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  • NVIDIA
  • 発表日:2013/02/19
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「GeForce GTX TITAN」登場。500円玉より大きなモンスターGPUの“性能以外”を徹底解説
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印刷2013/02/19 23:00

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「GeForce GTX TITAN」登場。500円玉より大きなモンスターGPUの“性能以外”を徹底解説

TITAN
GeForce GTX TITANカードのイメージ
TITAN
GeForce GTX TITANは「Built to Power the World's First Gaming Supercomputers」(世界で初めて,ゲーム用スーパーコンピュータのために作られた)GPUだという
 日本時間2013年2月19日23時,NVIDIAは,GPUの新製品「GeForce GTX TITAN」を発表した。北米市場における,搭載グラフィックスカードのNVIDIA希望小売価格は999ドル。現行製品であるGeForce GTX 600シリーズの名を冠さない一方で,“GeForce GTX 7xx”といった,次世代GPU的な型番も与えられていない,非常に特殊な製品だが,その名は,米オークリッジ国立研究所のスーパーコンピュータ「Titan」(タイタン)から取られたものだという。

 本稿では,そんなGeForce GTX TITANについて,アジア太平洋地域の報道関係者向けに実施された電話会議と,配布されたレビュワーズガイドから見えてきた,特別版GeForce GTXの製品概要を明らかにしてみたい。


GeForce GTX TITANの中身はTesla K20Xそのもの

2688基のCUDA Coreを搭載するモンスターGPU


TITAN
GeForce GTX TITAN GPU。パッケージではなく,ダイサイズを500円玉と比較することになったのは今回が初めてだ。具体的なサイズは後述する
TITAN
Tesla K20X
 電話会議でGeForce GTX TITANの概要説明を行ったのは,NVIDIA本社のシニアプロダクトマネージャー・Justin Walker氏だ。
 氏はまず,GeForce GTX TITANでなぜスーパーコンピュータから名前を取ってきたのかという話から始めたが,そもそもの話として,Titanスーパーコンピュータには,GPUベースの数値演算アクセラレータ「Tesla K20X」が採用されている。そして,このTesla K20Xが採用するGPUコアは,第2世代Keplerアーキテクチャの「GK110」なのだが,「GeForce GTX TITANのGPUコアは,Tesla K20Xと同じGK110だ」(Waller氏)。つまりは,最速のスーパーコンピュータに採用されているTesla K20XそのものをGeForceに転用しているから,その名にあやかったというわけなのである。
 ……GeForce GTX 600シリーズとはあまりに立ち位置が異なるため,安易に700番台の型番を与えることができなかった,という可能性もあるだろうが。

 ともあれ,スーパーコンピュータ市場向けとして,「一般ユーザーから手の届きやすい価格」という制約なしに開発されたため,そのトランジスタ数は71億に達している。Waller氏は「IntelのCore i7と比べて3倍の規模を持つ」として,GK110が,世界最大規模のプロセッサであることを強調していたが,間違いなく,超がつくレベルのビッグチップである。

TITAN
スーパーコンピュータ500傑リスト「TOP500」の2012年11月版で第1位となったTitanが,GeForce GTX TITANの由来となっている
TITAN
LSI(集積回路)の規模はCore i7の3倍だというスライド。実際,約71億トランジスタというのは,おそらく半導体史上最大だろう

Tesla K20シリーズのホワイトペーパーより,GK110コアのブロック図。15基のSMXが集積されている。Tesla K20シリーズにはGPCという概念がないので,GPCは描かれていない
TITAN
 GK110ベースであり,かつ,Tesla K20Xそのものということで,シェーダプロセッサ「CUDA Core」の数は,Tesla K20Xと同じく2688基。第1世代Keplerアーキテクチャを採用するGPUの最上位モデル「GeForce GTX 680」の1536基と比べて,CUDA Coreの数は実に1.75倍へ膨らんだ計算だ。Keplerアーキテクチャの場合,192基のCUDA CoreがL1キャッシュや16基のテクスチャユニット,ジオメトリエンジン「PolyMorph Engine 2.0」などとセットになって1基の「Streaming Multiprocessor eXtreme」(以下,SMX)を構成する仕様になっているため,SMX数としては(192×14=2688)で14基となる。

