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AKINO with bless4が,少女前線で歌うもの――ある日の上海でのインタビューにて
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印刷2018/11/21 12:00

インタビュー

AKINO with bless4が,少女前線で歌うもの――ある日の上海でのインタビューにて

 日本を中心に活動する音楽グループ「AKINO with bless4」が,上海で行われた少女前線(日本語タイトル「ドールズフロントライン」)のオーケストラコンサート“Girls Frontline ORCHESTRA 人形×彼岸花”に出演していた。

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 少女前線(日本語タイトル「ドールズフロントライン」)のオーケストラコンサート“Girls Frontline ORCHESTRA 人形×彼岸花”が,2018年10月19日に中国大陸・上海で開催された。本稿では,軽快で電子的なサウンドを荘厳な管弦楽の調べで紡いだ,本公演の模様をお届けする。

[2018/10/24 00:00]

 彼らは,少女前線における2018年冬季イベント“特異点”のテーマソング「What am I Fighting for」の歌唱を担当しており,先日のコンサート会場でも,非の打ちどころのない圧巻のパフォーマンスをもって,力強い歌唱を響かせていた。しかし,一体どのような経緯があり,あの場に立つことになったのだろう。

 今回は公演前日の2018年10月18日,イベントを主催するうちの1社“Vanguard Sound”の上海スタジオにて,未発表の新曲のレコーディング中,忙しい合間をぬってくれた彼らにひとりずつ話を聞かせてもらった

画像(009)AKINO with bless4が,少女前線で歌うもの――ある日の上海でのインタビューにて

■“bless4”とは
 “bless4”は日本人の両親を持つ,AKASHI(長男),KANASA(長女),AKINO(次女),AIKI(末っ子)の4人兄妹によるコーラス・ダンスグループ。幼少よりアリゾナ州フェニックスを中心に約15年間のアメリカ生活。全員がテコンドーを習得。AKASHIは14歳の部,KANASAは12歳の部でアリゾナ州のテコンドーチャンピオンに。

 2003年にメジャーデビューし,数々のイメージソングで話題を呼ぶ。2010年に行ったアジアツアー以来,海外でも強い人気を誇る。2005年,AKINOがアニメ主題歌「創聖のアクエリオン」でソロデビューして以降,AKINOをメインボーカルに据え,兄弟3人がコーラスなどを担当する“AKINO with bless4”としての活動もスタートした。


AKINOさんの19:02p.m.


4Gamer:
 さて,メインボーカルの収録でおつかれのところ恐縮ですが,これからbless4のインタビューを行わせていただきます。ほかの3人はあとで合流するそうで,当面はサシでの質疑応答となってしまいますが。

AKINOさん(アキノさん):
 いえいえー,ありがとうございます。

4Gamer:
 というわけで,AKINOさん。よろしくお願いします。

AKINOさん:
 よろしくお願いします。

次女のAKINO(アキノ)。bless4のボーカル/衣装を担当。天まで伸びるハイトーンボイスが魅力。ソロデビュー後は,その類い稀なる歌唱センスで多くの人たちを魅了してきた。また,彼女が作る“奇抜な衣装”はファンの注目の的になっている
画像(003)AKINO with bless4が,少女前線で歌うもの――ある日の上海でのインタビューにて

4Gamer:
 まずは初っ端ですので,少女前線のイベントテーマソング「ほわっと あむあい ふぁいてぃんぐふぉー」(What am I Fighting forの発音)を歌ってみての感想をお願いします。

AKINOさん:
 「ワッムアィファィリンフォ」(本物の発音)は,私が普段歌っているロック調の曲よりもキーが低かったので,いつもと違う雰囲気にしてみようと考えた,ある意味チャレンジの楽曲です。とくに私は歌詞に惹かれましたので,弱気な面も,強気な面も,歌詞の表情により迫れるようにと,自分なりに歌唱法を研究させてもらいました。

4Gamer:
 拙い翻訳ではあるものの,歌詞をどうにか解読させていただきました。だいぶシリアスな雰囲気が漂っていますよね。

AKINOさん:
 そうですね。悲しい雰囲気が漂っていますが,その中でも希望をなくしてはいない――そういうギャップを歌で印象付けられたらいいなと考えていました。

4Gamer:
 そのための具体的な工夫はなんでしょう。

AKINOさん:
 パワフルな楽曲ではありますが,最初からいきなりガツンといかないようにして,切なさを出せるような声色を意識して,自分なりにリズムも変化させたりしました。

4Gamer:
 収録はいつごろしたんですか。

AKINOさん:
 最近ではなくて,1年以上も前で,ええーっと,日時はハッキリと覚えていないんですけど,東京で収録しましたね……(笑)。そのときはたしか,期限の数週間前に音源が届いて,そこからお姉ちゃん(KANASA)が歌詞をつけて,それから録音したんです。

4Gamer:
 それでこの歌詞を作ったんですか,KANASAさんは。正直な話,1年以上前となると,いかにこちらで人気と言えど,日本で少女前線をマークしていたのはわりと一部で,私の場合は編集部が古くから注目していたので名前だけは知っていましたが,実のところ,まったくの無知でした(※俺は知ってたぞ! という人はご容赦を)。この場に来させてもらうことになったのも,すべては“日本でのドルフロの展開”がはじまったからですし。

AKINOさん:
 そうなんですねー。

4Gamer:
 お恥ずかしいかぎりで。ですから,日本では数少ない情報しかなかった当時,これほど真に迫る歌詞,そして雰囲気に合致した歌唱を当てたなんて,素晴らしいなと。

AKINOさん:
 私も当時,日本では遊べなかったため,実際のゲーム画面を見たことはありませんでした。ただ,楽曲に求める雰囲気を教えてもらい,たくさんのイラストも見せてもらえたので,「こういうイメージかな?」と詰めていくことはできました。こちらの方々も“bless4の味を出してほしい”とお任せしてくれたので,やりやすかったです。

4Gamer:
 AKINOさん含めて,bless4は楽曲とその歌唱のイメージを捉えるとき,どのような素材からきっかけを掴むのでしょう。絵や声,物語などいろいろありますが。

AKINOさん:
 私たちはアニメの楽曲を担当することが多いので,それほど多くはない情報ですが,あらかじめ「作品のざっくりとしたテーマ」を聞いています。私の場合はその先,音楽と歌詞があがってきたら,私なりの歌唱をリンクさせられるよう,実際に収録する前に“ひたすらイメージトレーニング”をしています。

4Gamer:
 AKINOさんはそのあたり,だいぶ時間をかけるんだとか。

AKINOさん:
 はい。未だに「AKINOの声って,なんだろう」と悩むことが多いので,イメージトレーニングをすごく大事にしています。私の歌い方,曲に合ったいろいろな歌い方,私と曲がマッチするベストな歌い方をたくさん想像します。音楽が届いたら,とりあえず自分で簡単にレコーディングして,それを聴いてみて,「これはイイかも」「これはダメかも」を何度も模索します。お兄ちゃんたちからもアドバイスを聞いて,ほかの人の意見を取り入れて,その曲にとってのベストを目指していくことが多いです。

4Gamer:
 自分なりを尽くして,さらにほかの人の意見も取り入れるんですか。

AKINOさん:
 お兄ちゃんも曲作りをする人なので,的確なアドバイスをもらえます。もちろん,お兄ちゃんだけじゃなくて,みんなの声から良いと思うものを拾っていきます。

4Gamer:
 いいですねえ,「兄弟ならでは」。たぶん,こういう言われ方はよくされていそうですが。

AKINOさん:
 そうですね(笑)。

4Gamer:
 そして明日のコンサートでは,もはや予想とも言えませんが,「What am I Fighting for」を披露してくれるんですよね。

AKINOさん:
 はい。伴奏もオーケストラの方々がやってくれるので豪華です。

4Gamer:
 あっ,やっぱりオーケストラ伴奏なんですね。そういうのは経験あるんですか。

AKINOさん:
 いえ,初めてです……(笑)。今回のお話をいただいたとき,「えっ! 中国でっ! オーケストラっ!?」ってなったくらいで。すごく楽しみではありますが,練習の機会が明日のリハーサルしかないので,ちょっと不安もあったりします。

4Gamer:
 それじゃあ,楽団のコンサートマスター的な人にもお会いしておらずで?

AKINOさん:
 はい,楽団はこちらの方々ですから,誰とも会えていないです。彼らもいっぱい練習していると聞いていますが,元がエレクトロな曲なのもあり,オーケストラだから出せる音,出せない音もあると思っています。ほんと,明日が本番なんですよねえ。今日も新しい曲をレコーディングしていて,明日にはそれを初披露なので,やっぱり緊張してます(笑)。

4Gamer:
 えっ,もしかして横の扉でやってる収録って,新曲なんですか。

(※翌日に発表された,少女前線の新曲「シラカバの光」のこと)

AKINOさん:
 あっ,言っちゃいけないやつだったかな……?

