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インディーズパブリッシャがコンテンツに求めるものとは。4社が語り合ったBitSummitのトークイベントをレポート
ステージに上がったのは,GameTomoのMichael Ely氏,DANGEN EntertainmentのDan Stern氏,Coatsink SoftwareのKane Forrester氏,X.D. NetworkのBrandy Wu氏の4人。GameTomoは「SUPERHOT」「Cuphead」,DANGEN Entertainmentは「Momodora: 月下のレクイエム」「Minoria」などの日本におけるパブリッシングを担当しており,Coatsink Softwareは出来たばかりの会社だが,自社タイトルの「SHU」を昨年リリースしている。そしてX.D. Networkは,中国で提供予定の「Human: Fall Flat」がすでに400万の事前登録を集めている。
最初の話題は,「自分の会社のユニークなところは?」というもの。Wu氏はX.D. Networkの強みとして,さまざまなプラットフォームに投資していること,そして早い段階から中国でのインディーズゲームのパブリッシングを手掛けており,現在ではナンバーワンと呼べる存在であることを挙げた。またStern氏は,DANGEN Entertainmentの特徴として,クリエイターコラボを積極的に行っていることをアピール。例えば,「ベア・ナックル」風のアクションゲーム「The TakeOver」では,ベア・ナックルの作曲者である古代祐三氏に主題歌を作ってもらったという。
「ゲームをパブリッシングする際に最も大切にしていることは?」という質問では,Ely氏がGameTomoにおける採用のプロセスを紹介。同社ではまず,担当チームがゲームのデモ版をプレイして内容を検討し,さらに48時間後に,そのゲームをその後もう一度プレイしたかをお互いに確認し合うそうだ。つまり,また遊びたいと思わせるようなゲームであることを重視しており,そうでない場合はパブリッシングするという判断には至らないというわけである。
また,「販売地域ごとに,ほかのパブリッシャと組むべきか?」というトピックでは,CoatsinkのForrester氏が地域によっては得意でないパブリッシャもあるため,例えば日本で発売するなら日本のパブリッシャと組むほうが,より良い結果を得られるだろうと回答。Wu氏もこれについては同意見で,とくに中国では独自のソーシャルメディアのプラットフォームやストアなどがあり,異なるマーケティング手法が必要とされる。そうしたことを考えると,ほかの国でゲームを販売する際は共同パブリッシングを行うか,任せてしまうのが賢明であるとした。
そして,パブリッシャを探しているデベロッパへのアドバイスとして,Stern氏は気になるパブリッシャからゲームをリリースしている,ほかのデベロッパに話を聞いてみるのがいいとコメント。Ely氏は,長くゲームを作り続けていると,開発者は客観的に自分のゲームを見られなくなりがちなので,例えばBitSummitのようなイベントに出展して,周囲からのフィードバックやアドバイスをもらうことが重要であると話していた。
BitSummit会場を見渡してみると,数年前と比べて,日本語ローカライズされた海外タイトルが飛躍的に増えていることにすぐに気づく。それだけ多くのパブリッシャが参入するようになった証だが,各社それぞれが工夫を凝らしながら,海外の良質なゲームを日本に届けてくれるようになったのは,素直に嬉しいことだ。一方,競争が増したことで,見どころのある(手つかずの)新規タイトルを見つけるのが難しくなってきているという話も聞くが,いちゲーマーとして,これからも面白いゲームがどんどん日本語で遊べるようになることを期待したい。
BitSummit 7 Spirits公式サイト
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