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NVIDIA,GTC Japan 2014を開催。David Kirk氏がNVIDIA GRIDやNVLink,Pascalを語る
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印刷2014/07/17 00:00

ニュース

NVIDIA,GTC Japan 2014を開催。David Kirk氏がNVIDIA GRIDやNVLink,Pascalを語る

久しぶりの来日となったDavid B. Kirk氏(NVIDIA Fellow,NVIDIA)
 2014年7月16日,NVIDIAは,東京六本木にてGPUコンピューティング開発者イベント「GPU Technology Conference Japan 2014」(以下,GTC Japan 2014)を開催した。午前中に開かれた基調講演では,米国本社フェローのDavid B. Kirk(デビッド・B・カーク)氏が登壇。GPUの現在や未来について熱く語った。
 とはいえ講演内容自体は,2014年3月に米国で開かれた「GPU Technology Conference 2014」(以下,GTC 2014)で,NVIDIA CEOであるJen-Hsun Huang氏が基調講演(関連記事)で語った内容を踏襲したものであるため,新しい情報はほとんどないというのが正直なところ。そこで今回は,基調講演とKirk氏への合同インタビューの内容を合わせて,その概要をお伝えしたい。


GPUは今後も指数関数的に性能が向上する


 2010年に初めて開催されたGPU Technology Conference Japanは,今年で5回目を迎えた。参加者も順調に増えているそうで,事前登録した参加者数は,2010年が約500人だったのに対し,2014年には1500人を数えたとのことだ。

2010年の約500人から始まり,2014年は1500人へと参加者は3倍の規模に
GeForce GTX 10

 さて,米国で毎年開催されている本家「GPU Technology Conference」は,近年ゲームグラフィックスに関するテーマのセッションが増えており,4Gamerとしても見逃せないイベントになりつつある。だが,GTC Japan 2014のテーマはHPC(High Performance Computing)やエンタープライズ分野,あるいは組み込み機器向けの話題が主で,ゲームグラフィックスの話題はほとんどない。Kirk氏の基調講演でも,ゲームグラフィックスに触れられることはなかった。

GPUを仮想化するNVIDIA GRIDの体験サービスが日本でもスタートした。興味がある人はNVIDIA GRIDの公式ページにアクセスしてみよう
GeForce GTX 10
 基調講演の中で発表された日本向けのトピックは,クラウドベースのGPU仮想化技術「NVIDIA GRID」を体験できるサービス「Test Drive」が,日本でもスタートすると発表されたことだ(関連記事)。
 Test Driveでは,NVIDIA GRIDの日本語公式ページからユーザー登録を行い,クライアントアプリケーションをダウンロードして実行すれば,日本国内に設置されたNVIDIA GRIDサーバーの仮想デスクトップにログインでき,仮想化されたGPUの性能を,最大24時間,実際に確かめることができる。すぐ動かせるデモも標準で用意されているので,興味があるソフトウェア開発者は試してみるといいだろう。

GeForce GTX 10 GeForce GTX 10
NVIDIA GRID Test Driveの登録ページから必要事項を入力すると,クライアントアプリケーションを入手できるので,セットアップ。あとはそれを実行してログインすれば,すぐに体験できる


HPC向けの高速インターコネクト技術「NVLink」

x86プラットフォームでの採用はありえるのか?


 Kirk氏の基調講演で語られた話題の中で,4Gamer読者の関心を引きそうなのが「GPUテクノロジーの未来」という話だ。GTC 2014と重複する部分もあるが,新情報も多少はあったので説明していこう。

 Kirk氏が将来GPUで導入されるキーテクノロジーとして挙げたのが「NVLink」である。NVLinkはGTC 2014で発表された技術で,CPUとGPU,あるいはGPUとGPUの間を,PCI Express 3.0比で5〜12倍の実効帯域幅を持つ高速なバスで接続するという規格だ。
 現在のGPUは,CPUや他のGPUとPCI Expressを使って接続されているが,とくにGPGPUの分野において,帯域幅の狭さが非常に大きなボトルネックになっていることは,以前から指摘されていた。NVLinkはそれを解決しようという技術である。

GDDR5のメモリバス帯域幅は極めて大きく,CPUのメモリバス帯域幅もそこそこ大きい。それに対してPCI Expressの帯域幅は狭く,GPUコンピューティングにおいて非常に大きなボトルネックになっている
GeForce GTX 10

GPUとCPU,さらに複数のGPU間を,PCI Express以上の帯域幅を持った高速リンクで結ぼうというのがNVLinkの基本的な考え方だ
GeForce GTX 10

 Kirk氏によると“第1世代のNVLink”――明言されなかったがGTC 2014で発表された時点のもの――は,GPU同士,あるいはCPUとGPU間でのキャッシュコヒーレンシ(=キャッシュの整合性,一貫性)を保つ仕組みがなかったそうだが,第2世代ではこれも導入されるとのことだった。

