プレイレポート
「ファイアーエムブレム無双 風花雪月」を先行プレイ。無双らしいサクサク感とFEらしいシビアなバトルをプレイヤーの好みで選択可能
もちろんタイトルに無双の2文字があるとおり,本作はコーエーテクモゲームスの「無双」シリーズと「ファイアーエムブレム 風花雪月」のコラボ作品でもある。
今回,発売前の本作をプレイする機会を得たので,ファーストインプレッションをお伝えしよう。
女神によって見守られる大地,フォドラ。かつて戦乱の時代が続いたこの地は,今は3つの勢力によって統治されている。
千年以上の歴史を持ち,大陸の南半分を領する「アドラステア帝国」。北方で王政を敷く「ファーガス神聖王国」。東方の有力貴族たちによる「レスター諸侯同盟」。これらの均衡により,大陸の平穏はおおむね保たれていた。
本作の主人公シェズは,そんなフォドラの大地に無数に存在する傭兵団のひとつ「ベルラン傭兵団」に拾われ,一人前になった傭兵である。
ある夜,団は雇い主の意向で別の傭兵団と交戦することになった。その相手とは,フォドラ中に名を轟かせつつある「ジェラルト傭兵団」だ。「ファイアーエムブレム 風花雪月」をプレイした人にとっては馴染みのある名前だが,大陸一の傭兵団を目指すベルラン傭兵団にとって,いつかは倒さねばならない相手だった。
主人公の活躍もあり,優勢に戦いを進めていくベルラン傭兵団。だが,たった一人の剣士の手によって団は壊滅することとなる。“灰色の悪魔”の異名を持つ剣士は,恩人であるベルラン団長や,団の気のおけない仲間たちを次々に屠っていく。そして主人公もまたその刃にかかり……。
そのまま絶命するかと思われたものの,謎めいた存在「ラルヴァ」によって救われた主人公は,灰色の悪魔への雪辱を果たすため機をうかがうことになる。
そんな主人公の前に偶然現れた3人の学徒たち。それはフォドラに鼎立する帝国,王国,同盟の後嗣たちだった。
というわけで本作の主人公は,「ファイアーエムブレム 風花雪月」本編とは異なる経緯で,ガルグ=マク大修道院の士官学校に関わることになる。先の展開は実際にプレイして確かめてもらうとして,ここからは本作のシステムやプレイ感についてお伝えしよう。
「無双」シリーズの長所のひとつは,あまり難しいことを考えず,爽快にアクションを楽しめることだ。とは言え,本作は“手強いシミュレーション”を求めている「ファイアーエムブレム」シリーズのファンに向けたタイトルでもある。
その相反するふたつの要望に応えるため,本作はゲームの冒頭でどんなプレイ感のゲームにするのかをプレイヤー自身が決められる。
「イージー」「ノーマル」「ハード」の難度だけでなく,戦場で倒れたキャラクターが戦闘終了後に復活する「カジュアル」と復活しない「クラシック」。戦闘中に発生するイベントごとに時間が止まる「じっくり」と止まらない「サクサク」。それらを自由に組み合わせることが可能だ。
たとえば「ハード」「クラシック」「じっくり」の組み合わせであれば,シビアな状況をしっかり考えて打開していく昔ながらの「ファイアーエムブレム」らしい手応えを堪能できるし,「ノーマル」「カジュアル」「サクサク」の組み合わせならいかにも「無双」シリーズらしい気軽なプレイ感になる。自分にあったスタイルを選び,ストレスなく遊べるわけだ。
戦いでまず覚えるべきことは,弱攻撃と強攻撃を組み合わせて戦う,昨今は「無双」シリーズ以外でもよく見かけるコンボシステムだ。弱攻撃を出した回数によって派生する強攻撃が変化するので,敵に囲まれている場合は攻撃範囲が広い技,一撃離脱したい場合は移動をともなう技と,使い分けるのがコツとなる。
各キャラクターには,溜め攻撃が可能となったり,条件を満たすことで威力や攻撃速度が上昇したり,属性が付与されたりと,さまざまな特徴を生む個人スキルが設定されていて,同じ兵種であってもキャラクターによってプレイ感に差がある。いろいろな組み合わせを試したいところだ。
敵を攻撃してひるませたときなどに,敵の頭上にスタンゲージが現れる。これを減らし切ると「必殺の連撃」のチャンスだ。近づいて強攻撃すると広範囲の敵を巻き込んで大ダメージを与えられるので,多数の敵を一気に倒すのに利用できる。
