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リアルタイムレイトレーシング対応の「Minecraft with RTX」β版インプレッション。そのグラフィックスはいかに変貌するか
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印刷2020/05/18 12:00

プレイレポート

リアルタイムレイトレーシング対応の「Minecraft with RTX」β版インプレッション。そのグラフィックスはいかに変貌するか

画像(053)リアルタイムレイトレーシング対応の「Minecraft with RTX」β版インプレッション。そのグラフィックスはいかに変貌するか
 2018年春,衝撃のデビューを果たしたリアルタイムレイトレーシング技術。PCゲームでは「Battlefield V」や「Shadow of the Tomb Raider」に始まり,数々のゲーム賞に輝いたRemedy Entertainmentの「CONTROL」に至るまで,対応タイトルが徐々に増えてきており,ハイエンドPCであれば,手持ちのレイトレーシング対応GPUを活用できる場面も増えてきた。
 さらに,2020年に発売予定である次世代ゲーム機のPlayStation 5とXbox Series Xも,こぞってレイトレーシングへの対応を表明しており,あらゆるゲームグラフィックスがレイトレーシング技術の対応へと舵を切ったという印象を抱いたゲームファンも多いだろう。

 今後に期待されるのは,写実的なグラフィックスが売りの大作ゲームばかりでなく,老若男女,誰もが楽しめる大衆的なゲームでのレイトレーシング対応と言えよう。その一例となりそうなのが,2020年4月に公開となったリアルタイムレイトレーシング対応の「Minecraft for Windows 10」,いわゆる「Minecraft with RTX」のβ版(以下,マイクラRTX)だ。

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 “マイクラのレイトレ対応”はハードウェア視点やソフトウェア視点,そしてゲーマー視点から見ても,関心が高いだろう。そこで今回,実際にマイクラRTXを試してみることにした。

 なお,筆者はMinecraftの完全な初心者であるため,Minecraftの面白さを伝えるというより「レイトレ対応版はグラフィックス的にどうなのか?」という疑問に焦点を当ててインプレッションをまとめてみた。このあたりはあらかじめご了承いただきたい。


「Minecraft with RTX」β版の始め方


 まずはマイクラRTXのインストール手順を簡単に説明しておこう。実はダウンロードしたら,すぐに始められるわけではないのだ。
 大前提として,製品版「Minecraft for Windows 10」(税込3150円)を購入してインストールしておく必要がある。β版と言えども,プレイするためには製品版が必須である。

「Minecraft for Windows 10」はMicrosoft Storeから購入できる
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 続いて,「Xbox Insider Hub」をインストールする。こちらは無料だ。

「Xbox Insider Hub」もMicrosoft Storeから入手可能
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 Xbox Insider Hubを起動すると,左に「Insider コンテンツ」というメニューがある。ここを開くと,マイクラRTXの項目が発見できるだろう。これをクリックして初めてインストールが可能となる。
 なお,Xbox Insider Hubでは,さまざまなβ版ゲーム/アプリの評価に参加すると経験値のようなポイントが溜まり,RPG的にアカウントレベルが上がっていく。このレベルに応じて,高度なユーザーや限定メンバー向けのβ版プログラムに参加できる出来るようになる仕組みだ。
 なお,マイクラRTXはエントリーレベルでも参加できるので,Xbox Insider Hubをインストールしたらすぐにプレイできる。

Xbox Insider Hubの画面。左側の「Insider コンテンツ」というメニューから,マイクラRTXをインストールできる
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 以上の手順を終えたら,いよいよMinecraftの起動だ。
 ただし,まだマイクラRTXは始められない。というのも,マイクラRTXは本編の拡張ソフトのようなイメージなので,まずはレイトレーシング対応ワールドを読み込むことになる。
 Minecraftの起動画面から「マーケットプレイス」を選択して,検索ウィンドウに「RTX」と入力すると,レイトレーシング対応ワールドがヒットするはずだ。

Minecraftの起動画面。マーケットプレイスへ移動しよう
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マーケットプレイスにて「RTX」と入力する
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 20件程度のレイトレーシング対応ワールドが見つかるかもしれない。まずは,GeForce RTXシリーズを提供しているNVIDIAが無料公開しているものをダウンロードしてみよう。
 本稿では,ここで公開されている6つのワールドを試してみることにした。

  • Aquatic Adventure RTX
  • Temples and Totems RTX
  • Crystal Palace RTX
  • Imagination Island RTX
  • Color, Light and Shadow RTX
  • Neon District RTX

Aquatic Adventure RTX
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Temples and Totems RTX
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Crystal Palace RTX
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Imagination Island RTX
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Color, Light and Shadow RTX
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Neon District RTX
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前述の6つのワールドに加えて,「Razzleberries RTX Texture Showcase」も公開されている。こちらはMinecraftのプレイヤー自身が制作したUGCテクスチャをマイクラRTXで試す目的のもの。インストール方法もやや特殊になっているので,興味のある人はNVIDIAの特設サイトを参照してほしい
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マイクラRTXのパフォーマンスは?

