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「ワイルドアームズ」の精神的続編「ARMED FANTASIA」を手掛ける金子彰史氏にインタビュー。“ガチガチ”でないところに新たな遊びが生まれる
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印刷2022/11/11 08:00

インタビュー

「ワイルドアームズ」の精神的続編「ARMED FANTASIA」を手掛ける金子彰史氏にインタビュー。“ガチガチ”でないところに新たな遊びが生まれる

 「ワイルドアームズ」の金子彰史氏と「シャドウハーツ」の町田松三氏が,Kickstarterで自分たちの過去作品から着想を得たという新作「ARMED FANTASIA」PC/PS5/Xbox Series X)と「PENNY BLOOD」PC/PS5/Xbox Series X)を展開している。共同のダブルキックスターターキャンペーンは,実施初日にミニマムゴールを達成したことでも話題を呼んだが,今回4Gamerでは,金子氏にインタビューを行う機会を得た。
 「ARMED FANTASIA」は,大地の「荒野化」が進む世界で,主人公の少年・イングラムがかつての約束を胸に故郷を旅立つ,ウエスタンパンクRPGだ。西部劇を思わせる舞台,渡り鳥と呼ばれる冒険者の主人公,用いる武器がARM(Aether Reaction Maximizer)など,「ワイルドアームズ」ファンにはたまらない内容となっている。どういった経緯で本作を開発することになったのか,金子氏のゲーム作りはどういったものかなど,さまざまな話を聞いてきたのでお届けしよう。

画像集 No.001のサムネイル画像 / 「ワイルドアームズ」の精神的続編「ARMED FANTASIA」を手掛ける金子彰史氏にインタビュー。“ガチガチ”でないところに新たな遊びが生まれる


コマンド選択式+ターン制でストーリードリブンなJRPGのニーズを証明する


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。町田さんの「PENNY BLOOD」と共に,金子さんも「ARMED FANTASIA」のダブルキックスターターキャンペーンを展開しましたが(※),反応はいかがでしょうか。

※キャンペーンはすでに終了し,ゲーム作品を対象としたクラウドファンディングとしては,過去2年間で最も多い金額を集めて目標達成している(関連記事)。

金子彰史氏(以下,金子氏):
 1日でミニマムゴールを達成し,作品の開発が決定したのは嬉しい限りです。コマンド選択式+ターン制のストーリードリブンなJRPGに,ニーズがあるということの証明の1つだと思います。出資の大半は海外からのものなので,海外市場にもこうしたニーズがあるということも感じています。

4Gamer:
 初日に達成というのも,すごい勢いですね。

金子氏:
 Kickstarterをやるのは初めてで,スピード感に追いつくのが精一杯です。昔,大きなパブリッシャさんとゲームを作っていた頃は制作に専念できましたが,今回は広報や宣伝も自分たちでやらなければなりません。「俺たち,守られてゲーム作ってたんだな……」と痛感しています。

4Gamer:
 専任がいらっしゃるわけではなく,金子さんも広報にまわっているんですね。

金子氏:
 正確には施策の立案だったり素材づくりでしょうか。やったことのない仕事ではありますが,新しいことや分からないことをやっていくうえで楽しさを感じられるタイプなので,自分たちで発信していて楽しいです。ただ,かつてのようにゲームが8〜9割完成してからではなく,できていないものを宣伝しないといけないので,どう伝えるのが正解なのかまだ分からないところはあります。

4Gamer:
 「ワイルドアームズ」ファンの反応はいかがですか?

金子氏:
 11年ぶり,RPGジャンルに限るなら15年ぶりのゲーム制作ではありますが,皆さんの反応が暖かいので,実家にいるような安心感があります。みなさん,昔の作品を良く覚えていてくださるなと思いますし,何よりこちらの不手際を受け止めてくれるどころか,一緒になってキャンペーンをバックアップしてくれるのが本当に嬉しいです。感謝しきれません。

4Gamer:
 クラウドファンディングやアーリーアクセスなど,“好きなものを支える”意識がゲームでも根付いてきたのが大きいのかもしれませんね。

金子氏:
 現時点はプロット作りや各種の検証といった制作準備の段階で,いわば夢を見ているところです。Kickstarter終了後から,この夢を現実にする仕事が始まります。

4Gamer:
 そもそも,どういった経緯でKickstarterを始めることになったんですか?

