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原作者・蝸牛くも氏のGMでお届けする「ゴブリンスレイヤーTRPG」先行リプレイ。マフィア梶田ら,歴戦の冒険者達がダンジョンに挑む
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印刷2018/12/29 00:05

プレイレポート

原作者・蝸牛くも氏のGMでお届けする「ゴブリンスレイヤーTRPG」先行リプレイ。マフィア梶田ら,歴戦の冒険者達がダンジョンに挑む

ゴブリン! ゴブリン! ゴブリン!


くもGM:
 皆さんはてくてく山道を歩いていきます。険しい道なので,迷わずに進むには持久度が問われることになるでしょう。「知力持久」もしくは「技量持久」で判定を行ってください。「野伏」「斥候」などがあればそれも加えて結構です。

鉱人神官:
 (コロコロ)15!

くもGM:
 皆さんは,なんとか迷わずに進むことができました。すると,間もなく川が見えてきます。川辺にはゴツゴツした岩があって……ちょうどこんな地形です(といってジオラマを指す)。そして視線の先には……有名なので,判定なしで分かります。痩せこけたゴブリンが4体。

画像集 No.009のサムネイル画像 / 原作者・蝸牛くも氏のGMでお届けする「ゴブリンスレイヤーTRPG」先行リプレイ。マフィア梶田ら,歴戦の冒険者達がダンジョンに挑む

侠客(マフィア):
 待ってました,ゴブリン!

ダンジョン坊や:
 おお。今の時間帯は?

くもGM:
 昼過ぎくらいですね。かなり明るく,見通しはいい。そこにコキタナイ格好のヘロヘロなゴブリンが4体ほど出てきて,君達を見つけて「ええっ!」っと。

ダンジョン坊や:
 ううん? もしかしてこいつら……。

くもGM:
 ゴブリン達はよく見ると手足が汚れています。恐らく,こいつらが土砂を落としたのでしょうね。で,えっちらおっちら山を降りて襲いに行こうとしたら,君達とかち合った。

侠客(マフィア):
 ほかの道はなかったのか。さてはアタマはあんまり良くないな(笑)。

鉱人神官:
 いや,「奴らは馬鹿だが,間抜けではない」という話を聞いたことがあるわさ。

くもGM:
 てっきり,商人どもは壊滅状態だと思ったのに,やってくる人間達がいて「あれ?」と。……というわけで戦闘になります。

鉱人神官:
 皆,同じようなゴブリンですか?

くもGM:
 ええ,でかい奴もいないし,杖を持っている奴もいない。ま,初戦ですから。

ダンジョン坊や:
 チュートリアルで,誰かが死ぬと盛り上がりますよね(笑)。

くもGM:
 今回不意打ちはないので,そのまま普通の遭遇戦です。まずは行動順(イニシアチブ)を決定します。全員が2d6を振ってください。【機先】の技能を持っていたら,ボーナスが得られます。ゴブリン側は一律で……出目はいきなり6ゾロ!

一同:
 げえっ! 殺す気満々!?


■対ゴブリン戦:第1戦闘ラウンド


 対するプレイヤー側の出目は,鉱人神官が7,ダンジョン坊やが6,侠客(マフィア)が8となった。なので行動順はゴブリン→侠客(マフィア)→鉱人神官→ダンジョン坊やとなる。

くもGM:
 ゴブリン達が先制します。グリッドマップの縮尺は,今回は1マスを3メートルとカウントします。ゴブリン達は何も考えず5マスの移動。

鉱人神官:
 来たわね。「あたいの貞操はそんなに安くないわさ!」

くもGM:
 こいつらは投擲武器を持っているけど,射程は10メートルなので3マスしか届かない。5メートルまで近づいたところで,ゴブリンどもはギャアギャア,ゴブリン語で何かわめいています。

侠客(マフィア):
 俺は移動力が18なので,6マス動いて攻撃します。

戦闘の様子。なおゴブスレさんフィギュアは侠客(マフィア)を示している
画像集 No.010のサムネイル画像 / 原作者・蝸牛くも氏のGMでお届けする「ゴブリンスレイヤーTRPG」先行リプレイ。マフィア梶田ら,歴戦の冒険者達がダンジョンに挑む

侠客(マフィア):
 (ルールを見ながら)命中判定は「技量集中」+「戦士」レベル+技能か……(コロコロ)出目が低い!

