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VR ZONEの新アクティビティ「冒険川下りVR ラピッドリバー」先行体験レポート。横回転なのに酔わないVR,その“究極の答え”とは
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印刷2018/09/11 10:00

プレイレポート

VR ZONEの新アクティビティ「冒険川下りVR ラピッドリバー」先行体験レポート。横回転なのに酔わないVR,その“究極の答え”とは

 バンダイナムコアミューズメントが東京・新宿にて運営している「VR ZONE SHINJUKU」では,9月13日より「冒険川下りVR ラピッドリバー」の導入が予定されている。同日,大阪・梅田にてオープン予定の「VR ZONE OSAKA」にも導入される最新VRアクティビティをひと足早く体験する機会を得た。

VR ZONE 公式サイト


 「ラピッドリバー」と言えば,1997年にナムコがリリースしたアーケード用体感シミュレーションゲームの名称。2人で協力しながら,ジェットコースター感覚で激流下りが楽しめる内容だった。その名称に懐かしさを覚える読者も多いだろう。

バンダイナムコアミューズメント 公式サイトより
画像集 No.001のサムネイル画像 / VR ZONEの新アクティビティ「冒険川下りVR ラピッドリバー」先行体験レポート。横回転なのに酔わないVR,その“究極の答え”とは

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 約20年ぶりに帰ってきた「冒険川下りVR ラピッドリバー」も,多数の障害物が待ち受けるVR空間の川下りに挑むというものだ。2〜4人の体験者が力を合わせて,各自のパドルを漕ぐことでボートの進路を決めたり,障害物を避けたりしながら,ゴールとなる幻の遺跡を目指す。

 「冒険川下りVR ラピッドリバー」の大型筐体は,体験者4人が背中合わせに座れるようになっている。もちろん,VR空間では同じ方向を向いた状態で前後2人ずつ,ボートに乗り込む形だ。
 体験者はシートベルトを締め,VRヘッドセットとヘッドホンを装着,そしてVR空間ではパドルとなるトラッカー付きスティックを手にすれば準備完了。いよいよ激流に挑むことになる。

 ……とガワの話はここまでにして,先にアクティビティを紹介しよう。もちろん,これには理由がある。

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 ボートの操作はシンプルだ。右に曲がりたいときは左側の体験者がパドルを漕ぎ,左に曲がりたければ右側の体験者がパドルを漕げばいい。とはいえ,置かれているシチュエーションは激流の真っ只中。思いどおりにボートを操るには,かなり頑張ってパドルを動かす必要がある。
 目の前には岩や木といった障害物が次々に姿を現す。それらを回避するには,みんなで息を合わせて,「左右どちらの体験者がパドルを漕ぐのか」を速やかに決めなくてはならない。ボヤボヤしていたら,真正面の障害物に激突してしまう!

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 そこで,ボイスチャットを通じて「左に進もう」「右側が漕いで!」「今は漕がないで!」といった声を掛け合うことなるわけだが,速くて激しい川の流れに翻弄されたり,滝から落下したりするうちに冷静ではいられなくなる。
 すると,どうなるか。「左に進もう」が「左!左!」になってしまうのだ。だが,そんなことを言われても,「左に進もう」なのか「左側が漕ぐ」のかが分からない。左右の体験者が同時にパドルを漕いでしまい,そのまま正面の岩に激突するといったシーンが容易に思い浮かぶだろう(実際,筆者はそうなった)。
 なお,障害物に激突しても即ゲームオーバーになるわけでないが,多くぶつかりすぎると転覆してしまうこともあるそうだ。

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 上下左右に揺れるボートを操り,ときに乱暴な川の流れに挑み,何回も何回もパドルを漕いでいると,じわっと汗をかいてくる。障害物が眼前に迫ってきたときには,思わず目をつむるほどの臨場感もある。心地いいスリルと少しの疲れ,そして達成感を覚えながら,体験を終えた筆者。この直後,「冒険川下りVR ラピッドリバー」のプロデューサーを務める齊田一統氏の発言に驚かされた。

「筐体が左右に回転していましたが,気づきましたか?」

 下の映像を見れば一目瞭然だが,「冒険川下りVR ラピッドリバー」の筐体は左右に大きく回転する(左右それぞれ90度まで)。
 しかし,筆者はそれに気づかなかった。嘘みたいな話だが本当だ。上下左右に小さく振動しているとは思ったが,ここまでの回転だったとは感じなかった。


