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[TGS 2014]日本のコンテンツは世界で求められているのか? 理想から現実に移行した「世界進出」の今を語る「アジア・ゲーム・ビジネス・サミット2014」レポート
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印刷2014/09/20 00:23

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[TGS 2014]日本のコンテンツは世界で求められているのか? 理想から現実に移行した「世界進出」の今を語る「アジア・ゲーム・ビジネス・サミット2014」レポート

 東京ゲームショウ2014の初日となる2014年9月18日,イベントステージで「アジア・ゲーム・ビジネス・サミット2014」が開催された。これはアジア圏のゲームビジネス拡大を目指した国際会議で,アジア圏の代表的なデベロッパやパブリッシャによるパネルディスカッションだ。
 アジア・ゲーム・ビジネス・サミットも今年で5回め,TGSにおける海外からの出展数が過去最高数を記録するなど,国際的な交流は年々深まっている。また,さまざまに難航してきた「日本のゲームの国際展開」も,昨今は徐々に軌道に乗ってきた。そんな中,巨大な市場として(あるいはこれからの巨大市場として)注目を浴びるアジア市場において,日本のゲームやコンテンツはどのように受け止められているのだろうか?



パネラーは実に6名,大規模パネルディスカッション


 最初に登壇したのは,モデレーターとなる日経BPの渡辺敦美氏だ。
 氏はまず日経TRENDYでの調査を引用し,「ここ数年,日本におけるメジャーなトレンドには,スマートフォン発のものが多い」と指摘する。
 例えば2年前に2位となったのは「LINE」だし,昨年の2位は「パズル&ドラゴンズ」。今年の上半期は「クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ」「モンスターストライク」が上位に入っている。
 これはあくまでも「日本全体でのトレンド」におけるランキングなので,スマートフォン及びその上で動いているサービスがいかに広範な注目を集めているかの,大きな指標になっていると言えるだろう。
 このように,日本国内においては定番化しているスマートフォンコンテンツだが,果たしてこれはアジア市場では通用するのだろうか? また通用させていくとして,そこにはどんな課題があるだろうか?

 ……という本題に入る前に,今回のパネルディスカッションに登壇したパネリストを紹介しよう。なにしろ全部で6名と,実に多い。

(左から)Revie Sylviana氏,Alvin Yap氏,銭 東海氏,李 京一氏,青柳直樹氏,小林賢治氏

・インドネシア
XL Senior GM Digital Entertainment

Revie Sylviana氏

・シンガポール
TMGamer

CEO Alvin Yap氏

・中国
盛大遊戯

総裁 銭 東海氏

・韓国
GAMEVIL 事業開発本部 本部長/GAMEVIL JAPAN

代表取締役社長 李 京一氏

・株式会社グリー
取締役 執行役員常務 青柳直樹氏

・株式会社ディー・エヌ・エー
取締役 小林賢治氏


各国のトレンド


 登壇者が5か国から6名と多彩な顔ぶれであるということもあって,まずは自己紹介がてら各国のトレンド紹介とあいなった。

・インドネシアの場合
 インドネシアは,世界的に見ると中国・アメリカに次いで人口の多い国家だ。モバイルの普及率は120%(つまり国民1人につき1.2台の携帯端末を持っている計算。なお,ここでいう携帯端末とは,いわゆるフィーチャーフォンも含む)。最近ではAndroid端末が急激に伸びて,シェアの40%程度に達しているが,Blackberryのような端末も健在とのこと。
 スマートフォンアプリないし,そもそもスマートフォンの市場として見ると黎明期にあり,国民全体としてまずはアプリやゲームサイトの基本的な使い方についての教育が必要とSylviana氏は分析した。なにしろスマートフォンを通じ,生まれて初めてインターネットやコンピュータに接することになるので,我々にとっては常識的なUIや仕様であっても,「超初心者」にとっては概念から形作っていく必要がある,というわけだ。
 利用されているアプリの70%はゲームで,FPSやRPG,カジュアルゲームといったジャンルが人気。ユーザーは平均して15〜20ドル程度をゲームに使うという。

