本セッションでは,3Dアクションゲーム開発における花形ともいえるプレイヤーキャラクターやエネミーの設計について,「NINJA GAIDEN 4」(以下,NG4)の開発事例を交えながら解説。ゲーム開発ビギナーが陥りやすい失敗例や,それを避けるための考え方,実践的な設計手法が紹介された。
![]() |
登壇したのは,プラチナゲームズでリードゲームデザイナー/コンバットディレクターを務めた石川卓磨氏と,クリエイティブオフィサー/プロデューサーなどを務めた中尾裕治氏。精神論や抽象的な開発論ではなく,技の設計やエネミーとの駆け引き,パラメータ調整といった実務レベルのノウハウが惜しみなく語られた。本稿では,ほかのアクションゲーム開発にも応用できそうな知見を中心に,セッションの模様をレポートする。
![]() |
![]() |
「実装して試す」はあえて行わない。事前の念入りなシミュレーションが作り直しの作業量を抑える
まずマイクを握ったのは中尾氏だ。Xbox Game Studios,コーエーテクモゲームスのTeam NINJA,そしてプラチナゲームズによるトリプルコラボで実現した本作の概要を紹介したあと,プレイヤーアクションをどのようなプロセスで設計していくのかを解説した。
![]() |
プラチナゲームズでは,アクションゲームを開発する際,まずコンセプトを定め,仮アクションの制作や仕様の検討を行う。その後,本モーションの制作や各種パラメータの調整を経て,ゲームプレイをブラッシュアップしていくという。
このうち最初に定めるコンセプトは,「ゲーム全体のコンセプト」と「プレイヤーアクションのコンセプト(個別コンセプト)」の2種類に分かれる。NG4ではゲーム全体のコンセプトを「逆境」「残虐」「変化」,プレイヤーアクションのコンセプトを「繊細」「大胆」と設定。以降のアクション設計は,これらのキーワードを軸に進められた。
![]() |
コンセプトを考えるうえでとくに重要なのは,「体験を書く」ことだという。爽快感や快感といった抽象的な「感覚」をコンセプトに据えるのではなく,プレイヤーにどのような体験を提供したいのかを具体的に言語化することが重要だと語った。
その理由は,あとから追加・調整する仕様が,当初のコンセプトから逸脱していないかを判断しやすくするためだ。
具体例として挙げられたのが,「残虐」というコンセプトだ。例えば「首を絞めるアクション」と「首を切り落とすアクション」という2つの案があった場合,後者のほうがより残虐かつ派手な印象を与えるため,コンセプトに沿った表現として採用しやすいという。
ゲームには数多くのアクションや演出を盛り込むことになるが,判断基準を「なんとなく爽快だから」といった感覚に委ねてしまうと,採用・不採用の基準が曖昧になってしまう。コンセプトを具体的な体験として定義しておくことで,開発チーム全体で一貫した判断を下しやすくなるというわけだ。
![]() |
続いて,中尾氏はプレイヤーシステムの設計について解説した。ここで何度も強調していたのが,「まず実装して試してみる」という進め方は避けるべきだという点だ。
中尾氏は,「入れてみないと分からない仕様」は,本来ほとんど存在しないと説明する。もし実装して初めて問題点が見えてくるのであれば,それは実装前の仕様整理やシミュレーションが不十分だった可能性が高いという考えだ。
そのため,同社では実装前のシミュレーションを徹底して行い,仕様変更による手戻りを最小限に抑えているとのこと。具体的には,「システムの書き出し」「それらの関連性をまとめる」「実際のアクションサイクルをまとめる」という手順で設計を進めていくという。
![]() |
■システムの書き出し
想定されるシステムをとにかく表などにして書き出す。
中尾氏は,アクションゲームのシステムは大きく3つに分類できると説明する。1つ目は,強弱攻撃やジャンプ,ガードなど,ゲームの根幹となる「基本要素」。2つ目は,つかみ技や条件付きで発動する技など,なくてもゲームは成立するものの,使いこなすことでプレイの幅が広がる「応用要素」。そして3つ目は,スキルツリーの技やジャスト回避のように,ゲームの進行に合わせて開放される「発展要素」だ。
