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ダンジョンズ&ドラゴンズ 第5版公式サイトへ
  • Wizards of the Coast
  • 発売日:2019/12/18
  • 価格:スターター・セット:3000円(+税)
    プレイヤーズ・ハンドブック:6000円(+税)
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印刷2015/10/03 00:00

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新しいD&Dはどう進化した? いよいよ公開が開始された日本語版「ベーシック・ルール」で始める「ダンジョンズ&ドラゴンズ 第5版」スタートガイド

 ホビージャパンのダンジョンズ&ドラゴンズ公式サイトにて,テーブルトークRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ 第5版」ベーシック・ルール日本語版が,2015年9月25日に無料公開されている。
 世界初のロールプレイングゲームとして知られる「ダンジョンズ&ドラゴンズ」(以下,D&D)は,すべてのRPGの元祖であり本家といえる存在だ。今日におけるコンピュータRPG(以下,CRPG)の隆盛も,これなくしては有り得なかったといって過言ではないだろう。
 その最新作となるのが,北米で2014年に発売された第5版だ。D&Dは,常にその時々の最新のノウハウを取り込んで改版を繰り返してきており(関連記事),今でも北米のアナログゲームコンベンション・GenConで,ファン投票で決まるEnnie賞の主要タイトルを総ナメにするほどの人気を誇っている。

「D&D」第5版の英語版。左から「Player's Handbook」「Monster Manual」「Dungeon Master's Guide」
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 しかし,我々日本のRPGファンにとっては,この第5版には大きな問題がある。発売元であるWizards of the Coastからは,日本語版への商業翻訳の許可は基本的に出ていないのだ。今回ホビージャパン公式サイトで公開された日本語版「ベーシック・ルール」は,Wizards of the Coastが同社の公式サイトで「無料公開」しているものの翻訳であり,それゆえに許可が通ったという経緯がある。なお現時点で公開されているのはプレイヤー用ルールのみだが,ホビージャパンでは,ダンジョン・マスター用ルールも同社の「ダンジョンズ&ドラゴンズ」公式サイトにて近日中に掲載予定とのことである。
 本稿では,このベーシックルールの内容を紹介すると共に,「第4版から何が変わったのか」「ベーシック・ルールで何ができるのか」に焦点を当て,「ダンジョンズ&ドラゴンズ 第5版」の魅力に迫っていこう。

ダウンロードはD&D公式サイトのサポートページ右段にあるリンク「プレイヤー向けベーシック・ルール日本語版」と「キャラクター・シート(ブランク)」からそれぞれダウンロード可能。どちらもPDF形式なので,ダウンロードしての閲覧がオススメだ
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「ダンジョンズ&ドラゴンズ」公式サイト(英語)

ホビージャパン「ダンジョンズ&ドラゴンズ」公式サイト



第5版で何が変わったのか


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 前作である第4版は,第3版までのD&Dとは趣きが大きく異なるゲームとなった。
 スクエア(正方形のマス目)によって区切られたボード上で,コマを操作しながら行う戦闘に重点が置かれ,シミュレーションゲーム的な要素が強くなっていたのだ。この戦闘は間違いなく面白かったのだが,プレイに時間がかかるのが難といえば難だった。

 これに対して5版では,冒険の要素を“3つの柱”――「探険」「社交的やりとり」「戦闘」に見出し,この3つをバランスよくルール化することに重点が置かれている。
 3つの要素はそれぞれ,直感的なルールと整備されたデータによって構成され,この結果,ダンジョン冒険も,いわゆるシティアドベンチャーも“スピーディに”処理できるようになった。小規模なダンジョンならば2時間程度のセッションでクリアすることができ,「背景情報によるキャラクターの個性付け」によって,街中での情報収集といったシチュエーションであっても,起伏に富んだゲームプレイが楽しめる。

 総じて5版は3版をベースに,(1)第4版で好評だった要素(大休憩や小休憩によるリソース管理,一部クラスの特徴など)を取り入れ,(2)第3版や第4版よりも取り回しを軽くしたゲームになっている。とくに(2)については,1回のゲームに要する時間を短縮するという,近年のアナログゲームの流れを取り入れたものと言えるかもしれない。

 これが第5版の基本コンセプトであり,大きな強みとなる部分でもあるのだ。

■帰ってきたフォーゴトン・レルム世界


 D&Dは代々,複数の世界設定の中からプレイヤーが好む世界を選んで遊ぶゲームだった。とはいえ基本となる世界は版によって決まっていて,第5版では多くのコンピュータゲームの舞台にもなり,未だ強い人気を持つフォーゴトン・レルム――とくにその西岸地帯であるソード・コーストがオフィシャルとして扱われている。

