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印刷2026/03/27 18:43

イベント

「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2026」出展作品レポート(前編)。かつて学び舎だった会場に“正解のない表現”が集う!

 インディーゲームを遊ぶ体験とは,制作者たちの心の「小宇宙」にトリップすること──。

 2026年3月20日と21日の2日間,インディーゲームの祭典「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2026」(以下,TIGS2026)が,東京・高円寺で開催された。会場を歩き,いくつものゲームを遊ぶ中,筆者は改めて,このように感じさせられた。

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 東京・高円寺にて本日(2026年3月21日)開催されるインディーゲームイベント「TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2026」を,前日のビジネスデイの模様を通して現地の雰囲気をお伝えしよう。元小学校の会場施設には,1階から3階まで個性的なゲームが盛りだくさん。新たなゲーム体験との出会いを逃さないよう,隅から隅まで楽しもう。

[2026/03/21 08:15]


 今回の会場となった「杉並サイエンスラボ IMAGINUS(イマジナス)」は,小学校をリノベーションした施設だ。かつて子どもたちの学び舎であった場所にブースが並ぶ光景は,「キャンパスでの学園祭」のようでもあり,少し童心に帰るような温かさがあった。

体育館だったホールには校歌のパネルも残る
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 子どもたちが学び,そして大いに遊んでいた空間で,正解のない表現を問う。
 これは,“インディーゲームを中心とした様々なクリエイターの才能が一堂に会し,頂きを目指すきっかけとなる場”を謳うイベントに,これはこれでピッタリな会場にも思えた。

理科実験室がそのまま残されていた
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 出展されていた各作品から伝わってきたものは,計算され尽くした知性のひらめき,やり場のない孤独,何かを笑い飛ばすいたずら心と,本当に多種多様だった。
 前後編でお届けするレポート記事では,会場で筆者が出会った,いくつかの小宇宙について記録していきたい。

 さて前編の1本目は,TIGS2026のアワードで最高賞を獲得したあのタイトルから──。

CYCLIA JOURNEY

出展者:Wonderfy Inc.

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 TIGS2026の最高賞である「TIGS AWARD 2026 大賞」と,「脳汁スパーク(ひらめきの快感)部門賞」をダブル受賞した本作。制作を手掛けたのは,知育アプリ「Think!Think!(シンクシンク)」や「ポケモンフレンズ」などの開発を行うワンダーファイだ。

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 ゲームの目的はとてもシンプルで,「鍵を取ってゴールに向かう」だけ。しかしステージが進むと,キャラクターを動かすだけでは鍵を入手したり,ゴールにたどり着いたりすることができなくなってくる。
 そこで必要になるのが,ステージに作用する「くりかえしの力」だ。主人公はステージの形をコピーし,各ステージで決まっているルールに従って配置できるので,これを活用して鍵とゴールに続く道を作りだしていく。

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 カギを取るのは,自分自身でなくコピーしたステージ側に生まれた「コピーの自分」でもOK。さらにステージが進むと,ある程度動いたあと,ステージをつなぎ直す必要もある。「解き方」に自分で気づいていくことが楽しい「知識アンロック系」作品なので,内容をあまりバラせないのがもどかしい。

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 シンプルなルールで奥深い遊びを楽しめる本作だが,少し詳しいプレイ感を知りたい方は,ぜひ過去記事もチェックしてほしい。

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 ワンダーファイは,パズルゲーム「CYCLIA JOURNEY」を本日配信した。本作は,知育アプリや教育教材を展開する同社が手掛ける初のオリジナルゲームタイトルだ。ルールはシンプルだが,「くりかえし」の力を使ってステージをコピーするというギミックはオリジナリティが高い。本稿で詳しく紹介しよう。

[2025/11/13 12:10]



きっと大丈夫だよね!

出展者:ヨカゼ(room6)/なのはな

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 夜の帳が下りたハイウェイを車で飛ばしながら,隣に座る人物と言葉を重ねる。本作は,そんなシチュエーションを描いた短編アドベンチャーだ。なのはな氏が個人で制作し,room6のインディーゲームレーベル“ヨカゼ”から3月にリリースされている。

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 背後に流れていく街灯を眺めながら耳にする,少女のつぶやきはどこか自虐的だ。遠回しな言い方の裏には,誰かからの「肯定」を求める思いが透けて見える。

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 今の時代,相手を肯定してあげるだけなら,ChatGPTやGeminiといったAIのほうがよほどソツなく,優しくやってのけるだろう。だが,人同士の──あるいはゲームという媒体を通した対話において,求められているのはそのような「正解」なのだろうか。

