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GPUを買えばお金を節約できる? 2017年のAI分野におけるNVIDIAを総括したJensen Huang氏によるGTC Japan 2017基調講演レポート
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印刷2017/12/14 14:43

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GPUを買えばお金を節約できる? 2017年のAI分野におけるNVIDIAを総括したJensen Huang氏によるGTC Japan 2017基調講演レポート

熱のこもった講演を行うJensen Huang氏(President and CEO, NVIDIA)
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 2017年12月12日と13日の2日間に渡って,NVIDIAは,GPUコンピューティングがテーマの開発者向けイベント「GTC Japan 2017」を開催した。2日目である12月13日午前には,NVIDIAの共同創業者兼CEOであるJensen Huang(ジェンスン・フアン)氏による基調講演も行われている。
 事前に予想していたことではあったが,ゲーマーには残念なことに,ゲームグラフィックスに関する話題は今年も一切ナシ。そもそもグラフィックス技術の話すら,多少触れたという程度で,講演はNVIDIAが最も力を入れている人工知能(AI)に関わる話題に終始した。そんなわけで,本稿ではごく簡単に,基調講演の概要をまとめてみたい。


Volta世代GPUのAIにおける性能をアピール


 基調講演でHuang氏は,2017年にNVIDIAが発表した,さまざまな製品や技術を次々と披露していった。その1つが,仮想空間内で共同作業を行える多人数同時参加型VRシステムの「NVIDIA Holodeck」(以下,Holodeck)だ。
 Holodeckは,2017年5月に米国で行われた「GTC 2017」で「Project Holodeck」として発表された技術で,仮想空間内で製品のデザインや機能を検討したりといった共同作業を行えるものである。基調講演では,ライブデモを披露したのだが,完成度が上がっているように見えた。

仮想空間を利用して,複数人が共同作業を行うHolodeck。Holodeckは早期アクセスがスタートしており,「早期アクセスに参加してほしい」とHuang氏は聴衆に呼びかけていた
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 Holodeckに続けてHuang氏は,Volta世代GPUを搭載する数値演算アクセラレータ「Tesla V100」や,Volta世代GPUを組み込んだ車載用SoC「Xavier」(エグゼイヴィア,開発コードネーム),そして12月7日に発表されたばかりのVolta世代GPUを搭載する初のグラフィックスカード「NVIDIA TITAN V」といった具合に,次々と新製品を取り上げた。まさに2017年の総ざらえといった感じである。

発表されたばかりの「TITAN V」を掲げるHuang氏。国内発売の予定もあるとのことだが,価格や発売時期は未公表である
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 怒濤の新製品披露に続けてHuang氏は,話題をAIに切り替える。氏は,すでにさまざまな分野で,これまで不可能と思われていたことをGPUとAIが実現できているという。そしてHuang氏は,「世界を変えるのはクラウドでもモバイルでもない,まさにAIなのだ」と,強調した。

NVIDIAが2017年に披露したAI技術の例。左から処理半ばのレイトレーシング画像を,AIによって修正する「AIオートエンコーダー」(Iray with Deep Learning),音声に合わせて動くフェイシャルアニメーションの生成,「GAN」(Generative Adversarial Network,敵対的生成ネットワーク)による画像の生成,同じくGANを使った実在しない人の顔の生成,そして「RNN」(Recurrent Neural Network,再帰型ニューラルネット)を用いたAI「Aiva」による作曲となっている
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 Huang氏が基調講演で強調していたのは,AIにおけるGPUとCPUの性能差だ。写真から花の種類を判別するデモでは,IntelのSkylake世代CPUだと,1秒間にせいぜい5枚の写真しか認識できないのに対して,1基のTesla V100では秒間900枚以上,8基のTesla V100を搭載する「DGX-1 with Tesla V100」(以下,DGX-1)ならば,秒間7000枚以上の写真を認識できると,圧倒的な性能差をアピールしていた。
 もっとも,DGX-1の発売時点における価格は14万9000ドル(約1678万円)だったので,価格対性能比という点では,1000倍もの差があるわけではないが。

AIにより花の種類を判別するデモ。一番上はSkylake世代CPUによる処理のイメージで,中段が同じ処理をTesla V100で,下段はDGX-1で行ったイメージ。同じ1秒間に,DGX-1ならCPUの1000倍もの速さで処理できるという内容だ
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 Huang氏は,「GDX-1が1台あれば,7000人にクラウドを通じて画像認識をサービスできる。これは凄いことだ」と述べる。そしてCPUの数千倍という画像認識能力をGPUを使えば,サーバーのコストと電力コストを大幅に削減できると強調したうえで,ノってきたのか「GPUを買えばお金とスペースが節約できる。みんなGPUを買おう! クリスマスだし,みなさんも家に帰ったら,家族にGPUを買ってお金とスペースを節約しよう,と言ってください」と捲し立てて,会場の笑いを誘っていた。


日本企業はAIに商機あり?

新たにコマツとの協業を発表


 さて,日本で開催されるGTCということもあり,Huang氏は日本の話題も取り上げている。曰く,「AIに関して日本は,非常に活発に研究開発が行われている国だ」(Huang氏)であるそうだ。
 その例としてHuang氏,Preferred Networkが開発しているAIフレームワーク「Chainer」が,2017年11月にディープラーニングの学習速度で世界記録を達成したことや,スーパーコンピュータの国際会議「SC17」において,東京大学地震研究所がAI関連の研究で2件の賞を受賞したことなどをした。

Huang氏が紹介した日本におけるAI研究の事例。とくに,右から3番めのChainerによる世界記録の達成や,右から2番めの東京大学地震研究所によるAI研究を,Huang氏は熱心に説明していた
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 そして日本には,世界をリードする自動車産業や,産業機械のメーカーがあり,そうしたメーカーは「AIに大きな商機がある」と,Huang氏は述べる。そしてHuang氏は壇上で,NVIDIAと日本企業の新たなパートナーシップとして,建設機械大手である小松製作所(以下,コマツ)との協業を発表した。

日本におけるAIの商機。自動車市場では自動運転などに10兆ドル(約1127兆4000円),産業や建設ではそれぞれ2000億ドル(約23兆5000億円),ヘルスケア分野にも700億ドル(約7兆9000億円)の市場があるとHuang氏。AIを取り入れることで,日本企業がこうした分野で活躍できるという
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 「ドローンを使って建設現場の地形をデータ化することで,建設作業の安全性や効率を向上させられる。さらに将来的には仮想現実技術を使った建設機械の遠隔操作もコマツは視野に入れている」(Huang氏)とのことである。

Huang氏は,NVIDIAとコマツの協業を発表。NVIDIA製の組み込み機器向け開発キット「Jetson TX2」をコマツが採用し,ドローンなどを使って建設現場の可視化を行うという
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 2017年のNVIDIAを総括したような基調講演の概要は,以上のとおり。AIに特化した講演を聞いていると,NVIDIAが,どんどんゲームから離れていってしまうような気もして,ちょっと寂しい気もする。
 ただ,2018年1月には,米国・ラスベガスで家電見本市「CES 2018」が行われる予定で,NVIDIAも北米時間1月7日に,報道関係者向けイベントの開催を予定しているとのこと。メインテーマは自動車関連になるだろうが,もしかしたらCES 2017でのHuang氏による講演のように,ゲーム関連の新しい何かが発表されるかもしれないので,それを期待したい。

GTC Japan 2017 公式Webサイト

  • 関連タイトル:

    Volta(開発コードネーム)

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