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「タイタンフォール 2」をレビュー。キャンペーンの実装とマルチプレイのパワーアップにより,FPS上級者からビギナーまで楽しめる作品に
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印刷2016/11/10 10:00

プレイレポート

「タイタンフォール 2」をレビュー。キャンペーンの実装とマルチプレイのパワーアップにより,FPS上級者からビギナーまで楽しめる作品に

 2014年にリリースされた「タイタンフォール」の続編,「タイタンフォール 2」PC/PlayStation 4/Xbox One)がエレクトロニック・アーツから発売中だ。前作に引き続き,「Call of Duty」シリーズで知られるInfinity Wardの主要スタッフが同社を退社して設立したRespawn Entertainmentが開発を担当している。

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「タイタンフォール 2」公式サイト


 前作「タイタンフォール」では,遠い未来,宇宙開拓が進んで人類が遠い星々まで進出した時代を背景に,辺境の星々「フロンティア」で起きた2つの勢力による戦いが描かれた。ゲームの特徴は,歩兵だけでなく,二足歩行の巨大ロボット「タイタン」が戦いに参加することだ。
 最新作の「タイタンフォール 2」は,そうしたゲームの背景や特徴はそのままに,新たにシングルキャンペーンが追加された。また,コンシューマ機版については,前作がXboxフランチャイズのみだったのに対して,本作ではPlayStation 4版がリリースされている。

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思わず引き込まれるキャンペーンモード


 チーム対戦専用というイメージが強い前作「タイタンフォール」だが,実はストーリーに沿って進むキャンペーンも用意されていた。とはいえこれは,マルチプレイのようにロビーに参加者が集まり,参加者の数が条件を満たしてマッチングが成立すると,対戦がスタートするというスタイルだった。
 つまり,キャンペーンでも仲間と一緒に敵チームと戦う必要があり,対戦を通じて物語が進んでいくという形だったのだ。

 Respawn Entertainmentは「タイタンフォール」の発売前,「シングルとマルチの垣根を取り払う」といったことをアピールしていたが,それが,このゲームデザインだったようだ。
 しかし,登場する2つの勢力(IMCミリシア)について物語を体験したければ2周する必要があり,さらに,発売から時間が経過すると,プレイヤーの多くが通常の対戦モードに行ってしまうので,キャンペーンでのマッチングが成立しにくくなってしまうという問題があった。正直なところ,キャンペーンはオマケ的なモードであり,うまく機能していたとは思えない。

 しかし,本作「タイタンフォール 2」には,マッチングを必要としないスタンドアロンのシングルキャンペーンが実装された。そのデキは,前作の残念さを宇宙の彼方に吹き飛ばしてしまうほどで,対戦FPSが苦手という,日本には多いんじゃないかという人も,腰を据えて取りかかれるゲームに進化しているのだ。


タイタンとの友情と絆の物語


 これまでに何度かお伝えしたとおり,主人公となるのはミリシアのライフルマン,ジャック・クーパーだ。仲間と共に戦場に向かったが,上官が早々と戦死。いまわの際に,パイロット権限をジャックに移行すると宣言し,自分のタイタンのBT-7274(以下,ビーティ)をプレイヤーへと委ねる。
 かくしてプレイヤーは,パイロットの訓練も受けたことのないジャックとしてビーティと共にIMCの巨大な軍勢と戦っていくのだ。

死にゆく上官と,残されたビーティ
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 ビーティは特殊部隊仕様で,高度なAIを搭載しており,パイロットとコミュニケーションを取ることができる。ゲーム序盤のビーティとの会話は,いかにもロボット然とした硬さが見られるが,物語が進むにつれてビーティがまるで人間のように感じられ,筆者はストーリーに没入してしまった。ちなみに,ビーティとの会話は,用意された選択肢から適当なものを選ぶというスタイルだ。


 シングルキャンペーンは,ミッションをこなしていく形式になっており,物語を進めていくと,タイタンに搭乗した中ボスとか大ボスなどが登場してくる。これはまあ,FPSのシングルキャンペーンモードでは一般的なスタイルだが,前作で物足りない思いを抱いていた筆者としては,声を大にして言いたい。
 これだ,これを待っていた。タイタンと共に,敵のタイタン軍団と戦っていくという,王道のSFロボットものの物語が展開していくのだ。

戦闘狂から金目当てのアンドロイドまで,いろいろな敵がプレイヤーの前に立ちはだかる
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 登場する敵は,見た目から搭乗しているタイタンまでバラエティ豊かだ。金目当てのアンドロイドなども出てくる。また,敵のタイタンは割と人間臭い動きでプレイヤーを翻弄してくる。不利になると遮蔽物の影に隠れたりなど,ヤツらはかなりよくできているので,なめてかかると返り討ちに遭ってしまうかもしれない。


 上にも書いたように,キャンペーンモードのキモは,やはりビーティという相棒の存在に尽きる。プレイ中に何気ない会話を重ねたり,ギリギリの戦闘でなんとかボスに撃ち勝ったりなど,ビーティとの歩みを進めていくにつれ,家族に対する愛情のような,そんな絆に近い感情が芽生えてしまうのは筆者だけではないはずだ。ロボットとの友情とか,ありがちで安っぽくないですか,と思っていた筆者が甘かった。ビーティ,おまえとはずっと一緒だ。