まずは,これらを漏れなく洗い出し,分類・整理することが重要だという。
■関連性をまとめる
システムを書き出したあとは,それぞれの関連性を整理していく。
例えば,「回避」と「ガード」,あるいは「回避」と「ジャンプ」といった要素が,それぞれどのような役割を担うのかをあらかじめ定義することで,機能の重複を防げるという。
場合によっては,「回避があるならガードは不要ではないか」といった判断も可能になる一方で,「ジャンプだけでは役割が足りないので二段ジャンプを追加する」「回避が強力すぎるためスタミナ消費を設ける」といった,新たな仕様の必要性が見えてくることもあるそうだ。
つまり,システム同士の関連性を整理することで,各要素の役割が明確になり,無駄や不足を実装前の段階で洗い出せるというわけだ。
この説明を聞いていると,「回避が強力すぎてガードをほとんど使わなかった」というアクションゲームに覚えのある人も少なくないだろう。ゲームを遊ぶだけでは気付きにくい部分だが,そうした役割の重複を設計段階で検証しているという話は,非常に興味深かった。
![]() |
■アクションサイクルをまとめる
3段階目は,アクションをサイクルとしてまとめていく作業だ。
まずは基本要素だけでゲームプレイが成立するかを確認し,そのうえで応用要素を追加した際に基本要素の流れを阻害していないかを検証する。さらに発展要素を加えたとき,必要なものと不要なものを見極めながら,全体のバランスを調整していくという。
ここで重要なのは,この段階ではまだ実装作業には入っていないことだ。あくまで設計段階でシミュレーションを重ねるため,仕様はいくらでも修正できる。中尾氏が繰り返し強調していた「まず実装して試すのはなし」という考え方は,こうした設計プロセスを徹底することで,手戻りを最小限に抑える狙いがあるというわけだ。
NG4では,こうした設計をもとに,通常状態の「鴉(カラス)の型」と,リソースを消費して強化状態へ移行する「鵺(ヌエ)の型」という2つのモードが用意されている。
セッションでは,基本・応用・発展要素に加え,それぞれの型を組み合わせたマトリックスが示された。右下へ進むほど操作難度は高くなる一方,プレイヤーが得られる爽快感やリターンも大きくなる設計になっており,中尾氏は「リスクとリターンを意識したアクション設計」を行っていると説明していた。
![]() |
中尾氏は,「ここまでやれば頭のなかでゲームをプレイできるはず」とこのパートを締めくくった。アクション設計においては,実装に入る前に徹底したシミュレーションを重ね,ゲームプレイを組み立てていくことこそが,プラチナゲームズの開発手法の肝なのだろう。
実際に攻撃を作り,システムの調整場面へ。うまくいかないときは仕様を作り直すより,オミット(最適化)を目指す
続いて話題は,実際のアクション要素の設計と,その調整方法へと移った。
プラチナゲームズでは,技の構成や種類を決めるのはゲームデザイナーの役割であり,モーションや演出の制作はアニメーター(モーションアーティスト)が担当するという。
![]() |
ここでも重要なのは,プレイヤーシステムの設計と同様,「作りながら考える」のではなく,技の構成を事前にすべて書き出し,設計を固めておくことだ。こうして全体像を整理しておくことで,あとからの仕様変更によって使われない「死に技」が大量に生まれるような事態を防ぎやすくなるという。
また,技を設計する際は,モーションではなく「性能」から考えることも重要だと中尾氏は説明する。ゲームデザイナーが決めるべきなのは,「ゲーム内でどのような役割を持ち,どのような性能を発揮する技なのか」という点であり,細かな動きまで指定しすぎないほうがよいという。
その理由は,モーション制作の専門家はアニメーターだからだ。ゲームデザイナーが演出や動きまで細かく指定するよりも,ゲームプレイ上の役割だけを共有し,具体的な表現はアニメーターに委ねたほうが,結果としてよりクオリティの高いモーションに仕上がる可能性が高いと語った。
