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  • 発売日:2015/10/08
  • 価格:45ユーロ
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フィンランド生まれの北極探検ゲーム「Race to the North Pole」を紹介。カオスなゲーム展開を生み出す,ゲームボードの工夫に注目
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印刷2015/12/28 18:00

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フィンランド生まれの北極探検ゲーム「Race to the North Pole」を紹介。カオスなゲーム展開を生み出す,ゲームボードの工夫に注目

 ボードゲームの楽しさには,ゲームに用いるさまざまなカードやコマ,ゲームボードそれ自体から生まれる“ゲームの手触り”の要素が,少なからず含まれるものだ。粘土を使って実際に造形する「バルバロッサ」や,巨大なモアイフギュアと天然石を使う「イースター島」をはじめ,最近では「枯山水」のような作品もコンポーネントそのものの楽しさを十全に活かした作品と言える。
 単にコンポーネントが奇抜で面白いだけでなく,それに意味を持たせたゲームデザインのタイトルが増えてきているのだ。

 フィンランドのゲームデベロッパ,Playmore Gamesが発表した「Race to the North Pole」は,ゲームボード自体が回転するギミックを持つ,そうしたタイトルの一つといえる。本稿では,その工夫が実際のゲームにどんな影響を及ぼしているのかを紹介すると共に,フィンランドのボードゲーム事情についてもお伝えしていこう。

ゲームデザイナーにしてPlaymore Gamesの副社長でもあるTomi Vainikka氏
Race to the North Pole

Playmore Games公式サイト



手札によって回転するボードがもたらすカオス


 「Race to the North Pole」(以下,RtNP)は,ボード中央に配置された北極点への到達を目指すゲームだ。プレイヤーは探検家となって,4人(4コマ)で構成されたチームで極点到達に挑み,もっとも早く4人全員をゴールに導いたプレイヤーが勝利となる。ゲームボード上のマップは,正方形のマスによって区切られており,その上を探検家コマが踏破しながら,進んでいく。

 探検家コマを動かすためには手札を使う。手札に書かれた方向に探検家を移動させることができるという,実にシンプルなルールである。だが本作が面白くなるのはここからだ。
 RtNPにおいて,手札は常にフルオープンの状態でプレイが進行していく。のみならず,手札は手に持つのではなく,“自分の目の前のボードの上に置いて”おかなければならない。そうやってプレイが進んで行くと,やがて嵐が起きる。嵐が起きたら,カードの指示に従ってゲームボードを90度回転させねばならない。

ゲームボードは2層構造で,上のボードだけが回転する。所々開いている穴の部分には,透明のプラ板がはめ込んであるので,コマが下に落ちることはない
Race to the North Pole

 この嵐によって,2つの大きな変化が発生する。

 1つはボードが回転することで,マップの様相が変化してしまうこと。
 ボードは上下2パーツに分かれており,回転するのは上部だけなのだが,その上側のボードにはところどころ穴が開けられている。その穴から下のボードが見えるようになっていて,これにより地形の変化が発生する仕組みだ。

 もう1つは,自分がプレイする手札が変化するということ。
 先に説明したとおり,RtNPにおいての手札は公開情報であるだけでなく,自分の目の前のボード上に置いておかなければならない。従って嵐が起きてボードが90度回転すると,自分の手札は隣のプレイヤーに移ってしまう。そして,逆隣のプレイヤーのものだった手札を使って,次の手番に臨むことになる。

4人プレイが決着した後の様子。かなりカオスな戦いになるため,テーブルからは歓声が絶えなかった
Race to the North Pole

 なお,嵐の発生はランダムではない。各プレイヤーが使った手札は捨て札置き場に置かれるが,そこに溜まったカードに示された「嵐アイコン」の数が一定数を超えると,嵐が発生する。
 このため,「自分の移動としてはそこまで良い移動ではないけれど,ここで嵐を起こせば,ほかのプレイヤーを妨害できる」といったシチュエーションが起こりえる。

