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4Gamer編集者のゲーム用ノートPC購入記(後):熱対策と使い勝手検証,アップグレード編
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印刷2009/08/08 10:36

テストレポート

4Gamer編集者のゲーム用ノートPC購入記(後):熱対策と使い勝手検証,アップグレード編

CLG629 TYPE-G(→パソコン工房の販売ページ)。発売からだいぶ経ったが,まだ現行製品である。2009年8月7日時点では,1万円引きのキャンペーンが行われていた(※17日11:00まで)
画像集#002のサムネイル/4Gamer編集者のゲーム用ノートPC購入記(後):熱対策と使い勝手検証,アップグレード編
 「なるべく早く」としていたにも関わらず,日常業務に追い立てられた結果,前編から1か月以上空いてしまうという体たらくで本当に申し訳ない。
 ……とお詫びしつつ,「GeForce GTX 260M」搭載のパソコン工房製ノートPC「Lesance BTO CLG629 TYPE-G」(以下,CLG629 TYPE-G)を購入した顛末の後編をお届けしたい。CLEVO製のOEM用システム「M860TU」をベースとするCLG629 TYPE-Gをチョイスした理由と,3D性能の検証結果をお伝えした前編の内容を前提に進めていくので,未読という人は,いったん前編を読み終えてから,あらためて戻ってきてもらえれば幸いだ。

4Gamer編集者のゲーム用ノートPC購入記(前):GeForce GTX 260Mのパフォーマンス編

 今回は,使っていて気づいた点を中心に,段落単位で分けて,述べていきたいと思う。なお,購入時点におけるCLG629 TYPE-Gのハードウェア&ドライバ構成はのとおり。

前編で述べたように,筆者はOSなしの構成で入手し,OSやドライバは自分でインストールしています。ドライバの構成は,OSプリインストールモデルと異なる可能性があるので注意してください
画像集#020のサムネイル/4Gamer編集者のゲーム用ノートPC購入記(後):熱対策と使い勝手検証,アップグレード編


とにかく熱い!

冷却装置の導入は必須


 さて,M860TUベースのノートPCが登場してだいぶ経っているので,一部ではFAQ的に語られてもいるようだが,重要ゆえ,本稿でもはっきりと述べておきたい。筆者と同じようにCLG629 TYPE-Gを購入した人,あるいは,M860TUベースの単体GPU搭載モデルを使っている人は,いますぐノートPC用クーラーを導入したほうがいい。3Dアプリケーション実行時や,CPUがフルロードになったときのCLG629 TYPE-Gは,尋常でないほどに発熱するからだ。
 CLEVOの設計担当者が読んだら怒るかもしれないが,これは冷却設計のミスと断じて差し支えないというのが筆者の見解。それほどまでに,「何らかの形で強制的に冷却してやらなければ,長くは持たないだろう」と思わせるに十分な発熱量である。

ZM-NC2000-BK。USBコネクタが本体の両サイドに取り付けられており,どちらかでも給電できる。付属USBケーブルをしまえるスペースが底面設けられていて(下),外出時にケーブルをうっかり忘れたりしないで済むのはけっこう便利
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画像集#004のサムネイル/4Gamer編集者のゲーム用ノートPC購入記(後):熱対策と使い勝手検証,アップグレード編
 というわけで今回は,Zalman Tech製のノートPCクーラー「ZM-NC2000-BK」を購入した。2連ファンを内蔵し,回転数の調整が可能という,どちらかといえば多機能のモデルだ。家電量販店では,OEM先であるサンワサプライから,「TK-CLN7UL」として販売されているが,いずれにせよ価格は7000円〜1万円といったところになる。

 せっかく購入したので,その効果を確認してみよう。今回は,室温を24℃前後に保った室内に机を持ち込み,CLG629 TYPE-Gを,

  1. 机上に直置き
  2. ノートPCクーラーに置き,クーラーに用意されたファン回転数制御用ダイヤルコントローラを中央にセット
  3. ノートPCクーラーに置き,クーラーに用意されたファン回転数制御用ダイヤルコントローラを最大にセット

した状態において,

  1. システムの起動後,30分放置した時点(以下,アイドル時)
  2. システムに高負荷をかけるストレステストツール「OCCT」(Version 3.1.0)のGPUテストを60分間連続実行した時点(以下,OCCT GPU実行時)

で,ノートPC各部の温度を測定することにした。

グラフ中に示した各ポイントを矢印で示してみた
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 CPUとGPUの温度はOCCTのハードウェアモニタ機能を用いて,残る各部については,ノートPC上に水性ペンでマークを打ち,各点を,横河メータ&インスツルメンツ製のデジタル放射温度計「53005」を用いて測定することにし,アイドル時の温度をまとめたのがグラフ1である。