設定項目もチェックしてみる


 マイクラRTXの設定オプションにおいて,レイトレーシング描画に大きく関わるのは「高度な映像」内の「DirectX レイトレーシング」という項目だ。これは,レイトレーシングを適用する範囲を視点位置から5段階(0〜4)で設定するものになる。レベル0はレイトレーシング適用範囲を視点から直近までに限定し,レベル4は最遠方まで適用する設定と理解すればいい。
 当然,視界は視点位置を起点として扇状に広がっていくイメージなので,遠方に行けば行くほど適用範囲は広くなる。すなわち,設定値が上がるほど視界に入ってくるオブジェクト数が増え,レイトレーシングによって描画するオブジェクト数も増えていく。

 ちなみに,最遠方まで適用する設定に関しては「安定的な動作保証はしない」という警告メッセージが現れるので,ゲームプレイを目的としている場合は設定すべきではないかもしれない。実際,最遠方の設定にしてみたところ,高確率でマイクラRTXが落ちて,Windowsデスクトップに戻ってしまった。また,GeForce RTXシリーズの下位モデルでは,設定値を上げすぎるとフレームレート低下が著しくなるはずだ。

「高度な映像」オプションでレイトレーシング関連の設定が行える。パフォーマンスに大きく影響が出るのは「レイトレーシング表示距離」の設定。左端がレイトレーシングを直近に限定するレベル0,右端が最遠方までレイトレーシングを適用するレベル4となる
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 さらに,DirectX レイトレーシングの項目を有効にすると,「アップスケーリング」というオプションが使えるようになる。これは,DirectX レイトレーシングを活用してレンダリングした映像を,GeForce RTXシリーズが内蔵する推論アクセラレータ「Tensor Core」を使ったアンチエイリアシング&超解像機能「DLSS 2.0」を駆使して,アップスケール表示を行うかどうかのスイッチ設定になる。特別な理由がない限り,フレームレートが高くなるので有効化しておいたほうがいい。
 今回,筆者のテストはCPUにIntel Core i9-7900X(10コア20スレッド対応,定格クロック3.3GHz,最大クロック4.5GHz),GPUにはGeForce RTX 2080Tiを載せたマシン上で行ったが,描画解像度を1920×1080ドット,DLSSオン設定だと,フレームレートはレイトレーシング表示距離のレベル0で90fps前後,レベル4では40fps程度だった。

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レイトレーシング表示距離のレベル0〜4(上から順に)の見映え。表示範囲を超えた情景は,急激なフォグ表現によって見えなくなる
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6つのレイトレーシング対応ワールド


 ここからは前述した6つのワールドについて,それぞれの印象的なシーンをピックアップして紹介しよう。

 まずはCrystal Palace RTXだ。広々とした大洋に浮かぶ船舶や,島々に建つファンタジックな建造物を冒険できる世界である。実は海の底も作り込まれていて,美しい珊瑚礁や敵か味方か分からない海棲生物が生息する幻想的な風景が広がっているのも魅力だ。
 レイトレーシングを有効化すると,水面上に情景の写り込み,いわゆる鏡像が出現するようになる。また,フレネル反射(Fresnel Reflection)も配慮され,視線と水面の角度に応じて,鏡像や水底の見え方が変わる様子も再現される。

フレネル反射の概念図。水面に対して視線がかすめるような浅い角度だと鏡像がはっきり見えるが,逆に,水面に対して視線の入射角度が直角に近くなるほど,水底が見えやすくなる。図は「ゲーム制作者になるための3Dグラフィックス技術 改訂3版」(西川善司 著)から引用
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遠方では映り込む鏡像が支配的であるのに対して,近景は水底の様子が見えやすくなっている。現実世界において,ここまで水底が見えることはないのだが,フレネル反射の概念が導入されていることは伝わる
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 なお,Minecraftでは,もともと遠方まで水の底が見えるグラフィックスが標準仕様となっている。そのため,レイトレーシング描画によって遠方の水の底が見えにくくなることで,「遊びにくい」と感じる人がいるかもしれない。ここはファンの目にどう映るかが気になるところだ。

