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[TGS2022]ブロックチェーンゲームの有識者が議論を交わしたステージイベント「一億総ブロックチェーンゲーマー化計画」をレポート
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印刷2022/09/20 16:33

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[TGS2022]ブロックチェーンゲームの有識者が議論を交わしたステージイベント「一億総ブロックチェーンゲーマー化計画」をレポート

 「東京ゲームショウ2022」の3日目,2022年9月17日のYGG Japanブースで開催されたステージイベント「Web3の愉快な仲間たちが企む 『一億総ブロックチェーンゲーマー化計画』」のレポートをお届けする。

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「YGG Japan」公式サイト


 同イベントでは,5名の登壇者が日本においてブロックチェーンゲーム(Web3ゲーム)を普及させるにはどうすればいいかについて議論を交わした。なお登壇者は以下の5名だ。

  • 幻冬舎「あたらしい経済」編集長/コンテンツビジネス局局長 設楽悠介氏(モデレーター)
  • コインチェック 執行役員 大塚雄介氏
  • YGG Japan PR担当 DeFitterジョン氏
  • YGG Japan Co-Founder/ForN CEO 藤原哲哉氏
  • Oasys やす氏(シークレットゲスト)

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ブロックチェーンゲーマーを増やすには


 最初の話題はズバリ,「こうすればブロックチェーンゲーマーを増やせるのではないか」だ。藤原氏はブロックチェーンゲームが従来のゲームと異なり,NFT化されたキャラクターやアイテムなどをほかのゲームに移行させやすいことに言及し,「自分のキャラクターなどを個人の資産にできるブロックチェーンゲームが,ゲーマーではない幅広い層の顧客をゲームに引き寄せるきっかけになってほしい」と期待を語った。

 大塚氏は,「面白いゲームが必要」だとする。すなわち,人々はブロックチェーンゲームだからという理由でそれをプレイするのではなく,面白いからゲームをプレイするのであって,それがたまたまブロックチェーンゲームだったというのが正しいわけだ。大塚氏は,「その上で,ほかのゲームからキャラクターなどを引き継げるという体験をして初めて『これがブロックチェーンゲームというものか』と思ってもらえる」と話していた。

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 ジョン氏は今の30〜40代がゲームネイティブであることを指摘し,近い将来,日本に一億総ゲーマー時代が来ると予想。また現状のブロックチェーンゲームは,従来型のゲームにブロックチェーン技術を応用しているものがほとんどだが,もっと広いアプローチ――例えば日常生活の中でトークンを売買するだけでもゲームが始まっているような仕組みを考えるべきだと述べた。

 やす氏は,適切なタイミングでキラーコンテンツが登場することと,ユーザー体験の改善を挙げた。前者について,やす氏はヒットタイトルの「Axie Infinity」「STEPN」を挙げ,「“稼げて楽しい”ゲームがユーザーを連れて来るという事実は,すでに実証されている」とし,「『Axie Infinity』も『STEPN』も経験していない層がプレイするような面白いタイトルが出てくればいい。そういうタイトルが増えることに比例して,全体のユーザーが増えていく」と語った。

 またブロックチェーン初心者は,手数料である「ガス代」の意味が分からなかったり,トランザクションが遅かったりすることを指摘し,「現時点のユーザー体験は悪い」と断言。やす氏は「それが理由で,ゲームデベロッパもブロックチェーンゲームの開発に前向きになれない。デベロッパにとってもユーザーにとっても,ユーザー体験課題を解決するソリューションが必要」とも話していた。

 やす氏のキラーコンテンツの話に関連して,ジョン氏は「Axie Infinity」のDAU(Daily Active Users)が100万人を超えた時期があり,今やMMORPGのヒットタイトルに比肩するくらいになっていることに言及。また藤原氏は,その100万人が必ずしも従来のゲーマーとは限らないことを指摘し,「今やコンシューマゲームもスマートフォンゲームも,人気ジャンルがある程度固定化している。それらとは異なる形でブロックチェーンゲームが新たな選択肢を提示することで,ゲーマーの全体数が増え,結果的にゲーム業界が盛り上がってほしい」と期待を述べた。

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 ゲーム会社からブロックチェーンに関する相談を受ける機会も増えているという大塚氏は,コインチェックのようにブロックチェーンのサービスを扱う会社,ゲーム会社,そしてYGGのようなブロックチェーンゲーマーのコミュニティをサポートするギルドが,それぞれに提供できる機能を集約して1つのエコシステムを形成しなければならないと語った。「3者がいかに協力できるかが重要だし,コインチェックもそのエコシステムの一部だと捉えている」とのことである。

 また,やす氏はブロックチェーンプロジェクトであるOasysに参画しているゲーム会社の熱はかなり高いとし,その状況はまだまだ続くと予想。また,ほかのゲーム会社からの問い合わせも増えていると話していた。


デバイスの進化はどうなるか


 続いての話題は「デバイスの進化はどうなるか」だ。設楽氏が「多くのお子さんが持っているようなゲーム機にブロックチェーンのウォレット機能を持たせたら,あっと言う間に普及するのでは」と発言すると,ジョン氏がブロックチェーンの1つであるSolanaがスマートフォンを使って似たような取り組みをしていることに言及。

