これまでのマンネリを打破する新しい“パズドラ”が生まれた
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パズドラクロスはもっと早い段階で発売したかったというお話でしたが,構想自体はいつ頃からあったのでしょう。
森下氏:
「パズドラZ」の発売後すぐだから3年前ですね。
満足のいく形で「パズドラZ」を発売したけれど,市場の反応やプレイヤーの動向を見ていたら,次回作ではこうしたいという欲が出てきてしまって。
どうせ出すなら,スマホからの焼き直しや,「パズドラZ」を引き延ばしたものだと思われない新しいゲーム性を考えていたんです。
4Gamer:
開発者としてよりよい形を目指すために必要な時間だったと。
森下氏:
同じタイトルで4年もサービスを続けていくと,おのずとマンネリ化は起きてしまうもので,次回作ではそこを打破しなければリリースできないなと強く感じていました。
パズルアクションの醍醐味を残しつつも,新しいアプローチをするために何が必要か。そこで行き着いたのがマルチプレイだった。
4Gamer:
本作では,フレンドと一緒に共闘したり,対戦したりできるシステムが追加されました。森下さんはメカニクスの構築からゲーム制作を始めると仰っていましたが,もしや最初に形になったのはマルチプレイの部分ですか?
森下氏:
ええ。最初はマルチプレイの部分をずっと作っていました。プロトタイプの段階で何度も試行錯誤を重ねるうちに,「あ,マルチでも面白くなった」と確信を得られた。そこから,どうせだったらスマホ版に協力プレイダンジョンを導入して遊んでもらおうという流れに。
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4Gamer:
協力プレイダンジョンが「パズドラクロス」用に開発されたシステムだというのは,ガンホーフェスティバル2016のステージでもお話しされていましたね。
森下氏:
ええ。「パズドラZ」のときはマルチプレイの要素がなくて,みんなで持ち合って遊ぶ導線を作れなかった。だから,プレイヤーは黙々と1人で遊ぶことになってしまう。そんな姿を見て,協力プレイを「パズドラ」で導入したらどうなるかを考え始めたんです。
4Gamer:
確かに,パズフレ登録による助っ人のシステムはありましたが,2人で協力したり,対戦するシステムはありませんでしたね。
森下氏:
今は2人協力プレイに落ち着きましたけど,最初のプロトタイプは4人での協力プレイを前提にしていました。そこから3人にしてみたりと,紆余曲折はありましたね。
やってみて分かったのは,4人だとまぁテンポが悪いし,誰が何をやっているのかが全然分からない。試行錯誤することで,ああ2人で協力するぐらいが1番ちょうどいいし,声を掛け合いやすくて連帯感も生まれやすいんだなと理解しました。
4Gamer:
“神の章”“龍の章”の2バージョン仕様もマルチプレイの導線になりそうですね。マンネリの打破という点では,今作はRPG色が非常に強い印象です。
森下氏:
ええ。パズルアクションを核にした王道のRPGであり,ハクスラ色の強いやりこみ要素も盛り込んでいます。
4Gamer:
聞いた話では,やり込み次第では100時間以上も遊べる内容になっているとか。
森下氏:
はい。モンスターの進化の仕方をスマホ版に近いものにしたこと,主人公が身に纏う“ソウルアーマー”を作るための素材集めが必要なことなどから,コンプリートを目指そうとするとかなり長く遊べる仕様になっています。
遊びごたえはもちろん,今まで「パズドラ」に触れたことがない人はRPGの視点から入っていける,長いこと遊んできた人はこれまでのシリーズにない体験ができるようにもなっています。
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シリーズにない体験とは?