 Tesla K20Xのときに明らかとなったように,GK110のフルスペックでは15基のSMXを搭載する。そのため,Tesla K20X,そして今回のGeForce GTX TITANは,歩留まり向上のため,SMX 1基の不良を許容した製品ということになるだろう。

TITAN
 なお,第1世代Keplerアーキテクチャ搭載モデルでは,SMXを最大2基束ね,ラスタライザである「Raster Engine」と組み合わせることで,ROPを除くグラフィックス処理をこなせる“ミニGPU”「Graphics Processor Cluster」(以下,GPC)を構成していた。これに対してGeForce GTX TITANでは,GPCを構成するSMXの数が最大3基となったことで,GPCの数は5となっている。
 いま話が出たROP処理を行うのは,ROPユニットを8基一組としたROPパーティションで,その数は6基。ROPユニットの総数は48基だ。組み合わされるメモリコントローラは64bit×6で,合計384bitインタフェースとなる。ROP数,メモリインタフェースとも,GeForce GTX 680比で1.5倍の規模だ。

 以上の情報を踏まえ,4Gamerで独自に推測したGeForce GTX TITANのブロック図が下のものとなる。

GeForce GTX TITANのブロック図(※4Gamerによる推測)
TITAN

TITAN
容量6GBのグラフィックスメモリによる恩恵もあり,「いまあるすべてのゲームを高解像度でプレイできる」(Waller氏)。GeForce GTX TITANの3-way SLIシステムは,Crysis 3を,1920×1080ドットの3画面でマトモにプレイできる唯一の選択肢だという
TITAN
PCI Express補助電源コネクタは6ピン+8ピン
 ちなみに,Tesla K20シリーズには,下位モデルとして“無印”の「Tesla K20」が用意されており,こちらはSMX数が13基(2496 CUDA Core)となっていた。GeForce GTX TITANからさらにSMXが無効化された下位モデルが登場する……かどうかは何とも言えず,少なくともNVIDIAは何も語っていないが,物理的には,よりSMX(=CUDA Core)数の少ない下位モデルが出る余地はある。

 話を戻そう。GeForce GTX TITANのコアクロックは837MHzで,ブーストクロックは876MHz。L2キャッシュ容量は1536KBだ。また,グラフィックスメモリ容量は6GBで,動作クロック6GHz相当(データレート6Gbps,実クロック1.5GHz)のGDDR5メモリチップが組み合わされるため,L2キャッシュ容量とグラフィックスメモリ容量はGeForce GTX 680比で3倍という計算になる(※グラフィックスメモリクロックは同じ)。
 PCI Express補助電源コネクタは6ピン+8ピンで,TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)は250W。GeForce GTX 680だと順に6ピン×2,195Wだったので,さすがに大メシ食らいとなっているが,まあ,この規模のGPUが持つTDP値としては極端に高いというわけでもない。


「Tesla K20Xと完全に同じ」ではないGeForce GTX TITAN。キーワードは「倍精度」


GeForce GTX TITANの製品概要
TITAN
 前段で「GPUコアはTesla K20Xと完全に同じ」と紹介したGeForce GTX TITANだが,NVIDIAが示したスライドには,「そうではない」可能性を示唆するスペック情報もある。
 最も大きな違いは演算性能で,GeForce GTX TITANが持つ単精度浮動小数点数(Single Precision Floating-Point)の演算性能が4.5 TFLOPS,倍精度浮動小数点数(Double Precision Floating-Point)が1.31 TFLOPSとされているのに対し,Tesla K20Xだと,順に3.95 TFLOPS,1.3 TFLOPS(もしくは1.31 TFLOPS)となっているのだ()。