 ストーリーを詳しく書くわけにはいかないが,最近,ちょっと涙もろくなった筆者の琴線に深く触れるものがあり,終盤の演出では鳥肌が立ち,最後のシーンでは全身の力が抜けて脱力状態になったと書いておきたい。Respawn Entertainmentが全力で作ったキャンペーンモードは,ロボットもののSFが好きな人に,ぜひプレイしてほしい。


大きく進化したマルチプレイ


 「タイタンフォール」の醍醐味であるマルチプレイ対戦も,前作に比べて進化している。基本的なシステムは前作を踏襲しており,パイロットとして戦場に降り立ち,敵プレイヤーやNPC(MOBAでいうところのミニオンで,EAもそう呼んでいる)を倒していくことでタイタンを要請できるゲージを溜め,やってきたタイタンに搭乗して暴れ回るといった流れだ。

ミニオンはおいしい栄養分だ。タイタンに乗ろうが乗るまいが,倒して損はない
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 本作でパワーアップした部分として目をひくのが,タイタンの種類が増えたことだ。前作では軽,中,重量級という3種類のタイタンが登場したのだが,本作はそれが6種類に増え,バラエティが豊かになった。

筆者がお気に入りの機体。下のトーンはソナーを搭載しているため,敵パイロットを倒すのも容易だ
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 タイタンの種類が増えたことでシステムも若干変更されており,前作では変更できたタイタンの兵装が,本作では機体ごとに固定されている。開発者によれば,これは「格闘ゲームのように,機体ごとに戦い方や防御を考えてプレイする」という考え方に基づくものだそうだ。
 そうはいっても,タイタンごとにカウンターとなるタイタンが設定されるという,いわゆる格ゲーの「すくみ」が設定されているわけでもないので,基本的に気に入ったタイタンを使っていけば大丈夫だ。

 パイロットについては,「アビリティ」が設定できるようになった。中でも個人的に面白いと思ったのが「グラップル」だ。グラップルは,「バトルフィールド」シリーズなどでおなじみのグラップリングフックのことだが,投擲した地点にパイロットが引き寄せられ,どんな高いところでもひとっ飛び,という仕掛けだ。
 引き寄せられている途中で,引っ張られているのとは別の方向にジャンプをしたりすると慣性が働き,振り子運動のような感じで,さらに遠くまで移動できる。使いようによってはかなり移動が捗るスグレモノだ。「進撃の巨人」の立体機動装置のような移動が可能になるので,慣れるとグラップルを使って動いているだけで楽しい。そういえば,タイタンには巨人という意味もあるなあ。

筆者がお気に入りのロードアウト。パルスブレードのソナーで敵の位置が確認できるので,先制攻撃がしやすい気がする
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 前作を楽しんだ人なら,本作のマルチプレイも楽しいと思えるだろうし,初心者に対する配慮も十分になされているので,ビギナーでも楽しめるはず。個人的に残念なのが,プレイモードの偏りだろうか。筆者はPC版とPlayStation 4版を持っており,データセンターは「東京」を選んでいるのだが,「消耗戦」「賞金稼ぎ」ではマッチングが成立しやすいものの,タイタン戦がメインとなる「LTS」や,1vs.1の「コロシアム」は数えるほどしか遊べていない。

プレイモードの偏りは,右側の“>”に気づかないせいもあるのではないか,という気がするが,どうか。これを押すと2ページめに進めるのだ
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 ゲームモードが多いのはプレイヤーにとって嬉しいことなのだが,どうも日本のプレイヤーに十分に周知できていないようで,もったいないと思う。快適な環境で「キャプチャー・ザ・フラッグ」「フリー・フォー・オール」を遊んでみたいのだが,相手がいないので,泣く泣く海外の重いPINGに耐えてプレイせざるを得ない。もちろん,消耗戦や賞金稼ぎといったルールは今のところ,対戦相手に困ることがない状況なので,過疎っているとかいう話ではない。



縦横無尽に駆け回れる爽快なFPS
今後のDLC展開にも期待


 以上,「タイタンフォール 2」のインプレッションを並べてみたが,FPS豊作の年になった2016年にあって,多数のライバルと堂々と伍して戦えるのではないだろうか。二足歩行の巨大ロボットものという,男の子(女の子もか)のロマンが詰まった作品を,練り上げたストーリーと,パワーアップしたマルチプレイで作り上げた作品で,至れり尽くせりだと筆者は思っている。

 また今後,DLCが無料で配信されることが発表されている。そのためシーズンパスなどはなく,DLCにお金を払う必要もないときている。なんという太っ腹。

 DLCを前提にしたビジネスモデルが一般的な今日この頃,なぜこういうことになったのかといえば,やはり前作の有料DLCで,購入者と非購入者で,参加できるゲームが分けられてしまったことが理由だと思われる。そんな問題をなくすためには,そもそも有料DLCをなくすのが手っ取り早いと開発者が考えたのだろう。有り難いことだが,大丈夫なのかとちょっと心配になったりして。

 ほかの大作FPSに挟まれて,若干不遇だという印象もあるが,キャンペーンもマルチプレイも楽しいので,秋の夜長に(もう冬みたいだが),思いきり遊んでほしい。

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