4Gamer:
 この取材が記事になるのはちょっと先の話なので,言っちゃっていいことにしときましょう。

AKINOさん:
 分かりました。でっ,そうなんです! 音源が昨日届いて,今日収録して,明日披露なんです……あはは(笑)。

4Gamer:
 他人事なのが申し訳ありませんが,大変ですねえ……(笑)。

AKINOさん:
 でも,やっぱり楽しみが強いです。私の歌はひとりの力では絶対にできないものだから,兄弟がいて,Vanguard Soundの方々がいて,オーケストラの方々がいて,みんなで心をひとつにして歌うからこそ“音楽はつながっていく”のだと思っています。この歌を聴いてくださる人たちのことも考えていれば,絶対につながります。

4Gamer:
 ステキですね。きっと大丈夫ですよ。Vanguard Soundの人に「なんでAKINO with bless4なの?」と聞いたら,「私たち全員が大好きだから!」って言ってましたし。

AKINOさん:
 あっ,そうなんですか? とても嬉しいです(笑)。

画像(010)AKINO with bless4が,少女前線で歌うもの――ある日の上海でのインタビューにて

4Gamer:
 それにしても,ほかの3人はもうちょっと時間かかりそうですかね……?

お母さま:
 ええ,ごめんなさいねえ。まだみたいなの。

(※bless4のマネージメントは兄弟の母親が手がけており,インタビュー中も同席してくれていた)

4Gamer:
 じゃあ,もうちょっとソロインタビューにお付き合いを……(笑)。AKINOさんは上海に来るのは何回めですか。

AKINOさん:
 たしか,2回めになります。

4Gamer:
 今年は15周年記念ということで,日本や中国でツアーをされているとか。

AKINOさん:
 はい。つい先日も台湾でライブをしましたが,たくさんの人たちに集まってもらえて,元気いっぱいに迎えてくれて嬉しかったです。

4Gamer:
 なんでも“一万年と二千年前から 愛してる”のフレーズは,こちらでもかなり多くの人が「知ってる知ってる」ってなるらしいんですが。

AKINOさん:
 ライブで「創聖のアクエリオン」を歌うと皆さん,曲のはじめから一緒に歌ってくれるくらいです。「あっ,私歌わなくてもいいかも」と思っちゃうくらい上手に(笑)。アジア圏の方々は日本のアニメを見て,それで日本語を覚える人がたくさんいるみたいなんですよ。ライブのMCを日本語でやっても,皆さん100%理解してくれるのは本当にビックリします。

4Gamer:
 少女前線のようなゲームにしても,「日本の声優の日本語音声を収録して,それを楽しむ」という文化が形成されていますからね。

AKINOさん:
 ハートで歌えば,言語の壁も乗り越えて,絶対に通じるものがある。それをこうやって教えてくれるアジア圏の皆さんには,本当に感謝しています。

4Gamer:
 他意はないんですが,それで言うと,日本のファンはすこしシャイだったり?

AKINOさん:
 いやっ,日本のファンの方々もとっても元気いっぱいですよ! たしかに,ちょっとシャイな部分もあるかもしれませんが(笑)。

4Gamer:
 それと,兄弟で活動するというのはどんな感じなんでしょう。私も口にしましたが,周囲から「なんかいいねー」みたいなことをよく言われてそうなイメージがあって。

AKINOさん:
 小さいころからずっと一緒だった家族と,15年前にbless4を結成し,ここまでやってきましたが,違和感を持ったことはないです。みんな音楽を愛していて,ただ“それを伝えたい”の想いがあって。なにより「家族でできる」ことがすごく嬉しいんです。あと,兄弟でそれぞれ得意なことが違うのも面白いですよ。お兄ちゃんは楽曲で,お姉ちゃんは歌詞で,AIKIはダンスで,私もファッション関連で頑張っています。

4Gamer:
 ほー。

AKINOさん:
 それぞれの才能を伸ばしながらやってこられた15年間は,いつも楽しかったです。それにステージに立ったとき,1人だと1人の色しか出せませんが,4人だと声も動作も個性も違う「4人の色」が混ざり合って,私たちも飽きませんし,見ている人にもより楽しいと思ってもらえるはずです。なので,家族と一緒にいると幸せですし,一緒にいたから,いろんなことにチャレンジしてこられたのだと思っています。

4Gamer:
 そうやって15年やってきたんですね。

AKINOさん:
 それぞれキャラクターも違いますしね。ツッコむ人もいれば,よくしゃべる人もいて,カッコつける人もいたりと(笑)。

4Gamer:
 一番面白いのはやはり,AKASHIさんですか。

AKINOさん:
 そうです。面白いことをバババーって言ってくれます。

4Gamer:
 そのうえで人間というのはやはり歳をとるもので,末っ子のAIKIさんも20代中頃となりましたが,4人の年齢とともに変わっていったことはありましたか。力関係とか。

AKINOさん:
 bless4として言うのなら,一番変わったのは「最初と今のイメージの違い」でしょうか。

4Gamer:
 と言いますと。

AKINOさん:
 bless4は当初,「会社が提示した決められたイメージ」に沿って活動していました。例えば,お兄ちゃんは当時から日本人離れした顔つきだったので,なるべく英語で喋る,クールで澄ました雰囲気という設定で,お話はすべてお姉ちゃんが担当していました。でも,活動を続けていくにつれ,お兄ちゃんの振る舞いにも段々と本音の部分が出てきて,今ではお客さんの前で親父ギャグをバンバン言うようになりました(笑)。

4Gamer:
 本来の個性が,徐々に表面化していったんですね。

AKINOさん:
 ファンの方々も「お兄ちゃーん!」と呼んでくれるようになりましたし,お兄ちゃんがギャグで滑るのも期待してると思います(笑)。

4Gamer:
 めちゃくちゃハンサムですのに,もったいない(笑)。

AKINOさん:
 私たちは初めのころ,芸能界という場所でどうやって生きていこうかと戸惑っていて,少なからず殻に閉じこもっていたと思うんです。でも,少しずつですが,いろいろな経験をして,いろいろな人に出会って,いろんな曲を歌って,いっぱい学んできて,「ああ,自分が想うままでいいんだ」と考えられるようになっていきました。

4Gamer:
 自分なりのスタイルで。

AKINOさん:
 ええ。私たちはいつも「面白いアイデア」を考えて,楽曲の表現において“みんながやらないこと”を目指しています。ファンの方々と一緒に歌ったり,ダンスしたりするのもそうですし,bless4ならではの活動の仕方というのは常に意識してきました。

4Gamer:
 アイデアの種は,日常生活でポンっと出てくる感じですか。

AKINOさん:
 それもありますね。あと,デビュー直後のストリートライブの経験からくるものも多いです。

4Gamer:
 えっ,路上でやってたんですか。

画像(007)AKINO with bless4が,少女前線で歌うもの――ある日の上海でのインタビューにて
AKINOさん:
 年間で「365回のストリートライブ」をやってました。

4Gamer:
 それ,1日1回ができない日も出てきますよね。

AKINOさん:
 ときには1日7回で(笑)。

4Gamer:
 存じてなかったので恐縮ですが,凄まじい叩き上げですね。

AKINOさん:
 私たちはそのときのストリートライブで,たくさんのことを学ばせてもらいました。路上では,殻に閉じこもって恥ずかしそうに歌っていても,お客さんは寄ってこないんです。

4Gamer:
 私なんかは「ヘッドフォンしてるから聴こえない振り」を決め込んで,よく通り過ぎているかも。

AKINOさん:
 私たちも当時,周囲の人の目を気にして,そうされることが,すごく恥ずかしいものに感じていました。ですが,その恥ずかしさを表に出しているかぎり,人は近づいてきません。誰かの目を見ながら歌って,激しいダンスで気を引いて,いつの日か思いっきり「ここにいるんだー!」って感じでやりきるようにしました。すると,みんな見てくれるようになって,一緒に盛り上げてくれるようになりました。そういう成り立ちがあるので,私たちの根本にはいつも“お客さんと一緒になにかしたい”という強い想いがあります。

4Gamer:
 すみません,bless4はテクニックの人たちと想像していましたが,メンタルの人たちでもあるんですね。

AKINOさん:
 最終的には人が集まりすぎて,警察の方々も集まってきちゃったり(笑)。

4Gamer:
 今やっても警察でしょうね(笑)。

AKINOさん:
 近い話では,私たちがやっているスクールでも,生徒の方々にストリートライブをやらせています。私たちが経験した“大切なこと”はなるべく教えたいので。生徒さんも最初は怖がっていますが,やっていくうちにどんどん強くなっていきます。