 また,より直接的には,妨害アクション(雪球をぶつけて,探検家をスタートに戻すなど)が手札として用意されているので,足の引っ張り合いが度々発生する。が,もちろんこの手札も嵐に隣のプレイヤーのところに行ってしまう可能性があるわけだ。そういうわけで,探検家達の極点レースは,かなりカオスな様相を示すことになる。


スマートフォンアプリによる「拡張セット」


 シンプルなルールで,ままならない探検と,多人数での競争をうまく表現した本作だが,拡張セットもすでに用意されている。この拡張セットでは,現状を一変させる効果のカードが含まれており,レースはより混沌を極める。

個性的なボードのためか,SPIEL’15会場を行き交う人の目をよくひいていた
Race to the North Pole

 面白いのは,この拡張セットがスマートフォン用のアプリとして提供されているということだ。なるほど,ボードゲームの拡張セットは,そのゲームを長く遊ぶためには欠かせないものだ。しかし当たり前のことだが,ゲーム本体よりも拡張セットが多く売れるということはありえない。パブリッシャにとってはここが悩みどころで,採算が取れずに発売を断念するケースもしばしばだ。

 この問題に対し,アプリで拡張セットを提供すれば,製造コストや在庫管理のコストを大幅に削減できる。もちろん,アプリ開発となればそれはそれでコストはかかるものだが,リアルなコンポーネントを印刷して箱で売るのに比べれば,リスクは少ないだろう。

プレイエイドとなる機能もあれば,拡張セットとなる機能もある
Race to the North Pole

 本作の拡張用スマホアプリは,実際にゲームで使うことを考えて作りこまれた,なかなかに実用的な逸品となっていた。中でも感心したのは,拡張ルールとして提供されているルールを,ゲームの途中で使わないことにしたとしても,それでゲームが進行不可能になったり,バランスがおかしくなったりしないという点だ。

 よく考えてみると,これは重要なことなのだ。というのも,プレイの最中にスマートフォンの電池が切れたら,そこでプレイが中断せざるを得ないのでは,やはり興ざめというもの。こうした「そういう状況に陥って初めて気付く」ような問題について,この拡張セットアプリは驚くほどよく考えられている。


小さい市場から生まれたゲームだが……


 SPIEL’15会場でかなり人気を集め,試遊の予約を入れるのも大変なほどだった本作。しかしゲームデザイナーのTomi Vainikka氏によれば,フィンランドのボードゲーム事情は,あまり芳しい状況ではないのだという。

 Tomi氏によれば「フィンランドには,ボードゲーム市場があるけれど,ない」とのことで,その意味を詳しく聞いてみた。フィンランドは冬が長く厳しいお国柄だけに,ボードゲームが人気のある遊びであることは間違いない。しかし,そこで選ばれるボードゲームは,「モノポリー」のような有名なタイトルがほとんど。いわゆるドイツゲームのようなゲーマー向けゲームは,あまり大きな市場として育っていないそうだ。


 国内市場がそういった状況なので,ボードゲームデザイナーを職業として成り立たせるのも,なかなか困難とのこと。フィンランドにはボードゲームメーカーが10社前後存在するが,いずれも規模としては小さく,大掛かりなゲームを作るのは難しいのだとか。

 つまり話を聞く限り,フィンランドのボードゲーム事情は日本のそれとあまり変わらないようにも感じられた。確かに近年,日本におけるボードゲームの市場は拡大しつつあるが,市場規模で見ると,まだまだ大きい市場だとは言い難い。そして多くの日本人にとって,ボードゲームといえば「モノポリー」や「オセロ」であるのも間違いないだろう。
 だがボードゲームファンは,どういう地域で生まれたゲームであれ,それが面白いタイトルであれば競って買い求め,プレイしようとするもの。今のところ日本語版の発売予定はないようだが,その面白さは筆者が保証する。機会があれば,ぜひプレイしてみてほしいタイトルだ。

最終日には在庫もほとんどなくなっていたようだった
Race to the North Pole

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