 リテラシー以外に大きな問題となるのが支払いで,クレジットカードの普及率は20%程度に過ぎない。このためプリペイドカードなど,物理的な支払い手段をさまざまな形で用意する必要がある。
 XLではGudang Aplikaiという,一種のアプリマーケットを独自に立ち上げており,これはスマートフォンのエントリー層が使うサービスとして人気を博している(2014年にサイトを立ち上げ,すでに100万ユーザーが利用)。もちろん,ユーザーへの情報発信や利用者の購入動向調査も可能だそうだ。

[TGS 2014]日本のコンテンツは世界で求められているのか? 理想から現実に移行した「世界進出」の今を語る「アジア・ゲーム・ビジネス・サミット2014」レポート

 もう一つの問題は通信インフラである。インドネシアではようやく3G通信が普及し始めた段階であり,2Gもまだまだ多い。よって,ブラウザベースのゲームは非常に厳しい。ローエンドのネットワークでも,ハイエンドネットワーク接続時と変わらないゲーム体験を提供できないと苦しいという点には注意が必要とのこと。

・シンガポールの場合
 シンガポールと書いたが,TMGamerはシンガポールだけを見ているのではなく,東南アジア全域を見たビジネスを展開している。というのも,東南アジアを含めた「モバイル新興国」には合わせて20億人のモバイルユーザーがすでに存在し,その75%はこれが「生まれて初めてのインターネット」となる。Yap氏はこのことを「100年に一度のチャンス」と語った。
 その一例として,氏はインドネシアにおいてauスマートパスのようなサブスクリプションモデルを展開している。これは,ただ単に優れたアプリ群を使えるというだけでなく,データ通信プランも込みになったサービスだ。

 またYap氏は,東南アジアではゲームが大きなブームになっていると指摘する。とはいえ,シンガポールは4G回線が普及するなど,他のエリアとは違った特色を持つことには注意が必要だと語った。

[TGS 2014]日本のコンテンツは世界で求められているのか? 理想から現実に移行した「世界進出」の今を語る「アジア・ゲーム・ビジネス・サミット2014」レポート

・中国の場合
 盛大遊戯は上海に本部を置く,オンラインゲームの開発/配信/運営を行う会社だ。2013年から日本のコンテンツのサービスも始めており,「拡散性ミリオンアーサー」「チェインクロニクル」「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」などを運営している。

 モバイルゲーミングにおける中国市場の成長ぶりは圧倒的だが,ここには3つの特殊なポイントがあるという。
 1つめは,中国ではGoogle Playがサービスされていないということ。このため,たくさんのポータルサイトやコンテンツ販売会社がしのぎを削る状態になっている。
 2つめは,政府による規制が強化される可能性。これまでオンラインゲームやコンシューマゲームに対して政府からの規制が行われてきたが,現状でモバイルゲームにはそういった大きな規制がない。だがこれは時間の問題であり,いずれ規制が行われるのではないか,という観測だ。
 3つめは,IPのマルチ展開。1つのコンテンツが,複数のデバイスで展開されるという,日本でいう「マルチメディア展開」が一般的に行われている。

[TGS 2014]日本のコンテンツは世界で求められているのか? 理想から現実に移行した「世界進出」の今を語る「アジア・ゲーム・ビジネス・サミット2014」レポート

・韓国の場合
 韓国のデベロッパは海外志向がもともと強く,GAMEVILの場合,売上の70%は海外でのものだという。大陸別で売上を見ても,多くの国において持続的な成長が続いている。
 全体では,主要なゲームの売上の50%は海外における利益となっている。グローバル志向が強く,さまざまな国のデベロッパとの協業も多い。