森下氏:
新システムとして,ソウルアーマーの作成に必要なモンスターの魂(ソウル)を得られる“魂(ソウル)キャプチャー”を取り入れています。
4Gamer:
モンスターを獲得するためではなく,ソウルアーマーの素材を得るものですね。
森下氏:
今回のバトルはただ戦うだけではありません。通常バトルと魂(ソウル)キャプチャーの切り替えがキモになってくると思います。
というのも,魂(ソウル)キャプチャーは素材を得るためのゲージを溜められるけども,敵モンスターには一切ダメージを与えられなくなってしまう。バトル中のどのタイミングで魂(ソウル)キャプチャーを仕掛けるかどうかは,1つの駆け引きになるんじゃないかな。
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4Gamer:
敵を倒すか,素材を得るか,自分の残りHPの配分を考えながら選択をしなければならないと。これはアツそうですね。魂(ソウル)キャプチャーの導入も初ですが,フィールドを自由に歩き回れる仕様も「パズドラ」では初の試みですよね。
森下氏:
そうですね。最初は,フィールドを探索できる形ではなく分岐ものにする予定だったんです。けれど,自分の足で探索するのってRPGというジャンルの良いところだと思うんですよね。
だから,自由にフィールドを探索させて,あっちじゃない,こっちでもないと冒険してもらって,勢い余ってフィールドの主,グランドボスに出会ってもらいたいなと。
4Gamer:
ああ,テストプレイの序盤で,何も知らずグランドボスと遭遇して即死しました(笑)。どこを取っても,これまでの「パズドラ」とは“別物”という雰囲気が全面に出ていますよね。
森下氏:
時間をかけた甲斐がありました。正直「焼き直しなんじゃないの?」って言われて,すごくダメージが大きいんですよ。
今回,“パズドラZ2”ではなく“完全新作”と謳っているのも,焼き直しでも引き延ばしでもない,もう「パズドラZ」は引きずらないという意思表示でもあります。
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4Gamer:
これまでの流れを見ていくと,「パズドラZ」は子供層の獲得,「パズル&ドラゴンズ スーパーマリオブラザーズ エディション」はワールドワイド展開,「パズドラクロス」は成長した子供たち,より上の世代を取り込むことを狙いとしているように感じますが,いかがでしょう。
森下氏:
子供たちの掘り起こしももちろん狙っていますが,今回は欲張って全年齢対象にしています。スマホで遊んでいるユーザーも,「パズドラ」に触れたことがない人も,子供も,大人も……全部含めた全年齢対象。
どの層の人が遊んでも,これは自分の遊ぶべきゲームだと思ってもらうのが狙いなんです。
4Gamer:
全年齢を対象にすることで,意識されたポイントはありますか。
森下氏:
簡単なところでいくと,主人公の年齢設定を「パズドラZ」のときよりも少し高くしました。低年齢層に限定することなく,誰が手に取っても自分のゲームだと思ってもらえるんじゃないかなと。
まぁ,ちょうどゲームを作っているときにうちの子供がその年齢だったっていうのもあるんですけどね(笑)。
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パズドラブランドを50年続けるために
“こうあるべき”という固定概念と戦う
4Gamer:
「パズドラ」が広く普及した今では,このまま運営を継続しても会社を維持することは難しくないように思えます。そんな中で森下さんはなぜコンシューマ機向けゲームに注力されるのでしょうか。
森下氏:
だって,コンシューマゲームを作らないと僕たち終わっちゃうでしょう。このままコンシューマから離れてしまったら,ゲーム会社は困ってしまうと思うんですよ。
例えば,IT企業がスマホのゲームを作っているのなら,彼らの本業はまた別の業界にあるから,この業界が傾いても痛くはないんです。だけど僕たちはゲームしか作れないからゲーム業界の中でしか生きていけません。
4Gamer:
コンシューマに注力するメーカーが少なくなれば市場に出回るソフトのラインナップが減る。その流れに伴ってゲーム機がなくなってしまう可能性もありますね。
森下氏:
仮にスマホ業界が危うくなったら,ゲームしか作れない僕たちはどこで生きていくのっていう話ですよね。だからゲーム会社として生きていくという意味では,コンシューマ市場を僕らが一緒に盛り上げていかなければならない。ほかの人たちは逃げられる場所があるからいいかもしれないけど,ゲームしか作れない会社は困ってしまいますからね(笑)。
そうならないために,コンシューマ市場にも挑戦して活性化を狙うんです。
4Gamer:
コンシューマ,スマホのどちらかに注力するのではなく,どちらも維持させていくべきというのはよく分かります。
森下氏:
スマホにはスマホならではの遊びの良さがある,もちろんコンシューマでしか表現できない部分もある。コンシューマで出来ることをわざわざスマホに持っていく必要はないし,スマホでできることをコンシューマにはめ込む必要性もない。
4Gamer:
それぞれのプラットフォームに合った遊ばせ方を目指すべきだと。
森下氏:
そう。ただ,どちらかに偏ることなく,僕らが面白いと思う物を作っていく方針なので,コンシューマをなぜやるかと言われたら,やりたいからやっているの一言に尽きます。やっぱり新しいハードが出ると,作り手としても遊び手としても新しい可能性を見出せる。これが楽しいんだ。
4Gamer:
やりたいからやっている,森下さんらしい言葉です(笑)。ビジネスの面においては,海外市場への展開も注力されていますね。
森下氏:
海外エリアの展開としては,アメリカで「パズドラ」が1000万ダウンロードを突破しました。日本でなら「おっ!」という数字ですけど,アメリカという規模で言ったらまだ伸びしろは十分にあると感じています。今はしっかりと遊び方を広げていく段階で,今後はやり方を工夫するステージに入っていくと見ています。
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Tencent(騰訊,テンセント)との事業提携で中国版「パズドラ」のリリースも控えていますね。日本版とは,どういった違いがあるのでしょうか。
森下氏:
基本的なパズルアクションは変わっていませんが,日本版と比べるとパズル以外の部分が全く違う,いわゆる中国版の「パズドラ」になっています。中国独自のキャラクターが入っているのはもちろんですけども,中国のユーザー属性に合わせた遊びのプロセス,UIに変更しています。
4Gamer:
“ユーザー属性の違い”というところで言うと,スタミナを消費して遊ぶという構造は,中国ではあまり一般的ではないそうですね。
森下氏:
ええ。こういう遊び方は中国にはないものです。パズルアクションの部分だけを見たらきっと同じ印象になると思いますが,その他の部分を見たら同じタイトルとは思えないぐらい変更を加えています。
中国のプレイヤーに合ったものを現地の人と練って,カルチャライズを施しています。
4Gamer:
好まれる課金ポイントも違いますよね。
森下氏:
そこも現地用に調整しています。カルチャライズの面だけでなく,セキュリティの問題も視野に入れてシステムを変更しています。新しいというよりは,「パズドラ」そのものだけど見え方がちょっと違うって感じかな。日本人だったら普通に遊べるぐらいの仕様だと思いますよ。
4Gamer:
では,そろそろ締めの話題を……。大規模なクロスメディア展開,海外市場への挑戦をされている森下さんは,“パズドラブランド”を50年維持していくために何が必要だと思いますか。
森下氏:
難しいところだね。
僕自身が思うことは“常に進化させていくこと”かな。いわゆる,“パズドラはこうあるべき”という固定概念とどうやって戦っていくかなんですよね。
4Gamer:
固定概念との戦い,ですか。
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森下氏:
いろんな機能を削いで“パズルアクション”の要素だけが残っても,結局「パズドラ」であることは変わらない。それは,核となる“パズルアクション”を崩さなければ,どんなシステムが載っても「パズドラ」で有り続けられるということなんです。
だから,核以外の部分は,自分たちで破壊していかなければダメ。それを継続していけるか,これがガンホーとしての大きな課題。新しい時代に求められる進化形をどう見せていけるかが試されているんです。
4Gamer:
コンテンツとして安定したポジションに入ってしまうと,イメージを崩さないよう保守的になりたくなるものですよね。けれどガンホーは進化することをあきらめず攻めの姿勢を貫かれると。
森下氏:
常に自分たちの中にあるマンネリと戦い,自問自答をし続けられるかが一番のポイントであり,ブランドを維持するために必要なファクターだと思います。
4Gamer:
以前森下さんは,スマホの「パズドラ」は“ソーシャルゲーム”であるという声に対するカウンターとして,“オンラインゲーム”であると仰っていましたね。では,今回の「パズドラクロス」を一言で表すなら?
森下氏:
コンシューマゲームです(笑)。
4Gamer:
この聞き方だとそうなってしまいますよね!(笑)
森下氏:
そうだなぁ……強いて言うなら,スマホの「パズドラ」は“ざるそば”,「パズドラクロス」は“天ぷらそば”かな。
4Gamer:
その心は?
森下氏:
スマホの「パズドラ」は,パズルアクションとしてのシンプルな魅力,素材自体の旨みを凝縮したざるそば。パッケージとしてリリースする「パズドラクロス」は,その核となるパズルアクションにさまざまな新要素,脂の乗ったやり込み要素である“天ぷら”の部分を盛り合わせた,コンシューマゲームならではのものかなと。
4Gamer:
ざるそばは遊びの軸となっているパズルアクションをより味わいやすくシンプルにつきつめたもの,天ぷらそばはコンシューマだからこそできるこってりとした遊びごたえがあると。
森下氏:
スマホの「パズドラ」をざるそばに例えているからといって手を抜いているということではなくて,それぞれの良さを追求する方向性の違いを示したいなと。スマホのゲームでやることがあまりに多すぎると,味わう部分が多すぎてお客さんは胃もたれてしまう。だから,ざるそばのようにシンプルさを突き詰めたものがスマホの「パズドラ」であるべきなんじゃないかなと思うんです。
あと,脂っこい天ぷらそばのあとに,サッパリしたざるそばを食べることで,より新鮮な味わいも体感できる相互関係にもなると思うんですよね。この例え,どうですかね?(笑)
4Gamer:
どうでしょう(笑)。欲張り仕様の「パズドラクロス」,とても楽しみです。
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もうね,手前味噌だけど「パズドラクロス」は絶対面白いと思う。だから世代を問わず遊んでもらいたいし,「パズドラ」をスマホで遊んできた人達の期待も裏切らないタイトルになっている自信があります。
スマホと違って遊べる要素が盛りだくさんで,キャラクターも物語もアツく完成度の高いものになっているはずです。今回は体験版を出さずにガチの姿勢でリリースします。だから“神の章”“龍の章”を購入していただいて,遊びの分厚さをその目で確かめてほしいです。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
































