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「サイバーパンク2077」「FF16」などのサウンド業務を手がけたSIDEが東京にスタジオを開設。その狙いをブランドのトップに聞く【PR】
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PTW International Holdings(以下,PTW)の国内法人であるPTWジャパンは2023年11月14日,PTWの音声収録サービスブランドであるSIDEの名を冠したスタジオ「SIDE TOKYO」を開設した。
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このスタジオは,ゲームはもちろん,アニメや映画,ドラマといった,これまでPTWジャパンがあまり手がけていなかったジャンルの音声収録も想定している。本稿では,スタジオ内部の模様に加えて,PTWのSenior Vice PresidentであるOlivier Deslandes(オリビエ・デズランド)氏にSIDE TOKYOの展望を聞いたメールインタビューをお届けしよう。
スタジオを紹介する前に,まずPTWとSIDEについて簡単に説明しておきたい。PTWはローカライズや音声制作など,ビデオゲーム開発におけるアウトソーシング事業を手がける企業で,日本以外にも世界15か国に40以上の拠点を持つ(国内向けにゲームデバッグなどの事業を展開しているポールトゥウィンとは同じグループではあるが,別会社)。
SIDEは音声制作や収録,編集,ミキシングなどの作業はもちろん,キャスティングやローカライズといったところまで含め,ゲーム開発におけるサウンド関連業務を幅広く引き受けている。手がけたタイトルも「サイバーパンク2077」「FINAL FANTASY XVI」「ウィッチャー3 ワイルドハント」など,人気作が目白押しだ。
SIDEはここ最近,世界各地に新しいスタジオを続々と開設している。2023年はSIDE PARIS,10月のSIDE MONTREALに続いて,今回SIDE TOKYOが誕生した。
そんな最新のスタジオであるSIDE TOKYOの内部を紹介しよう。前述のように,SIDE TOKYOはゲームだけでなく,アニメや映画,ドラマ作品の収録まで想定したスタジオだ。取材時の収録ブースにはマイクが4本立てられており,それぞれの前にディスプレイが配置されていた。
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ゲームの場合,キャラクターボイスのバリエーションが膨大になることもあって,収録ではキャストが1人で小さなブースに入り,次々とセリフを読んでいく……といった収録になることが多い。一方,アニメや映画のアフレコでは複数のキャストがブースに入り,映像を見ながらマイクの前に入れ替わり立ち替わりで演技する方法が主流だ。SIDE TOKYOはそのスタイルに対応できるスタジオということになる。なお,マイクが4本あれば,ほとんどの規模のアニメや映画の音声収録が可能だそうだ。
収録ブースのほかには,ディレクターやオペレーターの作業場所となるコントロールルームや,関係者用のロビーがある。
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SIDE TOKYOは,こういった部屋のセットが2組用意され,2つの収録案件を同時に進められるスタジオとなっている。各セットの入口は分けられているうえに,入室者はカードキーで管理され,一方の関係者がもう一方のセットに足を踏み入れることはできない。
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これは情報セキュリティに配慮した設計のため。作品に関する情報の漏洩は制作会社にとって最も避けたいことの1つだが,それが起こる危険性がある場所の1つが,さまざまな作品の関係者が出入りするスタジオなのだという。例え「決定的な証拠」がなかったとしても,収録ブースにやってくる人を見るだけで,何の作品なのか推測できる場合もある……というのは,4Gamer読者にも分かってもらえるだろう。
SIDE TOKYOは関係者の動線管理だけでなく,作業においても,データをスタジオの外に持ち出すことなく全工程を完了できるようにするなどして,安全性を高めているという。
ここから世界的なゲームや映像コンテンツが誕生することになりそうだが,SIDEは今回のスタジオ開設にどのような狙いを持っているのか。以下に掲載するOlivier Deslandes氏へのインタビューで確認してほしい。