くもGM:
 達成値11だと当たりませんね。侠客(マフィア)が奮った片手剣の下を,ゴブリンはひょいとくぐります。

ダンジョン坊や:
 マフィア〜,スゴイ剣士だって言ったじゃん!

侠客(マフィア):
 たまには外れることもある!

鉱人神官:
 あたいがリカバーしてあげるからさ!(コロコロ)あら?

くもGM:
 10ですね(笑)。鉱人神官のメイスはゴブリンの頭上を横薙ぎしました。ゴブリンは「なんだこいつ」という顔をしています。

ダンジョン坊や:
 まだ1発も当たってない! 移動力38なのでぐるっと回り込んで,ショートソードで脇から一撃。(コロコロ)命中14。ショートソードなのでダメージは1d6か。攻撃力によるボーナス修正も入れて……(コロコロ)8点,最大ダメージだ!

くもGM:
 ゴブリンは悲鳴を上げながらも,まだ生きています。

ダンジョン坊や:
 えぇー,最大ダメージなのに!

鉱人神官:
 原作の恐怖が思い出される……だわさ。

くもGM:
 ターン終了時には,ゴブリン側に「モラルチェック」が入ります。いわゆる士気の判定で,失敗したら逃亡するのですが,今のところ人数で勝っているので,モラルチェックは飛ばします。続いて全員「継戦カウンター」の処理を行ってください。

鉱人神官:
 それは?

くもGM:
 「継戦カウンター」が一定数溜まると,「消耗」にチェックが入ります。「消耗」すると,その度合いによってペナルティがあるんです。これがけっこう厳しいんですよ。

画像集 No.015のサムネイル画像 / 原作者・蝸牛くも氏のGMでお届けする「ゴブリンスレイヤーTRPG」先行リプレイ。マフィア梶田ら,歴戦の冒険者達がダンジョンに挑む


■対ゴブリン戦:第2〜第3戦闘ラウンド


 第2ラウンドに入り,再び行動順を決定する。ここでもGMは11という高目を出す絶好調を見せ,結果順番はゴブリン→侠客(マフィア)→鉱人神官→ダンジョン坊や。前ラウンドと変わらずである。

一同:
 この作者は殺す気満々ですよ!

くもGM:
 ゴブリンは侠客(マフィア)に向かい,粗悪な武器でぶん殴ってきます。回避するか,盾で受けるかを選んでください。「盾受け判定」に成功すると,「盾受け値」を「装甲値」に加算できるので,ダメージが大きく軽減されます。

 侠客(マフィア)は,「技量反射」+戦士レベルの判定で達成値17を出し,盾受けに成功。ゴブリンの攻撃を盾で完全に弾いた。しかし侠客(マフィア)の反撃は,またも外れ。鉱人神官は「しっかりしなさいよ!」とたしなめつつ,7点のダメージを与える。ゴブリンは苦痛にうめくが,まだ生きている。

くもGM:
 これはゴブリンの「モラルチェック」ですね。(コロコロ)1体逃げようとします。

鉱人神官:
 (ルールを読みつつ)敵1体の移動は,宣言だけで止められる「移動阻害」というオプションがあるんですね。「人前に出てこないゴブリンだけが,良いゴブリンだわさ!」と叫び,「移動阻害」します。「逃さないわさ!」

ダンジョン坊や:
 どこかで聞いたようなセリフが(笑)。

画像集 No.027のサムネイル画像 / 原作者・蝸牛くも氏のGMでお届けする「ゴブリンスレイヤーTRPG」先行リプレイ。マフィア梶田ら,歴戦の冒険者達がダンジョンに挑む

鉱人神官:
 「逃さない。地母神さま,力をあたいにくださいな!」 (コロコロ)達成値19で命中! (コロコロ)ダメージは9点!