 仮にGeForce GTX TITANとTesla K20Xで動作クロックが異なるのだとすれば――Tesla K20Xの動作クロックは公表されていない――GeForce GTX TITANは倍精度浮動小数点数演算プロセッサ(以下,DP)の値も大きくなければおかしいが,実のところこのカラクリは,GeForce GTX TITANにおけるDPの標準動作クロックにある。GeForce GTX TITANの標準設定では,DPがコアクロック比8分の1のクロックで動作するようになっているのだ。

 これがどういう意味なのかを理解するには,GK104とGK110というGPUコアの違いを振り返ってみる必要がある。
 第1世代Keplerアーキテクチャの最上位GPUコアとして,GeForce GTX 680などに採用されるGK104コアは,専用のDPを持っていない。倍精度浮動小数点数の演算実行は単精度浮動小数点数演算プロセッサ(以下,SP)としてのCUDA Coreを用いて行う都合上(),1クロックあたりの倍精度浮動小数点演算性能は,単精度のそれに対して24分の1になる。

GeForce GTX TITANのレビュワーズガイドには,「GK104コアはSMXあたり8基のDPを搭載する」と書かれている。しかし本文でも指摘しているように,GK104には専用のDPはなく,CUDA Coreを使って浮動小数点演算を行うとされているので,この表現は奇妙だ。NVIDIAはこのあたりを端折って「GK104は8基のDPを搭載」とした可能性がある。

 それに対し,GK110は専用のDPを持つ。Tesla K20シリーズのホワイトペーパーによれば,DPの数はSMXあたり64基となっている。そして,1クロックあたりの倍精度浮動小数点演算性能は単精度比で3分の1。なので,Tesla K20シリーズの場合,倍精度浮動小数点演算性能は単精度比で3分の1となるわけだが,GeForce GTX TITANの場合は,「DPがコアクロック比8分の1のクロックで動作する」のが効いてくる。 3分の1×8分の1 で,クロックあたりの倍精度浮動小数点演算性能は単精度比24分の1,つまり,GK104と変わらなくなるのだ。

左はGK110,右はGK104におけるSMXのブロック図。GK110はTelsa K20シリーズ用に公開されたものなので,PolyMorph Engine 2.0が省略されていたり,一部ブロックの表現がGK104と異なっていたりするが,それでも「DP Unit」とされるDPの有無が両者の大きな違いであることは分かる
TITAN TITAN

 こういう仕様になっているのはおそらく,ゲームにおいて重要になることがほとんどないDPの動作クロックを落とすことにより,消費電力的&熱的余裕を確保し,GPU全体の動作クロックを引き上げるためだろう。であれば,仕様上の単精度浮動小数点演算性能が高いのも納得できる。

DPはNVIDIAコントロールパネルからフルスピードモードに切り替え可能。ただしその場合,全体的に動作クロックが下がるため,グラフィックス処理性能は低下するとされている
TITAN
 ただ,そうなると「なぜ倍精度浮動小数点演算性能が24分の1なのに,GeForce GTX TITANのスペックはTesla K20Xと同じなのか」という疑問も出てくるが,ここで重要なのが,先ほどから何度か用いている「標準」という言葉。そう,GeForce GTX TITANの場合,NVIDIAコントロールパネルの「3D設定の管理」で新たに用意された「CUDA - 倍精度」を標準の「なし」から「GeForce GTX TITAN」へ変更することで,DPをフルスピードモードに切り替えられるのだ。
 ただし,上でも述べたとおり,そこまで倍精度浮動小数点演算性能が求められるケースというのは,ゲームにおいては極めてまれだ。DPをフルスピードで実行すると,発熱のためグラフィックス性能はむしろ性能が低下する可能性が高く,実際,NVIDIAも「全体の動作クロックが低下する(ため,3D性能が落ちる)」と注意を呼びかけていたりする。