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 彼女が求めている言葉を,安易に差し出すのはなにか違う。かといって,心を壊すようなショックを与えるのもためらわれる。

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 ……そんな葛藤を抱えつつ遊んでいたはずなのだが,筆者は不思議と「厳しい言葉」ばかりを選ぶようになっていた。真夜中のドライブというシチュエーションが,意識しないうちに,相手ではなく,自分自身に向けた言葉を選び取らせていたのかもしれない。

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 作中の2人は対話しているようでいて,実はお互いに「ひとり思い」を抱えたまま並走しているようにも見える。おそらく,それはゲームだからというだけでなく,人同士のコミュニケーションの剥き出しの姿でもあるのだろう。

 「きっと大丈夫だよね!」という祈りにも似たタイトルが気になった人は,ぜひ本作をプレイしてみてほしい。すべてのエンディングを見たあと,もうひとつの結末が明かされる──。

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わびさび寿司ダービー

出展者:ITAMAE STUDIO

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 寿司のような……いや寿司にしか見えない謎の生物がレースを行うゲーム。プレイヤーは寿司を握り,競争寿司として鍛え上げながらレースへと挑む。目指すは寿司レースの頂点「S1」カップ優勝だ。開発はITAMAE STUDIOで,講談社ゲームラボがパブリシティを担当している。

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 みんなが大好きな「お寿司」と「競馬」をうまく(?)ミックスした本作。そのかわいいビジュアルと,企画の佇まいというか茶目っ気が評価され,アワードでは「とにかくカワイイ部門賞」を受賞している。

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 ゲームサイクルは,レースに挑戦→獲得した賞金でさらなる寿司を握る→グレードの高いレースを目指す……という感じで,すんなりと入っていける人は多いはず。

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寿司にコーンだって!? いや筆者が古いだけか……

 モノが寿司である以上,競馬とは違うところもある。レース場は回転寿司のレーンや寿司屋のカウンターなので,うっかりお客のハシにつままれれば食べられてしまうことも。寿司をダッシュさせてかわすこともできるが,そのネタを食べたい客が多いと万事急須,いや休すである。

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 なお出走を続けていると「鮮度」が落ち,能力も下がってしまう。ならば,どこかで食べられてしまうほうが寿司としては本懐なのかもしれない。

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 幕張メッセで開催中の「東京ゲームショウ2025」の講談社ゲームラボブースに,新作「Wabisabi : Sushi Derby」の体験版がプレイアブル出展されていた。本作は,握った寿司をトレーニングし,レースを勝ち抜いていく育成シミュレーションゲームだ。本稿では,その試遊レポートをお届けしていく。

[2025/09/28 13:11]



SHIBUYA SUSHI MASTER

出展者:TOONLEAGUE, アサリ

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 寿司ネタでもう1本。こちらは「VA-11 Hall-A」や「コーヒートーク」系の作品で,カウンターで寿司を提供しつつ,お客と会話する内容になっている。

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 舞台は,海面上昇によって水没しつつある近未来の渋谷。主人公の寿司職人が営む店は,水上に浮かぶ屋形船だ。

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 最初にやってきた客は記者風の男であった。
 なんとなく,ブースの机越しに制作者と向かい合う,リアルの現状と被っている気がして,心の中で苦笑い。ああ,こっちもネタを足で稼いでいる最中ってわけさ……。へいマグロ軍艦お待ち。

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 次に来たコワモテの客は,どうやら先代からの馴染みらしい。注文はカニカマだ。

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 寿司を提供したあと,お気に召さなかったのか遠回しな説教が続くが,不思議と嫌味はなく,自然と神妙な面持ちにさせられる。だが,外で銃声が響くと,彼はやるべきことを果たすため,すぐに店を出ていくのだった。

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 この先描かれるであろうハードボイルドな展開や,人間模様が気になる本作。制作した木村裕之氏によれば,こだわったのは物語や寿司のビジュアルだけではないという。
 船の動きに合わせて客の背後を流れていく「渋谷の夜景」こそ,最大の力を注いでいるそうで,ふと氏の名刺を見れば,オフィスの住所は渋谷。執着にも似たこだわりが垣間見えることにも頷かされた。

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 と,ここまでは知性や情緒,直球なかわいさといった,いわば「メジャーコード」なタイトルをお伝えしてきた。
 しかし音楽同様,「マイナーコード」だったり,不協和な和音がアクセントになっていたり,ノイジーだったりな作品が深く刺さる人もいるであろう。ここからは,そんな少し不穏な作品たちに「転調」してみる。


