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音楽と近接バトルの融合。伝説のバンド「Dead as Disco」
本作の主人公は,ドラマーのチャーリー・ディスコだ。伝説のバンド「Dead as Disco」の一員である彼は,ある日突然謎の死を遂げてしまう。
彼が死んでしまったことで,バンドは崩壊し,街には邪悪なエンタメ企業「ハーモニー」が売りたいアーティストの曲だけが流れている。「Dead as Disco」の元メンバーたちもチャーリーの曲を売り,ハーモニーに取り入っている始末である。
しかし,チャーリーは謎のドクロであるヴァイスと取引し,一夜限りの復活を遂げた。仲間たちの裏切りの真相,そして自分を殺したのが誰なのかを探るため,チャーリーの反撃が始まった。
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本作は「Music meets Melee」というキャッチコピーの通り,音楽のリズムに合わせて,パンチやキックを繰り出し敵を倒していく。
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最大の特徴は,アニメや映画で,キャラクターの動きや効果音が楽曲と合わさる「音ハメ」が自然と起こる点である。音ハメはゲームでもおなじみだが,タイミングをピッタリ合わせる必要があるため,あらかじめ作り手が用意したムービーやカットシーンに限られるのが普通だ。
しかし,本作では普通にプレイするだけでSEが音ハメ演出になる。テンポの速い / 遅いに関係なく,計ったかのような音ハメとなるため,プレイは常にクライマックスのように感じられる。操作性も良好で,チャーリーは思った通りに動いてくれるため,プレイしていて非常に心地よい。
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チャーリーが操る武術「ビートクンドー」は,ジークンドーをベースにしていて動きがかっこいい。黄色い服を着た細身のイケメンが,ビートと同時にワンインチパンチ(寸勁)を決め,食らった悪漢が何メートルもぶっ飛ぶ――格闘技やアクション映画など,さまざまなものが渾然一体となったロマンが詰まっているようで,心を震わせてくれる。
拳法の動きには独特の美しさと,何が起こっても不思議ではないと感じさせる,ある種の神秘が存在しており,チャーリーの超人的な活躍にも説得力が生まれているのだ。
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敵はチャーリーの周囲から襲い掛かってきて,正面の敵を攻撃していたら,背後の敵が殴ってくることは日常茶飯事である。
そんな時は「カウンター」の出番だ。カウンターは,たとえ死角からの攻撃であってもボタン1つで受け止めて反撃してくれる。敵には,銃器や体当たりといったカウンターできない攻撃を使う者もいる。その場合は,ドッジで攻撃をかわそう。そして,敵がよろめいたら,「止めの一撃」を叩き込んで倒してやろう。
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敵がこちらを取り囲む,1ボタンで方向を問わずにカウンターが発動する,といった要素は「バットマン:アーカム」シリーズを思わせる。
確かに本作の戦闘システムは「バットマン:アーカム」シリーズの影響を感じるが,リズムを意識した入力をしなくても音ハメの楽しさを味わえるような工夫に本作のオリジナリティがある。
クリアするだけならリズム通りにボタンを押すことを意識しなくていい,というのも嬉しい点だ。最初は敵を倒すことに集中し,慣れてきたらリズムに合わせて敵の攻撃を華麗に捌きつつ,群がる悪漢を次々打ち倒していこう。
戦闘システムに慣れる過程で,音ハメの気持ち良さを知ることができる作りとなっており,自然と音ハメを意識するはずだ。ゲームと音楽の融合はさまざまな形で試みられてきたが,本作は1つの答えを提示している。
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もちろん,入力をリズムに合わせればご褒美がある。カウンターやドッジをタイミング良く決めるとより高いスコアを得られる。また,通常攻撃をリズムに合わせて繰り出すと強化版となりスコアの倍率も上がるほか,スキルのリソース「フィーバーメーター」が溜まる。
