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印刷2026/07/31 18:11

プレイレポート

[プレイレポ]「Kusan: オオカミの街」は血しぶき舞うバイオレンス系アクション。食うか食われるか,ギリギリの戦いが集中と没入を生み出す

 PQubeは2026年7月30日,「Kusan: オオカミの街」PS5 / XBOX Series X|S / Switch / PC)をリリースした。

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 Steamストアページなどには「シューティングゲーム」と記載されているが,実際はアクションゲームとしての色が濃い。真上視点かつ近接主体のアクションや,攻撃を受けるとゲームオーバーになるルールなどからは,「Hotline Miami」(ホットライン・マイアミ)の強い影響を感じる。


 舞台となるクサンは,欲と退廃とサイバネティクス技術にあふれたネオンの街だ。ステージも,妖しげなバーやディスコ,スラム街,マフィアのねぐらなど,危険な場所ばかり。
 そこらに手足を外されたサイボーグが転がっているのは当たり前で,ドラッグの点滴を受けて恍惚としている者がいたり,周囲で戦いが繰り広げられているのにギャンブルをやめない男がいたりするなど,実に混沌としている。

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 そんな街で傭兵をしているのが,主人公のジンだ。軍人時代に大切な人であるウォニを失った彼は,忌まわしい記憶のフラッシュバックに苦しみつつ,街のフィクサー(問題解決屋)として戦い続けている。
 ある日ジンは政府のエージェントであるアインから依頼され,ウォニの面影を持つ謎の少女・ハルを巡る事件に関わることになる。ハルは超能力の実験体であり,「国家的戦略兵器」と呼ばれる存在だ。

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 暴走すればクサンが丸ごと吹き飛び,数百万人規模の被害が出るという。ハルは強大な力ゆえに,武装集団「ダイヤモンド・ウルブズ」と国に狙われる。ダイヤモンド・ウルブズのリーダーは,ジンの元上官であるホバン大佐だ。
 国に裏切られた彼は,戦争で散っていった部下たちのため,ハルの力で復讐しようとしている。そして国は非道な実験でハルを生み出しておきながら,制御困難ということで消しにかかっている。果たしてジンはダイヤモンド・ウルブズと国を敵に回し,ハルを守り抜けるのだろうか。

主人公のジンは,戦争で大切なウォニを失い,今もフラッシュバックに苦しんでいる。そのためか,まるで自分の命を顧みない戦い方をする
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ハルは政府の実験で強大な超能力を持っており,常に暴走の危険がある。なぜかウォニと似ているため,ジンはハルを守ろうとする
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政府のエージェントであるアインは,ジンにハルの確保を依頼する。しかし,政府は突如として方針を変更し,アインにハルの抹殺指令を下す
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ホバン大佐(画像中央)はジンの元上官である。戦争で多くの部下を失い,国に復讐するためにハルの力を求める
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 ジンの戦いぶりは血しぶきが飛び散るバイオレンスなものだ。鋼鉄の義手「ウォーハンド」と投げナイフ「クォンタム・ナイフ」をメイン武器に,ピストルやショットガン,クロスボウまで使って,手向かう者は躊躇なく殺害する。
 その激しい戦いぶりは,彼の過去も相まって,街に死に場所を求めているようにも見える。しかし,ジンは暴走する殺人鬼ではなく,非武装の者がいても手を出さない仁義も併せ持っているのだ。皆が欲望のままに振る舞う獣の街で,己のスタイルを貫く様が格好良い。

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 しかし,敵は手段を選ばない狂暴な連中で,背後からの不意打ちあり,壁の向こうでの待ち伏せあり,数を頼んでの包囲攻撃ありと,ジンを倒すためなら何でもやってくる。ジンは一発でも攻撃を受けようものなら,即座にゲームオーバーとなってしまう。
 加えて,彼の戦闘スタイルは近接戦メインだ。ウォーハンドは威力こそ強力だが,つまるところパンチなので射程は短い。ピストルをはじめとした飛び道具も存在するが,いずれか一丁しか装備できないうえに弾数制限が厳しく,補充するにはステージ内の障害物を壊してマガジンを探す必要がある。必然的に近接戦闘を主体に戦う必要があるのだ。
 一発でも食らえばアウトであるにもかかわらず,相手との間合いを詰めて戦う……そこには死と隣り合わせのスリルがある。文字にするとよくある定型句になってしまうが,実際に体験してみるとかなり恐ろしいものがある。

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 こうした恐怖を増す仕掛けが,心憎いほどに練り込まれた敵の配置だ。思ってもみなかった方向からヌッと敵が出てきて驚かされたり,種類もさまざまな敵が殺到したり,なんてことは日常茶飯事である。
 いきなり走ってくる車にひかれるわ,トラップで動けなくされたところに敵が突進攻撃してくるわ,弱い雑魚ばかりが出てきて油断したところに強い“本命”が現れてトドメを刺されるわ……と,作り手の手のひらの上で翻弄される。
 おまけにゲームのスピードは速い。ジンは近接戦メイン,食らえば一発アウト,さまざまな敵が素早く迫ってくる,といった要素が組み合わされることで頭が真っ白になってしまうのである。

 トライ&エラーを繰り返し,一筋の希望を必死で手繰り寄せるのがポイントだ。倒されるのが一瞬なら,リトライも待ち時間ゼロなため,ゲームのテンポは非常に良い。同じ場所でやられて,戦って,やられて,戦って……を繰り返していると,まるでビデオテープの再生と巻き戻しをループしているようにも感じられる。