 ざっと見て分かるように,アイドル時に関しては,机直置きでもそれほど問題はない。ノートPCクーラーを利用すると,排気温度が比較的大きく下がるが,この程度なら無視してもいいレベルだろう。
 また,温度はは本体向かって中央よりも右のほうが高いと分かる。[Fn]キーの近くや左スピーカー部分は,ほとんど室温と同じだ。

画像集#021のサムネイル/4Gamer編集者のゲーム用ノートPC購入記(後):熱対策と使い勝手検証,アップグレード編

ZM-NC2000-BKにCLG629 TYPE-Gを載せたところ。撮影用に手前側から給電しているが,普段は反対側のUSBコネクタにケーブルを差している
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 続いて,OCCT GPU実行時のスコアをまとめたのが,グラフ4である。

 GPUがフルロードになり,ファン回転数も最大に達した状態で安定するため,GPU温度がほぼ同じなのはこれで正しいが,一方で,ノートPCクーラーの有無で,排気孔の温度が10℃以上異なること,そして,ノートPCクーラーのファン回転数を最大にしたときだけ,CPU温度が明らかに下がっている点は注目に値しよう。

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GPUとCPUからの熱は,ヒートパイプによって一か所に集められ,それをファンエアフローで本体外部へ排出するというのが,M860TUの冷却デザイン。控えめに述べても,十分には機能していない
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 OCCT GPU実行時のCPU負荷は0%というわけでなく,調べた限り20%前後あったので,CPU自体の発熱量が増してはいるのだが,それにしてもアイドル時が30℃前後ということを考えると,上がりすぎ。ノートPCクーラー側のファン回転数を最大にしたときだけCPU温度が下がっていることからして,CLG629 TYPE-G(=M860TU)が採用した,「CPUとGPUの発熱を,1基のクーラーで冷却する」という仕様が裏目に出て,GPUの熱がCPU側に移っている可能性が高い。
 一方,本体左サイドはほとんど温度が上がっていないのだから,M860TUというシステムが,いかに内蔵の排気クーラーに頼りきりで,ノートPCの筐体全体を使った冷却が考慮されていないか,よく分かろうというものだ。外観はずいぶんとよくなってきたODM(※)系ノートPCだが,日々使っていくことへの配慮は,まだまだといったところか。

※ODM:Original Design Manufaturer,ここでは,相手先ブランドの製品として,PCを一から設計するメーカーの意

 これ以上の負荷をかけることに対しては「買ったばかりのノートPCを壊したくない」という気持ちから,どうしても踏ん切りがつかなかったが,M860TUベースのノートPCで,長時間,CPUやGPUを酷使するのであれば,ノートPC用クーラーは間違いなく必須のアイテムといえる。


HDDは7200rpmモデルへの換装が吉

上位モデル相当へのCPU換装はどうか?


※注意
 ノートPCの内蔵デバイス換装は,メーカーの保証外となります。最悪の場合,デバイスや筐体に修復不可能なダメージが残ったり,PCが壊れてしまったりする危険がありますので,本稿の記載内容を試してみる場合には,あくまでも読者自身の責任で行ってください。本稿を参考にしてデバイスの換装を試みた結果,何か問題が発生したとしても,メーカー各社や販売店はもちろん,筆者,4Gamer編集部も一切の責任を負いません。

 冷却周りの問題がクリアになったところで,次に気になってきたのが,全体的なもっさり感だ。OSがWindows Vistaだから,という理由ももちろんあるのだが,使っていくと,どうもストレージ周りが露骨に遅い。HDDの読み書きが起こるたびに,いちいち待たされる感じが拭えないのだ。
 そこで今回は,予算を考えながら,回転数7200rpmの2.5インチHDDへ入れ替えることにした。

 SSDにしなかったのは,単純に予算の都合。標準搭載のHDD容量は320GBだが,2万円程度の予算では,マトモな信頼性のあるSSDはせいぜい80GBクラスしか手に入らない。つまり,ゲームタイトルを複数インストールするには向かない容量のモデルしか手に入らないからである。

購入したScorpio Black。私物で回転数7200rpmの2.5インチHDDを買ったのも,そういえば初めてのような気がする
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 そんなこんなで今回選んだのは,Western Digitalの「Scorpio Black」(型番:WD3200BJKT」。容量320GB以上で回転数7200rpmのモデルなら何でもよかったので,適当にキャッシュ容量の多いものを選んだら,これだったというだけである。記憶が確かなら,購入価格は9000円前後だったはずだ。
 ストレージデバイスの入れ替えは自己責任だが,基本的に底蓋を開けて,ちょちょっとネジを外すだけなので,難度はそう高くない。