Like Me

出展者:kirito, eby, sema

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 本作は,引きこもりの幼馴染であるひよりを,VTuberの「つきみん」としてデビューさせ,フォロワー100億人(!)という,地球の総人口とどっこいの数字を目指すサポートシミュレーションだ。アワードでは,「脳汁スパーク(ひらめきの快感)部門」にノミネートされていた。

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 ジャンルとしてはクリッカーであり,放置ゲームであり,そしてSNSの闇を見つめるアドベンチャーでもある。主な操作は,画面に流れるSNSの「いいね」ボタンを連打すること。

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 ……といっても,清く正しく応援するわけではない。不正なサーバーやサービスを駆使し,オートで「いいね」を爆速水増しするという,かなりグレーというか,アウトローな設定なのである。

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 まあ,そんなやり方をしてマトモに上手くいくわけがないのだが,炎上が手に負えなくなったら活動を終了し,新たなVTuberとして「転生」し,イチからやり直せば大丈夫。すでにフォロワーアップのノウハウは,この手に掴んでいるのだから。

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 作者のキリト氏の本業は,ウェブトゥーンの編集者とのこと。本作で描かれるあれこれは「ダークウェブで行われている,かもしれない行為を意識している」そうで,なんともいえないリアルさがある。

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 また,ミニゲーム中にプレイヤーを邪魔する「バナー広告」もいかにもそれっぽく,妙にツボってしまった。こちらはAIを駆使して「それっぽく」考えてみたそうだが,本物のバナー広告もきっとそんな作り方なのかもしれない。

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Insider Trading

出展者:Naiive

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 「いいね」を水増しする程度ではまだ大人しいと感じる人にはこちら。今年のTIGSで「何度も遊びたい部門賞」をゲットした「Insider Trading」だ。

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 タイトル通り,本作のテーマは……あまり大きな声では言えない取引だ。プレイヤーは株式市場を相手に,あらかじめ手に入れた情報やデッキに組み込んだカードを駆使し,株価をねじ曲げて利益を上げていく。

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 ローグライクやデッキ構築型のゲームなのだが,戦う相手はモンスターではなく「マーケット」そのもの。株価チャートをいじくる感覚は,ほかのカードゲームでは味わえない独特の迫真感がある。

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 ただ欲張りすぎて株価を吊り上げすぎると,自分自身がマーケットから締め出されるリスクもある。カードを把握してパークを組めるようになるまでは少々手こずるが,そこからはどハマリするタイプに思えた。
 なお取材時間が大幅に削られそうだったので,筆者は早々に相場から撤退させていただいた。本当にハマル。

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ダンジョン崩し

出展者:KOTARO YOSHIDA

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 最後は,筆者が個人的に好きなゲームが,発売からけっこう過ぎたタイミングにも関わらず出展されていたので紹介しよう。
 制作者は「勇者30」「百人勇者」などで知られる吉田浩太郎氏。パブリッシャは,TIGSの企画や運営にも関わっているPhoenixx(フィーニックス)だ。

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 本作は,「ダンジョンは探索するものではない,壊すものだ!」と言わんばかりに,壁をぶち壊して近道を作り,強行突破して下層を目指すアクションシューティングだ。

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 道中でスキルを拾えば,弾の威力も数も,仲間の戦力もどんどんインフレ! 最初はびくともしなかった壁も,終盤には一瞬で溶けていく。この「ダンジョンどころかゲームそのものを破壊する」ような爽快さ,わかってもらえるだろうか。

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 現代への風刺や,斬新すぎる発想,思わず唸ってしまうテーマなどがあるわけではない。だが,こういうプリミティブでほどよい気持ちよさは,いつの世も求めらているはずだし,幅広いプレイヤーが楽しめるのではないかとも思う。
 こういう「突き抜けてしまった作者の手並み」に触れる瞬間もまた,インディーゲームを遊ぶ醍醐味だ。

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 知性,情緒,様式美,そして社会の毒や欲望を経て,最後はすべてを物理的に粉砕したレポート前編。こうして並べてみると,今のインディーゲームシーンが「混沌とした並行宇宙」であることを,体現してしまったようにも思えてくる。

 ……いやいや,そんな風に綺麗にまとめてしまうのも,少しおこがましいのかもしれない。あくまで会場で触れた小宇宙を並べてみたら,頭にそんな言葉が浮かんだだけのこと。
 理屈は抜きに,それぞれの作品が放つ思いや熱量を,そのまま受け取っていただくきっかけになれば何よりだ。

 というわけで,トリップは後編の記事へと続く。ぜひお楽しみに。

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協賛企業の展示もとても力が入っていた。こちらはそのごく一部
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