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  • 発売日:2018/06/01
  • 価格:6185円(税込)
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[SPIEL'18]再始動する「RuneQuest」とグローランサ世界観,あと「クトゥルフ神話TRPG」のことをちょっとだけ,Jeff Richard氏に聞いてみた
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印刷2018/10/30 15:25

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[SPIEL'18]再始動する「RuneQuest」とグローランサ世界観,あと「クトゥルフ神話TRPG」のことをちょっとだけ,Jeff Richard氏に聞いてみた

 動画配信サイトなどでの盛り上がりから,近年人気が再燃しているテーブルトークRPG(以下,TRPG)「Call of Cthulhu」(邦題:クトゥルフ神話TRPG / 以下,CoC)。同作を出版するChaosiumが,SPIEL'18に出展を行っていた。そのChaosiumのVice PresidentであるJeff Richard氏に,タイミングよく話を聞くことができたので,その模様をお伝えしたい。
 なお話の枕はCoCだが,インタビューでは2018年10月11日に亡くなられたGreg Stafford氏の代表作である「RuneQuest」(以下,RQ)を中心に話を聞いている。

2018年6月に発売されたばかりの新版RQこと「RuneQuest: Roleplaying in Glorantha」。権利関係で紆余曲折あったRQフランチャイズだが,同作は版で数えれば第7版に当たり,そのシステムは第2版を色濃く引き継いでいるという。ちなみに,1987年にホビージャパンから発売された日本語版は,当時アヴァロンヒルから発売されていた第3版を邦訳したものだ
画像(001)[SPIEL'18]再始動する「RuneQuest」とグローランサ世界観,あと「クトゥルフ神話TRPG」のことをちょっとだけ,Jeff Richard氏に聞いてみた

「RuneQuest: Roleplaying in Glorantha」公式サイト(英語)



TRPG史に巨大な足跡を残した「RQ」の新版が登場


4Gamer:
 お時間をいただきありがとうございます。日本では「クトゥルフ神話TRPG」が大人気だったりしますが,本日はRQについて伺いたいと思っています。日本のファンからたくさんの質問を受け取っていますので,順にお聞きしますね。

Richard氏:
 なるほど! では何より先に,「日本のRQファンの熱心な活動には本当に感謝している」と伝えさせてください。

4Gamer:
 ありがとうございます。最初の質問ですが,現在制作中の作品のリリース予定日を教えていただけますか。

ChaosiumのVice PresidentであるJeff Richard氏
画像(002)[SPIEL'18]再始動する「RuneQuest」とグローランサ世界観,あと「クトゥルフ神話TRPG」のことをちょっとだけ,Jeff Richard氏に聞いてみた
Richard氏:
 まずリリース済の作品からお話しますが,「RuneQuest: Roleplaying in Glorantha」のコアルールブックの初版は完売しました。Spielで最後の一冊が売れてしまいまして,現在再販の手続きに移っています。ベスティアリ(モンスターガイド),ゲームマスタースクリーン,アドベンチャーパックなども含めて,2019年1月には再版予定です。
 新作としては,最も早く出るのはシナリオでしょうか。2本の新しいシナリオが予定されています。それからGM用のソースブックも出版できると思います。

 大きなプロジェクトとしては,「Gods and Goddesses Book」「Hero Questing Book」があります。後者は“ヒーロークエスト”(グローランサの世界で神に近づくための冒険)を主題としたもので,その進め進め方はもちろん,「そもそもHero's Journeyとは何なのか?」「God's Worldを旅するシナリオはどう作ればいいのか?」といったポイントについて解説します。
 またCoCと同様,箱入りのスターターセットも製作中です。これは新規プレイヤーのためのもので,短いイントロとルール,シナリオが入っています。もちろん値段も控えめです(笑)。これ以外にも鋭意作成中のシナリオが多数あって,1年に3〜4作のペースで新作を提供していく予定です。

4Gamer:
 なかなかのハイペースですね。より長期的な出版計画についてはいかがでしょうか。うかがえる範囲で構わないのですが……。

Richard氏:
 今後3年にわたる出版計画があります。これはCoCについても同様です。
 RQでは,今後3年の間に20冊以上の本が出る見込みです。カルト(同作の世界観であるグローランサにおける信徒の集団。グローランサは神が実在する多神教の世界であり,原則としてすべてのキャラクターがなんらかの神の信徒として活動する)を解説した本では52以上のカルトを紹介する予定です。

4Gamer:
 RQは改定によって急速に現代的なゲームへと変わっていますが,一方で現代のTRPGのプレイ環境も,オンライン化が急激に進むなど多様性が増しています。この点についてはどのようにお考えですか?

