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「初音ミク」や「Perfume」はなぜブレイクしたのか。UCCやCGMについて語られた「OGCシンポジウム」
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印刷2008/07/23 19:23

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「初音ミク」や「Perfume」はなぜブレイクしたのか。UCCやCGMについて語られた「OGCシンポジウム」

 7月22日,東京都は文京区にある東京大学にて,UCC(User Created Contents)やCGM(Consumer Generated Media)を議題にした講演会「OGCシンポジウム」が開催された。
 今回行われたOGCシンポジウムとは,今年3月に行われたOnline Game & Community Service conference 2008(以下,OGC 2008)に関連したもの。元々はオンラインゲーム中心のカンファレンスだったOGC(Online Game Conference)だが,今年からは話題をネットサービス全般へ拡張。ニコニコ動画などについての熱い議論が交わされたのは記憶に新しいところ。
 今回も,「初音ミク」を世に送り出したクリプトン・フューチャー・メディアの佐々木 渉氏や,ウゴウゴルーガなどのTV番組制作で知られる福原伸治氏など,ゲーム業界外の人物が招かれ,UCCあるいはCGMの現状と可能性について議論が行われた。

 最初に登壇したのは,クリプトン・フューチャー・メディアの佐々木渉氏である。佐々木氏は,あの初音ミクの制作を担当した人物。初音ミクの現状報告や発売までの経緯,そして将来の展開などについて語ってくれた。
 佐々木氏が言うには,初音ミクの現在までの販売本数は約4万本(「鏡音リン・レン」は約2万本)。曰く「これは,従来の弊社の製品の10倍以上の売り上げになります」とのことで,「無機質な音声ソフトというものではなく,キャラクター性を付けることで,ユーザーさんにより分かりやすく訴求できた点がよかったのではないか」と,その人気の秘訣を語る。初音ミクといえば,ニコニコ動画などの動画投稿サイトを中心に人気がブレイク。“可愛らしキャラクターが歌を歌う“というコンセプトが受け,音楽制作ソフトという枠を超えて,多くの熱心なファンを生み出したソフトウェアである。通常の音声ソフトは「せいぜい300〜600本くらい」というから,初音ミクの4万本という数値が,いかにもの凄いものか分かるというものだろう。
 初音ミクは,一時期の熱狂的なブームこそ終わりはしたが,今でも週数百本という単位で売れ続けており,依然として高い人気を維持しているという。佐々木氏は,「新しいユーザーにも,1年前と同じぐらいの可能性を感じてもらえるようにしたい」としながら,「初音ミクを,音楽制作ソフトの進化の一つの象徴のようにしたい」と,今後の抱負を語った。

佐々木氏曰く,実際に音楽制作をしているアクティブなユーザーは1万〜1万5000人ほどではないか?とのことだ
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初音ミクなどVOCALOID関連の素材を投稿できる「ピアプロ」は,クリプトン・フューチャー・メディアが2007年12月に開始したサービス。現在では,会員10万人を突破しているという
 佐々木氏の話でもとくに面白かったのは,初音ミクが“キャラクター性”を押し出して成功したモデルでありながらも,「あまり固まったイメージで固定させたくない。初音ミクを使って作られたコンテンツ(歌)は数万にも上るが,それは要するに,その数だけ『ユーザーが初音ミクに抱くイメージ像』があるということだと思う」と,いわゆる“空白”の要素について言及していた点だろう。
 氏が言うには,初音ミクの公式設定は,名前と身長,体重などベースとなる部分のみ。それ以外の具体的なイメージを,あえて公式に用意していないのだという。

 「キャラクターのイメージが固定されていないからこそ,ユーザーさん一人一人が“理想の初音ミク”を描くことができるのではないか」 ―― 佐々木氏が主張するには,初音ミクのような盛り上がり(無数のUCCが生まれる)は,人間アイドルなどでは難しい現象なのではないかという話であった。
 人間のアイドル(とくに最近の)だと,多かれ少なかれ生活感が見えたり,キャラクター性が固まってしまっていたりして,広がりに“制限”がかかってしまうというのだ。その点,純粋な“偶像”である初音ミクには,そういった制限がない。だからこそ,ユーザーが“自分の理想を初音ミクに投影”して,恋だとか情景だとかを詩にしたコンテンツ(歌)を作れるのではないか? それが,初音ミクのコンテンツが今なお作られ続ける理由,そして数万におよぶコンテンツが作られながらも,初音ミクというキャラクターが破綻しない理由というわけだ。
佐々木氏の初音ミクに対する分析は,なかなかに興味深いものがある(まぁ,自社製品なのだから当たり前かもしれないが)。