実際にセッションで公開された技一覧では,空中コマンド技の説明は「垂直落下攻撃」とだけ記されており,武器の構え方や落下モーションなどの詳細は記載されていなかった。ゲームデザイナーが定義するのは「垂直に落下して攻撃する」というゲーム体験までであり,それをどのような動きとして表現するかは,アニメーターの腕の見せどころというわけだ。
![]() |
もちろん,プレイヤーアクションは多ければ多いほどよいわけではない。しかし,役割が明確なアクションを数多く用意できれば,ゲーム全体の価値を高めることにもつながる。そのため,できるだけ早い段階でクオリティの高いモーションを完成させ,仕様変更による手戻りを最小限に抑えることを目的に,こうした開発フローを採用しているという。
とはいえ,攻撃アクションが完成しても,実際に動かしてみると思い描いた出来にならないことは少なくない。そこで重要になるのが,システム全体をブラッシュアップするための調整工程だ。
中尾氏は,この調整で重要なポイントとして,「問題を明確にする」「変更箇所を絞って考える」「仕様の作り直しはしない」の3つを挙げた。
![]() |
まず「問題を明確にする」について。アクションを遊んで「何となく物足りない」「イマイチだ」と感じたとしても,原因を分析しないまま手当たり次第に調整を始めてしまうと,本質的な問題を解決できない可能性がある。そのため,実際に修正へ着手する前に,「なぜそう感じるのか」を徹底的に掘り下げる必要があるという。
「変更箇所を絞って考える」については,これは単に作業量を減らすためではない。事前のシミュレーションが十分に行われていれば,設計そのものを大きく見直す必要はなく,問題のある部分だけを調整すれば済むはずだという考え方に基づいている。
中尾氏は経験上,「何か物足りない」「面白くない」と感じる原因は,アクションそのものではなく,発動条件や制約といった仕様にあるケースが多いと説明する。そのため,大胆に作り直すのではなく,問題のある箇所を見極めてピンポイントで手を入れることが重要だと語った。
例えば必殺技であれば,技そのものを変更するのではなく,発動条件や必要リソースを見直すだけで,プレイフィールが大きく改善するケースも少なくないそうだ。
こうした調整であれば,アクションそのものや前述したアクションサイクルを崩すことなく,仕様変更の範囲も最小限に抑えられる。事前のシミュレーションを徹底し,問題点だけを的確に修正するという,中尾氏の開発思想がよく表れた考え方といえそうだ。
最後のポイントとなる「仕様の作り直しはしない」も,「変更箇所を絞って考える」という考え方につながるものだ。仕様そのものを大きく変更すると,これまで積み上げてきたアクションサイクルまで見直す必要が生じ,結果として大幅な手戻りを招きかねないという。
もっとも,中尾氏は「何も変えない」という意味ではないとも強調していた。むしろ,システムの“オミット(最適化・スリム化)”は積極的に行うべきであり,それによってゲーム全体はより洗練されたものになるという。
時間をかけて作り上げたシステムであっても,見直した結果,「過剰だ」「プレイヤー体験に貢献していない」と判断したのであれば,思い切って削る決断も必要だという。不要な要素を残すのではなく,本当に面白さへ寄与するものだけを残す――それもまた,3Dアクションゲームを磨き上げるうえで欠かせない考え方なのだそうだ。
![]() |
実例として紹介されたのが,NG4の「血殺」だ。一定の条件を満たすことで敵を一撃で倒せる必殺技であり,中尾氏によれば,本作において戦闘のカタルシスを生み出す最も重要な要素のひとつとして位置付けられていたという。
しかし,実際に実装してみると,狙っていたほどのカタルシスが得られず,期待どおりには機能しなかった。そこで手を加えたのは技そのものではなく,発動条件だった。条件を何度も見直し,より発動のハードルを高めることで,技が決まった際の達成感を引き上げる調整を行ったと振り返った。
中尾氏は,この事例についても「体験そのものは変えず,仕様を調整しただけ」と説明しており,前述した開発思想を象徴するエピソードといえるだろう。
全体のまとめとして中尾氏は,「先に決める」と「なるべく変えない」という2つのキーワードを改めて強調した。仕様自体を頻繁に調節するより,先にしっかりとシミュレーションを行って土台を決めておき,変更点を抑えつつより要素を磨く時間を確保すべき……として,マイクを置いた。