 市場の特性としては,韓国ではクレジットカードの普及率が高く,通信回線の品質も良い(LTEがほぼ全域で完備)。このため,通信・課金環境としては日本とほとんど変わらないと考えてよい。

[TGS 2014]日本のコンテンツは世界で求められているのか? 理想から現実に移行した「世界進出」の今を語る「アジア・ゲーム・ビジネス・サミット2014」レポート

・GREEが見る海外市場
 GREEは2004年設立の会社で,今年が会社設立10周年にあたる。だから,というわけではないが,社内の体制をネイティブアプリのゲーム制作に大きく傾斜させ,1800人の社員のうち,1000人がネイティブアプリのゲーム開発に携わっている。また,ゲームのデベロッパに対する投資事業も始めた。
 この効果としては,最近では「Cubic Tour」のヒットが挙げられる。リリースされてから230万ダウンロードを達成したこのゲームは,4人ほどのチームが,3か月で作っているというだけでなく,プロデューサーは台湾出身だという。

 そんなGREEが見る国際市場の特性としては,とくにアメリカのマーケットにおいて,ゲームに参入するスタートアップ企業の減少が注目点として語られた。
 モバイルゲームアプリのマーケットは「ちょっと頑張ったら,すぐ儲かる市場」から,「結構な開発費を投じ,広報などさまざまな努力を大規模に行わねば成功しないマーケット」に,明確に変化したのだ。事実,アメリカでもモバイルゲームアプリがテレビCMを打つといったことが一般的になってきたという。
 そんな中,GREEは海外市場を一緒に開拓するパートナーとしての役割も強くなってきている,と青柳氏は語った。

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・DeNAが見る海外市場
 DeNAの小林氏は,ゲーム市場において最も注目すべき点として,国際的な分業と協業の重要性を語った。つまり,世界のそれぞれの地域で開発を行い,実際にそれを販売・運営する戦略もそれぞれの地域オフィスや企業に任せていくのだ。これを指して氏は「単なるパブリッシュ事業を行うだけでなく,互いに得意なことを持ち寄る,協業体制の構築が重要」と語った。

 実際の施策としては,例えば北米では「WARP」というMOBA系ゲームを,北米のデベロッパと協業で制作し,β版の運営を開始している。また映画人気に合わせてゲームの人気も高まった「トランスフォーマー」は,もともとアメリカのスタジオが作ったものを,中国市場に向けて徹底したカルチャライズを行うことで大きな成功を得た。
 ゲームの傾向としては,「モンスターストライク」以降,明らかにリアルタイム志向が高まっていると分析。
 リアルタイムで協力型のゲームというスタイルは,「モンスターハンター」はもちろん,もっと昔から連綿と続くゲームスタイルだ。しかしこれを,携帯端末向けのUIにカスタマイズするのはもちろん,「持ち寄って遊ぶ」ということに最適化しているのが大きな変化と言える。「白猫プロジェクト」にしても,コアなゲームではあるが,カジュアル層でも十分に楽しめるよう設計されている。
 また各作品はいずれも短時間+高頻度のアクセスが前提となるゲームスタイルで,これは日本が世界に先んじて開発した「スマートフォンらしい遊び方」と言える。

[TGS 2014]日本のコンテンツは世界で求められているのか? 理想から現実に移行した「世界進出」の今を語る「アジア・ゲーム・ビジネス・サミット2014」レポート


日本のコンテンツは望まれているのか?


 続いて,より根源的な疑問が提示された。日本は日々大量のコンテンツを生産し,そのほとんどは国内で消費されていくが,果たして日本のコンテンツは,他国から見たときも同様に魅力的なのだろうか?
 そしてまた,魅力的であるならば,どこに魅力があるのだろう?