 先述したとおり,NVLinkはGPUとGPUの接続に加えて,CPUとGPUの接続も視野に入れた技術である。だが,今のところ,NVLinkをどんなCPUがサポートするのかは公表されていない。
 NVLinkはNVIDIAとIBMが共同開発している技術なので,IBM製CPUである「POWER」プロセッサのプラットフォームがNVLinkに対応するのは確実とみられている。また,Kirk氏によれば,NVIDIAがCPUを開発しているARMプラットフォームでも,採用される可能性があるとのことだ。

 だが,やはり気になるのは,x86 CPUのプラットフォームはNVLinkに対応するのかだろう。講演後に行われた合同インタビューで,実際,その点について聞いてみたが,Kirk氏は正直に「x86陣営からは,NVLinkはまるで無視されているような雰囲気もある」と述べて苦笑い。
 x86プラットフォームにNVLinkを導入するか否かは,事実上,Intelが決めることである。ではIntelがわざわざNVLinkを採用するかといえば,その可能性は低いということなのだろう。ただし,GPU間の接続にはNVLinkを利用することもできるため,そういう実装を行うベンダーが出てくる可能性はゼロではない。

x86プラットフォームでも,GPUとGPUを結ぶNVLinkは実現可能とKirk氏。CPUと各GPU間はPCI Expressを介した接続になってしまうが,GPU同士の接続はNVLinkで高速化できるので,システム全体の演算能力は向上する
GeForce GTX 10

 NVLinkは基本的に,HPCやエンタープライズ分野向けの技術だが「高い性能が求められる分野にとって有用な技術で,たとえば高速なグラフィックスが必要なゲームでは使われる可能性がある。また,Tegraのような組み込み用途でも,高速さが求められる分野でなら使われるだろう」とKirk氏は語っていた。将来的にNVLinkが幅広い分野で使われる可能性も,NVIDIAでは想定しているようだった。


GTC 2014で披露されたPascalモジュールは「現時点での予定」


GTC 2014でPascalのCompute Moduleを掲げるHuang氏。
GeForce GTX 10
 GTC 2014では,NVIDIAが開発中の次世代GPU「Pascal」(パスカル,開発コードネーム)が発表されて話題を呼んだ。基調講演ではHuang氏がPascalを搭載した「Compute Module」(演算モジュール)を披露して,開発が順調に進んでいることをアピールしていたが,あのモジュールをどう使うのか,疑問に思った人もいるのではなかろうか。

 というわけで「あれはどのように実装されるのか。もしくは『ここまで小さくなる』というのを示すためのモックアップなのか」と聞いてみたのだが,Kirk氏はそれに対し,割とあっさりと「我々はまだPascalを手にしていない」と述べ,GTC 2014で披露されたCompute Moduleがモックアップであることを認めていた。いわく「これは現時点で我々が予定しているPascalのデザインであって,最終製品がこうなると保証するものではない」とのことだ。あのサイズにすべく頑張っているが,大きさや形状,実装方法などは,これからの話というわけである。

Pascalモジュールとその概要。PCI Expressカード比で3分の1のサイズとされるが,最終デザインではないという
GeForce GTX 10

 さて,Pascal世代ではGPU本体と並び「3次元メモリ」がキーテクノロジとなる。3次元のメモリといえば,最近ではSamsungがフラッシュメモリチップに採用した「3D V-NAND」技術が記憶に新しい(関連記事)。
 3D V-NANDは,メモリセルの層を縦方向に重ねて1つのNANDフラッシュメモリチップを製造する技術だ。それに対してNVIDIAがPascalで採用するという3次元メモリは,メモリチップにビア(貫通電極)と呼ばれる縦穴を設けて,複数のチップを積み重ねたものである。
 「3次元メモリの採用で,これまで頭打ちになっていたメモリバス帯域幅がこれから飛躍的に伸びるだろう」とKirk氏は予告した。

Pascal世代のキーテクノロジとなる3次元メモリ。メモリチップに縦穴を設け,それを重ねることで製造される。これにより,飛躍的にバス幅を広げることができるため,メモリバス帯域幅を極めて大きくできる利点がある
GeForce GTX 10

 ちなみに,3次元的な回路の形成は,多数の演算器を束ねたGPUでも可能であり,将来のGPUアーキテクチャに導入されるのではないかと思われる。その点はKirk氏も,「可能性はある」と認めていた。ただし,GPUの演算器を3次元的に重ねると,熱密度が高くなってしまうという課題があるため,実現までにはまだ多くの研究が必要ということだ。
 メモリチップやNANDフラッシュメモリチップで3次元化が先行しているのは,熱が問題になりにくいといった理由もある。メモリもアクセス時に熱を出すが,発熱する部分が散発的なので熱が集中しにくいのだ。

 話をPascalに戻そう。3次元メモリを採用するPascalによって「GPUは今後も指数関数的に性能を伸ばすことが可能だ」と,Kirk氏は力強く語っている。GPUの性能を指数関数的に伸ばすというのは,NVIDIAがかねてから主張していることでもある。
 だが,最近のGPUを見ていると,性能の伸びは一昔前に比べて鈍っているようにも思える。半導体製造プロセスの微細化が足踏みしているため,かつてのように集積度が上がらなくなり,演算器を大幅に増やして性能を増加させるアプローチが取りにくくなっているのではないか?