Richard氏:
 最初に申し上げるべきことは,「我々は最高の作品を作るべく頑張っている」ということです。その質問に対しては,なによりもこれが重要だと思います。
 そのうえで,プレイ環境が劇的に変化していることは,我々も把握しています。私自身,フェイス・トゥ・フェイスで遊ぶこともあれば,Skypeを使ってセッションを楽しむこともありますから。そして,この「変化」について私が考えるのは「TRPGというものは,もともとこういう遊びだったよね」ということです。つまりTRPGは,デザイナーが作ったものをプレイヤーが受け取って,その先でプレイヤーがデザイナーの思いもしない方法で遊ぶ,そういうゲームとして,これまでずっと続いてきたじゃないですか。

4Gamer:
 まさにそのとおりだと思います。自分も,デザイナーが想定しない遊び方をいろいろやってきた自負があります(苦笑)。

Richard氏:
 オンラインセッションが一般化してきたというのも,TRPGという構造全体から見れば,そういうことなのかなと思います。実際,別の角度でも「我々が想像しなかった遊ばれ方」は進んでいます。驚くかもしれませんが,RQではいま,若い女性プレイヤーが急激に増えているんです。そしてこれにあわせて,プレイのされかたも変化しつつあります。

画像(005)[SPIEL'18]再始動する「RuneQuest」とグローランサ世界観,あと「クトゥルフ神話TRPG」のことをちょっとだけ,Jeff Richard氏に聞いてみた
4Gamer:
 女性プレイヤーが増えたのは,何か切っ掛けがあったのでしょうか。

Richard氏:
 ゲームシステムの変化が後押ししているんだと思います。戦闘だけでなく,交渉や魔術による解決が強力な選択肢となったので,アーナールダ(大地母神)のような社会的な強さを持つ神格が,多くのプレイヤーを惹きつけるようになりました。今や一番人気ですよ。このような多様性が生まれたのは,本当に素晴らしいことです。

4Gamer:
 まさに「There's Always Another Way」(別の方法が常にある/アーナールダの標語)ですね。

Richard氏:
 そのとおりです(笑)。ゲームシステムの変化によって,好まれるスキルも変わってきました。例えば【歌唱】で魔術を強化できるようになったことで,【歌唱】スキルを取る人は明らかに増えましたね。

4Gamer:
 「歌がうまい人が結構多い」というのは,RQの世界の空気とも合致します。

Richard氏:
 このように,いまやRQはハードコアな戦闘から,もっと柔らかい遊び方まで,さまざまな楽しみ方ができるようになっています。そしてこれは,TRPGにとって非常に大事なことだと思うんです。TRPGは,たとえ同じシナリオを遊んだとしても,そこでは異なる物語が発生し,プレイヤーは異なる経験をする。そういうゲームなんだと考えています。


「人生」の感触が味わえるゲームを目指して


4Gamer:
 次の質問に移らせてください。RQの創始者であるGreg Stafford氏が亡くなれたことは,我々としても非常に残念に思っています。一方で,「Greg氏がRQの小説を書いていた」という話を耳にしましたが,なんらかの形でこれが出版される可能性はありますか?

Richard氏:
 その作品について,現状では確たることを申し上げることはできません。ちゃんと完成させて世に出せるかどうかを,これから吟味していかねばなりません。とはいえ,RQの小説シリーズには専門の編集者がついており,複数の作家が執筆を進めています。

4Gamer:
 グローランサ世界をベースとしたゲームには,RQのほかに「HeroQuest」がありますが,こちらの新たな展開は予定されていますか。

※Robin Laws氏がゲームデザインを手がけ,2003年に発売されたTRPG。RQと同じグローランサを扱うとはいえ方向性はかなり異なり,今で言うナラティヴ系システムの走りとして知られる。最新第2版は未訳だが,前作にあたる「ヒーローウォーズ〜英雄戦争」が,2003年に書苑新社から発売されている。


Richard氏:
 「HeroQuest」では,System Reference Document(二次創作ガイドライン)を発行することで,インディー向けのゲームエンジンとして提供する計画があります。もともと汎用性の高いシステムですから,これを利用してプレイヤーが自分達のゲームを楽しめるようにしたいと考えているんです。

画像(004)[SPIEL'18]再始動する「RuneQuest」とグローランサ世界観,あと「クトゥルフ神話TRPG」のことをちょっとだけ,Jeff Richard氏に聞いてみた

4Gamer:
 自分の友人は「HeroQuest」のシステムをベースにして,現代ものを遊んだりしていますが,そういった楽しみ方が補強される,というイメージでしょうか?

Richard氏:
 そのとおりです。日本でも,やはりそういう楽しまれかたをされているんですね(笑)。

4Gamer:
 RQは巨大なIPでもありますが,デジタルゲームの側から「RQのゲームを作らせてほしい」といった申し出があったりはしませんか?