[TGS 2014]日本のコンテンツは世界で求められているのか? 理想から現実に移行した「世界進出」の今を語る「アジア・ゲーム・ビジネス・サミット2014」レポート

・インドネシアの場合
 インドネシアでは,西洋文化や韓国文化,日本文化に伝統的なインドネシア文化など,多くの文化が混じり合っている。これらをどう組み合わせてコミュニケーションを取っていくかが,大きな問題となるという。
 とはいえインドネシアにおいて,スマートフォンユーザーの平均年齢は若い。よってこの問題は,「若い人にとってどうか」という部分がより重要だ。
 そしてインドネシアの若者には,日本の漫画やアニメが大きな影響を与えているし,特定のキャラクターがヒットすることもある。ゲームにおいては,「ファイナルファンタジー」「ストリートファイター」もインドネシアでヒットしてきた。


・シンガポールの場合
 一般的に言って,日本のコンテンツはアジア圏全般で人気があり,とくに東南アジアでの人気は根強い。「ワンピース」「ナルト」といった漫画・アニメで育ったという人も,東南アジアでは決して珍しくないという,
 だが,ここで問題になるのは海賊版だ。日本企業が東南アジア市場でビジネスが展開できていないこともあって,市場に先に海賊版が流通してしまうことが多い。

・中国の場合
 中国でも日本のコンテンツは非常に受けている。盛大遊戯では多くの日本産コンテンツがサービスされているが,その成績は良好だという。
 この原因として,日本のコンテンツは大衆に向けて,分かりやすく作られているという点があるという。氏はこれを「しっかりと商品化されている」と表現した。ストーリーも演出も,とにかく分かりやすさが重要というわけだ。
 そのうえで氏は,中国市場に進出するにあたって,今の中国ではIPを利用することが重要だと強調した。そして仮に日本のIPをそのままでは持ち込めない(中国人にとって分かりにくい)としても,あいだに中国の会社を通すことで,中国人に分かりやすく表現することは可能だと語った。
 また「日本のコンテンツ」ではなく,「海外のコンテンツなら何でも良い」のではないかという疑問に対しては,「日本ならではのコンテンツ」という差別化はしっかりと感じているという。そもそもファンは対象IPの原作をインターネットで検索するし,日本のコンテンツの場合は絵柄にも明確な特徴があるからだ。


・韓国の場合
 韓国においても,日本のコンテンツは漫画・コンソールゲーム・モバイルゲームなど,おしなべて人気がある。ただしコンソールゲームは伝統的に市場が小さく,ここには韓国の文化的事情がある。

 というのも,韓国ではゲームは文化というより,社会悪とされることが多いという。最近でも,中毒性の高い産業に指定しようとする動きが政治の世界で起こったし,「ゲームに熱中するあまり幼い子供を放置して死なせてしまう」といった事件が必要以上に誇張されて報道されることもあるという(このあたりの「オタク叩き」は,日本でも心当たりのある現象だ)。
 結果として,家族が集まるリビングルームでコンソールゲームを楽しむよりも,個人の部屋でオンラインゲームを楽しむ文化が育った。つまり,あくまでもゲームは「隠れて遊ぶもの」なのだ。
 ここにおいてモバイルゲームは,究極の“パーソナル”なゲームと言える。これが韓国で急激に発展したのも,むべなるかな,である。

 こういった事情があるため,韓国のモバイルゲーム市場は,よりコンソールゲームやPCゲーム的な,作りこまれ,アクション性の高いゲームが人気を博している。そして結果的に,こうした高いゲーム性を持つモバイルゲームは,海外市場でも安定した人気を博することになった。
 一方で日本は,そういった作品に比べ,まだまだHTMLに依存した部分も見られる。こういった部分は,日本のゲームが海外に進出する際に,一つの障壁になっている可能性があると李氏は指摘した。

