AMD，初の「FreeSync」対応ドライバとなる「Catalyst 15.3 Beta」を公開

　北米時間2015年3月21日，AMDは，同社独自のディスプレイ同期技術「FreeSync」に対応した初のグラフィックスドライバとなる公式最新β版リリース「Catalyst 15.3 Beta」を公開した。32/64bit版Windows 8.1および32/64bit版Windows 7＋SP1向けだ。すぐに入手したい人は下に示したリンクを利用してほしい。なお，「FreeSyncとは何か」という話は，すでに掲載済みのテストレポート記事をどうぞ。

→Catalyst 15.3 Beta

　「Display Driver」のバージョンは「14.502.1014.0000」（1503200447-14.502.1014-150319a-181730E）で，テストレポート用のものより少し新しいが，実のところ今回の15.3βドライバは，問題点の修正がかなりの規模になっているというのが，もう1つの特徴となっている。FreeSync対応ディスプレイの国内発売は4月なので，その意味において，急いで15.3βを導入する必要はないのだが，特定のゲームタイトルや特定の環境に向けた修正が入っているので，むしろ現時点ではそちらのほうが重要かもしれない。興味のある人は，本稿の最後にまとめた英文リリースハイライトの和訳もチェックしてもらえれば幸いだ。

　ちなみにAMDは，β版グラフィックスドライバの導入をゲーマーに推奨する一方，現状渡しの無保証版とする立場も崩していない。なので，導入はくれぐれも自己責任でお願いしたいと思う。

＃＃＃＃　以下，リリースハイライトまとめ　＃＃＃＃

●Catalyst 15.3 Betaの対応GPU

• Radeon R9・R7・R5 200シリーズ
• Radeon HD 8000シリーズ
• Radeon HD 7000・7000Aシリーズ
• Radeon HD 6000・6000Aシリーズ
• ATI Radeon HD 5000シリーズ
• Radeon R9・R7・R5 M200シリーズ
• Radeon HD 8000M・8000D・8000Gシリーズ
• Radeon HD 7000M・7000D・7000Gシリーズ
• Radeon HD 6000M・6000D・6000Gシリーズ
• ATI Mobility Radeon HD 5000シリーズ
• AMD A-Series APU with Radeon R7・R6・R5・R3 Graphics
• Radeon E8860・E6760・E6460

●Catalyst 15.3 Betaにおける新要素（Windows 8.1，Windows 7＋SP1）
・FreeSync新規対応

• シングルGPU構成時におけるFreeSyncをサポート。詳細はテストレポートを参照のこと

・Eyefinityの拡張

• Radeon R9 285搭載環境で，90度縦回転したディスプレイとそうでないディスプレイを混ぜた状態でのEyefinityが可能に

・CrossFireの拡張

• 「Battlefield Hardline」「Evolve」「Far Cry 4」「Lords of the Fallen」「Project CARS」「Total War: Attila」に向けたCrossFireプロファイルの追加
• 「ALIEN ISOLATION」「Assassin's Creed Unity」「Sid Meier's Civilization: Beyond Earth」「FIFA 2015」「Grid Autosport」「Ryse: Son of Rome」「Talos Principle」「The Crew」に向けたCrossFireプロファイルの追加

●Catalyst 15.3 Betaで解決した問題（Windows 8.1，Windows 7＋SP1）

• HDMI接続のディスプレイ3枚を3x1のEyefinittyでSLS（Single Large Surface，1枚の大きなデスクトップとして扱うこと）構成すると，画面に何も映らなくなることのある問題
• OpenGLベースの3Dゲームエンジン「Leadwerks」で，「Project Manager」が「Pure Virtual Function Call」エラーを吐いてクラッシュする問題
• 「Second Life」で，ゲーム側の設定からハードウェアスキニングを有効化すると，リグ入りメッシュが正しく描画されない問題
• 「Star Trek Online」でゲーム側の設定からMSAAを適用すると，画面にブロック状のものが映る問題
• Radeon R9 285のCrossFire構成時にS3/S4スリープから復帰するとシステムがハングしたりBSoDが発生したりする問題
• CrossFire構成時，Firefoxで「YouTube Mix」を利用しながらゲームをプレイしていると，YouTube Mixで次の曲に移るとき，TDR（Timeout Detection Recovery）エラーが発生する問題
• 「ALIEN ISOLATION」で，Vsyncを有効化しているにも関わらずテアリングが発生する問題
• ATI Radeon HD系GPUのいくつかで，Catalyst Control Centerの「強制的になめらかなビデオ設定を実行する」（Enforce Smooth Video Playback）が選択されていないとき，「ビデオ画質」（Video Quality）の設定を行えなかったり，行えても変更が保持されなかったりする問題
• Eyefinityを有効化している状況でCrossFireを無効化すると，プライマリディスプレイの設定が保持されない問題
• DisplayPort 1.2 MST（MST：Multi Stream Transport）対応の4KディスプレイとCrossFire構成のシステムを接続しているとき，CrossFire動作の有効/無効を切り替えると，画面の左右片方が何も表示されなくなることのある問題
• シングルおよびマルチGPU構成時に，「Dragon Age: Inquisition」でわずかなカク付きが確認されることのある問題
• 特定のKaveri世代APUが単体GPUと組み合わされた環境で，「Total War: Attilla」のゲーム内デモシークエンス中にハングすることのある問題
• ATI Radeon HD 5800シリーズが搭載された環境で「The Elder Scrolls V: Skyrim」の霧と雲がちらつくことのある問題