4Gamer:
 それって,あれですよね。bless4が直接レッスンするという「AM(アスレチック・ミュージック)」。ほかの3人もまだまだ来そうにないのでどんどん話を進めますが,所属する生徒の年齢はいくつくらいなんでしょう。

AKINOさん:
 うーんと,5歳から50歳の人までさまざまですね。

4Gamer:
 それはまた広い。

AKINOさん:
 小学校の必修科目でもあるダンスと英語を学んでもらう「KIDSクラス」,プロを目指している人たちに向けた「PROクラス」,日頃の運動不足やストレスを解消してもらう「REGULARクラス」とあるので,年齢層は幅広いです。

4Gamer:
 なんというか,いろんな子がいそうですね。

AKINOさん:
 いますよー! 毎週毎週,こういう子にはこういう感じで,ああいう子にはああいう感じでと,いろいろなことを考えています。

4Gamer:
 一括りにできないと思いますが,どのような生徒が入会しに来るのでしょう。

AKINOさん:
 私が教えているKIDSクラスには,やはり「ダンスや英語が好き」という子供が来てくれます。目を合わせられない,人とうまく喋れない,そういう内気な子もたくさんいましたが,さっき言ったとおり,ストリートライブなどをとおして,何人もの生徒さんに殻を破ってもらってきました。

4Gamer:
 親御さんが喜びそう。

AKINOさん:
 一方でPROクラスにはいろいろな夢を持つ人がいます。「芸能界デビューしたい」「歌もダンスもしたい」「将来,誰かをプロデュースしたい」など,さまざまです。年齢は私と同じくらい,ちょっと上の世代が多いです。どんな夢を持っているにせよ,うちのスクールではまず基礎訓練からはじめます。

4Gamer:
 結構スパルタ。

AKINOさん:
 私たちはシンガーやダンサーという枠に収まらない,エンターテイナーを目指してほしいんです。その先で「音楽は本当に楽しい」と思ってもらえれば,その人は絶対に変われると思っています。それとレッスン以外にも,bless4のライブでイベントスタッフやバックコーラス・ダンスや前座をする機会を提供しています。とにかく,いろいろな経験をしてもらうことにしています。

4Gamer:
 ときに,このスクールが開校されたのはいつごろのお話で。

AKINOさん:
 えーっと,約4年前になります。

4Gamer:
 では,AMにはどのような理念があって開校されたのでしょう。きっと,それまでのbless4の活動とはまったく別の考えですよね。

AKINOさん:
 AMの理念ですが,私たちには夢があるんです。ウチでは技術面を高めてもらうのはもちろんですが,「人間性」を磨いてもらいたいと思っています。今の時代,挨拶が足りないと思うんですよ。私たちは“挨拶で世界を変えていきたい”んです。

4Gamer:
 それは,つまり,「おはようございます」?

AKINOさん:
 はい。「おはようございます」「よろしくお願いします」「おつかれさまでした」などの挨拶です。私たちは“夢を大きく口にする”ことができないと,夢に近づくのが少しずつ難しくなってしまうと考えているので,そのためにもとスクールでみんなに「挨拶と抱負をハキハキと口にできるよう」練習してもらっています。

4Gamer:
 素晴らしい心がけだと思います。今日だけでも実際,bless4の皆さんはとても自然に,誰とでも挨拶と握手をされていましたし。

AKINOさん:
 ありがとうございます。人と人が会えば,誰でも挨拶をします。そのたった一言で,より良い未来を引き寄せることだってできます。だから歌やダンスの技術だけではなくて,そこから育ててあげたいんです。そのぶん,子供たちにはちょっと厳しい先生に映るかもしれませんが(笑)。

4Gamer:
 “道のつく習い事”のように,技術の指導だけではない,礼節の指導ともなると,キッパリと言う必要も出てきますものね。

AKINOさん:
 ええ。人間関係が表に出てくることもあるので悩みは多いです。そのため,ちゃんと言ったあとは,ちゃんと愛情を見せることを心がけています。人は誰しも認められたいという気持ちがあるので,言うときはビシッと言う,上手になったら褒める,そういうのを欠かさないことが大事なんだと考えています。

4Gamer:
 おそらくですが,4年前のbless4って,教える側は未経験だったのでは。

AKINOさん:
 はい,まったくの未経験でした。「私で大丈夫なんだろうか……?」と何度も思いましたし,兄弟みんなそうでした。この4年間,多くの生徒さんたちを教えていきましたが,それと同じだけ私たちも教えてもらってきました。音程を取れない子が,音程を取れるようになった。そういう努力の奇跡の連続なので,未だに発見だらけの日々です。

お母さま:
 この子たちも,生徒たちも,人間というのは助け合わなければやっていけないと思うんです。だから,私たちは「人間のプロ」を目指して,やったろう,がんばろうと。

4Gamer:
 人間のプロ。いい響きですね。

お母さま:
 芸能の道に進むには,歌が上手なだけではいけませんし,技術を笠に着て高慢になってもいけません。芸能界に立つということは,人々の光になり,鑑になり,模範でなくちゃいけない。それが私たちの掲げる主旨ですから,ただ単に芸能人を送り出せばいいとはしません。人がなにを見て,なにを求めるのか,それを知ったあとにひとりでも立てる力を身に付ける。そういうところが大事なんです。実際,そうやって歩んでもらって,生徒の人間が変わったような成長を目の当たりにすると,この教室のやり甲斐を感じます。

4Gamer:
 私も勉強させてもらっている気分です。しかしですが,グループ活動の傍らで先生もやるとなると,どうしても力が分散されてはしまわないでしょうか? もちろん,今こうやって悩めて,成長できていることも“AMのおかげ”だと思いますが。

AKINOさん:
 大変なのは確かですが,私たちはこうやって,家族でやってきました。アーティストとしては歌って踊り,会社に戻れば会社員として事務作業や雑用もこなして,スクールでは先生としてクラスを教えています。

お母さま:
 彼らは3つの草鞋を履いているんです(笑)。

AKINOさん:
 スタッフの仕事って,とても大切なんです。さっき私が「歌はひとりの力では絶対にできないものだから」と言ったとおり,表に立つからには,支えてくださるスタッフの方々に感謝の気持ちを持つべきだと思っています。そのため,スクールの生徒さんにもライブでスタッフの経験をしてもらっているんです。

4Gamer:
 なるほど,そういう。私は詳しくないのであれですが,現役でそこまで含めてやっている人って,あまりいない気がします。

お母さま:
 そうかもしれません。でも大切なのは,現役だから今のようにできるのであって,現役だから今のように経験すべきというところですから。

AKINOさん:
 お母さんとお父さんには,いつもこうやって叱ってもらっています(笑)。

4Gamer:
 芸能界に立つってのは,喧騒の中心に飛び込むことで,決めつけですが「喧騒の中に立つことだけしか想像しない人」も多いと思います。むしろ,それが自然ですし。

AKINOさん:
 ええ,だからウチのスクールが「合わない」と思ってしまう人は多いはずです。歌やダンスがすごく上手な生徒さんは何人もいますが,だからといって特別扱いすることはありません。全員一様,技術ではないところは同じ経験を積んでもらう。それが私たちのスタンスです。

4Gamer:
 じゃあ,長く残っている人はまさに「これなら大丈夫!」という人なんでしょうね。

AKINOさん:
 はい。それは自信を持って言えます!

4Gamer:
 ちなみに,お母さまは明確で立派なビジョンとスタンスを持っているとお見受けしましたが,芸能界は長いのですか。

お母さま:
 いえ,私はそうでもないです。もともと,主人が“芸能人になりたかった人”なんですよ(世界平和親善画家のHARU川満氏)。実際にアメリカでモデルとしてデビューし,歌うこともあったのですが,ハッキリ言ってパッとしなかったんです(笑)。

4Gamer:
 まぁ,そういうこともありますよね。大人であれば,そういう世界だと誰でも知っています。

お母さま:
 でもね,彼と私が結婚して,この子たちが生まれて,そしたら彼の夢も変わっていったの。“家族で芸能界デビューする”って。誰かひとりではなく,家族全員で。だからこの子が「創聖のアクエリオン」でソロデビューするときも,AKINOひとりではデビューさせなかった。ひとりでは危ないから。家族を守ることができないから。兄弟と一緒じゃないとダメって。そうしてね,今のAKINO with bless4があるの。


AIKIさんの19:52p.m.