くもGM:
 お見事。殴られたゴブリンは半死半生ですね。

ダンジョン坊や:
 あとは,侠客(マフィア)の剣が当たりさえすれば……。

侠客(マフィア):
 俺の攻撃は,「まじんぎり」なんですよ。

※「ドラゴンクエスト」シリーズに登場する特技。命中しづらいが,当たれば「会心の一撃」となる。

ダンジョン坊や:
 お前達が住んでいる迷宮に案内しろ〜という念をこめて。(コロコロ)当たりで7点。

くもGM:
 バサッと斬られて倒れました。


謎の洞窟,混沌の誘い


 ようやく調子が出てきた一党は,次のターンでゴブリン達を掃討。その死体を漁ると,槍が2本,剣1つと斧が1つ見つかった。ダイスでランダムに決まるドロップ品だが,いずれも粗悪な武器だったので,持ちはするが装備はしないことに。

侠客(マフィア):
 槍や長剣やらは狭い洞窟の中では危険だと聞いたので……装備は小剣のままで進みます。

くもGM:
 空気が湿り気を帯び,冷たい風も吹いてきたので,このまま野営するか,先を急ぐかを決めなければなりません。「継戦カウンター」は休憩をとると回復しますよ。

侠客(マフィア):
 うーん,一刻を争う状況なので……先に進みたい!

 しかし,夜通しで歩くうちに,鉱人神官が判定に失敗し,激しい「消耗」を受けてしまう。

鉱人神官:
 ああ,鎖帷子が重い。あたい今日,まだ髭剃れてないだわさ……。

くもGM:
 雨が止む気配もなく,いったん先に進むよりも休もうかという気になってきたところ,なにやら洞窟が見えてきました。

ダンジョン坊や:
 やったー! ダンジョンだ〜! 行こう行こう,雨宿りできるし,宝が見つかるかもしれない。

鉱人神官:
 そうね,疲れたから……。

侠客(マフィア):
 絶対死亡フラグじゃん(笑)。でも,そりゃあ入るでしょうね。

くもGM:
 では皆さんが洞窟に入ると……天井にふわっとした光りが広がった空間に出ます。いわゆるグローワーム――光を放つ昆虫が浮いているようです。奥には怪しげな祭壇があり,怪しげな司祭とモヒカン連中の姿も見えます。さらには,ゴブリンと思しき死体が点々と。そして「フングルイ」とか「イア,イア」とかいう声が聞こえてきます。

鉱人神官:
 あれは……「名状しがたき存在」を呼び出す呪文を使っているに違いない,だわさ。

くもGM:
 向こうはまだ君達に気づいていないようです。不意打ちチェックをどうぞ。

一同:
 (コロコロ)

画像集 No.028のサムネイル画像 / 原作者・蝸牛くも氏のGMでお届けする「ゴブリンスレイヤーTRPG」先行リプレイ。マフィア梶田ら,歴戦の冒険者達がダンジョンに挑む

くもGM:
 ……気づかれましたね。角のはえた変なモノを被った神官が叫びます。「我らが聖域へ踏み込んだ者がいるぞ!」 戦闘になりそうですが,その前に何か言っておきたい人はいますか?

鉱人神官:
 「アンタら,何を企んでるのよさ!」と叫びましょう。

くもGM:
 「知れたことよ,混沌の眷属を呼び寄せて,この地を破壊してやるのだ!」 そう返した混沌神官さんは,祭壇からパワーをもらって調子に乗っている感じがします。というわけで戦闘開始です。


■対混沌神官戦:第1戦闘ラウンド


 ジオラマを広げ,彼我の位置関係を確認する。敵は混沌神官1名と,その配下の混沌教徒が3名。そして敵の魔力の源とおぼしき「祭壇」がマップ上に配置された。
 一党は,まず祭壇を“汚して”魔力の供給を断つことを優先すべきと判断するが,このターンは距離的に届きそうにない。そこで,先制をとった侠客(マフィア)は混沌教徒を攻撃することにして,7点のダメージを与えた。

ダンジョン坊や:
 さすが侠客,勇敢だな〜。

混沌教徒へ突撃をしかける侠客(マフィア)。緑色のミニチュアが祭壇だ
画像集 No.011のサムネイル画像 / 原作者・蝸牛くも氏のGMでお届けする「ゴブリンスレイヤーTRPG」先行リプレイ。マフィア梶田ら,歴戦の冒険者達がダンジョンに挑む

