ASUSTeK Computer(以下ASUSTeK)は,
CeBIT 2007で初公開されていたゲーマー向けノートPC「G1S」を国内発表。2007年9月下旬に予想実売価格25万円前後で発売すると発表した。本稿では,発表会の模様を中心に,その概要をお伝えしたいと思う。
G1S
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“GPUを搭載しただけ”ではなく
一からデザインされたゲーム用モデル
G1Sが持つ最大の特徴は,
「単独の製品としてデザインされている」点にある。
ゲーム用,ゲーマー向けを謳うノートPCの多くは,言ってしまえば「PCメーカー向けに販売されている汎用筐体へ,GPUを搭載した製品」で,スペック以外の仕様,とくに外観はどこも似たり寄ったりになりがちである。汎用筐体を採用することによって安価になる側面もあるので,一概に否定するべきものではもちろんないのだが,デザインという意味では,没個性になる傾向が強い。
ハイライトされた[W/A/S/D]キー(※クリックすると別ウインドウで日本語キーボード全体を表示します)
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それに対して,完全オリジナルモデルとなるべく設計されているG1Sには,明らかな個性がある。FPSなどでよく用いられる[W/A/S/D]がハイライトされるのをはじめ,ゲーム中に点灯するインジケータ
「Direct Flash」,時計やタイマー,メールやインスタントメッセンジャーの着信を表示できる小窓
「Direct Messenger」を装備していたりといった具合に,(実用性はさておき)G1Sにしかないギミックに満ちている。Logitech製光学センサー搭載ワイヤードマウス
「G3 Optical Mouse」のG1Sオリジナルバージョン――
G3 Optical Mouseの出荷が終了しているいまとなっては,極めて貴重だ――が付属しているのも特筆すべきだろう。その経緯上どうしても個性に乏しい,一般的なゲーマー向けノートPCとは明らかに一線を画している。
タッチパッド部分の「ASUS Gaming Series」ロゴには緑色LEDが埋め込まれている。なお,ASUS Gaming Seriesのロゴはグラフィックスカードなどにも使われているが,国内でのブランド展開は行われていない |
キーボードの上部に用意された「Direct Messenger」。オンラインRPGのプレイヤーは,ゲーム中の“誘い合わせ”に使うと便利かも(※クリックすると別ウインドウで“時計モード”を表示します) |
液晶ディスプレイの両サイドに若干飛び出すような格好でDirect Flashが用意されており,マインスイーパやソリティアを実行すると点滅していた。ただ,推奨モデルということで“2アカ”モードにしてもらったモンスターハンター フロンティア オンラインでは点灯せず。ASUSTeKの広報担当者によると「ロスト プラネット エクストリーム コンディション」のDirectX 10版でも光らなかったそうで,条件がよく分からない。別途ソフトウェア的に実行ファイルを指定する必要があるのかもしれない
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付属するマウスの詳細についてASUSTeKは多くを語っていないが,底面を見てみると「MX-518」とあったので,「G3 Optical Mouse」のカスタムモデルと見て間違いない。いまとなっては貴重品である
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スペックの詳細は本稿の最後に示したが,主立ったところは以下のとおり。
- CPU:Core 2 Duo T7500/2.20GHz(L2キャッシュ4MB)
- チップセット:Mobile Intel PM965 Express
- メインメモリ:PC2-5300 DDR2 SDRAM SO-DIMM 1GB×1(空きスロット1)
- GPU:GeForce 8600M GT(グラフィックスメモリ256MB,TurboCacheにより最大512MB)
- HDD容量:120GB(回転数5400rpm)
- 有線LAN:1000BASE-T
- 無線LAN:IEEE 802.1a/g/n(※nはドラフト)
- OS:Windows Vista Home Premium(32bit)
- ディスプレイ:15.4インチワイド液晶,解像度1440×900ドット
- キーボード:日本語89キー
- バッテリー駆動時間:約2.17時間
- サイズ/重量:354(W)×284(D)×36〜41.6(H)mm/3.25kg
天板はカーボン調で,鏡面加工のようなコーティング処理が行われている
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ノートPCとしてはかなり高めのスペックにまとめられている。ただ,出荷状態でのメインメモリ容量が1GBしかなく,しかもシングルチャネル仕様となっているのは,Windows Vistaを搭載するゲーマー向けモデルとして考えると少々残念だ。おそらく,製品の本体価格を25万円以下になんとか抑えるための対応だと思われるが,それならば,ゲーム用と位置づけられているにもかかわらず「Microsoft Office Personal 2007」がインストールされているなど,ゲーム用途を考えたとき明らかに余分なところをいくつかカットすべきではなかったかと思う。
ASUSTeKによれば「標準状態で『ロスト プラネット エクストリーム コンディション』のフレームレートは20fps超」とのことで,妥当なスコアが出てはいるようだが,実際にPCとしての快適さを求めようと思うと,別途1GBのSO-DIMMを購入するといった対応がエンドユーザー側に求められるのではなかろうか。
なお,このほか気になる液晶のスペックは「確認中」(ASUSTeK)とのこと。応答速度など,ゲームプレイに当たって気になる情報が明らかになるには,少々時間を要しそうだ。一方,本体底面に用意された内蔵スピーカーにこれといった特徴はないようで,実際に聞いてみても,よくある「ノートPCの音」だったことを付記しておきたい。
外部インタフェースとしてデジタルYCbCr&RGB(HDMI)とeSATAをサポート |
サウンド入出力端子&ExpressCardスロットは本体右側面にまとめられている |
130万画素のWebカメラを液晶ディスプレイ部に内蔵 |
本体底面。写真手前側の両サイドに見えるスリットがスピーカーだ |
持ち運ぶためのデイバッグも付属する
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以上,25万円前後という予想実売価格を聞いてしまうと,どうしてもツメの甘さが気になってしまうのだが,ノートPCとして見たときのハードウェア的な完成度はかなり高い印象。このあたりはさすが世界第4位(ASUSブランドでは9位)のノートPCメーカーといったところで,ゲーム用ノートPCを探している人で,見た目やハードウェア的な作りのよさに価値を見い出せるのであれば,G1Sは選択肢として考慮に十分値するだろう。
なお,ASUSTeKはG1Sと同じタイミングで「GeForce 8400M G」を搭載し,セミモバイル向けとされる「W7S」2モデル
「W7Sブラック」と「W7Sホワイト」も発表した。こちらは特別にゲーマー向けというわけではないので紹介に留めるが,G1Sと同じタイミングで発売される予定とのことなので,興味のある人は下に示したスペック表を参考にしてほしい。
W7S。左の写真に写っているマウスと,右の写真に写っているバッグが付属する
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G1Sのスペック表(※クリックすると別ウインドウで拡大したものを表示します) |
W7Sのスペック表(※クリックすると別ウインドウで拡大したものを表示します) |