PTW Senior Vice President
Olivier Deslandes氏メールインタビュー
4Gamer:
SIDEはロンドン,LA,パリ,上海に拠点があり,10月17日にもモントリオールのスタジオが開設されたばかりですが,そこから1か月足らずでSIDE TOKYOがオープンしました。SIDEが積極的に新たなスタジオを開設しているのはなぜでしょうか。また,今回東京を選んだ理由も聞かせてください。
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音声はPTWにとって成長分野です。PTWは,ビジネスとして理にかなう主要市場のほとんどで音声の実拠点を持つことを視野に入れています。
ヨーロッパと北米に拠点を持つ私たちが次に目指すべきは,最大級のクライアントが多くいる東京にスタジオを持つことでした。SIDEは日本のIPに20年以上携わっており,日本のゲーム業界の中心にいたいと考えています。
4Gamer:
大作ゲームはもちろん,近年はストリーミング番組も全世界で一斉配信されるものが多く,ローカライズの作業負担は大きくなっているのではないかと思います。世界各地にスタジオを構えていると,そういった状況に対応しやすいのでしょうか。
Deslandes氏:
はい。実際のところ,多言語でのゲームの同時リリースには,大規模なプロジェクトを受け入れられる安定したローカライズ・ソリューションが欠かせません。ゲームと映像コンテンツ,両方のメディアにまたがるローカライズと吹き替えを世界規模で安定して提供できる企業はほとんどありませんが,当社にはそれが可能です。
4Gamer:
SIDE TOKYOではどのようなオーディオサービスを提供予定でしょうか。また,ほかのスタジオよりも大きく優れるポイントを教えてください。
Deslandes氏:
SIDE TOKYOは,ゲーム向けの日本語オリジナルの台詞や海外で制作された映画やドラマ等のコンテンツ制作者向けの吹き替えに重点を置いてサービスを展開していく予定です。SIDEのほかの拠点と同様に,SIDE TOKYOもハイクオリティなキャラクターパフォーマンスとそれぞれのニーズに合わせたサービスを理念としており,それが大きな強みとなります。
4Gamer:
日本と欧州・北米で,市場の違いはあるのでしょうか。もしあるようでしたら,具体的なところを挙げてください。
Deslandes氏:
日本はキャスティング,キャラクター設定,パフォーマンスに対するアプローチが非常に特殊で,伝統を重んじながらも革新性が求められる市場だと考えています。私たちはさまざまな地域でこれまで培ってきた経験を生かし,専門的知識と選択肢を提供しながら,クライアントに新しいアプローチを提案することを目指しています。
4Gamer:
PTWジャパンにはデルファイサウンドやエンタライズといったサービスブランドもあります。社外からですと,領域がかぶっているように見える部分もあるのですが,どう棲み分けているかを教えてください。
Deslandes氏:
デルファイサウンドは日本のアニメーションの吹き替えを専門とし,エンタライズは英日ゲームローカライズのスペシャリストで,日本以外のゲーム会社を中心にサービスを提供しています。SIDE TOKYOは,日本語オリジナルのゲームの台詞制作と,映像コンテンツの日本語吹き替えに注力することになるでしょう。
4Gamer:
アニメや映画,ストリーミング番組など,ジャンルによって収録の進め方も変わってくると聞いたことがありますが,SIDEではどのように対応しているのでしょうか。
Deslandes氏:
プラットフォーム(またはサポート),コンテンツやビューワーの種類などが長きにわたって分断されたことにより,ビジネスモデルや予算,プロセスが多様化して,各企業もいずれかに特化する傾向があります。しかし結局のところ,ストーリーとパフォーマンスという基本的な部分と,質の高いコンテンツを提供するという共通の最終目標は同じです。私たちは,異なるとされているジャンルにも多くの共通点があり,収束が起きてきていると感じています。
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4Gamer:
SIDEの公式サイトでは,さまざまなゲームタイトルが実績として紹介されていますが,Deslandesさんにとって印象深いものと,その理由を教えてください。
Deslandes氏:
「サイバーパンク2077」や「FINAL FANTASY XVI」のようなタイトルは規模が大きく,何年にもわたって携わることになるので,印象深くなります。そして,そうしたゲームをプレイヤーの皆様に楽しんでもらえれば,その苦労が報われます。ただ,小規模な独立したプロジェクトであっても,クリエイティブな解決策を考るのは同じですし,やりがいもあります。