くもGM:
 混沌神官には「統率」という能力があり,配下に自分を「支援」させることで力を高めることができます。「支援」している間,配下は動くことができません。混沌教徒は移動して,混沌神官をガードする形で支援に入ります。

 支援を受けた混沌神官は,呪文で反撃を試みる。狙われた侠客(マフィア)は「魂魄反射」(魂魄点+反射度)+冒険者レベル+各種修正で判定し,抵抗を試みるも……。

侠客(マフィア):
 (コロコロ)この出目だと……。

くもGM:
 この出目だと抵抗は失敗です。《聖撃(ホーリー・スマイト)》の呪文により,毒々しい紫色の,いかにも体に悪そうな稲妻が侠客(マフィア)を襲います。(コロコロ)ああっ,最低ダメージの6点しか出ない。ただ,装甲点によって軽減はできません。ダメージは「負傷数」にカウントし,「負傷数」が「生命力」の2倍になったら死亡扱いです。

侠客(マフィア):
 全然平気。体力だけはバカ高いので,どんどん魔法を使ってくれ(笑)。

ダンジョン坊や:
 これは呪文があなどれないな。GM,《力矢》の呪文を物体に対してかけることは可能ですか?

くもGM:
 GMの裁量で,今回は可能にしましょう。

ダンジョン坊や:
 よっしゃ。《力矢》の射程は30メートルしかないので,まず10マス移動して近付きます。「あの力があふれ出してる祭壇,あれを破壊すればいいんだろ!」と叫びながら発射!

くもGM:
 まずは発動したかどうかの判定です。「知力集中」で判定を行ってください。

ダンジョン坊や:
 集中度が0だし,僕は魔法に向いてないんだよなあ。2d6で6以上,出ろ! (コロコロ)よし,ギリギリだけど成功。1本の《力矢》が祭壇に飛んでいきます。1本につき1d6のダメージだけど,これって装甲点は無視ですよね?

くもGM:
 無視ですね。《力矢》によって祭壇は半壊しました。

侠客(マフィア):
 正直,本当に出ると思ってなかった。絶対不発だと思ってた。

ダンジョン坊や:
 ダンジョンがボクに力を与えてくれたのさ!

鉱人神官:
 よっしゃ,次はあたいね。走っても6マスしか動けないから……移動して《聖壁》の呪文を使いましょう。

くもGM:
 走って移動した場合,発動判定に−2のペナルティがつきます。

鉱人神官:
 2d6で7以上を出せば成功と。(コロコロ)出た11! 全力疾走して五体投地をしたんでしょう(笑)。半径3メートルだから,あたい中心に侠客(マフィア)のぎりぎり後ろのところに,《聖壁》が生まれます。

侠客(マフィア):
 最前線の俺に届かないんじゃ意味なくない?(笑)

くもGM:
 《聖壁》は10点までダメージを吸収する壁という扱いです。設定では術者に合わせて移動することになっているので,次のターンで動かせばいいのでは。「継戦カウンター」をチェックして,次に行きましょう。

黄色いマーカーが《聖壁》によって生まれた光りの壁を示している。ご覧のとおり,ゴブスレさんのフィギュアの侠客(マフィア)には届いていない
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■対混沌神官戦:第2〜第4戦闘ラウンド


 行動順を決めるダイスの結果,次のラウンドはダンジョン坊やが最初に行動することとなった。

ダンジョン坊や:
 呪文は使い切りましたが,「限界突破(オーバーキャスト)」でもう1発,祭壇の完全破壊を試みます。「まだ撃てる,ボクならやれるはず! サジタ(矢)……ケルタ(必中)……ラディウス(射出)!」

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くもGM:
 発動判定を行ってください。また発動の成否にかかわらず,「限界突破(オーバーキャスト)」は2d6の値だけ「消耗」が発生します。

ダンジョン坊や:
 これ,ルールブックに詠唱の文言がちゃんと書いてあるのがいいですね。(コロコロ)ギリギリ出ました。ダメージは5点です。(「消耗」を確認しながら)これ,1回が限度ですね。2回やったらほぼ確実に死にます。

くもGM:
 それくらいでないと,ポーションをがぶ飲みしながら打ち続けられちゃいますからね。《力矢》は勢いよく飛び,祭壇を見事にぶち壊しました。混沌神官を覆っていた光も消え,「我が神の力が!」とわめいています。これでもう呪文は使えないでしょう。

侠客(マフィア):
 俺のターンですね。ショートソードでの攻撃は(コロコロ)成功。ダメージは……うう,6点ですね。

くもGM:
 瀕死の状態です。ダメージが1足りませんでした。

侠客(マフィア):
 また1点足りないのか!