見た目よりもまずは「体験」を。各種のエネミーとステージの作り方
続いてセッションを引き継いだのは,コンバットディレクターも務めた石川氏だ。主題は「エネミーとステージの作り方」に話が移っていた。
エネミー制作の基本的な流れは,プレイヤーアクションと共通している。まずコンセプトを定め,仮モーションの制作と仕様の調整を行い,その後,本モーションの制作やパラメータ設定へと進むという。
最初に決めるエネミー全体のコンセプトは,「ほかのどれでもない,『NINJA GAIDEN』のエネミーであること」という,非常にシンプルながら明確なものだった。
具体的には,ザコ敵もボスもハイスピードで絶え間なく攻撃を仕掛け,画面外からの攻撃も辞さない,最後まで油断できない強敵として設計されているという。シリーズの魅力である緊張感あふれる戦闘を維持しつつ,本作で追加された新アクションを存分に生かせることを目指したそうだ。
もっとも,すべてのエネミーが同じ役割を担うわけではない。種族ごとに個別のコンセプトも設けられており,例えば「龍神党兵」はゲームの基礎を学ばせる役割を担い,「妖魔」はプレイヤーを苦戦させることでゲームプレイの山場を演出するなど,ステージごとに異なる体験を生み出すよう設計されているという。
ここで重要なのは,開発の主役はあくまでエネミーではなく「プレイヤー」だという考え方だ。エネミーは単体で魅力を持つ存在ではなく,「プレイヤーにどのような戦闘体験を提供するのか」という目的のために設計される。プレイヤーを主軸に据えてエネミーをデザインすることが,NG4の戦闘を支える根幹の思想になっているという。
![]() |
例えば,「空を飛んで攻撃してくるザコ敵」という発想からエネミーを作ってしまうと,プレイヤー側に十分な対空手段が用意されていない場合,敵が降りてくるのを待つしかない状況が生まれてしまう。エネミー単体としては特徴的でも,プレイヤーにとっては理不尽な体験になりかねないというわけだ。
石川氏によれば,これはエネミー制作の初心者が陥りやすい典型的な失敗例だという。アクションゲームを遊び慣れた人なら,同じような敵に苦戦した経験がある人も少なくないだろう。
では,どう考えればよいのか。その答えは,あくまでプレイヤー体験を起点に設計することだ。
例えば,プレイヤーが壁登りを習得した直後であれば,「壁登りから攻撃して倒す敵」を用意する。つまり,コンセプトは「空を飛ぶ敵」ではなく,「地形を利用したアクションを使わせる敵」となる。その結果として,壁から飛びつき攻撃を成立させるために,敵を空中へ配置するという発想になるという。
![]() |
エネミーがどういった攻撃を行ってくるかの設計も重要で,こちらも「敵に○○のような動きの攻撃をさせたい」ではなく「プレイヤーに対してどういった役割の攻撃を行うか」が決定の肝になる。
攻撃は,大きく近距離攻撃,遠距離攻撃,範囲攻撃などに分類できる。例えば,プレイヤーにゲームの基本を学んでもらうことが目的であれば,近距離攻撃を主体としたシンプルなエネミーを配置する。一方,「真っ先に倒したい敵」を演出したいのであれば,後方から強力な遠距離攻撃で支援するザコ敵を配置することで,自然と優先順位を考えさせる戦闘が生まれるという。
この考え方はボス戦にも共通している。ダメージを受けることで行動パターンが変化するボスであれば,第2フェーズでは第1フェーズの攻撃を強化・発展させる構成にすることで,プレイヤーはこれまで学んだ立ち回りを応用でき,自身の成長も実感しやすくなる。
その一方で,第2フェーズをまったく異なる行動パターンに切り替える設計もある。この場合は難度こそ上がるものの,プレイヤーに新鮮な驚きや新しい攻略体験を提供できるため,ボス戦の印象をより強く残すことができるという。
![]() |
石川氏は,エネミーの攻撃を設計する際は,事前に定めた「プレイヤーに対する役割」をきちんと果たしているか,そして「エネミーごとのコンセプト」を実現できているかを重視していると説明した。
