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Intelの中国ラボ,「IDF 2011 Beijing」開催前日に「研究開発中の最新技術」を公開
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印刷2011/04/12 15:49

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Intelの中国ラボ,「IDF 2011 Beijing」開催前日に「研究開発中の最新技術」を公開

画像集#002のサムネイル/Intelの中国ラボ,「IDF 2011 Beijing」開催前日に「研究開発中の最新技術」を公開
「IDF 2011 Beijing」会場の中国北京国家会議中心(China National Convention Center)
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「Intel Labs China」の取り組みについて説明する,方之煕博士(Dr. Jesse Fang,Managing Director, Intel Labs China)
 中国・北京市の中国北京国家会議中心(China National Convention Center)で,現地時間の2011年4月12日〜13日に開催される「Intel Developer Forum 2011 Beijing」(以下,IDF 2011 Beijing)。その“0日目”となる現地時間4月11日にIntelは,同社の中国ラボ「Intel Labs China」が研究・開発を進めている最新技術などを報道関係者向けに公開した。

 Intel Labs Chinaを統括する方之煕博士(Dr.Jesse Fang)は,「中国政府が打ち出した『十二・五』計画(※2011〜2015年までの第12次五か年計画)による新興産業の育成と発展には,コンピューティング環境の整備が急務となる」として,PC(Computer)とタブレットやスマートフォンといった通信端末(Communication),スマートテレビ(Consumer)が,2015年までにネットワークを介してシームレスに連係できるようになっていくと分析した。
 これらのネットワークの融合を実現する「Triple Play」――かつては3C融合とも呼ばれていたが――を推し進めるうえで,複数の個人デバイスでデータやサービスの共用を可能にするクラウド環境の進化が不可欠だと同氏は見ている。

2015年にインターネットを介したデータ流通量が爆発的に増大し,帯域幅を圧迫すると考えられている
画像集#005のサムネイル/Intelの中国ラボ,「IDF 2011 Beijing」開催前日に「研究開発中の最新技術」を公開
 その一方で,2009年にクラウドサービスが保持するデータ容量は,8EB(1Exabytes=1024Petabytes,約100万Terabyte)となっており,これが2015年には約8倍の60EBとなる見込みだ。また,それに伴って,データ通信量も,2009年時点の50TB/sから2015年には800TB/sまで爆発的に増大すると考えられている。要するに,快適なクラウド環境を実現するためには,単に通信バックボーンに帯域幅拡大を待つだけでは不十分になってきているというわけだ。

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利用頻度の高いコンテンツやサービスは,プライベート・クラウドにキャッシュされ,より快適に利用可能となる
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中国におけるクラウドコンピューティングの商機。PCだけでなく,携帯端末やTVなどの家電製品、組み込み製品などにも利用されるようになる
 そこでIntelは,企業や研究・教育機関,大規模な集合住宅に「プライベート・クラウド」(Private Clouds)を設け,頻繁に利用するデータや,高度なセキュリティを課す必要のあるデータをこのプライベート・クラウドに格納する計画を持っている。これにより,クラウドサービスへのデータアクセスを軽減し,快適なクラウド環境を実現しようというのである。

 デモを行った担当者は「大規模なマンションなどの集合住宅では,人気の高い映画やブロードバンド放送が配信されたとき,『その集合住宅単位で人気の高いコンテンツから順に,集合住宅側のプライベート・クラウドへキャッシュする』ことが可能になる。また,各個人に一定容量のプライベート・クラウドを割り当てることで,そこにオンラインゲームのマップ情報などを格納すれば,PCだけでなく,携帯端末やスマートテレビでもデータ共有が可能となり,快適なゲームプレイを実現することも不可能ではない」と説明する。
 急成長を続け,今も大規模施設の建設ラッシュが続く中国は,こうしたサービスを実験的に行うのに最適というわけだ。


