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業界最高の低遅延を謳うBluetoothイヤフォン「HP-P100BT」の実機をチェック。低遅延の鍵はどこにあるのか
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スマートフォンやタブレット端末で,Bluetoothヘッドセットやイヤフォンを使ってサウンドを聞きながらゲームをプレイする人は多いだろう。2021年9月には,Nintendo Switch(以下,Switch)もBluetoothヘッドセットでのサウンド再生に対応したので,ますますゲームにおける利用シーンは広がっている。
ただ,Bluetoothヘッドセット・イヤフォンを使うと,ゲームタイトルによっては映像に対して音が遅れて聞こえる現象が気になったり,悩まされたりすることもあるだろう。そこで,ゲームにおける音の遅延時間を短くした「ゲームモード」や「低遅延モード」を備えるBluetoothイヤフォンが,各社から登場しており,ゲーマーの注目を集めている。ラディウスのHP-P100BTも,そうした低遅延モードを特徴とするBluetoothイヤフォンだ。
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本稿では,HP-P100BTを写真で紹介するとともに,Bluetoothヘッドセット・イヤフォンにおける低遅延モードとは,いったいどういう仕組みで動いているのかについて説明しよう。
HP-P100BTの外観をチェック
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イヤフォン本体の形状は,下方向にすこし尖ったティアドロップのような形をしている。耳に収まりやすいサイズと形状で,Appleの「Air Pods」シリーズのように目立つ突出部分はない。悪目立ちしにくい外観と言えよう。
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HP-P100BTは,周囲の音を集音,解析して逆位相の音を再生することで,ノイズを聞こえにくくするアクティブノイズキャンセリング機能「ハイブリッド・ノイズキャンセリングモード」を備えるのも特徴だ。HP-P100BTの側面にある孔は外音取りこみ用のマイク孔となっており,これとは別に,イヤフォン内部のドライバー正面にもマイクを組み込んでいる。そして,外向きのマイクで外音を,内部のマイクでイヤフォンの出力音声を取り込むことで,誤差を解析して適切な逆位相の音を生成できるため,ノイズを抑制する能力が高いという。
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そのほかにも,IPX5相当の防滴性能や,最大4台の機器とのマルチペアリング,音声アシスタント機能など,今どきの完全ワイヤレス型Bluetoothイヤフォンで求められる機能は,もらさず備えていると言えよう。
●HP-P100BTの主な仕様
- 基本仕様:Bluetooth 5.1接続対応
- 公称本体サイズ:未公開
- 公称本体重量:未公開
- 接続インタフェース:USB Type-C(充電ケース)
- 搭載ボタン/スイッチ:タッチセンサー(再生/停止操作,受話/終話操作,モード切り替え,音声アシスタント機能など)
- 最大通信距離:約10m(見通し通信距離)
- バッテリー駆動時間:最大6時間(Sound Control ON時),最大6.5時間(Sound Control OFF時)
- 主な付属品:USB Type-C to Type-A接続ケーブル,交換用イヤーピース
- メーカー想定売価:1万6500円前後(税込)
- 周波数特性:20Hz〜20kHz
- インピーダンス:32Ω
- 出力音圧レベル:102±3dB
- スピーカードライバー:10mm径
- 方式:未公開
- 周波数特性:未公開
- 感度:未公開
- インピーダンス:未公開
- S/N比:未公開
- 指向性:未公開
HP-P100BTはどのように遅延を短縮しているのか
一通りHP-P100BTについて見てきたので,遅延の話に移ろう。
スマートフォンとBluetoothイヤフォン・ヘッドセットを組み合わせたときの遅延対策には,以前からQualcomm独自の低遅延伝送技術「aptX Low Latency」(以下,aptX LL)に対応する製品を使うという方法があった。ただ,これにはQualcomm製のスマートフォン向けSoCを搭載する端末や,aptX LL対応チップを組み込んだBluetoothイヤフォン・ヘッドセットが必要であったため,それに該当しない環境,たとえばiOS端末やゲーム機では利用できないという問題がある(※外付けのaptX LL対応トランスミッタを使うことで,非対応環境でも利用できる製品もある)。
ところが,2019年にRazerが,低遅延を特徴としたゲーマー向け完全ワイヤレス型Bluetoothイヤフォンの「Razer Hammerhead True Wireless earbuds」(以下,Hammerhead)では,aptX LLを使うことなく,標準的なBluetoothのオーディオコーデックである「SBC」対応のデバイスであれば低遅延モードを利用できた。iOS端末でもSwitchでも,外付けBluetoothトランスミッタを使うことなく,低遅延でのサウンド伝送が可能になったわけだ。
Hammerheadの登場以降,標準的なBluetoothでの低遅延モードを売りとする製品は各社から登場しており,HP-P100BTもそうしたBluetoothイヤフォンの一種である。
では,業界最高クラスの低遅延を謳うHP-P100BTは,どのようにして音声の遅延を短縮しているのだろうか。
ラディウスで取締役 営業部長を務める香田 康晴氏にうかがったところ,当然ではあるが具体的な詳細は明らかにできないとのことだったが,若干のヒントはくれた。香田氏によると,鍵は「バッファリング」であるという。バッファのサイズを最適化することで,通信に要する時間を短縮できるのだそうだ。
aptX LLも,パケットサイズを小さくしたり,バッファリング手法を変えたりといった手段で低遅延化を実現しているとQualcommは公表しているのだが,HP-P100BTでは,それとも異なる手法を用いているという(※まったく同じ手法では,他社が有する特許に抵触する可能性があるからだろう)。
ラディウスが第三者機関に依頼して計測した結果によると,競合他社の低遅延モード付きBluetoothイヤフォンでは,約60msの遅延があったところ,HP-P100BTでは約40msと,30%以上低遅延になっていたそうだ。ゲームにおける遅延短縮効果も期待できそうである。
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HP-P100BTは,低遅延モードやアクティブノイズキャンセリング機能を備えた完全ワイヤレス型Bluetoothイヤフォンとしては,比較的低価格という利点もある。スマートフォン用に新しくワイヤレスイヤフォンを導入しようと考えているゲーマーは,HP-P100BTを選択肢に入れておくと良さそうだ。
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ラディウスのHP-P100BT製品情報ページ
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