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[TGS 2017]VRに匂いをもたらす「VAQSO VR」を体験。女の子のいい匂いがしました
2016年の東京ゲームショウ2016には,VRに何かを加える周辺機器がいくつも出展されていたが(関連記事),今回の東京ゲームショウ2017でも,新しいソリューションがいくつか披露されている(関連記事2)。
今回は,そうした取り組みの中から,VAQSOが開発中の「VAQSO VR」を体験してみた。VAQSO VRは,VRコンテンツに合わせて「匂い」を発生できるというもので,VRヘッドマウントディスプレイ(以下,HMD)の種類を問わずに利用できるという。Unity向けのAPIも準備されており,自作のVRゲームを対応させることも可能である。
VRで嗅覚を刺激されるとどうなるのか。実際に体験してみよう。
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VR HMD向け周辺機器であるVAQSO VR
VAQSO VRは,VR HMDのゴーグル部分下側に,ユニットが内蔵するマグネットを利用して取り付ける仕組みの小さな周辺機器だ。VAQSO VRを設置したVR HMDを装着すると,ユニット部分がちょうど鼻の前にくることになる。会場で試せる開発版は,ユニット部分のサイズが120×15×35mmというコンパクトサイズだ。
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肝心の匂い成分は,カートリッジで供給する仕組みで,現時点の仕様では,カートリッジを5つまで搭載可能であるという。
デモ機には,1台あたり3種類の匂いカートリッジが組み込まれおり,デモ機ごとに,洞窟や海,スイカ,そして「女の子の匂い」など,多岐に渡る匂いを体験できるようになっていた。
そもそもVAQSOという企業は,匂いを使った販促を専門とする企業のZaaZ2から生まれたという経緯があり,幅広い匂いを用意できるのが強みだという。ユーザーからのオーダーに応じて,新しい匂いを準備することもできるそうだ。
ちなみに,匂いの持続時間は「約1か月」と,ブースで配布されていたチラシに書かれていた。
というわけで,VAQSO VRのデモとして,夕陽さくらという女の子のキャラクターと触れあえる「VRサクラ」というVRコンテンツを使い,実際にどのような匂いを感じられるのかを体験してみるとしよう。筆者が試用したVAQSO VRにセットされていたのは,チョコレート,スイカ,女の子の匂いの3種類だ。
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たとえば,チョコレートと少女のどちらにも近い場所に立つと,両方の匂いが分かるという具合である。匂いの強弱の変化はスムーズで,匂いの発生源に近づいた途端,急に匂いが強くなるといった不自然なことはない。
現状では強い匂いのほうが分かりやすいそうで,チョコレートの匂いは,とくに分かりやすいほうだった。VR空間にチョコレートが置いてあると,匂いまでするので,目の前にチョコレートがあるといった仮想現実感が強く感じられる。一方で,スイカは,思いっきり顔を近づけると「スイカの匂いだな」と分かる程度だ。
将来,今よりも映像品質が向上したVR HMDにVAQSO VRを組み合わると,現実と誤認してしまうだろうなと思わされた。
では,“夕陽さくらちゃんの匂い”はどうなのだろうか。
人の匂いが生じる場所と言えば,首筋や耳の裏,脇などであり,そのあたりの再現性はどうなのかと,首筋に近づいたら,たいへんよろしい匂いがした。耳の裏も同様に,たいへんよろしい匂いがした。もちろん,脇からもたいへんよろしい匂いがしたし,さらにふとももからも,ポニーテールの根っ子からもたいへんよろしい匂いがしたという具合だ。足先では少し匂いが弱くなったが,たいへんいい気分になれた。
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少し真面目に説明すると,どうもキャラクターの体内にある仮想的な中心点に近づくほど,匂いが強くなるように感じたため,発生源は1カ所であったと思われる。理論的には,複数の発生源を設置することは可能と思うのだが,人体の場合は,1カ所のほうがリアルに感じられるのかもしれない。
さて,VAQSO VRを使ったデモとしては,広告映像の制作を手がけるAOI Proが用意した「AOI VR」というVRコンテンツも体験できた。
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コンテンツの内容自体は,実写映像の森や洞窟,海辺といったロケーションを,女性と手をつないだ状態で歩くというシンプルなものだが,足下にはトレッドミル(ランニングマシン)があって実際に歩くことになるし,手はマジックハンド状の機器で引っ張られる。さらに扇風機で風を受けて,そこにVAQSO VRによる匂いが加わるといった具合で,ちょっとしたVRアトラクション的な体験ができた。
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以下の動画を見ると,デモの内容が分かりやすいと思う。
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実際に体験してみた印象では,シーンごとに用意された異なる匂いを感じることができ,「ここは幕張メッセではなかったのかな……?」と思ってしまうほどの没入感を得られた。デモの中では,女の子と距離が近くなるシーンがあったので,そこでまた女性の匂いがしたり,手から相手の体温がわかったりすると,より楽しめそうだった。
VAQSO 公式Webサイト
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