ユーザーを自動で認識し,次の行動を予測

ジェスチャーによる新UIも


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Triple-Playにおける,ジェスチャー認識を組み合わせたユーザーインタフェースやコンテンツ配信技術の一例
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PCや携帯端末とテレビの融合例。ハンドヘルドデバイスとテレビを同期させ,TVスクリーンでアプリケーションやコンテンツを楽むことが可能だという
 Intelは,このTriple Playやパーソナル・クラウドといった技術を連係させるのに,個々人の思考に合わせたコンテンツ配信や,ジェスチャーなどによるユーザーインタフェースの確立が重要だとしている。

 たとえば,4Gamer読者がタブレットPCをリビングルームに持ってきた場合,過去のユーザー履歴から,大型テレビでゲームプレイを楽しむケースが多いと判断され,タブレットPCの画面を大型テレビにワイヤレスで自動的に接続したり,ゲームのセーブデータやマップデータを自動でPCからタブレットPCへとコピーするなどといった具合だ。

 こういった状況認識と動作予測を実現するためには,デバイス間をワイヤレスで接続するパーソナル無線WAN環境の整備と,どの場所でPCや携帯デバイスが利用されているかの特定が必要となる。また,テレビのように複数のユーザーが利用するデバイスの場合,「誰がテレビを操作しているか」を認識するセンサーがテレビ側に内蔵されなければならないだろう。

 もっとも,これら要素技術は,すべて実装可能な段階に入っているものばかりだ。タブレットPCやスマートフォン,テレビへの実装や,サービスあるいはソフトウェア環境の整備次第といったところだろう。市場規模が大きく,政府や地元企業の強力なサポートが得られる中国市場でこれらの技術を実験的に導入し,その成功モデルをそのほかの国にも持ち込みたいというIntelの意図が見え隠れする。

 実際Intel Labs Chinaは,中国最大手の検索サイト「百度」(Baidu)と協業し,「『Atom CE4100/1.20GHz』搭載のスマートテレビにセンサーを内蔵すると何ができるか」のデモを2つ見せていた。
 1つはCM配信のデモで,これは,視聴者の性別や年齢を内蔵センサーが認識し,より効果的なCMだけを配信するというもの。同デモの説明員によれば,この技術はインターネットやゲームコンテンツのペアレンタルコントロールにも応用できるとのことだ。
 もう1つはジェスチャー認識のデモで,こちらは,外付け3Dカメラを使って身振り手振りで操作を行うといったものだった。「テレビと一定の距離を保ちながらアプリケーションを操作できる」ことを目標に開発を進めているという。

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ジェスチャー認識を使ったユーザーインタフェースを実行している様子
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性別認識を利用した広告配信デモ。視聴者の男女比で放送する広告を変更するそうだ
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Intelが百度と開発を進めているスマートTVを使ったSNSサービス


DirectX 11に迫るジオメトリ処理が

第2世代Core iシリーズで可能に


ユーザーの表情をアバターに反映させるデモ。第2世代Core iシリーズならば,同技術を利用することが十分可能だという
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 ほかにも同会場では,ユーザーの表情をアバターに反映させる技術や,高精度なリアルタイム地形レンダリングを実現するグラフィックスがらみのデモが行われていた。これらは,「2011 International CES」や「CeBIT 2011」で披露されたものだ。
 同社説明員によれば,現行の第2世代Core iシリーズならばいずれの技術も実現可能とのことだ。とくにリアルタイムの地形レンダリングにおいては,ジオメトリ処理にCPU,陰影処理などにGPUを利用することで,DirectX 10.1対応の統合型グラフィックスでもDirectX 11対応GPUに迫るジオメトリ表現が可能になるとアピールしている。
 また,この技術を利用してジオメトリ処理を実装しておけば,「“仮に”将来,CPU統合型グラフィックスがDirectX 11対応を果たした場合,最適化し直すことが容易だ」(同説明員)として,次世代グラフィックスへの対応も視野に入れた技術であることを示唆した。


 なお,12日に開催されるIDF 2011 Beijingの本番では,米国時間2011年4月11日に正式発表された「Oak Trail」(オークトレイル)プラットフォームことAtom Z600シリーズ搭載のタブレットPCやNetbookが公開される予定だ。また,2011年後半に市場投入が計画されている「Sandy Bridge-E」の情報開示にも期待が高まるところである。
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