4Gamer:
SIDEは多くのAAAタイトルで,キャスティングやディレクションをはじめとする,音声関連の幅広い作業を担当されています。大規模なプロジェクトのオーディオ関連作業を一手に引き受けられることが,SIDEの強みになっているのでしょうか。
Deslandes氏:
それは間違いありません。ゲーム開発はコミュニケーションラインを簡素化し,機能横断的な協力を促進していくべきだと考えます。私たちの音声ビジネスは,台詞,音楽,サウンドデザイン,ミキシング,統合に限らず,アート,共同開発,QA,ローカライズ,LQA,プレイヤーサポートなど,あらゆる面で開発の負担を軽減できるように一から設計されています。
さまざまなスケールでサービスを提供する私たちの強みは,どのような規模で,どんなに複雑なプロジェクトでも,それぞれのクライアントのニーズに合わせたサービスを提供できることにあります。
4Gamer:
「サイバーパンク2077」では,キアヌ・リーブスさんの起用が話題になりました。どのような経緯で出演が決まったのでしょうか。
Deslandes氏:
キアヌさんのケースはCD PROJEKT RED主導のものですが,SIDEが知名度の高いタレントをキャスティングすることは珍しいことではありません。このプロセスには注意しなければならない落とし穴がいくつもありますので,どのようなプロジェクトでもエージェントに直接依頼する前に,私たちに相談されることをお勧めします。
4Gamer:
キアヌさん演じるジョニー・シルヴァーハンドの収録では,どのようなディレクションが行われたのか,ご存じの範囲で教えてください。
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私たちは機密情報の扱いに細心の注意を払っています。スタジオ内での出来事をスタジオ外に漏らすことはできません!
ですので一般論になりますが,タレントからパフォーマンスを引き出すにはボイスディレクターの存在は欠かせないものです。これはクライアントの皆様も見落としがちですが,私たちはキャスティングと同様に,ゲームシナリオの経験が豊富かつプロジェクトに違いをもたらすことのできるディレクターを提案するようにしています。ディレクターの人選は,プロジェクトとクライアントに合わせたものであることが大切です。
4Gamer:
今後のオーディオサービスに求められるものは何になると思われますか。Deslandesさんのお考えを聞かせてください。
Deslandes氏:
AIツールの活用はより身近で欠かせないものになっていくと考えています。たとえば,より多くのボイスコンテンツを広大なオープンワールドに散りばめられますし,ほかの方法では実現不可能な形でゲームにボイスを入れることも可能になるでしょう。どんな新しい技術もそうであるように,AIが私たちの業界やゲーム業界全体に影響を与えることは間違いありませんが,それは人間の代わりではなく,付加的なツールとなるはずです。
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4Gamer:
今後のSIDEの世界展開について,可能な範囲で教えてください。
Deslandes氏:
PTWは世界中の主要な市場で成長を続け,クライアントのニーズにさらに寄り添うことを目指しています。これは設立当初からの当社の変わらぬ戦略であり,それがすぐに変わることはありません。私たちはすでに多くの主要市場で実績を残していますが,私たちのビジネスは常に進化を続けています。ツアーアート制作,プレイヤーサポート,QA(品質保証)の各ビジネスをサポートするために,サンパウロにも新しいオフィスを開設したばかりです。
4Gamer:
それでは最後に,SIDE TOKYOに期待していることを教えてください。
Deslandes氏:
SIDE TOKYOはまず,確かな信頼を得て,高い品質とサービスを提供できることを目指します。そして,ゆくゆくは素晴らしいゲームや吹き替えコンテンツを制作するうえでの皆様のパートナーとなることが目標です。私たちの仕事ぶりを見てもらうことで,その素晴らしさが伝わると信じています。PTWのグローバルネットワークは,SIDE TOKYOによってより強固なものとなり,それがビジネス全体の成長に貢献することになるでしょう。
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SIDE公式サイト
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