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新作プライズマシン「ゲッタースピン」試遊会レポート&インタビュー。“納得”をキーワードにWin-Winになれるプライズマシンを目指した
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タイミングをはかって傾けるというルールを聞くと,どうしてもあらかじめ景品が入手できるか決まっている確率機を想像してしまうが,本機はタイミングさえ合えばちゃんと1回で入手できるとのこと。また,景品の位置を少しずつズラしていき取りやすい位置に移動させる――いわゆる“育てる”ことも可能だという。
ここでは直感的な面白さに老舗・タイトーの底力が見える本機の試遊レポートと,プロデューサーの梅山洋介氏へのショートインタビューの模様をお届けする。
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タイトーの新作プライズマシン「GETTER SPIN(ゲッタースピン)」。使うボタンはたった1つで,“ボタンを押して棒を下げ,円盤を傾けて景品を落とす”というだれでもすぐに直感的に遊べるルールとなっている。
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機械の中では景品が山盛りにされた円盤がクルクルと回転しており,その外周には小さな板「ターゲット」がぐるりと配置されている。コインを入れてボタンを押すと,タッチペンを思わせる棒「プッシュロッド」が下がる。プッシュロッドでうまくターゲットの中央部分を押すことができれば,円盤が傾いて景品が端へと滑っていく。そして,景品が円盤から落ちて取り出し口に入れば,めでたく獲得できるというわけだ。
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熱中度を高めてくれるのが,「回転するターゲットの真ん中をいかにして狙うか」という,タイミング勝負の要素だ。ターゲット自体は大きいが,自転車ペダルのような構造になっているので,ちゃんと中央を押せないと円盤を傾けられない。
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なお,円盤の回転やプッシュロッドが下がっていく速度は一定で,プレイヤーが操作したとおりに動いてくれる。つまりは純粋に腕の勝負ということで,タイミングさえよければ1発で景品を獲得できる。
しかし,純粋なタイミング勝負というのは案外難しいもので,しっかりと狙ったはずなのに,ターゲットの端に当たって円盤が傾かなかったりするとなかなか悔しく,気が付けばかなり熱中していた。また,景品が取れないことが連続で続くと「チャンスモード」が発動し,回転する速度が低下したり,プッシュロッドの降下開始位置が低くなったりすることもあるという。このあたりはお店の設定次第になるが,プレイヤーにとってはうれしい配慮だろう。
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直感的なルールでだれでもすぐに楽しめる本プライズ機。個人的にはルールの透明性が高く,理不尽な要素が少ない部分がプレイヤーとしては納得しやすく,エレメカとプライズマシンの魅力がギュッと詰まった機械であるように感じられた。
会場では,本作のプロデューサーであるタイトーの梅山洋介氏にインタビューできたので,その様子も合わせてお伝えしよう。
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4Gamer:
本日はよろしくお願いします。はじめにゲッタースピンのセールスポイントを教えてください。
梅山洋介氏(以下,梅山氏):
年齢・性別・国籍を問わず,すぐにルールを理解していただける。そして,プッシュロッドや円盤といったすべてのメカの動きをお客様の目で確認できますので,結果に納得していただけるというところです。腕を磨いていただく過程をゲーム感覚で楽しめるところもセールスポイントになっています。
4Gamer:
ランプのルーレットを目押しで止める形式も流行していますが,ゲッタースピンはプッシュロッドや円盤が目に見えるメカであるところに違いがあります。
梅山氏:
ルーレット形式のプライズ機などでは,「自分の操作やタイミングは関係なく,景品は確率でたまにしか手に入らないのでは?」とおっしゃられる方もおられました。
そういったプレイヤーの不満を取り除くために,2年前から構想を始めて制作したのが今回のゲッタースピンになります。すべての動きを自分の目で確認できますので,納得して遊んでもらえるものになっています。
4Gamer:
景品が乗った円盤が回っているというのが,見た目に派手ですね。
梅山氏:
実は当初は円盤ではありませんでした。景品に付けられたリングに釣り針を引っかける形式や,棒で景品を押し出す形式など既存の物をベースすることも考えられていました。ただ,遊び方が一目で分かって説明が不要であること。そして,お客様に「これなら自分にも取れそうだ!」思っていただけることを重視して選定を進め,最後に残ったのがこの円盤型だったんです。
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4Gamer:
円盤型に決まってからは開発もスムーズに進んだのでしょうか。
梅山氏:
いえ,かなりの試行錯誤がありました。例えば,現在のゲッタースピンは待機中も円盤やプッシュロッドが絶え間なく動いていますが,これもロケテストの結果を受けてのことです。
4Gamer:
ターゲットの真ん中をうまく押せないと,くるりと回転するのが印象的に感じられました。ターゲットには当たってるのに円盤が傾かないのは悔しいですね。再挑戦への意欲が湧いてきます。
梅山氏:
ターゲットは内部のスプリングで弾力を生み出しているんですが,その強さや固さも十数パターンを用意して試行錯誤しました。お客様のモチベーションを維持しつつ,やれば好きなだけ取れるにはならないくらいのシビアさ……を目指しました。細かい点ですが,ターゲットの真ん中を示す黄色いラインについても,高さをミリ単位で調整しました。
4Gamer:
景品にも原価はありますし。
梅山氏:
こうしたバランスは設計時の数値で計れるものではありません。ロケテストを行い,売上と景品の原価率のバランスをチェックしつつ,ひたすらブラッシュアップを続けていきました。そうした中でベストな数値が製品版に採用されているんです。
お客様には景品が取れたことで喜んでいただける。そして,ゲームセンター側には適正な範囲内で景品を取ってもらえたと納得していただけるのが理想になります。このバランスが大切で,お客様がお金を使いすぎてしまい,景品は取れたものの,結果として喜んでもらえなかったら我々の負けなんです。
4Gamer:
いかにバランスを取って両者を満足させるかが大事なわけですね。
梅山氏:
景品だけを販売するお店もありますが,バランスが厳しすぎたり,お客様が納得されていないから利用が絶えないんだと考えています。損得勘定だけがピックアップされるような状態ではよくないんじゃないでしょうか。プライズマシンはやはりゲームなので,景品を取る過程まですべてを楽しんでほしいという気持ちがあり,その気持ちから生まれたのが今回のゲッタースピンになります。
ロケテストでは一日中,お店にはりついてお客様の顔を見ていたんですが,メカの動きが見えることで納得していただけたのか,景品を取れなくても笑顔の方が多く嬉しかったです。これからも,ゲームとして遊べるプライズマシンを作っていきたいですね。
4Gamer:
ここまでお話を伺って,ゲーム性へのこだわりを強く感じました。
梅山氏:
弊社ではレジェンド開発者による勉強会も行われてきたんですが,「美麗なグラフィックスや凝った演出などもゲームの重要な要素ではあるが,そこに頼りすぎず, ゲーム性を重視したものこそに本当の面白さがある」と教えられてきまして,そうした流儀を受け継いでいるのかもしれません。
4Gamer:
最後に稼働を楽しみにしている人や読者に対し,メッセージがあればよろしくお願いします。
梅山氏:
ゲッタースピンは3月下旬より全国のゲームセンターで稼働を開始します。お客様の数だけ攻略法があると考えていますので,ぜひ実際に遊んで自分だけの遊び方を編み出して楽しんでください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
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