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ドスパラのゲームPC「GALLERIA」はこうして作られる。初公開されたPC組み立て工場内部を見学してきた
約7000坪もの敷地面積を持つ綾瀬事業所には,サードウェーブが扱うPC製品の製造や配送,故障したPCの修理,さらに通販のコールセンターがまとまっているとのこと。もっというと,サードウェーブグループの実店舗以外,それこそドスパラの通販部門なども全部がまとまった,グループの一大拠点になっているそうだが,ここでGALLERIAはどのように製造されているのか。いろいろ見学してきたので,写真をメインにお届けしてみたいと思う。
神奈川県綾瀬市にあるサードウェーブデジノス綾瀬事業所(左)。日本通運の綾瀬物流センター内にあるため,サードウェーブグループの大看板などは掲示されていないが,物流センターの2階へ上がると,サードウェーブデジノスの小さな看板があった(右) |
内部の公開に先立って挨拶に立ったサードウェーブデジノスの松野康雄取締役社長によれば,サードウェーブグループが生産設備を公開するのは今回が初めてとのこと。
サードウェーブデジノスが事業所を綾瀬市に移転させたのは2012年2月で,この移転に合わせて,サードウェーブグループの通販部門や,一風変わった商品を多く取り扱う通販事業「上海問屋」部門なども綾瀬に集まり,実店舗以外が一元管理されることになったのだそうだ。
事業所の概要を説明するサードウェーブデジノス取締役社長松野康雄氏(左)。右はサードウェーブグループの各企業を一覧したスライドだ |
失礼を承知で書くと,昔の綾瀬市は割と陸の孤島だったのだが,最近はずいぶん変わったなあというのが正直なところである。
そんな綾瀬事業所は3つのフロアに分かれている。1階は仕入れた部材や配送する製品を一時保管する配送センターを兼ねたスペースで,2階がPC関連の部材置き場や製造工場。3階はドスパラや上海問屋が扱う製品の倉庫と出荷スペースのほか,リユース品関連のスペースになっている,といった具合だ。
登場モンスターのシルエットを天板にあしらい,スライムのイラストも添えたノートPC「GALLERIAドラゴンクエストXエディション」 (c)ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved. |
発売直後に売り切れたAndroidタブレット「Diginnos Tablet DG-D07S/GP ラブライブ!モデル」 (c)2013 プロジェクトラブライブ! |
まずはデスクトップPCとノートPCの製造を見学
先ほども述べたが,1階は部材の荷受けと一次置き場,そして出荷のエリアとなっている。イマドキのPC工場はどこも似たようなものだが,サードウェーブデジノスは受注生産方式に特化しているので,完成品の在庫はほとんど持たない。先述したとおり部材が1〜2日で届くようになっているため,在庫を持つ必要を減らせるわけだ。
事業所の1階にはトラックが直付けして,部材などを運び込めるようになっている(左)。広々とした倉庫(右)はガランとしているが,午前中には到着した部品がここを埋め尽くしていたそうだ。取材時にはすでに2階の工場へと運ばれた後だった,というわけである |
エレベーターの運搬性能は3000kg,停止時に限り4500kgを載せられるという(左)。大人7人が入っても広々としていた(右) |
エレベーターを2階で降りると,そこは段ボールの山に圧倒される倉庫の一角だった(左)。PCケースが6割を占めているとのことだ |
組み立て作業はすべて手作業。昨今のPCは少量多品種が当たり前なので,大手企業でもPCの組み立ては手作業が中心であり,手作業自体はごく普通のことだ。
ライン式では流れ作業で組み立てが進む。担当部分を終えたら,写真奥に移動させて次の作業員にバトンタッチ |
ライン工程で組み立てられたPC。時間のかかりそうなケーブルマネジメント込みでも数分で組み上がるのは見事だ |
工場内には2本の生産ラインとは別に,「セル方式」と呼ばれる組み立て部門も用意されており,こちらでは1人の作業員が1台のPCを最初から最後まで組み立てる。パーツの構成が1台1台異なるような製品は,このセル部門で組み上げる仕組みなのだそうだ。手慣れた作業員は,CPUとCPUクーラー,メモリとグラフィックスカードの取り付けを2分ほどで終わらせていた。帰宅後に筆者もトライしてみたが,グリスを塗る工程までで1分以上経過してしまう程度でとてもかなわない。
セル側はパーツの構成が1台1台異なるハイエンドPCを担当。1人が1日平均30台を組み立てるそうで,超ベテラン作業員の最高記録は1日になんと60台! |
滑り止めのゴムで覆われた回転式の作業台。作業台のデザインは随時変更されているとのことで,従業員にの提案による改良,いわゆる「カイゼン」が繰り返されている |
検査ラインと不具合対策部門も見学
製品の上には,複数台のPCをまとめて検査する管理画面が置かれている。使用している診断ソフトはPC-Doctorだ |
フックに引っかけられているインストール用光学メディア。青いマーカーで書かれているのがBlu-rayディスクで,黒いほうはDVDのようだ |
信頼性検査のコーナーに立っている白旗は,エラーが出た目印……ではなく,テスト用PCを搬入する場所の目印だという |
不具合対策部門と修理部門も,生産ラインと隣接した場所に置かれている。生産ライン側での不具合が発覚した場合,ここで即座に検査できる迅速な体制となっているわけだ。本稿の序盤で紹介したとおり,生産ラインに入ったパーツに不良品などがあった場合でも,1時間ほどで原因を特定可能という。
回転式の台座に載せられて清掃中の修理済みPC。ユーザーに戻す前には見た目もきれいに |
修理部門の近くには出荷の行程があり,台車に載せられた出荷待ちのPCがあった |
ドスパラ通販部門と上海問屋部門のある3階は所狭しと商品が
PC組み立てとは関係ないが,3階も簡単にチェックしておこう。先述したとおり,ここはドスパラ通販や上海問屋,リユース品部門があり,それらの倉庫やピッキングエリア,配送処理エリアとなっている。とくに雑多な小物も扱う上海問屋の商品がすべて保管されているだけあって,店舗のバックヤードのような印象を受けた。
ゲーマーがゲームPCを買うときには,希望に合わせてパーツ構成を変更することが多いと思うが,そうしたPCは熟練の作業員が1台ずつ丁寧に組み上げているわけだ。そうした製造現場が見えてくると,製品への信頼性も上がって見えるのではないだろうか。
GALLERIA 公式Webページ
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