表的なサービスとしてハンターライフコースを一律1400ダレポ(=1400円)でご提供していますが,そのコースの中のコンテンツであっても,お客様全員が享受できるコンテンツなのか,それともお客様の中でも様々な部分で頑張った方に向けたコンテンツなのかという定義を作る必要があります。
 難しいのは,コンシューマゲームをメインで遊ばれてきたお客様と,オンラインゲームをメインで遊ばれてきたお客様の意識の差です。前者はゲーム内のコンテンツは他人の影響は受けずに全部提供されるべきだという考えの方が多い傾向にありますが,後者は攻城戦やPKのような競争や協力プレイを多数経験しているので,ゲーム内のコンテンツであっても手に入るものと入らないものがあることや,勝ち負けの概念とそれに伴う恩恵があることは理解している傾向にあります。
 MHFの中では,そうしたお客様の意識がこれから1年後,2年後にどう変わっていくのか,MHFの世界として成立していくのか,私達も運営として見守っていく必要がありますし,議論を続けなければなりません。

4Gamer:
 MHFは,現状オンラインゲーム寄りの考え方を採用していると。

杉浦氏:
 はい。現状でいえば,先にお話ししたHR100古龍については,プレイしている方の誰もが簡単に入手できるコンテンツとして定義していません。その範疇を乗り越えた努力や知恵,そのほかのさまざまなものを駆使して手に入れるものとして設定しています。それはプレイ時間の長さや,プレイヤースキルの違いなどから生まれる差なんです。

4Gamer:
 がんばれば特別な見返りがあるから,プレイするモチベーションを保てるという部分もありますし,その逆で負け続けるとやる気が失われてしまう部分もあります。難しいところですね。狩人祭は運の要素が強い気もしますが,入魂をひたすらがんばる以外にも勝ち組に入る方法はないわけではないですし,個人が知恵を絞るということになりますね。
 狩人祭では最後の質問となりますが,褒賞祭で「祭典の証」を消費してクエストを受けるシステムは変更できないのでしょうか? 「4人で1回ずつ4回クエストをやろう」と決めたのに,ほかのハンターのクエストに乗っかるだけでいなくなってしまう人もいるようですが。

杉浦氏:
 はい。その点は把握しています。本来,勝ち組クエストは同じ猟団の人たちと遊んでほしいというコンセプトだったんですね。ですが,猟団員とは関係なく勝ち組クエストに出かける方も多くいらっしゃるようで,そのことが原因で大きなトラブルに発展しやすいということになれば,少し考え方を改めなくてはなりません。ただ,機能自体はシーズン4.0の段階で手を入れる予定です。

4Gamer:
 たいていの場合,一期一会のパーティでもトラブルは起きないのですが,システム的にそういったことができなければ,疑心暗鬼になることもなくなるので,ぜひお願いします。

 この記事の冒頭でも書いたが,今回のインタビューで,まずはシーズン3.0からシーズン3.5にかけての手応えを聞こうともくろんでいた。そのため,第6回狩人祭が終わったあとに取材を行ったのだが,参加したプレイヤーならご存じのとおり,“不測の事態”が発生して,残念ながら当初聞こうと思っていた内容とはだいぶかけ離れてしまった。
 本稿が掲載されるころには,第7回狩人祭の入魂祭が始まっているだろう。もちろん筆者もプレイして確認するが,勝敗を競うイベントである以上,「最終日まで勝敗の行方が分からない」形になるのが望ましいといえる。また,小型モンスターが入魂対象から外れたことで,ひたすら小型モンスターを狩り続けるという,軽作業感の強い狩人祭にはならないと期待したい。こちらについては,機会があれば別途レポートしたいと思う。

 さて,近日中に掲載予定の後編では,年末に予定されている大型アップデート“シーズン4.0”以降の展望を中心にお届けする予定なので,お楽しみに。


「MHF」運営プロデューサー杉浦一徳氏インタビュー【シーズン3.5後編】:シーズン4.0以降の展開について


(2008年9月24日収録)
  • 関連タイトル:

    モンスターハンター フロンティアZ

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