4Gamer:
 あれ,たしか8時半にはスタジオを締めるとか,なんとか。

AIKIさん(アイキさん):
 すみません,ちょっと押していますね(笑)。

4Gamer:
 まぁ,大丈夫でしょう。というわけで,2人めはAIKIさんです。よろしくお願いします。

AIKIさん:
 了解です。よろしくお願いします。

次男のAIKI(アイキ)。bless4のボーカル/ダンスを担当。大地を揺るがすような歌声が魅力。bless4の振り付けも担当しており,武術の動きを取り入れたキレのあるダンスを生み出す。2010年には「Heart Prints 〜命の花〜」で作家デビュー
画像(004)AKINO with bless4が,少女前線で歌うもの――ある日の上海でのインタビューにて

4Gamer:
 いきなりですが,ぶっちゃけ「海外のスマホゲームの挿入歌を担当して,上海のオーケストラコンサートに出演する」なんて,想像できました?

AIKIさん:
 いや,全然想像つかなかったですよね(笑)。世界中でスマホのゲームが日々進化しているのは知っていましたが,これまで縁のなかった上海の会社さんに楽曲を歌わせてもらって,さらに現地のオーケストラコンサートにも出演させてもらえるなんて,私たちにとっては初めてづくしです。でも,すごく光栄なことですし,嬉しく思っています。

4Gamer:
 AKINOさんに聞きましたが,なんでも明日はオーケストラ伴奏に初挑戦だとか。

AIKIさん:
 そうなんですよー(笑)。想像はしていますが,実際にどんな変化があるのかはまだ実感できていません。

4Gamer:
 「ギターがバイオリンに変わっただけ」なんて話じゃ済まないくらい,なにかしらの変化はあるはずですもんね。

AIKIさん:
 もう,明日やってみるしかないです。だから結構緊張します。これほど短い時間でライブに臨むのも初めてなので。

4Gamer:
 あれ,そうなんですか。

AIKIさん:
 日本でも海外でも公演前の直前に現地入りして,今みたいに取材を受けていることは多いのですが,パフォーマンスはいつもやっている楽曲であることが多いので,出演前に緊張はあれど,不安はほとんどありません。ですが,裏話的なところで今回は,昨日届いた新曲を1日で聴き込み,今日の収録で変えたところをインプットして,明日は体当たりでお披露目するので不安もあります。バタバタ加減からくる高揚もありますが(笑)。

4Gamer:
 オーケストラともあって,bless4の得意とする“ダンサブルな表現”も封じられるんですよね。たぶん。

AIKIさん:
 そうですね。今回はダンスができないので「立って歌う」それだけです。アコースティックライブですら踊っている私たちなので,これも今まであまり体験してこなかった形式と言えます。ですが,そのぶん楽曲の感情や歌詞の表情,声や手でできる静的な表現は明日までに考えて,少しでも新しいbless4を見せられればと思っています。

4Gamer:
 bless4はアジア圏での人気が非常に高いとのことなので,期待されているでしょうね――というプレッシャーを吹っかけますが(笑)。

AIKIさん:
 本当にありがたい話です(笑)。こちらの方々は「日本語も理解しているファン」が多いので,お兄ちゃんがなにかギャグを言っても,理解して笑ってくださいます。ゲームやアニメをとおして“現在の日本語”を覚えていらしているんでしょうね。

4Gamer:
 それで言うと,ここのVanguard Soundの人たちも日本語や英語が堪能で,すごいですよね。年齢層もAIKIさんに近い,20代から30代までの人が多そうですし。

AIKIさん:
 私たちはなるべく新しいことに挑戦していくスタンスですが,Vanguard Soundの皆さんも「独自の音楽」というものにチャレンジしているのだと,今日の収録で十分に伝わってきました。同世代としては,非常に刺激を受けています。それに,いつでも音楽を作れる環境っていうのも素晴らしいと思います。

4Gamer:
 驚きですよね,このスタジオ。こういうのは日本だと,いや日本でもかな。一例は存じていますが,まさか「寮と仕事場が合体した一軒家に男女関わらず共同生活」なんて,今日ここに来るまで想像もしていませんでした。サウンド関連の会社で,数十人ものクリエイターを抱えているというのも中々のものですし。

AIKIさん:
 個々人に振り分けられている,いくつかのスタジオを見学させてもらったのですが,「ここにずっといるのが本当に楽しいんだなー」と思える部屋しかありませんでした。“音楽に浸かっている”というのは,まさにこういうことを言うんでしょう。まあ,今は忙しさで皆さん,あまり寝られていないようなのが心配ですけれど(笑)。

4Gamer:
 取引先次第なところもあり,夜中から仕事をはじめて,夕方に就寝するとか,ライフサイクルも各々でバラバラだそうで。今の日本ではとんでもなく煩そうなもんですが,彼らは本当にただ単純に「いつでも仕事ができて楽だから」みたいな感覚で,楽しそうに音楽づくりをしているようです。

AIKIさん:
 こういう環境が整っているのは,個人的には羨ましいです。

4Gamer:
 ん,AIKIさんだったら「寝室の横がレッスンスタジオ」って感じですよね?

AIKIさん:
 ええ,私にとってそれは最高に嬉しい環境ですね!

4Gamer:
 寝起きですぐにダンスとか,そういうことですか?

AIKIさん:
 すごく羨ましいですよ,そんな環境! 実際,結婚前にひとり暮らしをしていたころ,「小さめのダンススタジオ付き物件」を探していたこともありましたし。

4Gamer:
 タフネス……。

AIKIさん:
 意外とあるんですよ(笑)。私はそれがどうしても羨ましくて,最終的に何件か見つけたのですが,最終的に都合がつかず諦めてしまいました。たぶん,住んでいたら住んでいたで最高だったのでしょうが,夜はちょっと怖かったかもしれません。

4Gamer:
 それはなぜに。

AIKIさん:
 ダンススタジオなので部屋の一面が「鏡張り」なんです。夜は寝室にいるとしても,特大のカーテンとかないとさすがに怖そうで。

4Gamer:
 あー無理です。無理です(笑)。

AIKIさん:
 それでも1度くらいは住んでみたかったんです(笑)。

Vanguard Sound 上海本社。家の中の様子については,またの機会に
画像(012)AKINO with bless4が,少女前線で歌うもの――ある日の上海でのインタビューにて

4Gamer:
 では,前曲「What am I Fighting for」についてはいかがですか。AIKIさんはコーラスでの参加ですよね。

AIKIさん:
 そうです。「What am I Fighting for」は“戦い”をテーマにした楽曲で,ゲームを遊んでいる人は,キャラクターの女の子たちがどんな想いを抱えて戦っているのかをイメージして,楽しんでくださっていると思います。また私たちもそうですが,日常の中にあるいろいろな小さな戦いに立ち向かってほしい,そんな意味も込めた力強い曲です。

4Gamer:
 例えばですが,この曲や新曲の収録にしても,国柄の違いからか先方と意見のすり合わせがうまくいかないケースはあるんでしょうか。

AIKIさん:
 音楽に携わっている方々は基本的に,なにかしら“共通の部分”を持っているので,摩擦というほどの状況は起こりませんね。ただ,言葉尻のちょっとしたニュアンスや,歌唱法の細部は伝わりきらないので,最終的にボディランゲージでどうにかすることは結構あります。

4Gamer:
 なるほど。音楽は声や音で合わせれば,すり合わせの手段に事欠かないんだ。

AIKIさん:
 そうなんですよ。でも,例えば日本語の「食い気味で入る」などはちょっと悩みます。食い気味って言葉が通じませんし,英語でFastと言っても,該当箇所のテンポを上げる意味に取られたりするので,頭を早く入るということを伝えるために「タッタラタッタ“タッ!”タッタラタッタ“タッ!”」とかやります(結局ボディランゲージで教えてくれた)。こういうのもジェスチャーで伝わるのは,音楽の素晴らしさかなと思います。

4Gamer:
 いいですねー,壁がない言語って。外国語と言わずとも,日本語で会話してても理解できないことは多いですし。

AIKIさん:
 あー,ありますあります! 結構あります!