HDDの換装に当たっては,HDDを筐体と接続している2か所のネジを外し,「PULL UP」と書かれたリボンを引っ張る。すると,Serial ATAアダプタ(※写真中央でHDDから飛び出して見えている部分)ともども,HDDは上に引き抜けるので,引き抜いたら,あとは,アダプタと,HDD固定具を新しいストレージデバイスに取り付け,逆の手順で取り付ければいい
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 ……入れ替えた効果はてきめんで,体感速度は劇的に向上。SSDやHDDによるRAID 10構成を採用する私物デスクトップ機と比べると目に見えて遅いものの,ノートPCということを踏まえれば,十分満足できるレベルになった。HDD換装というのは,大型筐体のノートPCでは定番のパワーアップ方法で,今さらと言われればそれまでだが,やはり定番には定番であるだけの理由があるというわけだ。底蓋を開けられる覚悟がある人には心からお勧めしたい。
 グラフ3は,CLG629 TYPE-G購入時に付属していたHDDを利用したときと,HDDをScorpio Blackに入れ替えたときとで,「PCMark Vantage」のスコアを比較したものだが,HDDパフォーマンスが大きく改善し,それに伴って,そのほかのスコアも大なり小なり向上しているのが分かる。

画像集#023のサムネイル/4Gamer編集者のゲーム用ノートPC購入記(後):熱対策と使い勝手検証,アップグレード編

うっかり入手してしまったT9600の製品ボックス
画像集#012のサムネイル/4Gamer編集者のゲーム用ノートPC購入記(後):熱対策と使い勝手検証,アップグレード編
 換装といえばもう一つ,CPUである。先ほど予算がどうとか言っていた気がするのだが,気がつくとうっかり「Core 2 Duo T9600/2.80GHz」(以下,T9600)が手元にあったので,もうどうしようもないのである。
 ちなみにT9600は,CLG629 TYPE-Gの上位モデル「Lesance BTO CLG629 TYPE-GX」が搭載するCPU。2モデルの間には,CPUの違いだけで2万円というBTO標準構成価格差がついているのだが,2万円で何が変わるのか,見てみたいという気持ちが勝ってしまったのだ。「なら初めから上位モデルを買えばいいのではないか」という意見はごもっともだが,その点についてはそっとしておいてもらえるとうれしい。筆者も反省している。

PGAパッケージのIntel製CPUを買ったのはCore Duo以来だなあと思いつつ撮影したT9600
画像集#013のサムネイル/4Gamer編集者のゲーム用ノートPC購入記(後):熱対策と使い勝手検証,アップグレード編 画像集#014のサムネイル/4Gamer編集者のゲーム用ノートPC購入記(後):熱対策と使い勝手検証,アップグレード編

CPU換装はHDDと比べると難度が高いので,なるべくなら手を出さないほうが無難。どうしてもという人には,「ファンを外し,CPUとGPU部のネジを外したら,あとは勇気を持ってGPU部をぐりぐりと動かし,グリスをGPUコアから剥がす」というアドバイスを送っておきたい
画像集#015のサムネイル/4Gamer編集者のゲーム用ノートPC購入記(後):熱対策と使い勝手検証,アップグレード編
 で,実際どれだけ違うのか。今回は,4Gamerのベンチマークレギュレーション8.0から,「3DMark06」(Build 1.1.0)と,CPUの影響が小さそうな「Left 4 Dead」,逆に大きそうな「バイオハザード5」の3タイトルをピックアップして,「標準設定」(※バイオハザード5は「低負荷設定」)と「高負荷設定」の2パターンでスコアを計測することにした。テスト時の搭載HDDはScorpio Blackだ。

 まず3DMark06から見ていくが,スコアはグラフ4,5のとおり。CPU換装効果は1〜3%程度に留まっている。

画像集#024のサムネイル/4Gamer編集者のゲーム用ノートPC購入記(後):熱対策と使い勝手検証,アップグレード編
画像集#025のサムネイル/4Gamer編集者のゲーム用ノートPC購入記(後):熱対策と使い勝手検証,アップグレード編

 続いてグラフ6,7はLeft 4 Deadの結果である。低解像度ではL2キャッシュ容量が「Core 2 Duo P8700/2.53GHz」(以下,P8700)の3MBから倍増した効果か,T9600搭載時のスコアが非常に高い。最大では17%だ。ただし,描画負荷が高まると,CPU換装の効果はゼロに近づいていく。