くもGM:
 今は「統率」が効いているので,装甲値が増加してるんですよね。だから常に配下を傍に置いているという。呪文が使えなくなった混沌神官は,錫杖で侠客(マフィア)をぶん殴ります。(コロコロ)目標値15で,回避か受けてください。

侠客(マフィア):
 盾で受けます。2d6で4以上なら……(コロコロ)よし,盾受け成功。

くもGM:
 ダメージは……これは,鋲付き革鎧(スタテッド・レザーアーマー)と,円盾(ラウンドシールド)に完全に防がれてしまいました。

鉱人神官:
 あたいの番! 前進して混沌教徒を追い詰めます。これ,《聖壁》で押された相手はどうなるんですか?

くもGM:
 押しのけられて,後ろに下がらざるを得ないでしょうね。あれ,でもこの位置だと後がないから……(ルールブックを読みながら)この石筍(せきじゅん)のあるマスにしか……行けないかな?

侠客(マフィア):
 すると,どうなるんです?

 あのとき。
 ダンジョン坊やが《力矢》で穢(けが)れた祭壇を破壊してから,混沌神官がまとっていた霊気のようなものが立ち消えた。だが,信者達がいまだ堅牢に守りを固めていて,手出しはできない。
 戦闘訓練を受けた混沌信者は,独自のフォーメーションを編み出すと聞いたことがある。身をもってそれを示すかのように,混沌神官は錫杖を振り上げ,侠客(マフィア)を力いっぱい打擲(ちょうちゃく)した!
 さすが騎士の家に生まれただけあって,彼は反射的に,その一撃を盾で受け止める。
 ガンと,鈍い鉄の音が響きわたる。けれども,このままでは押し負けてしまいかねない。

「いと慈悲深き地母神よ,あたい達を,どうか,大地の力でお守りください!」

 鉱人神官は額に汗を浮かべ,祈りの文句を叫んだ。彼女は懸命に,《聖壁》を維持している。これで守られている限り,強力な攻撃にさらされても,そうやすやすと傷つくことはないのだ。
 そのとき,鉱人神官は気づいた。侠客(マフィア)と斬り合って息も絶え絶えの混沌信者と,自分とのあいだに,ちょうど死角ができていたことを。
 悪しき者は,聖壁を超えられない。一歩,一歩,鉱人神官は間合いを詰めていく。
「ひ,ひい……」
 満身創痍の混沌教徒は後退りしていく。
 すぐに,最後の一歩がなくなった。

くもGM:
 こいつ,残りヒットポイント1なので……石筍に刺さって死亡します。

一同:
 えっ。

 聖なる力場に弾き飛ばされ,槍のように尖った石筍に,混沌教徒が串刺しになる。
 途端に,リーダーの混沌神官に隙が生じた。

「あの瞬間が,あたい達を変えたんだわさ」

 ――鉱人神官は,そう後にギルドの後輩冒険者に語っている。
 ダンジョンに転がる屍の仲間入りをしなかったことで,「運命」や「偶然」を味方につけたという。彼女はそのとき,地母神の加護を確信した。
 こうして新人冒険者達は,混沌の眷属に蹂躙される危機から近隣の村々を救ったのだ。

鉱人神官:
 ……《聖壁》,最強すぎない?

くもGM:
 あくまで今回のGMはそういう裁定をした,ということで。

侠客(マフィア):
 いや,「ゴブリンスレイヤーTRPG」というからには,こういうのが見たかった!