4Gamer:
 具体例は置いときましょう(笑)。結論としては,音楽に言語の違いはあまり関係ないんですね。

AIKIさん:
 そうですね。あっ,それと,今の「What am I Fighting for」の音源には,実は私はいないんです。収録当時はアメリカに行っていましたので。だから私が今日新録したボイスが楽曲に追加され,今後のバージョンとして公開されていくのかと思います。

4Gamer:
 それは初耳でした。そして出ましたね,AIKIさんのアメリカ話。かなりの余談ですが,そのあたりのお話も聞いていいですか。面白そうですし。

AIKIさん:
 はい,構いません。

4Gamer:
 最初に要約すると,「約4年前に単身でアメリカに行って,約2年前に帰ってきて,日本で新生bless4として再スタートをきった」ということですよね。

AIKIさん:
 そうなります。2014年から2016年の間,アメリカのロサンゼルスにボランティア活動に行っていました。私の家族は全員クリスチャンで,私自身もそうなのですが,クリスチャンはボランティアに対してとくに熱心なんです。私も小さいころから「教会の教えに触れたい」「そして人助けに出たい」と,ずっと考えていました。

4Gamer:
 そこで踏み切ったと。

AIKIさん:
 はい,2年ほどひとりで頑張ってみようと。活動拠点のロサンゼルスでは,いろいろな人たちに出会い,その人たちと協力し合い,同じ釜のご飯を食べて,世界中のさまざまな文化に触れることができました。今では私の人生の大きな糧になっています。

4Gamer:
 子供のころはアメリカ暮らしだったようですし,言語も問題ではなさそうですね。

AIKIさん:
 言語は問題ありませんでしたが,意識の差はさまざまな場面で実感しました。結局のところ,子供のころにアメリカから日本に移って,それから長いこと日本に住んでいたので,知らぬ間に馴染んじゃったんでしょうね。現地で出会う方々の考え方がうまく理解できないこともよくありました。

4Gamer:
 ん? 幼少期における体験というのは強く印象づけられるものなのでは。いやでも,育ち盛りの10代の発達段階を考えるとそれからのほうが影響があるのかな。

AIKIさん:
 かもしれませんね(笑)。

4Gamer:
 AIKIさんは現地でグループ活動みたいなものに参加していたんですか。

AIKIさん:
 そうです。

4Gamer:
 いろんな友達もできましたか。

AIKIさん:
 いろんな国の友達がたくさん増えました。ただ,私がいたのはハリウッドの南側のほうでして。

4Gamer:
 あのハリウッド。セレブ感あります。

AIKIさん:
 皆さん,そうやってなんとなく“裕福なイメージ”をされると思いますが,すこし南下するだけで,貧しい生活を余儀なくされている地域が広がっているんです。そして私がボランティアに行ったのも,いわゆる“危険なイメージ”の場所でした。

4Gamer:
 なんてこと。私がロスで喫煙中に体験した,「タバコいる?」と声をかけられたと思ったらポケットから白い粉を出された系の場所ってことですよね? 表通りから一本裏道に入るだけで,ホンモノがウヨウヨしているような地域と言いますか。

AIKIさん:
 ええ,そういうのです。近場には「アメリカにおいて1日で最も多くの傷害事件(※ありていに言って殺人事件)が発生する場所」があったりと,なかなかの場所でした。

4Gamer:
 ひえぇ。

AIKIさん:
 グループの仲間以外,ボランティア地域で友達になった人は大体ギャングでした。

4Gamer:
 ひえぇ。

AIKIさん:
 そういう場所だったのもあって,余計に意識の差を感じたんだと思います。

4Gamer:
 じゃあ,今はめっちゃ強面の友人がたくさんいるんですか。

AIKIさん:
 そうですね。彼らともいっぱい話して,仲良くなれました。まあ,その過程で(少女前線の題材であるアイテムの手真似をしながら)○を突きつけられたりもしましたが。最終的に友達になれたので,なんて言うか,すごく楽しかったです(笑)。

4Gamer:
 ひえぇ……。それほど濃密で紙一重な2年は「長く」なかったですか。

AIKIさん:
 辛いときは長いと感じましたし,楽しいときは短いと感じました。気持ち的には行ったり来たりでした。

4Gamer:
 その間,家族と会ったりは。

AIKIさん:
 いえ,メールはしていましたが,会いはしませんでした。向こうにいる間は「bless4としての活動」も切り離していたので。習慣としていた歌の練習などはしていましたが,本格的なトレーニングやレッスンといったものはしていませんでした。

4Gamer:
 なら,2年のボランティアを終えて,日本に帰ってきたときはどうでした。

AIKIさん:
 とくに印象に残っているのは,空港でたくさんのファンの方々が「AIKIの顔をプリントした緑色のTシャツ」(AIKIさんのイメージカラー)を着て,bless4の「Let's Have A Party」という楽曲を流しながら,歌って踊ってお出迎えしてくれたことですね。

4Gamer:
 あったけえですねえ。bless4のファンは。

AIKIさん:
 ただ,私はそのとき恥ずかしくて,ちょっと素通りしようとすら思ってしまって(笑)。

4Gamer:
 ええっ,なんでですか。よくあるかは知りませんが,よくありそうな光景じゃないですか。

画像(008)AKINO with bless4が,少女前線で歌うもの――ある日の上海でのインタビューにて
AIKIさん:
 いや,もう,2年も離れていると「芸能界の感覚」が分からなくなるんですよね。当然ですが,ボランティア活動は“注目”されるものではありませんから。

4Gamer:
 たしかに「ボランティアのスター」なんて,それこそ芸能方面が動かなきゃ,普通はいないでしょうし。

AIKIさん:
 久々に注目されて,変な気持ちになっちゃったんですよ。もちろん今にして思えば,あのとき出迎えてくださったファンの方々の好意は,大変嬉しいものでした。

4Gamer:
 アメリカに行く前から,bless4に復帰する意思はあったんですか。

AIKIさん:
 はい,戻ってきたらまた続ける予定でした。

4Gamer:
 しかし,実際に戻ろうとしても,パフォーマンスの低下は感じたのでは。

AIKIさん:
 ありましたよ。歌やダンスはハッキリと衰えていて,さらに体重も8キロほど増えていたので,帰国後はダンススタジオにこもって,時間をかけてキレを取り戻していきました。そしたら,最終的に“行く前よりもずっと上手に”なっていたんです。

4Gamer:
 すごい。さすがです。

AIKIさん:
 やはり,自分ではない誰かのために時間を使ったとしても,それは無駄なことじゃないんです。少なくとも私は,そのときのレッスンは辛いものでしたが,ボランティアをとおして手に入れた経験のぶんだけ,bless4の一員として倍成長できたと思っています。

4Gamer:
 ちなみに,その2年間で手に入れた一番大きなものってなんでしょう。

AIKIさん:
 一番大きなものですか。うーん,なんだろう……。なんだろう……。

4Gamer:
 お母さまから見て,AIKIさんの2年の変化はいかがでしたか?

お母さま:
 すごく変わっていましたよ。まるで別人でしたね。たしかに体つきは太っていましたが,行く前と比べると「聡明な感じ」があって,ステキだなと感じました。

4Gamer:
 息子の成長を感じられたんですね。いい話じゃないですか。

AIKIさん:
 まあ,そのあと評価が廃れていくんですけど(笑)。

4Gamer:
 しかし,聡明さが際立っていたということは,行く前はやんちゃだったとか?

お母さま:
 そうですね。当時はまだやんちゃな印象がありました。それが大人になって帰ってきたんです。

AIKIさん:
 ……らしいです(笑)。

4Gamer:
 となると明日は,2年の渡米の成果もあり,さらに2年の脂を乗っけた,新生AIKIさんの姿が見られるんですね。期待しております。ということで,そろそろ次のKANASAさんに――。

お母さま:
 あっ,ごめんなさいね。KANASAは終わってないみたいなの。まだかかるみたいで。

4Gamer:
 おっと,長引いてるのかな。じゃあ,その,もうちょっと雑談しますか(笑)。

AIKIさん:
 いいですよ,雑談。ぜひぜひ(笑)。

4Gamer:
 しかしまあ,レコーディングの開始はお昼すぎくらいだったと聞いていますが,普段もこれくらい時間をかけるものなんですか。

AIKIさん:
 いえ,珍しいほうです。真っ新から新曲収録をはじめているのもありますが,日本でこれほどかかることはあまりないです。たぶん,これがVanguard Soundさんのこだわりなんだと思います。今回はものすごく細かな表現も含めて,収録していただけているので。

お母さま:
 とくにハーモニーがすごいのよね。ここの人たちはメインボーカルだけじゃなく,ハーモニーの収録にものすごい時間をかけてるの。

AIKIさん:
 そうそう,そこだよね。一括りにはできませんが,日本では(あまり聴き取られないと考えられている)コーラスのハーモニーはポンポンポンっと収録して,「はい! 一発OK!」っていうケースが多いです。でも,この扉の向こうでは「ここのニュアンスをこうしたい」「ここをハーじゃなくてッハーにしたい」とか,細部の調整を綿密にやっているんですよ。

