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ゲームの背景になるのは1960年代だが,歴史は大きくねじ曲げられており,ナチスが第二次世界大戦に勝利して世界を支配しているのだ。大戦で彼らが勝利を収めた理由は,ヴィルヘルム・ストラッセ親衛隊大将,通称「デスヘッド」が繰り出してくる超兵器の力によるものであり,ジェット戦闘機や知能を持つロボット兵器,装甲スーツ,レーザーなど,当時の科学力ではあり得ないような数々の兵器の前にドイツ以外の大国は屈服してしまったのだ。
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主人公のB.J.ブラスコヴィッチは大戦末期の1946年,デスヘッドを抹殺するために仲間と共に敵の本拠地に送り込まれたアメリカ軍大尉だが,作戦はあえなく失敗。彼も脱出時に脳に大きな損傷を受けて意識を失い,次に気がついたときは14年後の1960年だったという設定だ。
つまり本作は,「歴史のif」を 描いたオルタヒストリーものだが,それと同時に,ナチスの支配する暗鬱な世界を舞台にしたディストピアテーマの作品でもあり,そういう世界観にグッとくる人も少なくないと思う。個人的には大好きだ。
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とりわけ最大のポイントは,本作がシングルプレイのみでマルチプレイがないところだろう。大手メーカーのリリースするシューターとしてはかなり異色の仕様であり,あえてこうすることで,より深いストーリーと世界観を楽しんでほしいという意図があるという。実際この判断に対して,プレイヤーからは好意的な意見がフォーラムなどに寄せられており,現代戦もののオンラインマルチ作品にやや食傷気味な,一部の欧米プレイヤーの様子がうかがえて興味深い。
多くの海外メディアで,「FPSにマルチプレイがない」という理由で低い点数を付けているのを見かけることがあるが,Metacriticのメタスコアによると,先行して発売された欧米では全般的に高い評価を獲得しており,発売週のイギリスではヒットチャートのトップになったというニュースもある。
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というわけでシングルプレイは長めになっており,それだけにやりごたえは十分で,「DOOM」や「Half-Life」の,“やってもやっても終わらない感”が味わえる。
また,デスヘッドを始め,ナチスの悪役やレジスタンスの仲間など,濃いめのキャラクターが多数登場するところも面白い。レジスタンスの仲間達はヒロイックであり,一方のナチスはとことん憎々しいという感じで,ある意味ステレオタイプであることは間違いないのだが,それだけに分かりやすく物語に没入しやすい。
ゲーム序盤,ホラー成分は薄めでSF色が強いが,昔からナチスといえばオカルトと言われるように(?)次第にそっちの方面もクローズアップされてくる。デスヘッドのトンデモ兵器群は果たして,どこからやってきたのか? たった一人で強大なナチスを倒すことが可能なのか? いくつもの疑問が積み重ねられ,クライマックスへ突き進んでいく手際は見事で,「もうちょっと先まで見てみるか」と,なかなか止めどきが見つからない。
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基本的にマップクリア型のリニアなシステムなのだが,それぞれのマップは非常に広く複雑な作りになっており,あっちから行ったら敵にやられたのでこっちから行ってみようという風に,かなりの程度の自由度をもってゲームを進められる。なんだか分からない秘密コードや,金の杯,日記といった,さまざまなアイテムの収集要素もあり,それらは時として,かなり面倒な場所に隠されていたりする。もちろん無視して進んでも構わないのだが,ゲームに慣れてくれば,これらを見つけるのもお楽しみの一つになる。壁に貼られた新聞記事なども読むことができ,中には思わせぶりなものもあるが,この世界の状況などがおぼろげに分かって物語に深みを与えてくれる。
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また,ブラスコヴィッチはいかつい顔の割に撃たれ弱く,何人かの敵に囲まれると,あっさり倒されて直前のセーブポイントからやり直しだ。もう無理。戦争反対,という場面も少なくないが,状況がだいたい分かってくるとなんとかなるという難度にはなっているところが憎い。個人的には,時間はかかるが,あちこち移動して敵の配置をじっくり確認し,しかるのちにナイフや消音装置付きピストルで静かに片付けていくのが着実だと思う。
司令官を先に倒しておけば,増援を呼ばれることなく仕事がしやすいのだが,ゲームの進行上,どうしても見つかってしまうこともあり,その場合は逃げ隠れしながら,倒した敵から銃弾を回収しつつ,半泣きで戦わなくてはならないのだ。もうね,チャプター6の格納庫なんか,撃っても撃っても敵が次々に出てきて,何回再挑戦したか分からない。
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二足歩行のロボットや,強固なアーマーを装備した兵士,そして四本足で高速移動するパンツァーハウンドなど,どうやって倒していいのか分からないような強敵が次々に出てくるうえ,彼らのAIがかなり優秀であるため,戦闘の緊張感はかなり高い。もちろん,トライアル&エラーを重ねてようやく難敵を撃破したときの爽快感はかなりのもので,病みつきになっちゃいそう。
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獲得方法が今一つよく分からなかったのだが,これは,それぞれのスタイルに合わせた戦い方を一定数,繰り返すことで手に入るようで,最近のRPGではおなじみだ。つまり,こっそり戦い続けていると,次第にしゃがみながらの移動が速くなったり,消音器付きの銃の威力が高くなったりとか,そういう感じなので,一つスタイルを決めたら,それを貫くのがいいのかもしれない。ゲーム全体を通じて,すべてのPERKが解除できるようなバランスになっているかは不明だ。
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武器としては,ピストルにサブマシンガン,アサルトライフルとおおむね常識の範囲に収まるものになっているが,ただ,序盤で手に入る「レーザーカッター」は,フェンスを切って侵入したり,鍵や鎖を切ってルートを開いたりなど非常に便利で,まさにナチスの超科学という感じ。アップグレードアイテムを拾えば対人兵器にもなるし,さらに強力な「レーザークラフトワーク」もマップに隠されているほか,アサルトライフルにロケットランチャーを付けたり,ショットガンから榴散弾を撃てるようしたりと,いろいろなアップグレードアイテムが用意されているのだ。
このように,弾丸を探したり,あせりながら回復アイテムを探したりなど,お宝を探したりなど,プレイヤーはマップのあちこちを行ったり来たりすることになる。筆者は探索があまり得意ではないが,新しいエリアに入るたびに,床とか隅っこばっかり見るようになった。なんかないかなー。
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ポーランドの病院で意識を取り戻したブラスコヴィッチは,長年彼を世話してくれた看護士のアーニャと共に,ナチスに襲われた病院からからくも脱出する。監視の目をくぐり抜けて夜汽車でベルリンに向かい,わずかに残ったレジスタンスを警戒厳重な刑務所から脱出させて,彼らに合流する。そして,デスヘッドを亡きものにし世界の平和を取り戻すために戦い続けるのだ。
壮大なベルリンの景観やロボットの造形など,レトロな雰囲気を漂わせつつ,世界観に沿ったグラフィックスも見事。ちょっと違ったFPSを試してみたいという人は,ぜひプレイしてほしい。
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