そのため,技の数そのものに大きな価値はないという。技が多ければ一見豪華に見えるものの,プレイヤーがすべてを学習しきれなかったり,戦闘中にほとんど使われず存在意義を失ったりする可能性もある。重要なのは数ではなく,それぞれの技が明確な役割を持ち,戦闘体験に貢献しているかどうかだという。
また,本作はシリーズらしい高難度アクションを目指していることから,難度調整についてもかなり思い切った設定を採用しているそうだ。
なかでも,ある敵が攻撃したあと,別の敵が次の攻撃を開始するまでの「全体攻撃待ち時間」は,同社作品では通常約1秒に設定することが多いという。しかし,NG4ではその約4分の1となる0.25秒まで短縮しており,敵が間髪入れず攻撃を畳みかけてくるよう調整されている。
さらに,プレイヤーの視界外から繰り出される攻撃についても,頻度こそ抑えているものの,ゲームデザインの一部として組み込まれているという。こうした細かなパラメータ調整によって,「最後まで油断できない『NINJA GAIDEN』らしい戦闘」を実現しているのだそうだ。
![]() |
もっとも,本作は高難度を目指しているからといって,あらゆる要素をプレイヤーに不利な方向へ調整しているわけではない。
その一例として挙げられたのが,エネミーの攻撃におけるランダム性だ。石川氏によれば,攻撃パターンのランダム性を抑えることで,プレイヤーは敵の行動を学習しやすくなり,攻略法を見つけやすくなるという。
そのため,本編ではプレイヤーが自身の上達を実感できるよう,エネミーの行動パターンは比較的低いランダム性に設定しているそうだ。一方,プレイヤースキルが十分に高まっていることを前提としたDLCでは,あえてランダム性を高め,より先の読めない緊張感のあるバトルを楽しめるよう調整しているという。
![]() |
最後にパラメータの設定に話が移ったが,今回の開発では,ゲームプレイの軸となるプレイヤー側のパラメータを早い段階で固定し,その後はエネミー側の数値をリリース直前まで調整し続けたという。
もちろん,敵ごとの強さや弱さを調整することも重要だ。しかし石川氏は,数値そのものを目的にするのではなく,「プレイヤーにどのような体験を提供したいのか」を基準に考えるべきだと説明する。
プレイヤーにどのアクションを使わせたいのか,どのような攻略法を学ばせたいのか。その意図を踏まえたうえで,「なぜこの数値なのか」を常に意識しながら調整を重ねることが重要なのだという。
![]() |
ステージのビジュアル(見た目)にとらわれるのはやめよう。こちらも重要なのは「体験」
セッションの終盤では,石川氏がステージデザインの考え方についても紹介した。
ここでも最初に語られたのは,コンセプトの重要性だ。石川氏は,「荒廃した都市」や「幻想的な森」といったビジュアルやシチュエーションだけをコンセプトに据えるのは避けるべきだと説明した。
理由は,アクションゲームにおいて最も重要なのは,やはりプレイヤーがどのような体験を得られるかだからだ。
例えば,「鉄壁の要塞」というコンセプトであれば,開発チーム内で頑丈な基地のイメージは共有しやすく,ビジュアルも作りやすい。しかし,そこからはプレイヤーがどのようなアクションを行い,どのような遊びを体験するのかは見えてこない。
![]() |
一方,「基地を正面突破するステージ」と設定すれば話は変わる。プレイヤー体験が明確になっているため,レベルデザインも自然と導き出せるからだ。
例えば,正面突破がテーマであれば,ステージは直線的な構成になり,進行を阻む扉や壁などの破壊ギミックを配置する必然性が生まれる。さらに,警告灯が激しく点滅する演出や,正面から次々と押し寄せるエネミーを配置するなど,演出面の方向性も決めやすくなるという。
石川氏は,プレイヤー体験が具体的であるほど,実際の制作段階でも「何を作るべきか」が明確になり,開発をスムーズに進められると説明していた。
確かに,同じ「基地」という舞台であっても,「ステルスで潜入する」のか,「真正面から突入して敵をなぎ倒す」のかでは,求められるレベルデザインはまったく異なる。体験を起点にコンセプトを定める重要性を,実感をもって理解できる事例だった。