 また韓国特有の特徴として,より深いローカライゼーションが欠かせないという部分がある。これは実は文化表現よりゲームコンテンツそのものに課せられる要件だ。というのも,韓国のゲーマーは,日本の普通のユーザーが1か月くらいかけて消費していくコンテンツを,数日のうちに遊びきってしまうからだ。
 はやるゲームの傾向としては,韓国と中国では似たような傾向のゲームがヒットしやすい。一方で日本のゲームが持つ雰囲気や企画力は非常に強いので,ここを互いにうまく使えばWin-Winに持っていけるのではないかと李氏は語った。


・GREEの分析
 スマートフォンアプリに関して言うと,日本はとにかくユーザーの目が厳しいという特徴がある。このことが,コンテンツを洗練させていっているという側面は,確かに存在すると青柳氏は語る。
 また韓国・アメリカ・日本の3か国で比較すると,モバイルゲーム関連企業の数と体力において,日本は最大規模を有してきた。このため,過去のストックが活かせることも多い。
 結果として,「日本のマーケットで通用したゲームは,海外でも通じる」という状況が生まれている。

 また,ゲームをただ配信するというだけでなく,動画メディアを介して流行していったコンテンツはとても強いと青柳氏は指摘した。アメリカでも,TVや映画をうまく組み合わせることは多いという。

・DeNAの分析
 この1年,DeNAは中国市場で成功するケースが発生し始めたが,ここには方法の変革が2つあるという。
 まず1つめは,現地流に任せること。日本ではやったものを,まったく変えずに中国市場に持っていっても,うまくいかないのだ。
 もう1つは,遊ばれ方の違いを意識すること。日本と中国では,そもそも通信インフラの状況からして違うことを考えねばならない。

 そのうえで小林氏は,「昔から日本のコンテンツは世界で大人気だった」と指摘する。だが,ここに立ちはだかってきたのが,またしても海賊版の存在である。
 一方で,F2P(基本無料)というサービスの仕方は,海賊版を越えて収益モデルを成り立たせる構造を有している。「かつては,何をやっても海賊版に市場を圧倒されて,原典が1円にもならなかった。今後はF2Pのような手段が増えていくのではないか」というのが,小林氏の観測だ。

 なおここで小林氏から,「少なからぬ日本の企業が,東南アジアにはチャンスがありそうだと思っている。でも,どのタイミングで進出すればいいのかが分からない。通信インフラや課金決済システムなどが整うまで,どれくらい時間がかかりそうか」という直裁的な質問があった。


 これに対し,シンガポールのYap氏は「インドネシアは規模として有望で,東南アジア市場の半分を有しているが,クレジットカードの普及率は現状で5%程度。ただしインドネシア全体として見ると課金アプリを購入する規模が増加傾向にあり,現状では氷山の一角が市場として現れている状況」と語った。
 また課金モデルとして,現状のインドネシアはプリペイドのスマートフォンが多く,ほとんどのユーザーは30セント程度しかチャージしていないという。このため1ドルのアプリは,「物理的に売れない」のだ。この点については,マネタイズに新しいモデルが必要になるだろうと指摘した。

 インドネシアのSylviana氏は,これから1〜2年後が勝負どころになるだろうという見解を示した。通信インフラに関して言えば,インドネシアでも基地局は増加しており,3Gの普及も進んでいる。
 現状,モバイルアプリの経済規模は鋭い三角形を描いている状況だが,これはやがてダイヤモンド型に移行するとSylviana氏は語る。これは言うまでもなく課金率の向上を促すだろう。



日本側が準備すべきこと


 さて,では実際にアジア圏に進出を望む日本企業は,何を準備していけばいいのだろう? また日本企業と相対する側として,現地企業としてはどのような準備を望んでいるのだろうか?