レイトレーシングのオン(上)/オフ(下)比較。オフでは遠方の水の底も確認できるが,オンにすると遠方の水面は映り込みが支配的となり,水の底が見えにくくなる。プレイヤー視点からすれば,描画境界のフォグも厄介になるかも
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 次のNeon District RTXは,その名のとおり,ネオン看板が煌(きら)めく夜の街をテーマにしたワールドだ。空中浮遊を可能にすれば,高低差のある建物がダイナミックに立ち並ぶ迫力のパノラマビューが満喫できる。また,目を凝らせば「GEFORCE」の看板も発見できたりする。

レイトレーシングのオン(上)/オフ(下)比較。オフにすると,全体的に街並みが暗くなる。自発光マテリアルで描かれたGEFORCEの看板も,レイトレーシングオンのときに初めてネオンサインらしく輝き出す
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 このワールドは,レイトレーシングの効果が分かりやすいのも大きな魅力となっている。レイトレーシングオフの場合,直接光によるライティングのみとなり,さらに自発光マテリアルからのライティングは省略。間接光の効果もなくなってしまうため,かなり「暗い見た目」となってしまう。ところが,レイトレーシングオンでは,これらが全て有効化されて,柔らかい光に満ちた大変美しい映像となるのだ。

 ただし,6つのワールドの中でも,とくに処理が重く,フレームレートが出にくいワールドでもある。表示距離の設定をレベル3〜4にすると,30fpsを下回ることもあり,まともにプレイするのは難しそうだった。自発光マテリアルのライティング,そうした発光体に起因した相互反射,間接光照明といったものの負荷が相当に高いのだろう。

レイトレーシングのオン(上)/オフ(下)比較。オンではビルを構成する灰色のブロックが間接光によって,色とりどりに発光しているのが見て取れる
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 3つめのワールドであるImagination Island RTXは,前述のフレネル反射や間接光の表現に加え,透明オブジェクトの屈折表現が楽しめるワールドになっている。たとえば,噴水のある広場では水流越しに周囲のオブジェクトを眺めてみると分かりやすい。屈折によって,背景が歪んで見えるはずだ。
 全体的に「レイトレーシングに対応してます!」というアピール度は低めだが,6つのワールドの中では最もフレームレートが高かった。ミドルクラスのレイトレーシング対応GPUでマイクラRTXを試すなら,このワールドを推す。

レイトレーシングのオン(上)/オフ(下)比較。間接光再現をはじめとして全体的に見た目にリッチにはなるが,レイトレアピール度は控えめ。その代わり,高フレームレートを維持しながら探索できる
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レイトレーシングのオン(上)/オフ(下)比較。オンでは水流(というか水ブロック)越しに見える景色の歪みを表現できる。実際には立方体の水ブロックなので,屈折像の見え方はとてもシンプル。しかし,そこがまたマイクラチックである
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レイトレーシングのオン(上)/オフ(下)比較。右の池に注目してほしい。オフでは水面下の景色,すなわち水底の様子がよく見えている。一方,オンのほうは水底の様子と水面上の鏡像の見え方が,視線と水面が織りなす角度に比例してなだらかにブレンドされていることが見て取れる。これがフレネル反射表現だ
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 続いてAquatic Adventure RTXは,海中と海上のどちらも探検できるワールドで,雰囲気はCrystal Palace RTXとよく似ている。間接光表現,水面のフレネル反射といった見どころも共通しているが,海上の城には隠れた見どころがあるのでチェックしておきたい。

 ちなみにこの城は,構成パーツに金属マテリアルが多数用いられており,近寄ってみるとマイクラRTXにおけるレイトレーシング実装の特徴が分かりやすく観察できるのだ。
 たとえば,城の黄金ブロックが積み上がっている部分に近づくと,隣接する黄金ブロック同士が互いに映り込む。ただ,その鏡像は瞬時に現れるのではなく,十数フレーム程度の時間をかけてフワっと現れるのだ。おそらく,視点が動いているときには,1フレームの時間内に計算が終えられる程度の鏡像生成に留めて,視線が静止したときに時間をたっぷりと使って,より複雑な鏡像を生成するアルゴリズムになっているのだろう。映像に妥協してでもフレームレートを重視する,ゲームグラフィックスならではのやり方といったところだろうか。なかなか興味深い。