 こうなると,勢いづいた一党を前に,混沌教徒側は劣勢を免れない。侠客(マフィア)はトドメとばかりに混沌神官を攻撃し,6ゾロ(クリティカル)で最後の一撃を加えた。

くもGM:
 親玉が倒され,残った混沌教徒は散り散りに逃げていきました。祭壇を壊したからか,洞窟からも悪の気配は抜けています。一党が洞窟を出ると,雨があがって朝日が差し込んでくるの目にします。戦いは終わったのです。

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辺境の街への帰還


くもGM:
 君達はその後,宿場町に着いて救援を要請し,代わりの馬車を連れて商人達を迎えにいきました。商人達は宿場町でしばらく療養するからということで,「もうこれで依頼を達成ということで帰っていいよ」という書付けを渡してくれました。そんなわけで,君達はようやく西の辺境の街に戻って来れたわけです。受付嬢さんが出迎えてくれます。
「いやあ,ボク心配してたんですよ〜」

ダンジョン坊や:
 ありがとう,生きて帰ってこれたよ。

くもGM(受付嬢):
 では,報酬を渡しますね。ギルドの査定にもちゃんと入れておきますから〜。とはいえ,まだ一番下の白磁等級なので,昇進までにはしばらくかかりますけど。

侠客(マフィア):
 ちょっと受付嬢いじめていいですか(笑)。「あの〜,邪教徒が出るとは聞いていなかったんスけど」。

くもGM(受付嬢):
 い,いやあ,最近物騒になっているとはボクも聞いてましたけど,まさかこんな事態になるとは……。ほ,報酬の方は,ちゃんと上乗せしておきましたから(泣)。

侠客(マフィア):
 上乗せはいいから,耳の裏の臭いを嗅がせろください(笑)。

鉱人神官:
 ところで,もし冒険の報告で嘘をついたらどうなるんです? 依頼を達成してないのに,達成したことにしたりとか。

くもGM:
 《看破(センス・ライ)》の呪文でバレます。ギルドでの査定時には,面接があって報告書も書かされますから。
 ともあれひどい目には遭いましたが,皆さんはなんとか無事に邪教徒を倒し,冒険を達成しました。最近は混沌の勢力がこのあたりにまで手を伸ばしているようですね。

鉱人神官:
 今回の冒険で味をしめ,あたいは,二つ名として「《聖壁》の」を名乗ることにするだわさ。

くもGM:
 鉱人神官はゴブリンだけでなく,混沌神官との戦いを自分の使命だと思い始めたようですね……。

今回のリプレイ収録が行われた「テーブルトークカフェ Daydream」には,新旧のTRPGルールブックやボードゲーム,雑誌などの関連書籍がこれでもかと揃っている。フィギュアやマップ,ダイスなども充実
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感想戦:初めての「ゴブリンスレイヤーTRPG」


4Gamer:
 というわけで,皆さんセッションお疲れ様でした。ここからは感想戦ということで,「ゴブリンスレイヤーTRPG」を遊んでみた感想をうかがっていきたいと思います。まずGMを担当された蝸牛くもさん,いかがでしたか?

蝸牛くも氏:
 まだ開発中のシステムということで,ちゃんとGMをやったのは自分も初めてだったのですが,良くも悪くもいろいろな特徴が見えてきたように感じています。良かった,というより嬉しいと思ったのは,原作者として再現してほしいと考えていたバランスというか,オールドスクールRPGな要素がしっかり実現できたところですね。

4Gamer:
 ルール面では,「消耗」や「継戦カウンター」といった要素が独特に感じられました。

キャラクターシートより「消耗」と「継戦カウンター」欄(※画像は制作中のもの)
画像集 No.032のサムネイル画像 / 原作者・蝸牛くも氏のGMでお届けする「ゴブリンスレイヤーTRPG」先行リプレイ。マフィア梶田ら,歴戦の冒険者達がダンジョンに挑む

蝸牛くも氏:
 HPとスタミナは別にしてほしい,とはお願いしていたので,それがちゃんと組み込まれた結果だと思います。一方で,まだ煩雑さを感じる部分もあったので,そこは後ほど開発元であるグループSNEさんにお伝えしておこうかと(苦笑)。

4Gamer:
 戦闘が長引くと不利になっていきますよね。その半面,呪文が相対的に強力に設定されている印象です。

蝸牛くも氏:
 そこは原作でも意識的に描いている部分ではあるんですよ。この世界は呪文を使える回数が少ない代わりに,一発の威力が大きい。だから魔術師が一人いるだけで,総体としてのパーティの強さが格段に違うというような。TRPGでも,そういった雰囲気が伝わったならありがたいですね。

