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[E3 2015]広いだけではなく,深い世界を目指す。鈴木 裕氏が語る「シェンムーIII」
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印刷2015/06/19 00:00

インタビュー

[E3 2015]広いだけではなく,深い世界を目指す。鈴木 裕氏が語る「シェンムーIII」

インタビューを行ったLuxe City Center Hotel。E3 2015の会場となるロサンゼルスコンベンションセンターの斜め向かいにある
シェンムーIII
 北米時間2015年6月15日にロサンゼルスで開催されたSony Computer Entertainmentのプレスカンファレンスで,来場者を驚かせたのが「シェンムーIII」PC / PlayStation 4)の発表だ。日本には何人も“ゲームの神様”と呼ばれる人がいるが,その中でもトップクラスの神ともいえる鈴木 裕氏が登壇した瞬間の盛り上がりは,SCEのカンファレンス史上でも一,二を争うものだった。

 実際,鈴木氏の元には発表の瞬間が収められた映像が届けられており,それには感動で泣き出す人,立ち上がって叫びだす人など,(かなりぶっ飛んだ)興奮の様子が確認できたという。

 ……と,筆を進めてみたのはいいが,実のところ,シェンムーIIIがどんなゲームになるのかは,いまいちはっきりしていない。合同インタビューにも参加したものの,Kickstarterのクラウドファンディングキャンペーンを達成したばかりのタイミングだったということもあり,企画の立ち上げの経緯やKickstarterに関する話題が多かった。そこで4Gamerでは,あらためて鈴木氏にインタビューを打診。さらに詳しい話を聞いてみたので,今回はその内容をお届けしたい。

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[E3 2015]「シェンムーIII」の企画はファンの声がきっかけで立ち上がった。鈴木 裕氏への合同インタビューを掲載

鈴木 裕氏(シェンムーIII プロデューサー)

4Gamer:
 よろしくお願いします。

鈴木 裕氏(以下,鈴木氏):
 よろしくお願いします。突っ込んだことを聞かれる前に言っておきますが,シェンムーIIIはKickstarterを利用したプロジェクトですので,ストレッチゴールによってゲームの規模や内容は変わってきます。

4Gamer:
 ええ,Kickstarterのプロジェクトページに記載されているストレッチゴールを見ると,好感度システムやスキルツリーの追加などがありますね。

鈴木氏:
 今後もストレッチゴールは追加していきますので,出資者が増えるほど,ゲームの規模が大きくなります。ですから,今の段階でシェンムーIIIのゲームシステムなどを細かく説明することはできません。僕が考えていることが実現できるかどうかは,集まる資金によるところが大きいので。うかつなことを言って,結果的に出資者の方々を裏切る,ということは避けたいですからね。

4Gamer:
 では,そういった状況を踏まえてお聞きしますが,鈴木さんがシェンムーIIIでやりたいことは何でしょうか。

鈴木氏:
 涼とシェンファの関係を深く描きたいと思っています。従来のゲームが描いてきた主人公とヒロインという関係性の,ちょっと先をいきたいです。

4Gamer:
 ちょっと具体的にイメージしづらいですね。

鈴木氏:
 そうかもしれません。新しいことにチャレンジしたいのですが,新しいことだけに,なかなかほかの人には理解してもらえず,結果的に支援も得づらいんですよ。そんな理由もあって,まずはマップやミニゲームを増やすといったストレッチゴールを用意しているんです。

4Gamer:
 「分かりやすい」ストレッチゴールをまず用意した,と。

鈴木氏:
 資金が集まればシェンムーIIIの世界が大きくなり,そこで得られる充実度も上がるでしょう。ただし,ゲームワールドの広さや大きさといった面での勝負になると,開発費をかけられるほうが有利になってしまいます。そこでシェンムーIIIでは,いわゆるオープンワールド的な要素以外の部分で楽しさを確保しようと思っています。

4Gamer:
 例えばどんな要素でしょうか。

シェンムーIIIのストレッチゴール
シェンムーIII
鈴木氏:
 320万ドルのストレッチゴールにある好感度システムがそれにあたります。いろいろな行動や会話をシェンファと重ねることで,プレイヤーが操作する涼と彼女の関係に微妙な変化が起きます。そして,シェンファの言動や協力体制などが変わってくるんです。