DPの存在を踏まえた,GeForce GTX TITANのブロック図(※4Gamerによる推測)
TITAN

 NVIDIAは,Fermiアーキテクチャで,あまりにも数値演算プロセッサに寄り過ぎたLSI設計を行い,3Dゲームで性能を上げるのに苦労した過去がある。Tesla K20XそのものであるGeForce GTX TITANも,当然のことながら数値演算プロセッサの色彩が濃いわけだが,今回,動作モードを切り替えられるようにしてあるのは,Fermiの反省が生きていると言えそうだ。
 「グラフィックス処理用途でDPの性能はそれほど重要ではないから,性能を落として,その分の余裕をグラフィックス性能引き上げに割り振る」というのは理に適っている。CUDAやOpenCLアプリケーションを使いたいなら,DPをフルスピードに切り替えればいいだけなのだから,実使用上の問題もないだろう。

 いずれにせよ,工場出荷状態で使う限り,GeForce GTX TITANのGK110は,KeplerアーキテクチャのGeForceとして,単純に「CUDA Core数が1.75倍になっ(て,メモリ周りも強化され)たGK104」として動作することになる。
 「ならなぜ,単純にCUDA Core数を倍増させたGK104を作らないのか」という疑問はもっともだが,NVIDIAはその戦略上,コンシューマ向けのGPUと設計を共有することで,スーパーコンピュータ向けのアクセラレータを安価に供給しようとしている。仮にCUDA Core数が2688基の強化版GK104を作ったとしても,それでは倍精度浮動小数点演算性能を上げられないから,スーパーコンピュータの導入コストを下げるというNVIDIAの目的には合致しないのだ。


温度ターゲットが追加された「GPU Boost 2.0」など新要素が追加される


 GeForce GTX TITANは,グラフィックス処理に最適化されたTesla K20Xということで,グラフィックス処理に向けた機能が2つ「GPU Boost 2.0」「Display Overclocking」として用意されている。順に見ていこう。


■GPU Boost 2.0

 まずはGPU Boost 2.0からだが,その説明へ入る前に,GeForce GTX 660以上のGeForce GTX 600シリーズに採用されている初代GPU Boost(以下,GPU Boost 1.0)をおさらいしておこう。
 GPU Boost 1.0は,グラフィックスカードの消費電力が,あらかじめ設定された「Power Target」(電力ターゲット)に達していないとき,「余力がある」と判断し,自動的に適切な「GPUコアクロックとGPUコア電圧の組み合わせ」を選択して,性能を引き上げる仕組みだった。挙動はGeForce GTX 680のレビュー記事後編で細かくチェックしているので,興味のある人は参照してほしいと思う。

 そしてGPU Boost 2.0では,GPU Boost 1.0の仕組みに加え,次に示す2つの機能が追加されている。

  • Temperature Target」(温度ターゲット)によるクロックの引き上げ
  • 最大コア電圧のロック解除による「OverVoltage」(昇圧)

 順に見ていくと,Temperature Targetでは,GPUコアの温度に余力がある限り,高いクロックに引き上げることが可能になっている。合わせて,ピーク時のコア電圧上限も変更されており,温度や消費電力に余力がある場合,GPU Boost 1.0以上の高いクロックが得られるようになっているという。
 以下,スライドを見ながら説明してみたい。