4Gamer:
 今回はミニチュアを使った戦闘でしたが,そのあたりはいかがだったでしょうか。限定版にはゴブスレさんのフィギュアも付属するわけですが。

蝸牛くも氏:
 自分が普段オンラインセッションばかりやっているので,今日みたいにミニチュアを並べたプレイというのは,実はあまり経験がなくて。不慣れではありましたが,こういうスタイルがもっと広まったらいいな,とは思いました。あとフィギュアを使わない戦闘ルールもありますので,オンラインセッション派の人もご安心ください。

岡田氏:
 いやいや,安定感のあるマスタリングで,本当に楽しかったですよ。原作からして,機転とかアイデアでピンチを切り抜けるようなシーンが多いじゃないですか。個人的に,TRPGでもそれが再現できるなら……と思っていたのですが,GMが柔軟に対応してくれて文句なしに楽しめました。

「ゴブリンスレイヤー」は,原作小説は9巻+外伝2巻がSBクリエイティブ/GA文庫より発売中だ。コミック版は原作6巻+外伝3巻がビッグガンガンコミックスから発売されており,アニメ版はBlu-rayディスク全3巻が予約受付中となっている
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蝸牛くも氏:
 そう言ってもらえると,原作者冥利に尽きます(笑)。

岡田氏:
 昔は皆やってたんですけどね。うちのお店に来る年季の入ったTRPGファンの方とも,ゴブリンスレイヤーの話題で盛り上がることも多いので,いまから発売が楽しみです。

4Gamer:
 あれだけTRPGへのオマージュが込められた原作ですからね。

岡田氏:
 でも,おかげでゴブリンへの風当たりは確実に強くなりましたね。これまでは2〜3匹逃げ出しても放置されていたのに,危険だということでPC達が確実に殺しに来るっていう(苦笑)。

一同:
 (爆笑)

蝸牛くも氏:
 いやでも,「TRPGを知らないと分からない」とならないよう,執筆時には意識しています。

4Gamer:
 梶田さんはプレイに参加してみてどうでしたか?

マフィア梶田:
 自分は「ダンジョンズ&ドラゴンズ」と「クトゥルフ神話TRPG」くらいしかプレイ経験がなくて,楽しめるかどうか不安だったのですが,やっぱり原作の力は大きいと感じましたね。数字が苦手なので最初は戸惑いましたが,原作小説や漫画,アニメで見た光景が浮かんできて,すんなり入り込めた。俺みたいに「原作を入口にしてTRPGに挑戦してみよう」という人には間違いなくオススメできると思います。

4Gamer:
 原作ものということで,原作の登場人物と絡む楽しさもあると思うのですが,そういった要素はあるんでしょうか。女神官ちゃんといちゃいちゃしたい,とか(笑)。

蝸牛くも氏:
 NPCとして出せるように,原作キャラクターのキャラクターデータは収録されます。なので原作キャラクターと一緒に冒険することも可能です。あとは「受付嬢さん決定チャート」もあるので,いちゃいちゃしたい人はそちらがオススメですね(笑)。

マフィア梶田:
 あれはすごいインパクトでしたねえ。

4Gamer:
 では,最後にくもGMから締めの言葉をいただけますか。

蝸牛くも氏:
 そうですね。「ゴブリンスレイヤーTRPG」という名前なので,どうしてもゴブリンと戦うゲームだと思われがちですが,それ以外の冒険もできますので,さまざまな冒険を楽しんでもらえたらと思っています。今書いている外伝では,ゴブリン以外の怪物もいっぱい出てきますし,それこそ世界を救う話をやってもかまわない。勇者ちゃんだけが世界を救っているわけじゃないですから。発売は来年5月になりますが,ぜひご期待ください。

4Gamer:
 皆さん,本日はありがとうございました。

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GA文庫「ゴブリンスレイヤー」特設サイト

テレビアニメ「ゴブリンスレイヤー」公式サイト

コミック版「ゴブリンスレイヤー」特設サイト

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  • 関連タイトル:

    ゴブリンスレイヤーTRPG

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