画像集#026のサムネイル/4Gamer編集者のゲーム用ノートPC購入記(後):熱対策と使い勝手検証,アップグレード編
画像集#027のサムネイル/4Gamer編集者のゲーム用ノートPC購入記(後):熱対策と使い勝手検証,アップグレード編

 グラフ8,9がバイオハザード5のテスト結果だが,低負荷設定では全般的に,高負荷設定でも1280×1024ドット以下なら,CPU換装の効果が出ている。CPU負荷が高いタイトルを狙えば,GPUをワンランク上の製品に換装するのと同じといっても語弊のない程度で,メリットが得られるというわけだ。

画像集#028のサムネイル/4Gamer編集者のゲーム用ノートPC購入記(後):熱対策と使い勝手検証,アップグレード編
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 以上,CPUの換装に関しては,体感レベルで何かが劇的に変わる条件は限定的といったところ。効果自体は間違いなくあるので,CPUを酷使することが明白なのであれば,狙ってT9600(=CLG629 TYPE-GX)が得策だが,そうでないなら,P8700搭載モデル(=CLG629 TYPE-G)で十分といった印象を受けた。
 なお,参考までに,PCMark Vantageのテスト結果はT9600搭載時に4374 PCMarks。グラフ3で示したように,P8700搭載時は同3897だったので,約12%のスコア向上となる。


キーボードは一般PC用途なら十分使える

タッチパッドは使い物にならないが問題はない


 前編で簡単にお伝えしているが,キーボードは,[Enter]キーの右によけいなキーが置かれていたりしない,ごくごく一般的な日本語配列の87キー仕様。ノートPCでよくある「日本語86キー+[Fn]キー」という構成だ。キーピッチは,メインキー群が実測18mmで,ファンクションキーをはじめとする一部が同16mm。[Enter]キーは激しく大きい。

キーボードとタッチパッド。普段使っているデスクトップPC用キーボードとメインキーのピッチは同じなのだが,平板なせいか,大きく感じた
画像集#016のサムネイル/4Gamer編集者のゲーム用ノートPC購入記(後):熱対策と使い勝手検証,アップグレード編

 [Fn]キーは左[Ctrl]キーの左に置かれており,両キーの切り替えは行えない。前編でも紹介した手持ちのモバイルノートPC「Let’snote R8」,というか,これまで使ってきたLet’snoteシリーズでは当たり前のようにBIOSから入れ替えられたのですっかり忘れていたのだが,そういえばたいていのノートPCは入れ替えられないのだった。使ってみると,「FPSのプレイ中に[Ctrl]キーが反応せず,よく見たら[Fn]キーだった」といった問題はやはり発生したので,なかなか不便である。

 キーストロークは同2mmで,パンタグラフ式メンブレンスイッチだけに,キーのどこを押しても反応してくれる。押し始めがやや固めで,しかも気持ちグラグラした印象も残るが,これはLet’snote R8と同じなので,瑣末(さまつ)な問題といっていい。総じて,テキスト入力用キーボードとしては,及第点を与えられるレベルにあると思う。

 むしろ,ゲーム用途での問題は,同時押し数に関する配慮がまったくないこと。4Gamer独自のキーチェックソフト「4Gamer Keyboard Checker」(Version 1.0 Beta)で確認したところ,同時押し対応は,押す場所やタイミングにより2〜5キーで,実際にFPSをプレイしていたときには,「[Ctrl]キーを押下しながらの[W][A]キーによる斜め移動中に,[Space]キーを押せない」など,同時押し制限に起因するトラブルにたびたび見舞われた。同時押し数が問われるゲームタイトルをプレイするに当たっては,USB接続のゲーマー向けキーボードを別途用意すべきである。

 もう一つのタッチパッドは,結論から言うと「使い物にならないが,そもそもどうでもいい」。筆者が購入した個体だけの問題かもしれないが,CLG629 TYPE-Gでは,クリックボタン部が恐ろしく固いうえにどこをクリックすればいいのかよく分からず,ダブルクリックはおろか,シングルクリックすら認識されない症状が頻発する。しかし,そもそも操作にはマウスを使うため,問題はまったくないのだ。