金子氏:
 以前より交流のあるクリエイターの町田さんとの雑談の中で,お互い,過去に手掛けていたようなコマンド選択式+ターン制のストーリードリブンなJRPGの再誕を目論みつつも,「こうしたジャンルにニーズがあることを証明してほしい」というパブリッシャの意向に阻まれがちという現実を嘆いた経緯があり,「だったら一緒に見せつけてやらあ!」と奮起したのがきっかけでしょうか。もちろん,ここしばらくゲーム制作から離れていたあいだに手掛けていたテレビアニメ「戦姫絶唱シンフォギア」シリーズ(※)が完結し,仕事が一段落したのも大きな要因のひとつですね。
 いきなり余談と脱線しますが,シンフォギアの作業が始まる直前まで,実はオリジナルRPGを構想していたんです。「ARMED FANTASIA」は,その時構想していたオリジナルRPGの,設定部分から派生して飛躍したものだったりします。

※「戦姫絶唱シンフォギア」
2012年から展開されたアニメシリーズで,金子氏が初めて原作を手がけた作品。鎧型武装「シンフォギア」をまとった少女たちが,人類の脅威たる謎の敵・ノイズと歌いながら戦う。熱く感動を呼ぶ物語が評価を受けている。


4Gamer:
 それで見事に結果を出し,今も出資者が増えているわけですから,良いスタートが切れましたね。

金子氏:
 ゲームに限らず,エンタメは多彩なジャンルや方向性が入り混じっているのが美しいと個人的には考えています。自分もプライベートではアクション要素のあるRPGを遊びますが,だからといってコマンド選択式のRPGが不要だとは思いません。昔のゲーム業界で例えるなら,PlayStationでカジュアルな5800円のゲームを気軽に楽しみつつも,ネオジオのデカくて数万円もするカートリッジで格闘ゲームに没頭するような。そうした選択の自由があるのが,一番健全だと思うんですよね。

4Gamer:
 「ARMED FANTASIA」のような,言ってみれば懐かしいスタイルのJRPGをまた作ろうと考えたのは,なぜでしょうか。

金子氏:
 当然の事ですが,時代に逆張りするような戦略ではありません。ただ,自分自身が遊びたいものをと考えたら,90年代風のJRPGに辿りついただけです。現時点では今回のプロジェクトにパブリッシャが介在していません。つまり,パブリッシャのウケが良くなるような目配せから企画が始まっていないのです。その結果として,じっくりと腰を据え,敵への対策を頭で考えつつ進めていくターンベースのRPGというジャンルを選びました。懐かしいスタイルではありますが,時世を鑑みるとチャレンジャブルな“攻め”の企画となっているはずです。こうした挑戦ができるのもKickstarterのいいところですので,ほかの方にも,市場や時世に囚われないジャンルのゲームを作ってほしいと願っています。

4Gamer:
 今回は久しぶりにゲームを作ることになったわけですが,感想はいかがですか?

金子氏:
 「ただただありがたい」に尽きます。元々いろいろな事をやりたい人間ですので,こうしてまたゲーム開発ができるのも嬉しいですし,キックスターターという事でこれまでのキャリアでは味わえなかった経験も刺激的です。ごく個人的なところでは,これまで自分を支えてくれていたファンの方々との距離感が近いのもまたいいですね。振り返るともっと開発者然としたところを見せるべきかもと反省してしまうのですが,ついつい同じ目線でキャンペーンを楽しんじゃってます。かまってくれてありがたいですね。

4Gamer:
 本作のバトルシステムについて教えてください。

金子氏:
 敵味方の行動順を素早さで決めて,これを可視化する。そして,行動順を入れ替えたり,味方同士をつなげて連続で行動させたりといった,ある種パズルチックなバトルを目指しています。同時に,行動順に関係なく割り込んで行動できる,ちゃぶ台返し的なシステムも入れることにより,緻密さとその場その場の状況判断のコントラストが際立つものを理想としています。

4Gamer:
 戦略性を重視した戦闘になりそうですね。

金子氏:
 そうです。割り込んで行動するにしてもゲージが必要なので,どこで使うかの見極めが大事ですね。エンカウント自体も制限なしにキャンセルし放題です。街の傍で戦ってレベルを上げ,ダンジョンではエンカウントキャンセルで戦闘を拒否することもできます。

4Gamer:
 エンカウントをキャンセルするシステム自体は金子さんの過去作にも存在していましたが,今回は制限がなくなっているのが大きいですね。このシステムが初登場した「ワイルドアームズ セカンドイグニッション」への回帰を思わせるところがあります。

画像集 No.002のサムネイル画像 / 「ワイルドアームズ」の精神的続編「ARMED FANTASIA」を手掛ける金子彰史氏にインタビュー。“ガチガチ”でないところに新たな遊びが生まれる


アニメとゲームの両方を手がけた金子氏による物語の描き方


4Gamer:
 先ほど,ベースとなっているのはアニメの仕事の前に構想していたRPGだとお話しされていましたが,もともとはどういった作品だったのでしょう?

