
イベント
日韓のトッププレイヤーたちが対決。日本e-Sports協会設立準備委員会が「e-Sports日韓戦」を開催
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JESPAとは,日本国内におけるe-Sportsの発展と活性化を目的とした,e-Sports統一団体。その名前からも分かるとおり,現時点ではまだ“準備”という段階ではあるが,e-Sportsを日本にも根付かせるべく,環境整備や支援体制の構築を目標に活動を行っている。
4Gamer読者にはいまさら説明の必要がないかもしれないが,e-Sportsといえば,お隣の韓国を初めとして,欧米やアジア諸国で高い人気を誇るムーブメント。「StarCraft」や「Counter-Strike」など,主に競技性の高いPCゲームのタイトルを種目としているのが特徴(最近はコンシューマタイトルも組み込まれているが)で,韓国は,年収で一千万円を超えるスタープレイヤーを輩出していることもご存じのとおり。
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e-Sportsという文化が未だに根付いていない日本ではあるが,“コンピューターゲームを使った競技”に関する注目自体は徐々に高まりつつあり,今回のイベントにも,ゲーム誌以外の一般のメディアも多数駆け付けていたのが印象的。またイベントの途中には,韓国から招いたStarCraftのプロ選手二人によるデモンストレーションも行われるなど,e-Sportsとはなんぞや? ということを国内に広く知らしめるには,絶好の機会になったといえるだろう。
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最初に行われたのは,フリスタ!を使った3対3のチーム戦。本作は韓国で開発され,先にサービスインしているということが影響していたのか,韓国代表チームが終始日本をリード。圧倒的な強さで日本勢を引き離し,危なげなく勝利を飾った。
2戦めは,日本でも人気の高いウイニングイレブン2008での試合。日本の代表選手としては,前田氏,小林昌弘氏の両名が参加。ちなみに前田氏は,今年4月に行われた「ウイニングイレブンJAPAN-GP2006 全国決勝」を見事制した,“4代目WEマスター”その人。一試合めの雪辱を晴らす,日本側の勝利が期待されたが,結果としては,双方一勝ずつながらも得失点差で韓国チームの勝利。つまりは,ここで3種目中2種目が韓国側の勝利となり,日本代表チームの敗北が決定してしまった。残った最後の鉄拳による団体戦も,2-3で日本側は敗れてしまい,終わってみれば,韓国側のパーフェクト勝利。e-Sports大国の実力(?)を見せつけられた形となった。
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一通りの大会が終わった後には,プロ野球選手のジョニーこと黒木和宏選手と,元横綱の武蔵丸親方が登場。軽快なトークショウを展開したあと,「鉄拳5 ダーク・リザレクション オンライン」を使った両名のエキシビジョンマッチが行われた。双方ともに「あまりゲームはしたことがない」とのことだったが,黒木選手などは,逐一技の出し方を確認しながらプレイしているなど,スポーツ選手の負けん気が垣間見える一幕も。武蔵丸親方に至っては「ちょっとコントローラーが小さすぎるかも」と,元関取らしいコメントも見受けられた。
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ちなみに個人的に最も興味深かったのは,代表戦の途中に挿入された,StarCraftの二人のプロ選手によるデモンストレーションだろう。登場したのは,LEE YUN TOEL氏と,SEO JI SOOさんの二人。共に男女それぞれの部門の最多勝を記録した選手というから,バリバリのトッププロ選手だといえる。
今回はあくまでエキシビジョンマッチということで,両選手とも“大軍同士”による戦いを意識していたという話だったが,一進一退の激しい戦いは見応え満点。なかでも,中継カメラに映し出される両名の指捌きは“神業”の一言。筆者もRTSプレイヤーの端くれではあるが,あのレベルのマウス/キーボード捌きを実際に目にしたのは初めて。解説者いわく,プロ選手ともなると「毎分数百回の操作を行っている」とのことだが,その操作量たるや,常人の域を遙かに超えていると言わざるを得ない。なかなか適切なたとえが見当たらないのだが,プロのピアノ奏者のごとき指使いをプレイ中ずっと続けているといえば,その凄さが伝わるだろうか。いやはや,1000万円稼ぐのもなかなか大変そうだ。
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ともあれ,今回のこの日韓戦は,著名人二人を招いたイベントであることからも分かるとおり,かなりテレビを意識した内容だったのが印象的であった。大会用の競技種目として,Counter-Strikeや「Warcraft3」といったガチガチの-Sportsタイトルではなく,一般人にも分かりやすいスポーツゲームを採用している点も,そういった一般メディアへの配慮からなのだろう。
ただ個人的には,それを見て「ああ,やはり日本はe-Sports後進国なんだな」ということを改めて実感させられた次第。というのも,例えば世界でもっとも人気のあるCounter-StrikeやStarCraft,Warcraft3といったタイトルであっても,日本ではそれだけを見て,「え,何がスポーツなの?」と言われてしまうだろう。しかし,韓国や中国,あるいは北米などではどうだろうか。プロリーグのある韓国は言わずもがな,他の諸外国においても,一定の理解は示されるはずなのだ。
要するに何が言いたいのかというと,日本では,e-Sportsという言葉が競技性の高いゲームと結びつかない人の方が多いのが実情。多くの日本人にとっては,スポーツゲームで対戦しているのを見てはじめて,「ゲームとスポーツ」という二つの言葉が結びつくのではないだろうか? 筆者としては,そこが非常に口惜しいのである。
語弊を恐れずに言わせてもらうならば,e-Sportsとは,コンピュータゲームで既存のスポーツを真似ることではない。Counter-StrikeやStarCraftがなぜあそこまで人気なのか? それは「既存のすべての競技にはない魅力」が,それらにあるからではないだろうか。コンピュータゲームだからこそ成り立つ競技。筆者は,それがe-Sportsというものの一つの定義ではないかと思うのだ。
もちろん,日本はe-Sportsというムーブメントの入り口に差し掛かったばかり。性急な議論をするつもりはないが,コンピュータゲームならではの競技(タイトル)を,より多くの人がそのまま受け入れられる。日本も早くそういった世の中になればいいのに。と,そう考えさせられた次第であった。
ゲーム大国日本で,e-Sportsという文化が根付くのか否か。日本eスポーツ協会設立準備委員会および,関係者の今後の活躍に期待したい。
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