 第5版をベースとしたメディア展開では,「Neverwinter」を始めとした各CRPGとも時間軸が共有され,公式のシナリオ集「アドベンチャー」に登場した出来事や登場人物がCRPG版にも登場するなど,これまで以上に世界観のリンクが意識されているようだ。もちろんフォーゴトン・レルムを舞台にした「アイスウィンド・サーガ」(リンクはAmazonアソシエイト)などの小説も続いているので,これらを先に読んでおけば,より一層楽しめるだろう。



「ベーシック・ルール」で何ができるか


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 第5版ベーシック・ルールの大きな特徴は,基本ルールの主要部分が高レベルぶんまで無料で公開されていること。古くからのD&Dプレイヤーに分かりやすく言えば,旧赤箱〜黒箱の4箱分のルールが無料公開されているようなものである(ただし領地経営と大規模戦闘は除く)。テーブルトークRPGについてある程度理解があり,シナリオ(本作ではアドベンチャー)を自作できる人ならば,このベーシック・ルールさえあればいくらでも第5版が遊べてしまう。

 ただし,もちろんすべてが入っているわけではない。プレイヤー用ルールに限って言えば,ベーシック・ルールで作成できるキャラクターは4種族(ヒューマン/エルフ/ドワーフ/ハーフリング)と4クラス(ウィザード/クレリック/ファイター/ローグ)まで。製品版の「Player's Handbook」には9種族12クラスが収録されているので,ハーフエルフやドラゴンボーンといった種族,バーバリアンやモンクといったクラスを選びたい場合は,製品版を買う必要がある。
 また第5版では,どのクラスも一定のレベルに達した時点で,どの方向に能力を特化していくか,進む道(学派・領域・類型)を選択する機会があり,さらなる個性付けが可能になるのだが,ベーシック・ルールには各クラス代表的な1つのみが収録されている。また呪文についても,あまりに変則的なものは省かれている。

ベーシック・ルールで作成できるのは4種族4クラス。冒険を始めるには十分なチョイスだ
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 ただし,繰り返しになるがダンジョン・マスター(以下,DM。いわゆるゲームマスター)用のベーシック・ルールがまだ公開されていないので,DMをやりたいという人は暫しお待ちを。今すぐ遊びたいという人は,英語版を自力で読み解くか,近隣のイベントやコンベンションなどに足を運んでみるといいかもしれない。

(コラム)発売中の第5版ルールブック&サプリメント


 ここでは北米で発売されている(もしくは間もなく発売される)D&D第5版製品を紹介しておこう。もちろんすべて英語版だが,Amazonや紀伊国屋など各種通信販売,また輸入製品を扱うホビーショップなどで購入が可能だ。

■Player's Handbook(通称:PHB)

 先にも紹介しているプレイヤー用ルールブック。
 ベーシック・ルールにないフルカラーのかっこいい絵がたくさん入っていて,プレイヤーのやる気を向上させてくれる(重要)。

こちらが英語版「Player's Handbook」。これがあれば作成できるキャラクターの幅がぐっと広がる。ベーシック・ルール未収録クラスの一つバーバリアンは,怒りを力に変えて戦う野生の戦士。ベーシック・ルールにはない豊富なイラストも,製品版の大きな魅力の一つだ
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■Monster Manual(通称:MM)

 数多くのモンスターを収録した,DM向けのルールブック。
 近日公開予定のDM用ベーシック・ルールも,その半分以上はモンスターデータだったりするのだが,MMにはさらに多数のモンスターが,フルカラーのイラストと共に紹介されている。
 D&Dというのは,極論すればダンジョンに潜ってドラゴンそのほかのモンスターをやっつけるゲームなので,珍しいモンスターは多ければ多いほど良いのである。デーモンやデヴィルなどの強敵に挑みたい人,細かな背景設定を読んでモンスター博士になりたい人にオススメだ。

これが英語版「Monster Manual」。中には,第4版からビジュアルが大きく変更になったモンスターも
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■Dungeon Master's Guide(通称:DMG)

 タイトルのとおり,DMをやるためのルールブック。
 アドベンチャー(シナリオ)の作り方とマスタリングのコツが懇切丁寧に書かれている。この一冊にD&Dの40年間ぶんのノウハウが詰まっており,これを読めばマスタリングでの失敗を減らせること間違いなしである。
 ゲーム世界に変化を与えるための追加ルールが紹介されているほか,「魔法のアイテム」に関するデータが収録されており,資料面ではこれが大きい。