最後にマイクは再び中尾氏へ戻り,セッション全体を「とにかく重要なのは,先にゲームプレイを想像・想定すること」と総括した。抽象的なアイデアのまま開発を始めるのではなく,徹底したシミュレーションでゲームプレイを組み立て,仕様を固めたうえで制作に入る。その結果,無駄な手戻りを減らし,本当に必要な部分へ時間をかけられるようになるというわけだ。
本セッションでは,とにかく「プレイヤー体験が重要」と,何度も繰り返していたのが印象に残った。プレイヤーアクションやエネミー,ステージ,さらには細かなパラメータに至るまで,「プレイヤーにどのような体験を提供したいのか」という軸から設計することで,一貫したゲームデザインが生まれるという考え方である。
ビジュアルや演出,個々のシステムの面白さももちろん重要だ。しかし,それらはあくまでもプレイヤー体験を実現するための手段であり,目的ではない。そうした視点を欠いたまま開発を進めれば,ゲーム内で役割を持たない要素や,存在意義の薄いシステムを生み出してしまう可能性もあるだろう。
「先に決める」「なるべく変えない」,そして「プレイヤー体験から逆算する」。NG4の開発事例を通じて紹介されたこれらの考え方は,アクションゲームに限らず,ゲーム開発全般に応用できる普遍的なノウハウとして,多くの開発者にとって参考になる内容だった。





















![画像ギャラリー No.002のサムネイル画像 / 「NINJA GAIDEN 4」に学ぶ3Dアクションゲームの作り方。プレイヤー体験を最優先する“忍ばない”バトルアクションの設計思想[CEDEC 2026]](/games/875/G087562/20260730026/TN/002.jpg)
![画像ギャラリー No.003のサムネイル画像 / 「NINJA GAIDEN 4」に学ぶ3Dアクションゲームの作り方。プレイヤー体験を最優先する“忍ばない”バトルアクションの設計思想[CEDEC 2026]](/games/875/G087562/20260730026/TN/003.jpg)
![画像ギャラリー No.004のサムネイル画像 / 「NINJA GAIDEN 4」に学ぶ3Dアクションゲームの作り方。プレイヤー体験を最優先する“忍ばない”バトルアクションの設計思想[CEDEC 2026]](/games/875/G087562/20260730026/TN/004.jpg)
![画像ギャラリー No.005のサムネイル画像 / 「NINJA GAIDEN 4」に学ぶ3Dアクションゲームの作り方。プレイヤー体験を最優先する“忍ばない”バトルアクションの設計思想[CEDEC 2026]](/games/875/G087562/20260730026/TN/005.jpg)
![画像ギャラリー No.006のサムネイル画像 / 「NINJA GAIDEN 4」に学ぶ3Dアクションゲームの作り方。プレイヤー体験を最優先する“忍ばない”バトルアクションの設計思想[CEDEC 2026]](/games/875/G087562/20260730026/TN/006.jpg)
![画像ギャラリー No.007のサムネイル画像 / 「NINJA GAIDEN 4」に学ぶ3Dアクションゲームの作り方。プレイヤー体験を最優先する“忍ばない”バトルアクションの設計思想[CEDEC 2026]](/games/875/G087562/20260730026/TN/007.jpg)
![画像ギャラリー No.008のサムネイル画像 / 「NINJA GAIDEN 4」に学ぶ3Dアクションゲームの作り方。プレイヤー体験を最優先する“忍ばない”バトルアクションの設計思想[CEDEC 2026]](/games/875/G087562/20260730026/TN/008.jpg)
![画像ギャラリー No.009のサムネイル画像 / 「NINJA GAIDEN 4」に学ぶ3Dアクションゲームの作り方。プレイヤー体験を最優先する“忍ばない”バトルアクションの設計思想[CEDEC 2026]](/games/875/G087562/20260730026/TN/009.jpg)