4Gamer:
 シェンファとの好感度によってストーリーも変化しそうですね。

鈴木氏:
 それは予算次第という返答にさせてください。下手なことを約束すると自分のクビを締めることになるので(笑)。

4Gamer:
 分かりました(笑)。では,500万ドルのストレッチゴールにある,キャラクターパースペクティブシステムとはどんなものでしょうか。

鈴木氏:
 それは涼だけでなく,レンやシェンファをプレイヤーが操作できるというものです。

4Gamer:
 ある程度ゲームが進行すれば,いつでも変更できるのでしょうか。

鈴木氏:
 まだ詳しいことはお話しできないので,「涼のシステムにほかのキャラクターをあてはめて動かすものではない」とだけお伝えしておきます。

4Gamer:
 単にキャラクターを切り替えられるだけ,ということではなさそうですね。

鈴木氏:
 レンやシェンファは涼と性格が違いますので,同じものを目にしても,それぞれ感じ方が異なります。涼をプレイしているときは涼の選択でしたが,それがレンやシェンファのものになれば,いろいろと楽しめるでしょう。

4Gamer:
 今の話を聞いたら,さらに気になってきてしまいました(笑)。

鈴木氏:
 詳しいことは500万ドルのストレッチゴールを達成してからでないと説明できないので,今日のところはこれぐらいにさせてください。

4Gamer:
 ちなみにシェンムーの物語は,本作で完結するのでしょうか。

鈴木氏:
 正直にお話しすると,完結させるには元のストーリーが長すぎるんです。ですので,無理に完結へもっていくのはシェンムーIIIにとってベストな形ではないと判断しました。

4Gamer:
 ということは,シェンムーIIIのプロジェクトが成功を収め,さらにその先の展開を期待しないといけないわけですね。

鈴木氏:
 まずはシェンムーIIIがしっかりしたものになるように全力を尽くします。

シェンムーIII


「シェンムーの共通認識」を持ったメンバーが再び集まった


4Gamer:
 では,シェンムーIIIの表面ではなく,バックエンドについてうかがいます。ゲームエンジンにUnreal Engine 4を採用した理由を教えてください。

鈴木氏:
 それは簡単で,僕がイメージしているシェンムーの発色に一番近いからです。ゲームエンジンにはそれぞれレンダリングの傾向みたいなものがあって,Unreal Engine 4が基本的に持っている発色をベースにして,“湿気と匂い”をつけるとシェンムーになるんですよ。


4Gamer:
 色のイメージは前2作と共通ですか。

鈴木氏:
 もちろんです。シェンムーは空気が湿っている感じがよく表現できており,匂ってきましたからね。シェンムーIIIもそれを目指します。

4Gamer:
 シェンムーIIIのどこかの風景だけを切り出して見ても「シェンムーだ」と分かるようにしたいと。

鈴木氏:
 ええ,そうしたいですが,Kickstarterでのプロモーション用に作ったムービーは乾燥していますね。カリフォルニアの湿度になっちゃいました(笑)。

4Gamer:
 そういった色の細かいイメージ――それこそグラフィックスに匂いはないですし――を開発チームで共有するのは難しいのではないでしょうか。

鈴木氏:
 伝えるのは,まさに至難の業ですね。スイカとミカンしか知らない人にメロンを説明するようなといいますか。まあ,大きさはその中間だってことは言葉でいえますが,味とかになると,なかなかね。

4Gamer:
 そういった側面もあって,シェンムーIIIにはかつての開発メンバーが名を連ねているのでしょうか。

鈴木氏:
 ええ,昔のメンバー達はシェンムーの基本みたいなものを共通認識として持っているので。

4Gamer:
 15年近く経って,かつてのメンバーが集結するというのもすごいことですよね。

鈴木氏:
 そう思います。皆それぞれ独立するなど,以前とは立場が異なりますが,開発の規模もはっきりしない段階で快く参加を表明してくれて。本当に暖かいですね。

4Gamer:
 単なる仕事仲間を越えた関係の深さを感じます。

鈴木氏:
 シェンムーは,ある意味,仕事を越えたプロジェクトでしたから。シェンムーIIの開発が終わって10年振りくらいに飲み会をやったら,100人以上集まりましたよ。