Richard氏:
 IPの交渉はたくさんあります! CoCでもそうした申し出がかなり多くて,我々も多くの経験を積むことができました。
 ちなみに,我々はアナログゲームを作っている会社ですので,デジタルゲーム化にあたって「かくあるべき」と言うことはありません。そのタイトルがちゃんとRQ世界を表現できているかということと,あまりに酷いゲームになっていないか,くらいはチェックしますけれど(笑)。

4Gamer:
 Paradox Interactiveは,自社IPをボードゲーム化するにあたって「我々はアナログゲームデザインは素人なのでプロに任せた」と言っていましたが,まさにその真逆ですね。

Richard氏:
 アナログゲームとデジタルゲームは異なるメディアです。どんなに通じるところがあったとしても,「そこに違いがある」ことを理解しないと,大変なことになると思います。ただ,繰り返しになりますが,「RQらしさ」はIPホルダーとして重視します。

4Gamer:
 「RuneQuest: Roleplaying in Glorantha」のシステムを見て感じたのですが,かつては冒険者個人にフォーカスしていたシステムが,「HeroQuest」で神やカルトといったより大きな構造に接続するように変わり,そして今のRQでもうちょっと狭い社会――家や家族とのつながりを意識するように変わってきた印象があります。この理解は正しいでしょうか?

Richard氏:
 正しいですね。新しいRQは,かつてのRQと「HeroQuest」の中間くらいに位置するとお考えください。またお気づきだとは思いますが,「Pendragon」(1985年に発表されたGreg Stafford氏によるTRPG作品。タイトルどおりアーサー王伝説をベースとしている。未訳)の影響もかなり強く受けています。我々としては,コミュニティに所属したキャラクターの「人生の感触」を味わってもらえるゲームにしたい,という狙いがあるんです。もちろんそのコミュニティとは,家族のような小さなものから,部族や都市などいろいろなものがありえますが,大事なのは「人生」の手触りですね。


“Don't take too Seriously(真剣になりすぎないで)”


画像(006)[SPIEL'18]再始動する「RuneQuest」とグローランサ世界観,あと「クトゥルフ神話TRPG」のことをちょっとだけ,Jeff Richard氏に聞いてみた
4Gamer:
 最後になりますが,CoCについても少し聞かせてください。
 CoCは,なにかとキャラクターが死んだり,狂気に陥ったりするゲームです。またクラシックなゲームシステムだけに,セッションの時間を管理するとか,プレイヤーの行動を制限,あるいはシナリオの進行を促すようなメタルールも,原則的にありません。
 このため,とくに生真面目な日本人プレイヤーからは「セッションかくあるべし」とか,「キャラクターが死んでしまった,失敗だ!」といった,恐らくはデザイナーがあまり想定していなかった論点で議論になることがあります。まあ,TRPG界隈では何度も繰り返されてきた,お馴染みの話題とも言えますが,この点についてどうお考えでしょうか。

Richard氏:
 CoCは調査や捜査が主体のゲームですが,実際の捜査がそうであるように,「思いもよらぬ方向に進んでしまう」のが醍醐味の一つです。大事なのは「そのセッションが楽しいものであるかどうか」であって,シナリオが想定する最終的な到達点に達したかどうかは,優先度の低い目標と考えてください。
 私自身,CoCのセッションにプレイヤーとして参加し,「大学から一歩も外に出ない学者」をプレイしたことがあります。キーパーは私を外に連れ出したがっていましたが,プレイヤーはみな私のキャラクターの手足となって情報を集めては,私のもとに持ってきて,それを私のキャラクターが分析したり推理したりする,という展開を大いに楽しんでいました。

4Gamer:
 つまり,アームチェア・ディテクティブみたいな?

Richard氏:
 まさに。もちろん「そういうプレイが正解」というわけでもありません。大事なのは,それでみんなが楽しめた,ということです。セッション時間をコントロールするルールというものがあるのは知っていますし,私自身,そういうゲームを遊んだこともあります。ですがその手のルールは,私にしてみると楽しさよりも,フラストレーションを感じることがあります。「楽しさを阻害しない」のが,最も大事なことなんじゃないでしょうか。
 それから,キャラクターが死んだり狂気に陥ったり,という点について言えることは,「CoCにおいて,それは起こること」だと言いたいです。その上で強調したいのは,「CoCはゲームだよ」ということですね。真剣にプレイすることは大事ですが,真剣になり過ぎるのはおすすめできません。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

日本で人気を博している「クトゥルフ神話TRPG」だが,海外ではその後継に当たる第7版が現在展開されている。日本での発売にも期待したいところだ
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