![画像ギャラリー No.010のサムネイル画像 / 「NINJA GAIDEN 4」に学ぶ3Dアクションゲームの作り方。プレイヤー体験を最優先する“忍ばない”バトルアクションの設計思想[CEDEC 2026]](/games/875/G087562/20260730026/TN/010.jpg)
![画像ギャラリー No.011のサムネイル画像 / 「NINJA GAIDEN 4」に学ぶ3Dアクションゲームの作り方。プレイヤー体験を最優先する“忍ばない”バトルアクションの設計思想[CEDEC 2026]](/games/875/G087562/20260730026/TN/011.jpg)
![画像ギャラリー No.012のサムネイル画像 / 「NINJA GAIDEN 4」に学ぶ3Dアクションゲームの作り方。プレイヤー体験を最優先する“忍ばない”バトルアクションの設計思想[CEDEC 2026]](/games/875/G087562/20260730026/TN/012.jpg)
![画像ギャラリー No.013のサムネイル画像 / 「NINJA GAIDEN 4」に学ぶ3Dアクションゲームの作り方。プレイヤー体験を最優先する“忍ばない”バトルアクションの設計思想[CEDEC 2026]](/games/875/G087562/20260730026/TN/013.jpg)
![画像ギャラリー No.014のサムネイル画像 / 「NINJA GAIDEN 4」に学ぶ3Dアクションゲームの作り方。プレイヤー体験を最優先する“忍ばない”バトルアクションの設計思想[CEDEC 2026]](/games/875/G087562/20260730026/TN/014.jpg)
![画像ギャラリー No.015のサムネイル画像 / 「NINJA GAIDEN 4」に学ぶ3Dアクションゲームの作り方。プレイヤー体験を最優先する“忍ばない”バトルアクションの設計思想[CEDEC 2026]](/games/875/G087562/20260730026/TN/015.jpg)
![画像ギャラリー No.016のサムネイル画像 / 「NINJA GAIDEN 4」に学ぶ3Dアクションゲームの作り方。プレイヤー体験を最優先する“忍ばない”バトルアクションの設計思想[CEDEC 2026]](/games/875/G087562/20260730026/TN/016.jpg)
![画像ギャラリー No.017のサムネイル画像 / 「NINJA GAIDEN 4」に学ぶ3Dアクションゲームの作り方。プレイヤー体験を最優先する“忍ばない”バトルアクションの設計思想[CEDEC 2026]](/games/875/G087562/20260730026/TN/017.jpg)
![画像ギャラリー No.018のサムネイル画像 / 「NINJA GAIDEN 4」に学ぶ3Dアクションゲームの作り方。プレイヤー体験を最優先する“忍ばない”バトルアクションの設計思想[CEDEC 2026]](/games/875/G087562/20260730026/TN/018.jpg)
![画像ギャラリー No.019のサムネイル画像 / 「NINJA GAIDEN 4」に学ぶ3Dアクションゲームの作り方。プレイヤー体験を最優先する“忍ばない”バトルアクションの設計思想[CEDEC 2026]](/games/875/G087562/20260730026/TN/019.jpg)
![画像ギャラリー No.020のサムネイル画像 / 「NINJA GAIDEN 4」に学ぶ3Dアクションゲームの作り方。プレイヤー体験を最優先する“忍ばない”バトルアクションの設計思想[CEDEC 2026]](/games/875/G087562/20260730026/TN/020.jpg)
![画像ギャラリー No.021のサムネイル画像 / 「NINJA GAIDEN 4」に学ぶ3Dアクションゲームの作り方。プレイヤー体験を最優先する“忍ばない”バトルアクションの設計思想[CEDEC 2026]](/games/875/G087562/20260730026/TN/021.jpg)