金子氏:
 みなさんに想像されがちな,荒野と化した異世界の物語ではありません。時代設定こそ現代ではありませんが,現実世界の片隅というか暗がりを舞台にした作品で,惑星規模の広い世界を旅するのではなく,ひとつの街を中心にして展開していくようなRPGです。あくまでも企画書用ではありますが,メインキャラクター6人のデザインもかなり作り込んだものを用意しています。なんならドヤ顔でキャラクターたちを披露したいくらいですが,まだこの作品の実現を完全にあきらめたわけではありませんので,今はまだ伏せさせていただきます。といっても,先日上京した町田さんには,それこそドヤ顔で披露したのですが(笑)。

4Gamer:
 なぜそのRPGは作られなかったのでしょうか。

金子氏:
 着手こそ,RPGが先だったのですが,後から入ってきたシンフォギアの作業が先に本格化してしまったからです。お恥ずかしい話,あの頃,深夜アニメと言えば可愛い女の子たちがキャッキャウフフするだけという誤解もあったので,自分の戦場と考えていませんでした。なので,余暇で作ったネタというかアイデアというかプロットを無償提供したら,件のRPGの開発に戻る気マンマンだったんです。だけど,自分の与り知らないところでシンフォギアが猛スピードで進行し,しかもメインスタッフと巻き込まれてしまっているうえ,何度も丁重にお断りしているのに説得づくしで抜けられないという事態となり,一時停止せざるをえなくなったというのが裏話だったりします。
 ややこしい話となりますが,今回の「ARMED FANTASIA」は,その一時停止中のRPGの「主人公たちではなく,ラスボスサイドが勝利した世界線の遥か遠い未来のお話」と設定しています。

4Gamer:
 もともとRPGとして進んでいたものをサルベージした,というわけでもないんですね。金子さんとしては,物語を表現する手段として,ゲームとアニメは同列のものなんですか?

金子氏:
 根っこの部分では同じです。ただ,媒体が異なる以上,物語の描き方はどうしても変わってくるので,そのあたりは使い分けになると思います。テレビアニメに限るとひとつの区切りが30分弱という制約がありますし,テキスト表現という視覚情報を武器に使えない以上,情報量や密度という面において希薄になってしまいがちです。なので,テレビアニメでは各話ごとにその時の主人公を定め,その目線で感情や物語を牽引していくのが正解だと考えますし,ゲームの場合は,テレビアニメほど厳密にそうしなくてもいいと考えます。むしろ,ゲームは群像劇的に複数のキャラクターを扱うのに向いている媒体と言えるかもしれません。

4Gamer:
 ゲームは主人公を操作するわけですから,素人目には逆のように感じられるのですが。

金子氏:
 ぶっちゃけ,イベントシーンの主役と操作しているキャラクターが別物なんてよくある話だと思います。そもそもゲームの場合,バトルで役立たずだったら主人公であっても使わないじゃないですか(笑)。おそらくプレイヤーさんは,「進行の主人公」と「展開の主人公」を無意識に切り分けて並列的に扱っているのかもしれません。ゲームという媒体がテレビアニメよりも複数のキャラクターが交差する群像劇に向いているのではないかと考える理由はそこにあります。

4Gamer:
 確かに,ゲームがインタラクティブだからこそ輝く手法と言えますね。

金子氏:
 逆に,非インタラクティブな媒体であるアニメならではの手法や表現もたくさんあるので,どっちが偉いとか正しいとかではないというのは強く主張しておきたいです。
 それこそ,歌とお芝居とアクションを同期してお出しするシンフォギアなんて,非インタラクティブな媒体かつ,アニメだからこそできる表現の極北だと考えています。

4Gamer:
 物語における“間”の作り方についても,ゲームとアニメでは違いがあるのでしょうか?

金子氏:
 あります。アニメだと思った通りの間を演出できますが,ゲームではそうもいきません。プレイヤーさんが自分でゲームを進めていくので,大事件が起こる直前でその日のプレイを止めてしまうようなこともよく起こるんです。また,BGMについても,アニメなら物語の盛り上がりと同期できますが,ゲームの場合はメッセージ送りをするペースも人によります。ただ,ゲームにおいても音楽演出は大事なので,いろいろなテクニックを使って同期させるようにはしています。そこは自分のこだわりです。

4Gamer:
 では,視聴者やプレイヤーの興味を惹く“引き”の作り方はどうでしょう? ゲームとアニメで違いは出るものですか?