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GPU Boost 2.0の動作を示したスライド。縦軸がGPUコアクロック,横軸がコア電圧だ。「Vrel」が,GPU Boost 1.0で設定されていた最大電圧で,これには「長期間の運用時でもGPUにダメージがないレベル」が設定されているとのこと。一方,GPU Boost 2.0では,ブースト時,短期的に「Vrelnew」までコア電圧が引き上げられる。これにより,GPUがTemparature Target以下なら,従来以上に動作クロックが上がるというわけだ
TITAN
Temparature Targetの新設と最大コア電圧の引き上げとによって,動作クロック引き上げのためのヘッドルームが大きくなり,GPUが十分に冷却されている状態ならより高い動作クロックが得られるとNVIDIA。このグラフは縦軸が動作クロック,横軸がGPUコア温度で,GPU Boost 1.0と比べてGPU Boost 2.0では,よりGPU温度が低い状況下での動作クロックが高く積み上げられる
TITAN
「ブーストクロック時の最大GPUコア電圧が引き上げられたことで,高いクロックで動く割合が大きくなる」というグラフ。横軸が動作クロック,縦軸が当該クロックで動作する頻度である。灰色で描かれた従来のGPU Boost 1.0に比べ,GPU Boost 2.0では,ブースト時のクロックや最大クロックが高いレベルにシフトしている

より静かに,あるいはより高性能にと,設定できる範囲が広くなったのは,GPU Boost 2.0の大きな特徴のひとつとされる
TITAN
 コア電圧は「製品の寿命に影響がある」(Waller氏)パラメータだが,Temparature Targetによる温度監視を併用することで,安全に引き上げられるというのがGPU Boost 2.0におけるキモだという。
 ちなみにTemparature Targetは,NVIDIAが規定する「安全な範囲」で,ユーザーが変更できる。より高いGPU温度(と,より大きな動作音)を許容するのであれば,より高いブーストクロックを狙えるようになっているわけだ。

 また,GPU Boost 1.0から引き続き,Power Targetも調整できるようになっているが,こちらは若干の変更が入っている。たとえばGeForce GTX 680の場合,TDPは195Wなのに対し,Power Targetの100%設定は170Wとなっており,これが分かりにくさを生んでいたが,GPU BoostではTDP――最新の“NVIDIA語”だと,TDPはカードレベルの最大消費電力と同義――がPower Targetの100%として設定されるに至った。そして,GeForce GTX TITANの場合,リファレンスでは最大106%設定が行えるようになっているので,消費電力では250W×1.06で最大265Wを設定できるようになっている。
 なお,Temparature TargetとPower Targetの設定はリンクしているとのこと。具体的には,Temparature Targeの設定を引き上げることで高クロック動作が狙えるが,上限は設定されているPower Targetまでだそうだ。つまり,Temparature TargetとともにPower Targetを調節しないと,思うようなクロックの上昇は得られない場合もあるということだろう。

温度ターゲットを10%高くすると,ブーストクロックの最大クロックで動作する頻度が上がるというグラフ
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 もちろん,性能を引き上げるだけでなく,低動作音寄りの設定も,Temparature Targetから可能だ。たとえば,Temparature Targetを引き上げたとき,同時にファン回転数を引き上げる温度も高めに設定しておけば,より静かなゲームPCの実現も可能になるというわけである。

いずれもグラフでも縦軸がファン回転数,横軸がGPUコア温度。Temparature Targetを80℃から90℃へ引き上げ,同時に,ファンの回転数が高まる温度の設定も変更しておけば,静かに運用できるようにもなるという
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 もう1つのOverVoltageは,「壊れてしまう可能性を十分理解し,自己責任で行うのであれば,最大コア電圧のロックを外し,より高いコア電圧の上限を設定できる」ことを指している。

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GPUコア電圧とGPUコア温度を合わせて制御することにより,安全にGPUコア電圧の引き上げを行えるようになっているという。さらに,自己責任を覚悟すれば,コア電圧のロックを解除することもできる
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縦軸がGPUコアクロック,横軸がGPUコア電圧。ここで示されている「Vmax」が,ユーザー側でGPUコア電圧をロックして外した最大電圧となる。より高いブーストクロックを狙えるようになるが,信頼性というか,製品寿命に影響が出てくる
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先ほど示した「ブーストクロック時の最大GPUコア電圧が引き上げられたことで,高いクロックで動く割合が大きくなる」グラフに,OverVoltage設定を行った(=過電圧設定を行った)ケースを加えたもの。より高いブーストクロックに入る可能性が高まる
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当然のことながら,OverVoltageは標準で無効化されており,ロックを外そうとすると「リスクがある」旨が告知されるという。また,この設定はあくまでもオプションであり,グラフィックスカードメーカーは,ロック解除が不可能な状態でカードを出荷することもできるとのことだ