お母さま:
 彼らはそれに喜びを感じてるみたいね(笑)。

4Gamer:
 印象ですが,bless4の方々も“こういうほう”がお好きなのでは。

AIKIさん:
 そうですね。勉強になります。個性のあるレコーディングを体験するだけで,新しいなにかにつながることもありますから。

画像(011)AKINO with bless4が,少女前線で歌うもの――ある日の上海でのインタビューにて

4Gamer:
 なるほど。さて,ほかにはしょうもない話題しか思い浮かばないんですが,上海では美味しい物を食べましたか。

AIKIさん:
 私たちは昨日着いたので,昨晩は上海料理を食べに行ったのですが,そこで食べた,あの,豚の角煮みたいな,沖縄のラフテーに似たものがすごく美味しかったです。

4Gamer:
 ああ,あれですよね。あれ。(※紅焼肉と呼ばれる豚の角煮)

AIKIさん:
 あとはコラーゲンたっぷりの鶏の足(鸡爪)も食べました。これなんですけど(スマホで動画を見せてくれる)。

4Gamer:
 うえ。これはあれですね。でかい。

AIKIさん:
 はい,すっごいでかかったです。

4Gamer:
 味はともかく,見た目は好みが分かれますね……。

AIKIさん:
 かもしれませんね(笑)。

4Gamer:
 そういえば,御社(川満アート・テイメント)は今はAKASHIさんが代表取締役に就任されているようですが,お父さまはどうされているんですか。

お母さま:
 今は会長になっています。主人が社長になる道もありましたが,「AKASHIに経験を与えるために」と席を譲り渡したんですよね。あの子は嫌がってましたけど(笑)。それでもやらせています。

4Gamer:
 ここでも経験ですか。皆さんの経験は,ほんと多岐にわたっていますね。あれ,でも逆算すると,AIKIさんはスクールの開校時には関わっていなかった?

お母さま:
 そうなんですよ。この子,アメリカに行っちゃったから。

AIKIさん:
 スクールができたのはアメリカに行く直前でしたので,私が本格的に参加したのは帰国後からです。現在はダンスを専門に担当していますが,生徒さんは皆さん熱心で,私たちのこともすごく慕ってくれています。

4Gamer:
 AIKIさんから見て,生徒さんらはどのような印象ですか。

AIKIさん:
 ウチのスクールは「歌」「ダンス」「英語」「挨拶」「精神面」など,一般的なスクールとは違って“あれもこれもやる方針”で,トレーニングも厳しいです。だから歌が上手くなりたい,ダンスが上手くなりたいと個別の目的を持っている人は,申し訳ないのですが別のスクールのほうが最善と言えます。そのうえで「それでもやりたい!」と思ってくれる方々がたくさん集まってくれて,続けてくださっているので,やる気と根性と夢に向かう情熱にあふれた生徒さんばかりなんです。

4Gamer:
 ほかの3人とは,2年分の指導経験の差がある中で合流したんですよね? ああでも,そこもボランティアの経験が活きたんですかね。

AIKIさん:
 そのとおりです。私はもともとダンスの振り付け担当でしたし,ボランティアでは「なにかを教える」ことも多かったですし,200人ほどのメンバーを取りまとめて,いろいろと指示や相談をする役割を1年半ほど負っていましたので,兄弟と違う場所にいても,同じような経験を積んでいたんです。もちろん,お兄ちゃんたちに教えてもらうことも多かったですが。

4Gamer:
 200人って。ほんと,そのときの経験が財産になっているんですね。

AIKIさん:
 でも,家族全員で会社を経営しつつ,兄弟でグループ活動やスクール運営もしつつは,我ながら大変ですね。とくに10周年ライブのことは未だに反省しています。

4Gamer:
 続きをどうぞどうぞ。苦労話は大歓迎です(笑)。

AIKIさん:
 そのときは詰め込みすぎたんですよ(笑)。会社で働きながら,ライブであれもこれもやろうと準備しすぎた結果,リハーサルの時点で「4人とも立つのもやっとな状態」になってしまって。ライブ自体はどうにかやりきりましたが,後々になってライブ映像を観たところ,やっぱりパワーが足りないと感じてしまいました。

4Gamer:
 パフォーマンスに集中するだけの活動ではないんですものね。社会人もやって,先生もやってと。ですが,わりと有機的に回せているのでは。

AIKIさん:
 いやいや,全然ですよ! 全然! 持ち物がありすぎると結果的に中途半端になるのが,身に染みて分かってきたのが今なんです。これからはもっと,良いところは取りつつ,悪いところを改善していけるようにしないと。

4Gamer:
 今は力技だと。

AIKIさん:
 今は力技ですね(笑)。ほかの人たちと違うことをやり続けるのは大切ですが,もっと仕事や活動を効率化したり,もっと音楽に集中する時間を取ったりと,考えて話し合うべきことは多いです。あっ,もうKANASA終わった?

お母さま:
 んー,まだやってるー。


KANASAさんの21:16p.m.


4Gamer:
 うへ,9時を過ぎちゃいましたか。明日はライブですのに……(笑)。

KANASAさん(カナサさん):
 気づいたらこんな時間に(笑)。

4Gamer:
 とりあえず恐縮ですが,AKASHIさんが来られるまで,やるだけやりましょう。というわけで,3人めはKANASAさんです。よろしくお願いします。

KANASAさん:
 はい,よろしくお願いします!

長女のKANASA(カナサ)。bless4の副リーダー/ボーカル/ラップ/作詞を担当。温かみのある声質が魅力。名前には沖縄の方言「愛おしい(かなさんど〜)」の意味が込められている。天使の笑顔“KANASAスマイル”や,男性顔負けの力強いダンスが持ち味
画像(002)AKINO with bless4が,少女前線で歌うもの――ある日の上海でのインタビューにて

4Gamer:
 KANASAさんは「What am I Fighting for」の歌詞担当ということで,この曲に込められている想いを中心にうかがいます。まずは歌詞のテーマを聞かせてもらえますか。

KANASAさん:
 この曲の歌詞制作を依頼されたとき,「女の子たちが〜〜みたいな世界で戦っているイメージでお願いします」と聞かされていたので,壮大な世界観を念頭に置きつつ,私の脳をフル稼働して,情景をイメージさせていただきました。当時は1年以上前のことでしたので,日本に来る前のこちらのゲームを調べて作ったんです。ただですね――。

4Gamer:
 ただ。

KANASAさん:
 曲が公開されたとき「私が歌詞に込めたイメージ」と「それを受け取った人たちのイメージ」が,すごくというわけでもないんですが,結構違っていたんですよ(笑)。作品とファンと私の印象に違いが出ていたのが,ちょっと面白かったです。


4Gamer:
 たしかに歌詞が英語なので,他言語に翻訳すると,各々でテイストが変化するかもしれませんね。私は英語がとんとダメなので,翻訳ツールでどうにか解読しましたが,「ものすっごいシリアスな少女前線の世界」に,かなり真に迫っていたと感じています。

KANASAさん:
 あっはっは,やっぱそうですか(笑)。

4Gamer:
 KANASAさんとしては,曲名を日本語にするならどう翻訳しますか。

KANASAさん:
 そこは皆さんと同じような言葉になると思いますが,「私はなんのために戦っているのでしょうか」みたいなのです。

4Gamer:
 つまり,中身のニュアンスの受け取られ方がバラバラだったと。

KANASAさん:
 そうですねえ。まず,歌詞というものは「作詞家が思い描いたもの」と「その受け取られ方」が全然違っていて,これは仕方ないとかじゃなくて,そういうものなんです。そのうえで私は“少女が希望を捨てずに戦っていくこと”をテーマに,どんなに落胆してしまう状況でも,目の前に大勢の敵が迫っていても,それを押しつけられる世界であっても,希望だけは決して捨てない。そういう気持ちを込めていきました。

4Gamer:
 それなら私の感想も近似しているというか,むしろ同じかも。

KANASAさん:
 あっ,そうですか?