溜まったフィーバーメーターを使って,高速のドラムスティック連打「フィーバーラッシュ」,ベースでぶん殴る「ベース・インベーダー」,あらゆる攻撃を受け止める「ショーストッパー」といったスキルを状況に応じて使い分け,敵を倒していこう。
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押さえておきたいのは,攻撃を空振りしても倍率やフィーバーメーターが溜まっていくという点だ。通常のゲームならグリッチとして真っ先に潰されそうな現象だが,本作はチャーリーの活躍を楽しむゲームであるがゆえ,意図して残されているのだろうか。
こうしたバトルのクライマックスとなるのがボス戦だ。ボスは「Dead as Disco」の元メンバーだ。
ともにハーモニーと戦い,互いを裏切らないと誓ったはずの戦友同士だ。身体を機械化したロック系ギタリストのデックス,ハーモニーが作った美少女AIでK-POPを歌うアローラ,パンク系ベーシストのヘムロック,ラッパーのプロフェットといったメンバーたちは,ジャンルもスタイルもバラバラで個性的である。
皆をつなぎとめていたのはチャーリーだが,なぜか彼らはそのチャーリーが裏切ったと誤解し,襲い掛かってくる。
幻覚のような世界にチャーリーを引きずり込み,空を飛んで飛び道具を連射してきたり,雑魚をけしかけてきたりするなど,さまざまな攻撃パターンを持っているため手強い。
倒すと,前述したスキルを手に入れられ,チャーリーがよりパワーアップしていく。また,スコアに応じて得られた「ファン」を使うことで,体力の上限を上げたり,新たな技を習得したりといった恒久強化も充実しているため,繰り返しプレイすることでいつかはクリアできるはずだ。
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一通りのボスを倒したら,やり込みのスタートだ。メンバーたちのエピソードを先に進めるには,隠しアイテム探しや2体のボス戦では,困難なミッションをクリアしなければならず,なかなかにやりがいがある。
そして,「インフィニット・ディスコ」というただバトルに没入できるモードも存在する。1プレイが数分で終わるのに加え,楽曲のジャンルもハードロックやヘヴィメタルにラップやボカロ曲,「Maniac」「The Final Countdown」「Holding Out For A Hero」といった懐かしの名曲まで多彩である。
MP3をインポートしたり,敵の出現パターンをエディットしたりすることもできるため,モードの名前の通り延々と遊び続けられる。インポートした曲で遊んでもファンが増えるため,チャーリーの強化にもつながるのだ。
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本作はストーリーも魅力的だ。ボス(メンバー)を倒すと,チャーリーが根城にするバーに戻ってきてくれる。プレイを進めると,彼らの過去に何があったのかが少しずつ解き明かされていき,メンバーへの感情移入も深まっていく。
“伝説のバンド,一夜限りの再結成”というのは心躍るフレーズだ。しかし,バンドが解散するからにはきれいごとばかりでは済まされない事情がある。辛い過去を乗り越えて互いを許し合い,再び仲間となっていく様にはグッとくるものがあるはずだ。
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本作は1年前にデモ版が公開されてから何度もアップデートを繰り返し,早期アクセスにこぎつけたという経緯がある。
筆者はデモ版のインフィニット・ディスコモードを遊び続け,アップデートが入るたび,さまざまな部分の変化に一喜一憂していたのだが,早期アクセス版の出来栄えは,ずっと待ち続けてよかったと感じられるものとなっていた。
発売から間もないにもかかわらず,すでに何度かのアップデートが行われ,追加機能の予定も発表されており,期待が持てる作品だと感じられた。
個性的なゲームプレイのコア部分そのものが魅力的であり,自発的にプレイしたいと感じられるのもポイントで,ここに前述したステージエディットも加わっている。良い意味で海外ゲームらしく,プレイヤーの創造性を尊重した作品ともいえるだろう。
百聞は一見にしかずなので,興味のある人はSteamで配信されているデモ版をプレイしてみてほしい。本作は早期アクセス期間中であるため未完成の状態で,実装されていないボスもいるし,ストーリーも完結していない。一夜限りの復活がどのような結末を迎えるのか,完成を楽しみに待ちたい。
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