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 とはいえ,本作は理不尽なゲームではない。必要なのは,敵の配置を把握してのルート構築と動きのパターン化だ。反射神経が大事なアクションゲームとはいえ,アドリブだけに頼っていたのではなかなか先に進めず,敵の配置も分からないままである。
 配置が分からないと,どうすればいいのかも見えてこないが,配置を知るにはステージの奥へ侵攻しなければならず,長く戦えるほど得られる情報も増える。ミス=ゲームオーバーとなる本作で長く戦うなら,プレイを安定させることが重要だ。
 できるだけリスクが小さく,難しい操作を要しないパターンを作ることで,勝率を上げていかなければならない。このルート作りが面白いのだ。

 こうした側面が強調されるのが,部屋の中へ突入するシチュエーションである。システムを理解していないうちは,策もなしに猪突猛進して運を天に任せる……となりがちだ。しかし,実は突入する前の判断でほぼ勝敗を決められるのである。

 部屋の中にはナイフを持つ者,銃を持つ者,敵味方の動きを止めるトラップを置く戦闘ロボットなど,さまざまな敵がうごめいている。キーになるのが“ドアにウォーハンドの溜め打ち(チャージパンチ)を当てれば,ドアを吹き飛ばして遠くの敵にぶつけ,一発で仕留められる”というフィーチャーだ。

 大抵の場合,近くに脅威度の低い敵が配されており,ついついドアを使ってしまいそうになるが,これは罠である。突入する前に部屋の中をじっくり観察し,どんな敵がいるかを把握し,最も脅威となる者を選んでドアをぶつけるのが重要だ。最適解を見極めてタイミングを計るという流れは,突入を控える特殊部隊のようで緊張感がある。
 チャージパンチは食らった敵を吹っ飛ばしてほかの敵にぶつけてコンボにすることもでき,乱戦の中で決められれば爽快の一語に尽きる。

ドアの向こうの目立つ位置に緑色の敵がいる。ついついチャージパンチでドアをぶつけたくなるが,本命は画面左隅に潜む,銃を持った敵だ
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 このように,本作にはパターン化とアドリブという2つの面白さが詰まっている。中でも「パリィ」は,パターン化とアドリブを求められる要素で,敵の攻撃にタイミング良くパンチを当てれば,ナイフや銃弾を無効化できるというものだ。タイミングはシビアだが,敵の攻撃に「置いておく」感じでパンチを出すのがポイントだ。

「パリィ」は銃弾も跳ね返せるが,タイミングはシビア
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 より勝率を上げるためには,ジンの能力をアップさせるのが重要だ。そのためには,さまざまな形をした強化チップをテトリスのように組み合わせてインベントリに詰め込む必要がある。
 こうしたインベントリパズルは近年のインディーゲームにおける流行の一つだが,生死に直結するだけに重要度は高い。移動速度アップ,クォンタム・ナイフの自動回収,ピストルの連射速度アップ,背面攻撃で敵を倒すと自動でパンチがチャージされる,パリィした銃弾を射手にはね返せるなど,いずれも便利なものがそろっている。
 すべての強化チップを装備したくなるが,インベントリの面積は限られているし,強力なものほどサイズが大きい。インベントリを拡張したり,チップ自体のサイズを小さくしたりするには「コア」というリソースが必要だが,入手するにはステージ内に隠された生体コンピュータ「リンバス」を探し出してパズルを解く必要がある。

強化チップはテトリスのブロックのような形をしている。回転させて組み合わせ,隙間なく詰め込んでいく
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「最適化」の概念図。強化チップを小さくすることができるが,貴重な「コア」が必要。コアはインベントリの拡張にも使うため,どちらにするかが悩ましい
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探索用の強化チップを装着していれば,ステージ内に足跡が見える。足跡の先にはコアを出す「リンバス」が隠されている
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リンバスの中には超能力者が捕らえられていて,CPUとして使われている。解放するとコアをくれるが,それは超能力者を殺すことでもある。しかし,超能力者は感謝の言葉とともに鮮血をまき散らして昇天する
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 ステージによっては強大なボスが待ち受けていることがある。近接戦から飛び道具,雑魚の召喚までさまざまな能力を持っており,初見で勝てるような相手ではない。そして,耐久力も高いため,弾倉が空になるまで飛び道具を撃ってもビクともしない。勝つためにはやはり学習が重要で,新しい攻撃パターンが出てくるたびに心拍数が跳ね上がるのである。

ボス「DJガラク」はホバン大佐に狂信的な忠誠を捧げ,ジンを殺そうとする
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DJガラクは雑魚を召喚することができ,戦いが長引くと床は死体と鮮血まみれになる
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 スリリングなルールと血しぶきが飛ぶ過激な表現,そしてコミック風のカットシーンなど,本作は実にスタイリッシュなゲームといえる。
 死に場所を求めるかの如く戦い続けるジン,非道な実験の被害者であるハルを守りたい良心と,政府から下された抹殺命令の狭間で悩むアインといったキャラクターたちも魅力的で,彼らの運命が気にかかる。
 「Hotline Miami」の影響を強く感じるが,インベントリや銃器の扱い,ハードボイルドな物語,サイバーパンクな世界設定といった部分にオリジナリティがあり,スリリングなプレイとともに印象に残る体験ができるだろう。

敵だけでなく,マップに置かれた家具もパンチで壊せる。壊せば銃のマガジンや,強化チップ購入用のリソース「ボルト」が手に入ることもあり,クリアするころにはマップは血しぶきまみれの更地と化す
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政府のいいなりになっていたアインだが,ハルの抹殺を命ぜられたことから,政府に逆らって彼女を守るために戦うことに。バトルでは敵をマヒさせる特殊な銃でジンを援護してくれる。カジノでの戦いでは,機械を壊すと無数のお札が宙に舞い,まるで映画のようだ
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