金子氏:
 出ます。アニメですと,アバン→OP→Aパート→中CM……というように区切られています。話の流れが切られるという意見もあるんですが,自分の場合はポジティブに捉え,区切りのタイミングで時間が流れたことにしてテンポを作り,“引き”なるよう「思いもよらない展開」を心がけます。
 一方でゲームの場合は,アニメほど明確な区切りがないぶん,「この先を予感させる」ようにして“引き”を作っていきます。作り手としてはあまり具体的に解説したくないのですが……ボス戦や大きな展開の前にはセーブポイントを置いておきたいですし,そこから先はラスボス戦ならば,直前にセーブを促すように警告しておきたいです。今時はオートセーブが当たり前なので,こういった施策は無視されがちですが,「この先を予感させる」ことが「よしッ,頑張ろう!」と,先へと誘導するゲームならではの“引き”であり,「今日はここまで」という独特の区切り文化になっていると思います。
 アニメでは「思いもよらない展開」が“引き”となり,ゲームでは必ずしもそうとは言えず,むしろ「この先を予感させる」のが“引き”となりうるというのが自分の考えです。

4Gamer:
 シナリオとシステムが融合しているのがゲームですから,シナリオライター自身がシステムの領域へと踏み込めるのは大きいですね。

金子氏:
 今時のゲームシナリオライターの在り方としては,メインストーリーのライターと,村や町のNPCの台詞を書くライターが違うことはままあると思いますが,自分の場合はそういった隙間の部分もメインストーリーだと考えているので,極力自分で書くようにしています。故あってそうできなかった箇所にどうしても後悔が出がちなので。
 イベント同士のつながりとか,情報の分散開示とか,そういうのを考えるのも楽しいし,それこそがゲームライターならではの醍醐味と考えるので,シナリオを提出して終わり,ではなく,できるかぎり最後まで開発現場に居続けたいスタンスだったりします。



「金子クン,ガチガチに作っちゃダメだよ」


4Gamer:
 金子さんのゲームでは,西部劇風の世界で奇妙なできごとが起こる「ウィアード・ウエスト」の手法が使われています。金子さんのウィアード・ウエスト原体験はどういったものだったのでしょう?

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金子氏:
 原体験だと「必殺仕事人」や「風雲ライオン丸」といった,昔の作品です。「必殺仕事人」は江戸時代の話なのにBGMがウェスタンでカッコ良く感じられました。「風雲ライオン丸」も,戦国時代の日本で,西部劇風の衣装を着たキャラクターたちが幌馬車に乗って旅をする。そもそも,主人公が変身するライオン丸の“ライオン”って英語じゃないかと(笑)。どちらも日本でありながら西部風で,こうした作品を見て,後になって「あっ,何でもいいんだ」ということを覚えたんです。遊びというのは,時代考証や設定に従ったものでなくても,厳密でないところに生まれてくるんだなと。

4Gamer:
 見る側としては,そのジャンルに耽溺するほど細かな整合性や考証にこだわりがちですが,そうした部分ばかりが面白いわけではないですよね。

金子氏:
 自分自身,ガチガチの設定マニアではありませんから。
 もともとゲーム業界でキャリアをスタートしたのは,日本テレネットのRPG「天使の詩」(※)の企画アシスタントからでした。これはケルト神話をモチーフにしているんですが,当時の自分の知識的に,ケルト神話とは程遠い設定や作品に感じられたんです。高卒したてで世間知らず,生意気盛りの“金子クン”的には許せなかったんでしょうね(笑)。何度か先輩に意見具申させていただきました。

※:「天使の詩」は1991年に発売されたRPG。主人公のケアルは,恋人のクレアと結婚の洗礼を受けるため旅立つが,魔物にクレアを奪われてしまう。ケアルはクレアを救うために戦うが,その先に待ち受けていたものは……。ケルト神話をベースにした,ひねりの入ったシナリオが特徴。

4Gamer:
 先輩はどういう反応だったんですか?

金子氏:
 「金子クン,ガチガチに作っちゃダメだよ」って言われて(笑)。思えば,自分の中からガチガチなところが抜けたのは,この言葉のおかげかもしれません。完成度高くしっかりガチガチに固めた設定は,プレイヤーさんを引き込む「要素」になるかもしれないけれど,逆に考えるとプレイヤーさんを引き込む「余地」や「余白」にはならないんだと。むしろガチガチの反対にあるガバガバにこそ,送り手や受け手のオリジナリティである「遊び」が生まれるんじゃないかと至りました。あの時,先輩がどういった意味で言ったのかは分からない言葉なんですが,自分の中に強く残っています。

4Gamer:
 その言葉をどう受け取るかが,金子さんのクリエイターとしての分かれ道だったのかもしれませんね。ところで,その先輩というのはどなたなのでしょう?