 非常に大掛かりな装置を搭載している「冒険川下りVR ラピッドリバー」だが,その理由は“VR酔い”への対策だ。確かに筆者はVR酔いに強いほうではないが,体験を終えたときに気持ち悪さがまったくなかった。

 VR酔いを引き起こす要因には諸説あるが,視覚が認識するVR映像の情報と,過去の経験から推測される実際の感覚(三半規管が認識する情報)とのズレ,つまり感覚の不一致が一因として知られている。そのズレを埋めてVR酔いを解消するべく,従来のVRアクティビティでは装置によって筐体を動かし,体験者自身の感覚をVR映像に合わせる試みが行われてきた。

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 「Project i Can」のタミヤ室長こと田宮幸春氏の説明によると,「『冒険川下りVR ラピッドリバー』は初めてヨーイング(上下を軸としたときの回転)を生み出せるVRアクティビティ」とのこと。これまでのVRアクティビティでは,回転の挙動のうちローリング(前後を軸としたときの回転)とピッチング(左右を軸としたときの回転)を生み出せたが,ヨーイングは実現できていなかった。
 ヨーイングのズレによって生じるVR酔いを防ぐために,「マリオカートアーケード グランプリVR」ではできるだけ直線的なコースを採用し,スピンやドリフトといった表現を避けている。また,「VR-ATシミュレーター 装甲騎兵ボトムズ バトリング野郎」ではカーブするシーンを極力暗くしているそうだ。齊田氏が担当した「極限度胸試し ハネチャリ」でも,左右方向へのカーブは相当制限されており,基本的には直線的に進んでいく。

(左から)「Project i Can」タミヤ室長こと田宮幸春氏,同じくコヤ所長こと小山順一朗氏,「冒険川下りVR ラピッドリバー」プロデューサー 齊田一統氏
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 それでも「左右方向も自由に動ける,かつ快適なVR」を実現するには,「お客さんを動かすしかない」(田宮氏)との結論に達したというわけだ。VR空間における自分の動きと,現実空間における筐体の動きにズレをなくして,VR酔いの要因を大幅に防ぐという力技である。
 ちなみに体験者が自分の足で移動する「フリーロール型VR」は,VR酔いを発生させるズレがないため,こうした懸念は解消されている。

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 最大4人の体験者が搭乗する筐体の下部には,「左右に回転する装置」と「上下に揺らす装置」が2層になって設置されている。なお,これまでにない試みということで,完成には約9か月を要したとのことだ。
 筆者は「筐体が回転していること」に気づかなかったが,その状態は「我々にとっては正解」(田宮氏)とのこと。テスト時に回転しない筐体で同じVRコンテンツを体験したものの,すぐに「気持ち悪い」という感想が続出したという。

試作段階では人力で動かす木工の筐体を制作して,試行錯誤を繰り返したそうだ
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 「Project i Can」のコヤ所長こと小山順一朗氏は「『冒険川下りVR ラピッドリバー』はこれまでに手がけてきた体感ゲームやVRアクティビティの知見の集大成」「VR酔いに対する1つの到達点であり,究極の答え」と胸を張る。VR酔いの問題をまた1つ克服したことで「これまでできなかったことができるようになりました。さらに新しいVRアクティビティが生まれます!」と目を輝かせながら語ってくれた。

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 冒頭で触れたとおり,「冒険川下りVR ラピッドリバー」は9月13日よりVR ZONE SHINJUKU(3台設置予定)とVR ZONE OSAKA(7台設置予定)にて体験可能だ。年齢条件は7歳以上(13歳未満は保護者の同意が必要)となっているので,家族でVRアウトドアを楽しんでみるのはいかがだろう。

施設名 絶叫エンターテインメント「VR ZONE SHINJUKU」
営業場所 東京都新宿区歌舞伎町1-29-1
営業期間 2017年7月14日(金)〜期間限定


施設名 VR ZONE OSAKA(ブイアールゾーンオオサカ)
営業場所 大阪府大阪市北区角田町5-15 HEP FIVE 8F、9F
営業期間 2018年9月13日(木)オープン

VR ZONE 公式サイト

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