また,武器の耐久度を消費して強力な戦技,魔法を使うこともできる。耐久力の関係で連発はできないが,強敵の守りを崩すなど,必要に応じて使うと便利だ。
耐久度は戦場に落ちている「紫色の結晶」を入手することで回復する。また,新たな戦場に出撃するときは全回復するので,必要以上に温存しなくても大丈夫だ。
本作では,「ファイアーエムブレム 風花雪月」本編にはなかった,兵種の相性が存在する。「ファイアーエムブレム」シリーズや、「ファイアーエムブレム無双」でなじみ深い「武器の三すくみ」のようなものだ。例えば,剣を持つ兵種は斧を持つ兵種に強く,同様に斧は槍に強く,槍は剣に強い。このほか弓,籠手,魔導書を持つ兵種についても相性が設定されている。さらに,弓は飛行系に強いといった特殊な相性「特効」もある。
戦いをスムーズに進めるには,この相性や特効をしっかり意識する必要がある。キャラクターの配下に「騎士団」をつけることで,相性の影響をある程度は緩和できるが,どの兵種がどの兵種に強いか,相性を覚えておいて損はない。
兵種の相性は,どのキャラをどのルートで進軍させるのか,戦術を考えるうえでも重要なポイントとなってくる。操作していないキャラクターは指示に合わせて敵と戦ったり,拠点を守ったりするので,適切な指示を出すことで戦局を有利にすることが可能だ。敵の増援などに合わせて臨機応変に指示を変えることも大切となってくる。
戦闘中に操作キャラクターを切り替えることもできるので,戦局の焦点となる場所にはプレイヤーが直接関与し,自軍を勝利に導こう。
このほかにも,覚醒ゲージを溜めて発動させる強化状態「覚醒」,無双ゲージを溜めて発動させる大技「無双奥義」など,「無双」シリーズファンにとっておなじみの要素も存在する。
さまざまな要素を駆使して戦うことになる本作だが,実は各戦闘をクリアして話を進めていくだけなら難度はそれほど高くはない。上で挙げた要素も,プレイヤー各自が使いやすいものを選んで使うだけでもほぼ問題なかったりする。
ただ,戦闘を最高評価でクリアすることを目指す場合は,各要素を駆使した効率のいい戦い方を心がける必要がある。最高評価でクリアすればボーナス報酬を得られるので,歯ごたえと報酬を求めるならぜひ狙っていきたい。
なお本作には個々の戦闘だけではなく,国全体に関わる大きな戦局に関する意思決定をする場面もある。物語の各章でプレイヤーは「進軍マップ」を使い,どの戦場で戦うのかを決められるのだ。
たとえば敵の拠点をすべて潰していけば,それだけ多くの経験値,お金,報酬を獲得し,自軍を強化できる。
さらに,最終地点であるメインクエストを制圧すると,EP(エピソード)クリアとなり名声値を獲得できる。この名声が戦闘や物語になんらかの影響を及ぼすのは間違いないだろう。
また,戦闘と戦闘の合間には,「前哨基地」で戦いの準備を整えることとなる。ここではキャラクターを訓練したり,武器を整えたりして戦力をアップできるのはもちろん,キャラクター同士で食事,仕事,遠乗りをするといった,いかにも「ファイアーエムブレム 風花雪月」らしい要素も楽しめる。キャラクター同士の交流を深めれば支援値も上がり,戦闘で有利になっていくのは言うまでもない。
以上のように,本作は「ファイアーエムブレム 風花雪月」らしい要素を,うまく「無双」シリーズのシステムと融合させている。「ファイアーエムブレム 風花雪月」本編の主人公が士官学校に関わらないことにより,物語の流れもだいぶ異なるものとなるようだ。また,プレイヤーの選択によっても,3つの勢力の命運や,キャラクターたちの運命は大きく変わることだろう。物語がどのような結末を迎えるのか,発売が楽しみだ。
「ファイアーエムブレム無双 風花雪月」公式サイト
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ファイアーエムブレム無双 風花雪月
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