4Gamer:
 でもこう,なんていうのか,フレーバーはもっと「ニヒルでシリアスでハードボイルドな」と言いますか,無数のぼやけた敵影を前にし,銃を片手に悪態をつきながら立ち向かう,ダーティなハリウッド映画の一場面と言いますか,ぶっちゃけ絶望感の強い情景が浮かびました。

■歌詞の意訳と抜粋(一部)
「ねえ,教えて。私達はなんのために戦っているの?」
「私は生きて朝陽を見ることができるの?」
「私達を誰も救ってはくれないの?」
「私はこんなところで死なない」
「それが私の戦っている理由」

KANASAさん:
 あっ,それです! それなんですよね(笑)。

4Gamer:
 となると,KANASAさん的には世界中のファンに「想定以上に絶望的なイメージで受け取られた」ってことですか。

KANASAさん:
 ですね。思っていた以上に絶望が優勢になっているようで。たしかに,ゲームに出てくる「彼女たちが抗えないどうしようのないもの」を見えない敵として置いているので,決して間違いじゃありません。歌詞自体も,私の海外での生活経験を踏まえて,なるべく多くの人たちに分かりやすい言葉と構文を選びました。そこも,解釈の余地が広がった要因なのかもしれません。

4Gamer:
 同じ言語ですら,正しい解釈が難しいのに。翻訳って難しい。

KANASAさん:
 私がイメージした歌の世界は,たとえどんなに絶望的な状況を押しつけられたとしても,それに決して逆らえないのだとしても,最後に勝ち取ることができる,戦いの先にある「希望」……って言うんでしょうか? 言葉では説明しづらいところもあるのですが。

4Gamer:
 おそらくゴールの違いですかね。「明るい兆しの結末」か「暗く淀んだ結末」かの。

KANASAさん:
 そうですね。そうとも言えますね。

4Gamer:
 ただ,個人的には絶望寄りでもしっくりきます。たぶん歌詞の解釈がズレているのだとしたら,ファンが“そっち寄りの世界観”を求めたことで,そのための解釈を反映したのではと。

KANASAさん:
 私としては,そのように受け取っていただいても全然悪いとは思わないので,皆さんがより絶望的な状況を好むならば,それはそれでいいと思っています! ただ,ゲームを遊んでいる方々も多少なりとも,この世界に希望を持ってプレイしていると思いますので,それくらいの希望だけでも,歌詞から受け取ってもらえると嬉しいです(笑)。

4Gamer:
 一歩先に踏み込むと,この作品の世界観はゲームとしてパッケージングされていて,ある種「そういうものだから」と受け取られがちなのかなと思います。しかし,そういうエンタメに対する感受性を除いて,歌に乗せる言葉だけで考えたとき,歌詞を構成する少女,銃器,殺傷,抑圧といったシリアスな文字と向き合って,よりリアルに解釈する必要が出てくるのかなって。こちらもうまく言えないんですが(笑)。

KANASAさん:
 ふむふむ。

4Gamer:
 つまるところ,この歌詞からは「こういう世界観のゲームだから」なんて言い訳が効かない迫力を感じました。いや,ファンとしてのバイアスもかかっているんでしょうが。

KANASAさん:
 なるほどー。じゃあ,私が想っていることでお答えしましょう!

4Gamer:
 ぜひぜひ。

KANASAさん:
 ゲームの世界だとしても,アニメの世界だとしても,あくまで“人間のリアルな部分”を入れ込んで,作られているものじゃないですか。それら見える,聞ける形になった「作品」というものに人々が求めるのは,そこに入れ込まれたリアルに共感したいから,リアルな感情をぶつけたいから,忘れたいから,逃げたいから,みたいなもので。

4Gamer:
 ふむふむ。

KANASAさん:
 作品に対して「リアルに感じてしまった」とすれば,それは作中に出てくるような銃器に実際に触れた体験がないとしても,これまで生きてきた中で揺れたことのある“感情”が反応して,そうさせているんだと思います。誰しも人生で1度はどん底に落ちるじゃないですか? そのときの危機感は人それぞれ異なるかもしれませんが,それらを形作っている根源的な感情は近いものだと思うので,そういうなにかのつながりから,歌詞の想いに共感していただけたのかもしれません。

4Gamer:
 深い。

KANASAさん:
 だから,この歌には「絶望に負けないでね!」といった応援歌の意味合いを含めて,歌詞の中に希望を込めたんです。

4Gamer:
 失礼かもしれませんが,KANASAさんはどん底に落ちたことがあるんですか。

KANASAさん:
 ありますよー! 「これ以上は下がれない」「これより下がったら,私は死ぬんじゃないか」みたいなところまで気持ちが落ちたことがあるので。そういうときは,目に映るものすべてが“暗い”んですよね。それこそ歌詞の2番で歌っている,息ができなくて,悲鳴が聞こえて,「I'm trapped in the darkness under the rubble(私は瓦礫の下で暗闇に閉じ込められた)」といったように。

4Gamer:
 生々しい感情だ。

KANASAさん:
 私は実際に,そういう風になったことも,聞いたこともないです。でも,息ができないような気持ち,悲鳴が聞こえてくるような気持ち,瓦礫の下にいるような気持ちなら知っています。そんな気持ちになったことないですか?

4Gamer:
 あります,たぶん。

KANASAさん:
 ですよね! そして,そこから這い上がって,今ここにいるわけですよね?

4Gamer:
 はい。這ってきました。

KANASAさん:
 そんな風に,私たち人間には生きる力が宿っていて,それを選択するか否かが自分の手の中にあるんです。見るもの,聞くもの,遊ぶもの,自身と触れ合うすべての物事には,強弱は違えど同じ力が宿っているので,この歌をリアルに思ってくれた人が「あー,死にたくない!」と感じてくれたらいいですね!

4Gamer:
 すごい。死にたくないと思わせる歌ですか。

KANASAさん:
 そういう壮大な願いも含んでるってことで(笑)。

4Gamer:
 篤実な解説に感銘しているところですが,人生哲学の相談みたいになってしまったので,ちょっと軟化しましょう(笑)。KANASAさんは先ほど終わったようですが,新曲のレコーディングはどうでしたか。

画像(006)AKINO with bless4が,少女前線で歌うもの――ある日の上海でのインタビューにて
KANASAさん:
 新曲の歌詞は私が担当しているものではありませんが,すごくいい歌です。上海に来て,今までにない環境でレコーディングできたのも刺激がありましたし。

4Gamer:
 ここにいるVanguard Soundの人から「少女前線の音楽は,2018年から新しい挑戦をはじめている」と聞きました。このあたり,なにか感じるものは。

KANASAさん:
 それで言うと,「What am I Fighting for」とは全然違いました。なんて言うんでしょう。神秘的と称してもおかしくなくて,どことなく落ち着くところもあって,とにかくクラシカルなオーケストラの伴奏が壮大なんです。あと,味も違いますね。

4Gamer:
 味ですか。

KANASAさん:
 例えば,楽曲には私たちのような味があったり,菅野よう子さんのような味があったり,Vanguard Soundさんのような味もあったりと,趣きがあるんですよ。だから,今回この場所で収録できたことで,ここの人たちの味に近づけました。今日のレコーディングはやり方からして力が入っているので,これもまた新鮮です。

4Gamer:
 お昼すぎの収録開始だったのに,この防音扉の向こうは未だに熱がこもっていそうですもんね。AKASHIさんなんて,まだ続けているようですし。

KANASAさん:
 今日のレコーディングは,仮歌を取り除いただけの真っ新な状態からスタートしたので,ちょっと時間がかかっているんですよね(笑)。「みんなで良い曲にする!」の想いで作っていますので,楽しみにしていてください。

4Gamer:
 なんでも,明日のオーケストラも体当たりで挑戦することになるとか。

KANASAさん:
 そうなんですよー(笑)。なので,ちょっと不安はあるんですけど,それでも楽しみのほうが大きいですかね。

4Gamer:
 初めてのオーケストラ伴奏による歌唱については,いかがでしょう。

KANASAさん:
 なんとなくですけど。「お客さんがいる中で歌う」のと「お客さんがいない中で歌う」のとの差と言いますか,そこまで大きな違いはないはずですが,やっぱりなにか違うかも,みたいな。でもポジティブに言うと,音源に乗って歌うよりも,生の人の生の音に乗って歌うほうが,その場だからこそのパワーが湧いてきます。周囲の人たちの数だけ,歌に感情がプラスされていく,みたいな。

4Gamer:
 そういうのはきっと,表現者だからこそ感じられる領域なんでしょうね。それでは最後の質問です。先ほどAIKIさんに数年前のことを聞いていたんですが,KANASAさんは2年前に帰ってきた彼を見て,どういう印象を受けましたか。

KANASAさん:
 久しぶりに姿を見たとき「ポチャっとしたかな」って思いました(笑)。でも,それから間もなくスタジオに1週間こもったんですよね,彼。そしたら2年もブランクがあったはずなのに,1週間後には2年分以上のモノを取り戻していたんです。それを見てたら「ほー……。私もスタジオに1週間こもろっかな」って。

4Gamer:
 そこはアメリカじゃないんですか(笑)。

KANASAさん:
 アメリカはちょっと遠い(笑)。


AKASHIさんの21:35p.m.


4Gamer:
 うえ,もうこんな時間ですが,AKASHIさんだけまだ続けるとのことで……。明日に障るといけませんので,できる範囲でいきましょう。

AKASHIさん(アカシさん):
 分かりました(笑)。ちなみにAKINOたちはもう終わったんですか?