The Rise of Tiamat
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■アドベンチャー

 いわゆるシナリオ集。言うまでもなくDM用の書籍であり,シナリオ自作派のDMにとっても,お手本として,あるいは叩き台としてきわめて有意義な内容となっている。
 なお英語版ではすでに4冊のアドベンチャーが発売されているが,最初の1本としてオススメなのはこれらではなく,「D&D Starter Set」(箱入りのD&D第5版入門セット,リンクはAmazonアソシエイト)に収録されている「Lost Mine of Phandelver」である。第5版をはじめてマスタリングする人向けの情報やアドバイスが数多く含まれており,ボリュームが適切で,4〜8回程度のセッションで終えることができる,というのがその理由だ。
 単体で発売されている「Hoard of the Dragon Queen」「The Rise of Tiamat」「Princes of Apocalypse」「Out of the Abyss」(リンクはAmazonアソシエイト)は,いずれも相当のデカブツなので,腰を据えてじっくり挑みたいところ。

 なお英語はちょっと厳しいという向きには,ホビージャパンから発売中の「殺戮のバルダーズ・ゲート」「クリスタル・シャードの影」(リンクはAmazonアソシエイト)が3.5/4/5版共用なので,これを使うこともできる。それぞれキャンペーンの開幕部分は,D&Dの日本語版公式サイトでPDFが配布されているので,これだけなら無料で遊ぶことも可能だ

※ただし,モンスターデータは第4版のもののみなので,第5版で遊ぶ場合は英語版の公式サイト(殺戮のバルダーズ・ゲートクリスタル・シャードの影)からデータを入手する必要がある。主な違いは数値の部分に集中しているので,英語が苦手でもなんとかなるハズだ。

■Sword Coast Adventurer's Guide(11月発売予定)

 上記のアドベンチャーのほとんどは,フォーゴトン・レルム世界のソード・コースト地方を舞台にしているのだが,そのソード・コースト地方のワールドガイドがこれ。またそれほど多くはないが,第5版のプレイヤー用の追加データも含まれている。
 テーブルトークRPGファンのみならず,NeverwinterやSword Coast Legendsを遊ぶ人にとっても資料として有意義な内容なので,そちらに興味のある人も手に取ってみるといいかもしれない。

Sword Coast Adventurer's Guide
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 というわけで,ざっくりながら紹介してきた「ダンジョンズ&ドラゴンズ 第5版」,その魅力の一端がお分かりいただろうか。残念なことに,2015年10月現在,製品版ルールブックの日本語版が出版される予定は立っていない。しかし,今回公開された日本語版ベーシック・ルールによってイベントの開催数や参加者が増え,日本語版のニーズが高いことがWizards of the Coastに伝われば,状況が変わる可能性も十分にある。

 ともあれ,今はとにかく公開された日本語版ベーシック・ルールを大いに活用し,冒険に明け暮れようではないか。気の合う仲間と集まって,あるいはどこかのコンベンションの卓に飛び込んで。その時には,テーブルトークRPGを未体験の友人を誘ってみるのも一興だろう。そうして少しでも皆さんのゲームライフが充実するなら,一人のゲーマーとしてこれほど嬉しいことはない。

(コラム)コンベンションに参加しよう


 テーブルトークRPGは,友達に声をかけて集まって楽しむのがもちろん王道のプレイスタイルだ。しかしこと日本においては,住宅事情が厳しかったり仕事が忙しかったりで,とくに社会人にはなかなか遊ぶ機会がないのが実情ではないだろうか。

 そんな人にぜひ利用してほしいのが,各地のホビーショップや有志によって開催されているコンベンションだ。公式イベントである「D&Dエンカウンターズ」なら,とくに何の準備もせず,1人でふらっと行っても遊べる環境が用意されている。
 セッションの規模も,平日夜の2時間程度で遊べるものから,休日に半日かけて遊ぶようなものまでさまざまだ。開催予定はホビージャパンのイベント告知ページで確認できるので,この記事で興味を持った人は,今回のベーシック・ルールを片手に(印刷またはタブレットに入れるなどして),会場を訪れてみてはいかがだろうか。

こうしたコンベンションへの最適化を進めているのも第4版以降のD&Dの大きな特徴。Wizards of the Coastがベーシック・ルールを無料配布しているのも,この戦略の一環なのだ
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「ダンジョンズ&ドラゴンズ」公式サイト(英語)

ホビージャパン「ダンジョンズ&ドラゴンズ」公式サイト


執筆協力:塚田与志也,柳田真坂樹
  • 関連タイトル:

    ダンジョンズ&ドラゴンズ 第5版

  • 関連タイトル:

    Sword Coast Legends

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