 では,鏡像が未完成状態の黄金ブロックはどんな見た目なのか。ノイズだらけの見え方かというと,そんなことはない。
 マイクラRTXでは,全ての材質表現が物理ベースのルールに則ったものになっている。ある材質に入射した光のエネルギー総和と,その出射光のエネルギー総和が等しい,いわゆる物理ベースレンダリング(Physically Based Rendering,PBR)作法を採用している。したがって,レイトレーシングによる鏡像が未完成の間は,従来のラスタライズ法による物理ベースシェーディングによる陰影で補間しているので,鏡像はなくとも,ちゃんと直接光が当たった状態の黄金の輝きを再現して描画するのだ。つまり,遠方の情景において,ふんわりと出現する鏡像に気が付くことはほぼない。

レイトレーシングのオン(上)/オフ(下)比較。間接光による全体的で豊かな陰影,左の水面のフレネル反射,水底の様子の歪んだ屈折像も面白いが,右側の黄金ブロックに注目してほしい。隣接するブロックの鏡像が表面に現れているが,瞬間的には未完成で,十数フレーム程度の時間をかけてじんわりと完成形に近づいていく
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 5つめのTemples and Totems RTXは,南米の古代遺跡を連想させるワールドだ。トラップやパズルなどが作り込まれているほか,危険な動物や敵,味方のNPCといったものも徘徊しており,ソロプレイを想定した世界が広がっている。森や木,池といった要素で構成される自然景観の再現にもこだわっているため,どこに行っても見応えのあるシーンに出会えるだろう。

 このワールドでは昼夜の表現があるので,影の生成などに注目してみた。レイトレーシングオフではクラシックな「丸影」だった影の表現が,レイトレーシングオンではちゃんと太陽光から生成されたキャラクター形状の影になる。しかも地面に近い足の影ははっきりと,地面から遠い頭部の影はぼんやりとといった具合に,投射距離に応じた半影表現を伴うのだ。地味ながら,これぞレイトレーシングによる影表現といった描写を堪能できる。

レイトレーシングのオン(上)/オフ(下)比較。このワールドでも「逆さ富士」的な美しい鏡像表現が楽しめる
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レイトレーシングのオン(上)/オフ(下)比較。昼夜の表現に対応しており,太陽がかなりの速さで動く。その位置に応じて生成される影も刻々と姿を変えるので,なかなか見応えがある。一方,オフの場合は常に丸影が描かれるだけだ
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 また,神殿の頂上に登ってレイトレーシングを切り替えながら景観を観察していたところ,面白い現象を確認できたので報告したい。
 マイクラRTXではレイトレーシングオンのときに,天球シミュレーションが有効化されるようだ。下の画像は太陽が地平線に沈んだ直後の情景を,レイトレーシングのオン/オフで比較したものになる。
 オフの場合,太陽が地平線に隠れた瞬間から夜空になってしまう。しかし,オンでは太陽が地平線に深く潜るまで,じんわりとした夕闇の空が長く再現される。
 現実世界でも,太陽が地平線に隠れた直後は,強い陽光が空気散乱により広く伝搬するため,しばらくの間は,空を赤く彩る。この様子がマイクラRTXでは再現されているのだ。おそらく「ミー散乱」や「レイリー散乱」などを考慮した空気散乱シミュレーションをベースにした天球シミュレーションが実践されているのだろう。

レイトレーシングのオン(上)/オフ(下)比較。オフでは太陽が地平線に姿を消した瞬間から夜空に切り替わるが,オンのときは夕焼けから夕闇へと空模様がじんわりと変化していく。ほぼ同時刻だが,これだけ空の表現が違うとは面白い
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 最後のColor, Light and Shadow RTXは,間接光や鏡像の表現に特化した作りになっており,レイトレーシング対応GPUを導入したら,まず実行してみたいワールドだ。マイクラRTXのショーケース的な位置付けとして,レイトレーシングの醍醐味が満喫できると思う。
 これまでの5つのワールドとは違い,屋内を歩き回ることになるワールドだが,建造物を構成する素材のほとんどがツルツルとした(≒スペキュラ強度強めの)鏡像が出やすいマテリアルになっている。そのため,レイトレーシングのオン/オフによって,世界の見え方がドラスティックに変わるのだ。