 やす氏も「Solanaは,最終的にスマホアプリがブロックチェーンコンテンツの主流になると考えている。ただAppleやGoogleの規定に引っかかるアプリが出てくる可能性があるので,自分達でスマホのOSを作ろうとしている」とし,「Oasysでもスマホアプリが主流になるとは予想しているが,現時点では決め打ちはせず,広いアプローチを取っている。ゆくゆくはSolanaのような戦略を練らなければならないかもしれない」とのこと。

 一方,大塚氏はデバイスを作るための投資は莫大だと指摘。「ヒットするゲームが出て,ユーザーが増えて,求められるようになって初めてデバイスを作るという話になる」と現実的な話をした。また最初からスマホにブロックチェーンウォレットを搭載すればいいのではという問いかけには,「もし実現するところがあるとしたら,AppleやGoogleのようなトップ企業ではなく,彼らと差別化を図りたい3番手4番手の企業ではないか」との予想を語った。

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 その一方で,藤原氏は「Apex Legends」や「フォートナイト」のヒットを引き合いに出し,「必ずしもスマホでなければダメということはないのではないか」と疑問を呈した。またジョン氏も,昨今のバトロワゲームブーム以前は,日本ではシューターははやらないとされていたことを指摘し,「ゲームが受け入れらるかどうかは,それ自体が持つ面白さ,国や地域の文化などの影響を受ける」と見解を示した。

 以上を踏まえて藤原氏は,「ブロックチェーンゲームだからコレということではなく,いろいろ試してみて日本のカルチャーにフィットするものを探したほうがいい。たとえばスマホゲームが普及したときは『パズドラ』というキラーコンテンツがあった。そうしたキラーコンテンツが出てきたら,ブロックチェーンゲームが東京ゲームショウの主役になれるかもしれない」と展望を語った。


現状の課題と今後の展望


 話題はYGG Japanの取り組みにもおよんだ。藤原氏によると,YGG Japanでは現在,日本にブロックチェーンゲームを浸透させるべく,日本人が扱いやすいブロックチェーンウォレットの開発を筆頭に,参入障壁を下げる取り組みをしているという。例えばスマホゲームであればApp StoreやGoogle Playから端末にダウンロードするだけでプレイできるが,それと比較するとブロックチェーンゲームはプレイし始めるまでの手続きが煩雑という課題がある。藤原氏は,そうした障壁を解消したり,障壁を越えるだけの面白さを作り出したり,あるいは啓蒙を続けたりすることによって市場が形成され,誰もが参入してくるような状況を目指していると語った。

 今後,「Axie Infinity」や「STEPN」のようなヒットタイトルが出てブロックチェーンゲーマーが増える可能性はあるのかという問いかけには,ジョン氏が「バブルが弾けて落ちきった状態なので,減っている感覚がある」と回答。しかし,こうしてステージイベントをやってみると,予想に反して来場者が多かったとのことで「1年前だったらこうはならなかった。盛り上がりという意味では冷めているが,この1年でコミュニティが形成されて下地が固まっていることを実感している」とも話していた。

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 ブロックチェーンゲームと言えば,メタバースと一緒くたに語られることも多いが,ジョン氏は「メタバースは当分来ない」と予想。大塚氏も「メタバースはデバイスが全然追いついていない」とし,それなりのスペックの現行PCでもレンダリングが追いつかない,VRゴーグルが重いといった課題があることを指摘した。
 一方で設楽氏は,「10年以内にスマートグラスがスマホに取って代わる」と予想。スマートグラスのVR/AR機能を使うことで,リアルの世界とメタバースの融合が実現したときに,今のブロックチェーンゲームのような機能が必要になるとの持論を示した。

 やす氏は「VRやARとブロックチェーンゲームを安易に混ぜるのは危険」としつつ,「うまく融合できたら,面白いコンテンツができるというのも事実。たとえば映画『レディ・プレイヤー1』のようにメタバースにフルダイブして,そこで敵を倒せばお金を稼げて生活が成り立つような世界を作り出せたら,そこに入り浸りになる人も出てくるはず」と予想を語った。また藤原氏も,漫画「HUNTER×HUNTER」の「グリードアイランド編」のようなメタバースが実現したら,「絶対引きこもる」と断言していた。

 イベントの最後には,藤原氏があらためて「1年後にはブロックチェーンゲームが当たり前のように東京ゲームショウに出展されるような状況になるよう努めていく」と発言。大塚氏とジョン氏は,30代40代の人間がこれだけの熱量を持って議論し合えるくらいブロックチェーンゲーム界隈は面白いと話していた。

 また,やす氏はブロックチェーンゲーム開発に乗り出すゲーム会社が増えていることに言及し,「今後,名の知れたところやスタートアップから面白いゲームが続々と出てくる。興味があるものを触ってみてほしい」とコメント。そして設楽氏が,藤原氏が言ったようにブロックチェーンゲームが“東京ゲームショウ2023”の一角を占めるような存在になっていてほしいと期待を語り,イベントを締めくくった。

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