 考えてみれば,一つのキャラクターで数万というコンテンツが作られるという現象は,確かにこれまでの歴史では類を見ないもののような気がする。アニメや映画などでは,キャラクターの上位概念である「世界観」を,その商品の“広がり”の基盤にする手法は存在していた。スター・ウォーズやスタートレック,あるいはガンダムなどは,その典型だろうか。しかし,キャラクターそのもので,しかもエンドユーザーによる“広がり”を実現した例というのはあまり見たことがない。ファンシーグッズなどにしても,世界観をコントロールしているのは版権元である。
 佐々木氏は,キャラクター性が製品のイメージを伝える役割を果たしたことを認識しながらも,「80年代のアイドルが持っていた“きれいな偶像性”みたいなニーズが,デジタルアイドルの初音ミクによって掘り起こされたのではないか?」と指摘する。「アイドルはうんこしない」という,よくある言い回しの視点で初音ミクを語れば,確かにこれほど“完璧なアイドル”は存在しないだろう。

 そんなように,いろいろと示唆に富んだ佐々木氏の話であったが,最後は「今から入ってくる人にも,ミクを1年前から始めた人と同じぐらいの可能性を残しておきたいと考えています。公式で『こういうもの』という決めつけはせず,初音ミクが今もっているカオティックな可能性を大事にしたい。枝葉を切るような方向ではなく,できるだけ“散らしていく”方向で伸ばしていければと思います」とコメント,講演を締めくくった。

「初音ミク」や「Perfume」はなぜブレイクしたのか。UCCやCGMについて語られた「OGCシンポジウム」 「初音ミク」や「Perfume」はなぜブレイクしたのか。UCCやCGMについて語られた「OGCシンポジウム」
「初音ミク」や「Perfume」はなぜブレイクしたのか。UCCやCGMについて語られた「OGCシンポジウム」 「初音ミク」や「Perfume」はなぜブレイクしたのか。UCCやCGMについて語られた「OGCシンポジウム」


 佐々木氏の講演の後は,さまざまな業界からパネリストを招いたパネルディスカッションが開かれた。ディスカッションに参加したのは,司会者の新 清士氏をはじめ,ギズモード・ジャパンの編集長として知られる いちる氏,ウゴウゴルーガなどのTV番組制作者として有名な福原伸治氏,e-Sportsの普及に向けて積極的な活動を行う犬飼博士氏の4人に,先ほど講演した佐々木氏を加えた計5人だ。

 さて,パネリストの中でもとくに興味深い話を切り出していたのが,テレビ作家の福原伸治氏である。福原氏は,Webコミュニティから人気に火が付いたと言われるアイドルユニット「Perfume」について,「何度か関係者とお話をする機会があったが,彼らが積極的に“Webで展開していく”というようなアクションはなかったと思う。それこそ,関係者も知らないうちにYouTubeなどでばっと広まったという印象」とコメント。「著作権うんぬんを言うどころか,関係者がYouTubeの存在も知らない間に広まってしまっていた(著作権違反は「親告罪」なので,権利者が違反行為を知っていないと始まらないのだ)」と語りながら,テレビ業界界隈におけるWebに対する温度感を語っていた。
 福原氏は,「ニコニコ動画やYouTubeがマスメディアか否かという話は,何をもってマスメディアとするのかなどいろいろと難しいところもあるのですが,例えば,私が務めている部署で『YouTube』って知ってる?と聞いてみると,スタッフの半分も知らないんですよね。一般社会全体という視点で見れば,まだまだそういうものなのでは」と,動画サイトの影響力について一定の疑問を提起。しかし,「私には持論があって,コンテンツを作る側と享受する側の割合というのは,大昔から1:9という比率で成り立っていて,それがずっと変わらずに来ている。これまでの歴史では,どんなツールが現れてもこの法則が変わることはなかったのだけれど,Blogなどネット上のCGMには,それを変える可能性があると思う」と,ネットの持つ可能性についても指摘していたのが,筆者としては印象的であった。

 福原氏はさらに,「動画投稿サイトなどでは,凄いクリエイターがどんどん現れているみたいな話があるけど,個人的には,才能のある人の数というのが,昔と比べて増えているとは思わない」と語り,続いて「今のUCCっていうのは,言ってみれば人民軍だとかゲリラ軍だとか,そういうちょっとイレギュラーなものだけれど,それが正規軍として組み込まれたとき,作り手が今のモチベーションを維持できるのかどうかが重要だと思う」とコメント。「UCCが儲かるとなれば,きっとお金(資本)がボンボンボンと落ちてくると思うんだけど,そうなったときに,既存のテレビコンテンツと同じようなものが生まれるだけなのか,それとも,もっと違う“新しいなにか”になるのか。UCCの可能性というのは,そういうところに掛かっているのではないか」と,自身の見解を語っていた。

 そんなCGMやUCC,あるいは,コンテンツを作る“才能”について議論を交わしつつ,パネルディスカッションは終了。簡単な質疑応答が行われたのち,OGCシンポジウムは締めくくられた。今回は単発の講演のみという,OGCにしてはやや珍しいイベントではあったが,佐々木氏の初音ミク談話に,福原氏が語るテレビ業界や著作権にまつわる話など,なかなかに興味深い話が聞けたイベントであった。関係者曰く,今年10月にまた新たなイベントを予定しているという。そちらでも面白い話が聞けることを期待したい。



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