[TGS 2014]日本のコンテンツは世界で求められているのか? 理想から現実に移行した「世界進出」の今を語る「アジア・ゲーム・ビジネス・サミット2014」レポート

・インドネシアの場合
 問題があるとしたら,言語の問題が一番大きい。ゲームの種類にもよるが,テキストが多いならインドネシア語にローカライズすることは必須となる。
 ただしテキストの量が少ないなら,英語のままでも大丈夫とのこと。

・シンガポールの場合
 日本の企業はよく準備をしているが,それとはまったく別に,タイミングが間違っているというケースがある。日本のような巨大市場から新興国にコンテンツを持ってくるには,タイミングが重要なのだ。
 また,ビジネスの環境が日本と東南アジア諸国では異なっているため,これに慣れる必要がある,とYap氏は語った。


・中国の場合
 「いかに中国人に合わせた製品化をしているか」が重要だと,銭氏はここで“製品化”の重要性を強調した。
 例えば「ガチャ」モデルは,日本のパチンコ文化から生まれたと言われるが,中国にはそもそもパチンコがない。このため,いかに自然にガチャを回す導線を作るかは,日本と中国ではまったく違ったノウハウが必要になってくる。
 そのうえで,「今,中国ではやっている中国産のゲームを遊んで,なぜ中国人はここでお金を払うのかをしっかり研究してほしい」と語る銭氏の言葉には,非常に説得力があった。


・韓国の場合
 日本の商慣習が絡む問題だが,IPやライセンスの管理の話になると,途端に手続きが複雑化する。また本国での検収からの再修正の連続など,パブリッシャとして信頼されているのかどうか疑問に感じてしまうことも少なくない,と李氏は指摘した。
 とにかく手続き,手続き,また手続きというシステムには,壁を感じざるを得ないようだ。

・GREEの分析
 韓国と中国のユーザーのゲームの使い方と,日本のゲームユーザーのそれは大きく違う。むしろ日本とアメリカが近く,韓国と中国が近い印象がある,と青柳氏は語った。
 そして「自分達がその国のゲームを遊んで理解していかないと,その国で受け入れられるゲームを提供するのは無理」と,銭氏と同じ見解を示した。


・DeNAの分析
 大きな課題として「現地の人の感覚を信じられるようになれるか」という点を,小林氏は指摘した。

 例えばUIについて,日本人であれば横スクロールアクションで主人公がジャンプするタイプのゲームならば,Bボタンを押せばキャラクターがダッシュすると思い込む。またAボタンは決定,Bボタンはキャンセルというのも,日本における「常識」だ。しかしこれらは,例えばキーボード&マウスでの操作が基盤となってきた国では,まったく通じない。
 こういった,細かいけれど重大な差異を,全部ピックアップしてマニュアル化するというのは,あまりにも現実的ではない。むしろ現地で,現地のスタッフに判断してもらうのがベストなのであって,ここでは「謙虚さと寛容さが欠かせない」という。

 これはプロモーションにおいても同様で,日本であればローンチしてうまく当たったら,テレビCMを打ってさらにヒットを拡大させるという手法が一般的だが,テレビCMの効果は国によってまったく異なる。
 むしろ,ローンチ前に情報をどんどん出して,ユーザーの間での期待感と知名度を高めていく,プレローンチ・マーケティングのほうが海外では効果的であったりもするという。
 このように,「その国のユーザーが,何を見たら『ピンときた』状態になって,インストールまで進んでくれるか」は,現地における「自然な感覚」による判断に必要になってくる。「ローカルのことは,ローカルで完結したほうがいい」と小林氏は語った。

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 それぞれの「国」の集合体である「世界」市場で戦っていくために,各国において信頼できるパートナーを見つけ,協業関係を作っていくことの重要性が語られたパネルディスカッションだったが,最後に2015年の目標を語るなかで,小林氏が示した言葉が印象的だったので,要約して引用しておこう。

「コンテンツを作る人に,収益を還元する手段が必要。コンテンツの作り手に収益が返ってこなければ,コンテンツは作り手ごと消えてしまう。その仕組みを,グローバルで伸びている市場で作るのが,目標となる」

4Gamer「東京ゲームショウ2014」特設サイト

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