レイトレーシングのオン(上)/オフ(下)比較。「MINECRAFT」の文字を初めとした色鮮やかなブロックは,半透明材質のブロックとなっており,オンになると屋外から差し込む太陽光により,それぞれの色で輝いて屋内を照らす。室内の中央には水面があり,壁側の透過光を反射している。まさにレイトレーシングのショーケースである
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 これぞレイトレーシングならではの描写を楽しめるのは,四方の壁が鏡貼りとなった部屋だろう。遊園地のミラーハウスのような部屋で,向かい合う2組,計4面の壁が合わせ鏡になっているので,無限の鏡像が眼前に広がるのだ。
 下の画像を見てほしいが,レイトレーシングオフでは味気のないただの狭くて暗い部屋が,レイトレーシングオンにした途端,無限の広さがある明るい部屋に様変わりする。もちろん,実際に部屋が広くなったわけではない。

レイトレーシングのオン(上)/オフ(下)比較。オフではただの狭くて暗い部屋が,オンになると広大なホールに変身!? 四方の壁が反射率ほぼ100%の鏡マテリアルとなっているため,相互反射によって鏡像が鏡像を生んで,広く見えているのだ。いうなれば「合わせ鏡の部屋」である。このスクリーンショットをよく見ると,鏡像が有限個であることが分かるはずだ
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画像(042)リアルタイムレイトレーシング対応の「Minecraft with RTX」β版インプレッション。そのグラフィックスはいかに変貌するか

 なお,鏡の世界に映った自身の姿を数えてみると,7つあった。一番手前にある鏡像は直近の鏡に映る鏡像で,その1つ奥の鏡像は反対側の壁の鏡に映り込んだ鏡像である。この法則性でレイの反射回数を数えると,目の前に広がる7つの鏡像はカメラから投げられたレイが4回反射して作られたものだと計算できる。

 また,このワールドで地味に面白いのが,室内には自発光の照明を置かずに,太陽の外光を取り入れた「間接照明の部屋」の数々。レイトレーシングオフでは,ほとんど真っ暗なビジュアルになるが,レイトレーシングオンにすると外光が室内の有彩色の金属ブロックに反射して,色とりどりの間接光を放つ明るい世界に変貌するのだ。部屋によっては,光筋(ボリュメトリックライト)の表現も楽しめたりする。
 こうしたレイトレーシングのオン/オフによる情景の変わり様を見ていると,「近い将来,レイトレーシングによる視覚効果をゲームメカニクスに取り込んだタイトルが出てくるのかも?」と思わせてくれる。

レイトレーシングのオン(上)/オフ(下)比較。オンでは天窓からの陽光を取り入れた間接光の影響が再現され,明るい部屋へと変貌する。光筋(ボリュメトリックライト)の表現も印象的だ
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画像(044)リアルタイムレイトレーシング対応の「Minecraft with RTX」β版インプレッション。そのグラフィックスはいかに変貌するか

レイトレーシングのオン(上)/オフ(下)比較。スペキュラ強度(≒面のツルツル度合い)が異なる材質のブロックで構成された部屋。柱には自発光のブロックが,照明器具のように取り付けられている。スペキュラ強度が弱めの床には,ややぼんやりとした鏡像が出ている点に注目。前出の「合わせ鏡の部屋」とは見た目が違うが,こちらも上下左右のブロックが互いに反射し合い,部屋を間接光が明るく満たしている
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レイトレーシングで何ができるかを理解できるマイクラRTX


 冒頭で触れたとおり,筆者はMinecraftの初心者であり,同作をちゃんと楽しんだ経験はなかったので,「ああ,レイトレーシングによって表現がこう変わるのか」といった視点でのインプレッションをお伝えしてきた。おそらく,Minecraftを長く楽しんでいる人ならば,筆者より大きな感動を得られるのではないか。ぜひとも,その目で確かめてみてほしい。

 また,Minecraftを楽しんでいる小学生や中学生といった若いプレイヤーが,マイクラRTXをどう感じるのかも気になるところだ。ただ「きれいですね」という感想に留まらず,レイトレーシングの効果を応用した独創的なアイデアを生み出して,これまでにないワールドを作ってくれるのではないか,と期待してしまう。
 なお,筆者のYouTubeチャンネルでは,32:9の超横長ワイドアスペクトのディスプレイによるマイクラRTXのテストプレイ動画を公開している。興味のある人は,こちらも合わせてご覧いただけると嬉しい。


Microsoft Store「Minecraft for Windows 10」

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    Minecraft for Windows 10

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