4Gamer:
 それは凄い。というか,それは飲み会というレベルではないですね……。


鈴木裕氏が見る,日本のゲーム業界の現在


4Gamer:
 鈴木さんの作るゲームは独創性が高いものが多いですが,これには何か秘訣があるのでしょうか。

鈴木氏:
 ないですね。実は仕事以外でゲームを遊ばないので,ほかのゲームに影響されるということが少ないというのが,その要因かもしれません。

4Gamer:
 ほかのゲームを徹底的に研究して,ほかとは違うものを作り出すようなイメージがあったのですが,そういうわけではなかったんですね。

鈴木氏:
 ええ,たんにゼロから作るから新しいものになりやすいんです(笑)。

4Gamer:
 そうなると,たとえば私のようなメディアがゲームの説明を受けて,「それは○○の△△システムのようなものですか?」という返しは通用しないわけですね。

鈴木氏:
 申し訳ないですが,そうかもしれません。まあ,ぼくも流行のゲームの傾向くらいは勉強しておかないといけないのかもしれませんが。

4Gamer:
 ところで,鈴木さんが規模の大きなゲームの開発に携わるのは久しぶりですよね。

鈴木氏:
 ええ,ここまでガッツリと関わるのは何年ぶりだろうといった感じです。

4Gamer:
 決してゲーム業界を離れていたわけではありませんが,ちょっと引いた目で見る,いまの日本のゲーム産業はいかがですか。

鈴木氏:
 Unityのようなゲームエンジンが出てきて,1人でもゲームを作りやすくなったのはいいことだと思います。予算の大きいゲームだけが生き残るような市場は健全ではないですし。マーケットが広がって選択肢が増えたことはいいことでしょう。
 ただ,ビジネスとして回っているゲームの大半が規模の小さいもの,たとえばスマホ用のゲームというのは寂しいですね。


4Gamer:
 コンシューマゲーム機用のタイトルにもっとがんばってもらいたいという感じでしょうか。

鈴木氏:
 ええ,かつての日本は,世界一といわれるほどゲームの開発技術が進んでいました。そしてそのときにリッチコンテンツのノウハウを溜めたはずなんですが,それらをうまく生かせていないのが残念です。

4Gamer:
 かつてリッチなタイトルを手がけた人達の多くが,スマホ用のゲームを作るようになりましたね。

鈴木氏:
 スマホのゲームが悪いという話では決してありませんけれども,スマホゲーム市場の特性上,どうしても開発開始から完了までのサイクルが早くなりがちです。そのほうが会社としてはうまくいくのでしょうが,どうも納得がいきません。
 クルマにたとえると,大衆車が一番の売れ筋であり,それらの売上が会社を支えるのでしょうが,フラグシップといえるようなクルマを開発しないことには,技術が発展しづらいんです。

4Gamer:
 アメリカでは今でもコンシューマ機やPC用のゲームにお金がかけられていますね。

鈴木氏:
 ええ,そういったリッチコンテンツが業界全体を活気づけています。日本もかつてのように,そうなるといいのですが……。

4Gamer:
 おっと,話を振っておいてなんですが,下を向いた状態でインタビューが終わりそうなので,いまの若い開発者やこれからゲームを作ろうと思っている人達にエールをいただければと。

鈴木氏:
 今は昔と違い,誰でも気軽にゲーム開発に触れられる環境があります。昔はプログラムを書けないとゲームを作れなかったのですが,ツールも充実しています。また,ゲーム作りを体系立てて勉強することもでき,ネットを使って知識を増やすことも簡単です。
 そんな恵まれている時代に生きているのですから,あまり仰々しく考えないで,気軽に試し,自分が向いていると感じたらそっちの方向へ進んでください。まずは作ることを楽しんでほしいですね。

シェンムーIII

「シェンムーIII」公式サイト

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