金子氏:
 言っちゃっていいのかな?(笑) 後に「moon」や「ギフトピア」といったゲームに携わった,西 健一さんですね。西さん,許可なく勝手に名前使ってオニメンゴ。

4Gamer:
 納得しました,確かに西さんの作風は「ガチガチ」ではないですね。「moon」(※)は,キャッチコピーに「もう,勇者しない。」を掲げ,勇者に殺されたアニマルたちと心を通わせて「ラブ」を集めるというものでした。また,「ギフトピア」(※)は戦闘のない「オルタナティブRPG」で,主人公が「大人」になるためにいろいろな経験をするという内容です。どちらもRPGというジャンルや,ベースにされることが多い神話などについてガチガチに考えていたのでは出てこない作品に思えます。

(※)「moon」は1997年にアスキーから発売されたRPG。ゲームの中に吸い込まれた主人公は,勇者が経験値稼ぎのために殺したアニマルたちの魂を救ってラブを集める。公式に“伝説のアンチRPG”を謳う作品で,RPGのようでありつつ戦闘がなく,ゲームにおける勇者の行いがメタ的な視点で描かれているのがユニーク。2019年にSwitchへ移植されており,4Gamerでは西氏と木村祥朗氏にインタビューを行っている(関連記事)。

(※)「ギフトピア」は2003年に任天堂から登場したRPG。主人公の少年が,大人になる方法を探す。メインストリームへのカウンターたる“オルタナティブRPG”として,こちらも戦闘がなく,大人になる方法も,一定金額を貯めるなど複数存在する。

金子氏:
 生意気しか取り柄の無かったあの頃の金子クンを,面接時に映画の話ができたという理由だけで日本テレネットに採用してくれたのが西さんなんです。お互い作ってる作品の方向性は,真逆と言ってもいいくらいに違うのですが,自分は勝手に“西チルドレン”の1人だと自負しています。もちろん出来については“不肖のチルドレン”なわけですが(笑)。

4Gamer:
 金子さんの柔軟さもポイントだったと思います。自分が知識を積み上げたうえで細かいところにこだわった,言ってみればオタク的なところを真正面から叩きつぶされながらも,西さんの助言を柔軟に受け止めて,自分の創作に活かしていったわけですから。

金子氏:
 もしかしたら,長いものには巻かれておけという処世術だったかもしれませんよ?
 後に作る「ワイルドアームズ」の構想自体は日本テレネットに入る直前から温めていたものになるのですが,実際作る段になって、西部劇色の強い内容(後の「ワイルドアームズ アドヴァンスドサード」)よりもファンタジー色の強い内容にシフトしようとか,受け入れられ易くなるようマイルドにしていったのは,きっと西さんと一緒にゲームを作った3か月のおかげだと思います。
 その後,アニメの制作現場でも似たようなことがありました。原作者サイドが考えたものを監督に提示したとき,こちらの意図が正確に伝わっていなかったんですが,監督が考え出されたものが面白かったので「そっちの案でいきましょう!」と。「戦姫絶唱シンフォギア」の,キャラクターたちが歌いながら戦うというスタイルはこうして作られたんです(笑)。

4Gamer:
 歌いながら戦うという要素は,シンフォギアをシンフォギアたらしめている部分の1つですよね。化学反応の面白さというか,人と人が関わる不思議というか。金子さんが最初に考えた案に固執しなかったからこそできたというのが面白いです。

金子氏:
 当然,自分の理想には芯があるし,立場上,軽々に軸がぶれないよう心がけています。
 ただそれでも,自分は上等な人間ではないと自覚もしているので,他の誰かの面白アイデアには耳を傾けたいと考えています。でなければ,天才と怪物がウヨウヨ蠢いているエンターテイメントの業界で,ずっとご飯を食べ続けるなんてできませんので。天才でも怪物でもない自分と知っているからこそ,連中と渡り合うべく今日ももがいています。

4Gamer:
 最後に,「ARMED FANTASIA」を楽しみにしている読者に向けてメッセージをお願いできますか?

金子氏:
 Kickstarterという,今まで使ってこなかった手法でゲームを作ることになりました。足りない部分は支援者の皆さんに補っていただき,どんどんいいものになっています。内容をさらに充実させていくためにも,ご支援をよろしくお願いします。

4Gamer:
 ありがとうございました。

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