4Gamer:
 はい,どうにか。

AKASHIさん:
 なら,最後が自分でよかったです。

4Gamer:
 お兄ちゃんですねー。というわけで,最後はリーダーのAKASHIさんにお話を聞かせてもらいます。グループを代表しての質問を残しているので,ちょっとお堅めですが,どうぞよろしくお願いします。

AKASHIさん:
 こちらこそ,よろしくお願いします。

長男のAKASHI(アカシ)。川満アート・テイメントの代表取締役。bless4のリーダー。セクシーなハスキーボイスが魅力。作曲・アレンジなどのプロデュース業や,他アーティストへの楽曲提供も行う。ファンからは「お兄ちゃん」の愛称で親しまれる
画像(001)AKINO with bless4が,少女前線で歌うもの――ある日の上海でのインタビューにて

4Gamer:
 まずは明日10月19日に控えた,上海でのコンサート出演の意気込みをお願いします。

AKASHIさん:
 お仕事で上海に来るのは,これで2回めになります。1回めはbless4としてのアジアツアーでして,自分たちの持ち歌をたくさん披露させてもらいました。それに比べれば,明日は2曲だけです。2曲だけなんですが……1曲は人前で披露したことがない,もう1曲は今日収録したばかりの新曲,なんですよねえ。

4Gamer:
 何度聞いても,大変そうです。

AKASHIさん:
 しかも,オーケストラの生演奏をバックに歌うのは初めてのことになるので,もちろん楽しみが大きいのですが,ちょっとだけ怖いですね(笑)。

4Gamer:
 これまでの活動で,ここまで突貫なライブはなかったとか。10周年のときもそれなりに大変だったようですが。

AKASHIさん:
 そうですね。自分たちのワンマンライブでは,より完成度の高いパフォーマンスにしようと,各々が練習を追い込みすぎた結果,最終的に突貫みたいな感じになってしまったことがありました。ですが,単純に「これほど練習時間が限られているライブ」は初めてですね。

4Gamer:
 良く言うと,新たな挑戦ですかね。

AKASHIさん:
 そうですね,新たな挑戦です。「楽しみ」に感じられているのは本当なので,やり甲斐はありますよ。

4Gamer:
 今も収録中である,新曲の印象はどうでしょう。

AKASHIさん:
 メロディがとても深いんです。メロディを奏でるピアノの旋律だけでも,感情が伝わってくるかのような曲なんですよ。オーケストラの伴奏による壮大さと,作品の世界観に沿った切なさのある歌詞がいいんですよね(※本楽曲の歌詞は日本語)。あと,自分は“日本っぽい楽曲”だなとも感じました。

4Gamer:
 「What am I Fighting for」と比べると,どうでした。

AKASHIさん:
 「What am I Fighting for」は,エレクトロな感じの歌唱で,ゆったりとしたメロディの曲なので,全然違いますね。今回は,別世界のような楽曲と思ってもらえるはずですよ。はじまりも“歌とピアノだけ”で入りますし。

4Gamer:
 むむ,気になりますが,明日に取っておきます。きっと,ゲームとしても新たな挑戦の表明なんでしょうし。

AKASHIさん:
 そうだと思います。

4Gamer:
 新曲の詳細すら公表されていない今ですし,今後の話はそれこそ口にできないかと思いますが,「bless4はこれからも少女前線の楽曲を歌い続けてくれる」んでしょうか。

AKASHIさん:
 YESと言いたいんですけどね(笑)。ただ,今後もファンの方々と,関係者の方々にそう思っていただけるよう,bless4はこれからも気持ちを込めて活動していきたいと思っています。

4Gamer:
 Vanguard Soundの方々にはどんな印象を持ちましたか。

AKASHIさん:
 優しくて,気さくで,楽しい方々です。でも明日がコンサートともあり,ほとんど睡眠を取っていないらしいので,今日はぐっすり眠ってもらいたいですね。眠くてどうしようもないときって,いつもとは違う面が出ちゃったりもしますから。

4Gamer:
 ありますね,そういうの。日本人からすると「中国語での会話は意気が強くて,喧嘩してるように聞こえる」こともあったりしますし。

AKASHIさん:
 たしかに,そう聞こえちゃうこともありますよね。でも実際は皆さん,喧嘩してはいなかったので安心してください。それに全然寝られていない状況にもかかわらず,こんなにも元気いっぱいな人ばかりなので,普段はもっと元気にあふれているのかもしれませんし。それと,彼らはとにかく日本のことが大好きなんですよね。

4Gamer:
 想像はしていましたが,たしかに想像以上でした。

AKASHIさん:
 そういうのって,とてもステキだなって感じます。

4Gamer:
 bless4もアジア圏での人気が凄まじいと聞きますから,そのせいもあるのでは? 「全員めっちゃ好きだから歌ってもらおうと思った」と言ってましたし。

画像(005)AKINO with bless4が,少女前線で歌うもの――ある日の上海でのインタビューにて
AKASHIさん:
 えっ,そうなんですか(笑)。それは嬉しいですね!

4Gamer:
 肌感ではどうでしょう,アジア圏での人気の温度感は。

AKASHIさん:
 ありがたい話で,肌で感じることもあります。実際,中国や台湾などでライブをすると,こちらのファンの皆さんは曲にあわせて「ワーッ!」っと盛り上がってくれたり,一緒に歌ってくれたりするんです。

 もちろん,日本のファンの皆さんもそれに負けないくらい元気ですけど!

4Gamer:
 地域ごとのカルチャライズも考えるんでしょうか。歌やダンスを,それぞれの地域に合わせて変化させたり。

AKASHIさん:
 「なるべく現地に合わせた言葉を使えるように」と頑張っています。いますが,やっぱり難しい面もあります。

4Gamer:
 やりすぎても,自分たちのパフォーマンスにならなかったり。

AKASHIさん:
 そういった面もありますね。ですが,やれるに越したことはないので,少しづつ勉強して,少しずつ取り入れていくチャレンジは,今後も続けていきたいです。

4Gamer:
 AKASHIさんにはぜひとも聞いてみたいんですが,「アメリカ生まれの日本育ちの音楽グループが,中国のゲームで,英語の曲を歌う」って,なんともまあグローバルな話じゃないですか(※兄弟の中でAKASHIさんだけは沖縄生まれ)。bless4としては結成当初から,こういった世界に羽ばたく活動は予想していましたか。

AKASHIさん:
 いえ,まったく,想像したこともなかったです。ただ,これまでずっと“さまざまなつながり”を大事にしていこう,一期一会を大切にしていこうと心がけてきたので,それが実った結果が今なのだとしたら,とても嬉しく思えます。

4Gamer:
 結局のところ,そういうのを忘れないのが大切なんですね。それではお忙しい中でのご対応,ありがとうございました。最後に,明日のコンサートは中国大陸版である少女前線のもので,日本のドルフロではまだまだ先,前曲「What am I Fighting for」ですら,当面は影も形もないままと思いますが,今から待ち遠しく思っているファンは大勢いると思いますので,日本のファンに向けて一言お願いします。

AKASHIさん:
 日本でもゲームが配信されて,約3か月が経ちましたが,今おっしゃられたように「What am I Fighting for」を聴ける日が来るのは,もう少し先のことになってしまうと思います。それでもゲームのイベントも,自分たちの曲も楽しみにして待っていてくださると,すごく嬉しいです。ゲームにもどんどん,強い女性が追加されるようですし。

4Gamer:
 “あんだけ強い女性(戦術人形)”って,どうです?

AKASHIさん:
 自分は大好きですね! 強い女性になら負けてもいいと思ってますので!

4Gamer:
 それじゃあ,ピッタリの作品ですね。

AKASHIさん:
 ええ!



 この日,AKASHIさんは22:00を過ぎてもレコーディングを続け,それから30分後,AKASHIさんとお母さまを残して,残りの兄弟はホテルに撤収した。期待と不安が入り混じると口々に発せられていた,少女前線の新曲「シラカバの光」については翌日,予定どおりに初披露を迎えた。

 開場前の会場内では,AKINO with bless4とオーケストラによる音合わせが濃密に繰り返され,公演後は上海の少女前線ファンが完全サプライズの新曲発表に湧き,今までとはまったく異なるサウンドに魅了されていた。曲の感想についてはすでにレポート記事で記しているので,ここでの2度書きは避けるとしても,最後に一言だけ添えておこう。

 私は決して音楽の知見が広いわけではないし,歌唱のディティールや管弦楽の繊細さなど感じる術もなく,むしろドタバタな裏事情にハラハラしていた側だが,彼らが1日かけてじっくりと仕上げていったレコーディングは1秒も無駄ではなかったのだろう。ステージ上の彼らは,ただただプロフェッショナルだった。


「bless4」オフィシャルサイト

「AM(アスレチック・ミュージック)」公式サイト


「ドルフロ」4Gamer内サテライトサイト


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