ディスプレイの品質はそれなり

サウンドは「期待してなかったので満足」


 最後に二つほど,そのほかに気になった点について簡単にまとめたい。

●ディスプレイ


i1 Display 2用のキャリブレーションソフト,「Eye-One Match」から補正した結果。なかなか個性的なガンマカーブである。ノートPCということで,ディスプレイ単体の設定項目はないため,色温度のズレもやむを得ない感じ
画像集#017のサムネイル/4Gamer編集者のゲーム用ノートPC購入記(後):熱対策と使い勝手検証,アップグレード編
 筆者が最もよくプレイするFPS,「Unreal Tournament 3」で確認すると,応答速度は「極めて高速に視点移動するとき,オブジェクトの残像感が多少気になる」というレベル。筆者はいわゆるRPG系を一切プレイしないので,オンラインRPGでどうなのかは語れないが,縦スクロールの弾幕シューティングや2対2のTPS,2Dの対戦アクションなどをプレイするときには,ほとんど気にならなかった。
 一方,色味は,ディスプレイカラーマッチングの専門家ではない筆者の目から見ても,とても良好とはいえない。悪い意味で,典型的なノートPCの液晶パネルである。ちなみに,手持ちのディスプレイキャリブレーションツール「i1 Display 2」で補正をかけてみた結果は右に画像で示したとおりだ。

 視野角は,上下方向こそ厳しいものの,左右はそこそこ。少なくとも,正面から見据える限り,露骨な色の変化は(ほとんど)ない。

●スピーカーユニット


 そのサイズからして,「音が出る」以上の期待をまったくしていなかったのだが,その立場で聞いてみると,びっくりするほどいい音が鳴る(※サウンドドライバはRealtek Semiconductorから最新版を導入しているので,SRSの機能は利用できていない)。AMラジオ程度の音質は確保しているといっていい。32kbpsのMP3形式で録り溜めている某深夜ラジオを出張先で聞いたり,ゲームのプレイに当たって,BGMを流しておく程度なら十分使える印象だ。もっとも,320kbpsエンコードしたAAC形式の音楽ファイルを再生する気にはまったくならないし,ゲームのサウンドモードをわざわざ聞こうとも思えないのは事実だが。
 FPSで音情報を拾いたい場合には,USB接続型ヘッドセット,あるいはUSBサウンドデバイスとヘッドフォンの利用をお勧めしたい。


なんだかんだで使いでのあるGPU搭載ノートPC

生活スタイルがちょっと変わるかも


本文では触れていないが,SDHCカードリーダーは,カードがはみ出る仕様のうえ,蓋付きであるなど,重箱の隅をつつきたい部分はほかにもある。とりあえず,今後は冷却が配慮されていないHDD周りをなんとかしたい
画像集#018のサムネイル/4Gamer編集者のゲーム用ノートPC購入記(後):熱対策と使い勝手検証,アップグレード編
 以上,前編に続いて長い記事になったが,CLG629 TYPE-Gを2か月半使ってきた編集者としてのインプレッションは,「コストパフォーマンスはすこぶるいいが,ノートPC用クーラーを別途用意しないと安心して使えないあたり,ODM系ノートPCの信頼度はまだまだ」というもの。もちろん,M860TU以外に関してはなんとも言えないのだが,国内でも数多く流通している製品がこのレベルだと,コスト重視で割り切って使う人,自分できちんと対策できる人でないと,使いこなすのは難しそうだ。もっとはっきりいうと,これからゲーム用PCを初めて買うという人に,最初の1台として本機を勧めることはできない。

ACアダプタはけっこう大きく,重い
画像集#019のサムネイル/4Gamer編集者のゲーム用ノートPC購入記(後):熱対策と使い勝手検証,アップグレード編
 ただ,購入した1ユーザーとしては,「とりあえずクルマかナップザックに放り込みさえすれば,相当なパフォーマンスのPCを持って行ける」ようになったことが大きいとも感じている。腰を据えてプレイするようなゲームをCLG629 TYPE-Gでしようという気にはならないものの,ちょっとした対戦ゲームや多人数対戦アクションあたりをインストールしておいて,どこか集まれる場所に持って行って遊んだりするには十分すぎるほどアリだ。
 平日の電車通勤時はLet’snote R8と「iPhone 3GS」を持って歩いているところ,休日はCLG629 TYPE-GとiPhone 3GSにすることが多くなって,クルマにPC(とノートPC用クーラー)を放り込んで移動するとか,アメリカ人にでもなったみたいだと,しみじみ感じたりもしている。

 約3.2kgもあるノートPCなので,モバイルにはまったく適さない一方,用途を絞り込めば,十二分に使えるのは確か。ゲームはデスクトップPCでやればいいと思っている人も,「持って移動できなくもないノートPC」を一度手に入れれば,生活がちょっと変わるかもしれないと述べておきたい。
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