 その点を聞いてみたが,Kirk氏の答えは,「半導体の製造技術に頼らない部分,たとえばアーキテクチャの改善によって,GPUは今後も性能を指数関数的に伸ばすことが十分に可能だと思っている。我々はそのための研究を今も続けている」だった。
 GPUの生みの親として知られ,2009年までNVIDIAのGPU開発の陣頭指揮を取っていたKirk氏がそう言うのだから期待したいところだが,技術との戦いはますます激しさを増しそうな気もする。

GeForce GTX 10 GeForce GTX 10
基調講演の最後にKirk氏はGPUロードマップをあらためて示しつつ,来場した開発者に「GPUを使ってすごい未来を作ろうではありませんか。未来を作るのはあなた方なのです

Kirk氏に「個人的に期待している『未来』は何ですかと聞いたところ,少し考えてから,氏は並列処理を活かしたアプリケーションにあるという答えが返ってきた。氏としては,マシンが“自ら”学習する機械学習に大きな可能性を感じているという
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Tegra K1を搭載する組み込み向け開発キット「Jetson TK1」をアピールするNVIDIA


 さて,GTC Japan 2014では,組み込み機器向けのセッションが大幅に増えていた。とくに,新世代モバイルSoC(System-on-a-Chip)である「Tegra K1」を搭載する組み込み機器向け開発キット「Jetson TK1」(関連記事)の国内出荷が2014年5月に始まったこともあり,技術解説セッションだけではなく,実際に触れるハンズオンセッションも用意されていたほどだ。

GeForce GTX 10 GeForce GTX 10
Jetson TK1の実機。動作デモに使われていた

Jetson TK1のブロック図。インタフェースが相当に充実しているのが分かるだろう。Tegra K1のところに「GK20A」という文字列が見えるが,これはTegra K1に統合されるGPUコアの開発コードネームだそうだ
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 国内において2万4000円前後の実勢価格(※2014年7月17日現在)で販売されている――といっても流通量が少ないのでなかなか手に入らないが――Jetson TK1は,Tegraファミリーを搭載した開発キットとしては極めて安価なのが大きな特徴だ。
 CUDAを利用できる組み込み向けプラットフォームとして,極めてユニークな存在だが,それだけに,その能力を効果的に活用するようなアプリケーションの開発は難しい。だからこそNVIDIAは,多数の開発者に触れてもらうべく,戦略的な価格で展開することにしたのだろう。
 ちなみに,標準搭載のファームウェアは,ブートローダにfastboot,OSにはUbuntu 14.04を採用している。

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Jetson TK1を使った,波(左)や粒子(右)を動かすシミュレーションのデモ。どちらもGPGPUを使ったものだ

 ところで,Jetson TK1の個人ユーザー向け販売は,今のところ秋葉原のPCショップであるオリオスペックが唯一の公式な窓口になっているという。筆者が取材したところ,これを他の店で販売する可能性は低いそうだ。
 というのも,Jetson TK1は米国政府が課している規制の対象に当たるそうで,購入するにあたって「兵器開発に使わない」「勝手に輸出,転売しない」といった誓約書を購入者が提出する必要があるのだ。そのため,不特定多数の店で販売すると,この事務処理が厄介になるという問題があるのだという。

 最後に,Jetsonシリーズについても説明しておこう。シリーズのラインナップには,Jetson TK1とは別に,自動車メーカーのみに出荷される「Jetson Pro」という製品も存在する。
 Jetson Proは車載機器向けの「Tegra VCM」(VCM:Vehicle Computing Module)を中核とする開発者向けキットで,車載機器用ネットワーク規格である「CAN」(Controller Area Network)などを搭載した,完全なプロ向け製品だ。

 GTC Japan 2014会場には,64bit CPUコア版のTegra VCMを搭載するというJetson Proが展示されていた。まだ国内にやって来て日が浅く,動作デモを行えるような状態ではないそうだが,こうして64bit版Tegra VCM,要するに64bit版CPUコア「Denver」の統合されたTegra K1を搭載するハードウェアの実機が出てきたのは重要なニュースといえそうだ。果たして,コンシューマ向けにはいつ出てくるだろうか。

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会場に展示されていたJetson Pro。モックアップではなく動くものだったが,まだ日本に来たばかりとのことで,残念ながらデモの準備は間に合わなかったそうだ

GTC Japan 2014 公式Webサイト

  • 関連タイトル:

    GeForce GTX 10

  • 関連タイトル:

    Tegra K1

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