■Display Overclocking

 2つめのDisplay Overclocking(ディスプレイオーバークロッキング)は,ディスプレイとの垂直同期(Vsync)が有効のときに利用できる機能だ。NVIDIAによれば,「GPUが60fpsを大きく超えるフレームレートでコンスタントに描画できるとき,一般的なディスプレイの垂直リフレッシュレート(=同期クロック)を,60Hzよりも上に引き上げる」ものだという。

たとえば,GPU側が90fpsでレンダリングできているならディスプレイのリフレッシュレートを80Hzに引き上げ,リアルに80fpsとして表示を可能にする。Display Overclockingはそれを実現する機能とされた
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 垂直同期を有効にしつつ,60fpsを超えるフレームレートを得たいのであれば,垂直リフレッシュレート120Hz対応のディスプレイがあれば済む話だが,すべてのゲーマーが垂直120Hzに対応したディスプレイを持っているわけではない。そしてその場合,画面のテアリング(tearing,ティアリングともいう)を防ごうとすれば,垂直同期を有効にせざるを得ず,結果として,GPU側の性能がどんなに高くても,フレームレートは60fpsで頭打ちになってしまう。
 そこで,カードベンダー各社からリリースされる予定となっているGeForce GTX TITAN用のオーバークロックツールでは,この「垂直リフレッシュレート60Hz」という制限を,「リフレッシュレートのオーバークロック」によって70〜80Hz程度にまで引き上げてしまおうというのである。

 もちろん,世にあるすべてのディスプレイでDisplay Overclockingを行えるわけではないそうで,仮に対応していたとしても,ディスプレイ内部の回路に与える中長期的な影響がどの程度あるかは未知数だということ。完全に自己責任となるが,NVIDIAの言うとおりのことが本当にできるなら,試してみる価値はあるかもしれない。

最終的なGeForce GTX TITANの設定イメージ。Temperatureや(自己責任で行う)最大コア電圧設定,スライドで「Display Clock」とされているディスプレイ側垂直リフレッシュレートの設定も行うことによって,幅広く動作条件をカスタマイズできると謳われる
TITAN


スケーラビリティと電力効率の高さが謳われるGeForce GTX TITANの実機を“剥いて”チェック


 というわけで,ここからは入手したGeForce GTX TITANカードをチェックしていきたいと思うが,ポリカーボネート(アクリル樹脂)の窓が設けられた2スロット仕様のGPUクーラー搭載するその外観は,「GeForce GTX 690」カードとよく似ている。カード長は10.5インチ(266.7mm)で,GeForce GTX 690の11インチ(279.4mm)と比べると若干短く,また,搭載するGPUの数が異なるため,ファンの位置が変更されてはいるが,デザインの方向性は同じと述べていいだろう。

入手したGeForce GTX TITANカード(左)と,GeForce GTX 690,GeForce GTX TITAN,GeForce GTX 680の各グラフィックスカードを並べたところ(右)。GeForce GTX TITANのカード長は「680以上,690以下」となる
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外部出力端子はDual-Link DVI-D×1,Dual-Link DVI-I×1,DisplayPort×1,HDMI×1(左)。任意の3系統による組み合わせで3画面出力が可能なのはGeForce GTX 680やGeForce GTX 690から変わっていない。右はSLI用ブリッジコネクタ。2系統あり,3-way SLIに対応する
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 カードの後方にも放熱フィンはあるのだが,GPUの熱自体は,カード後方に用意されたファンによるエアフローで,カードの外へ一直線に排気される仕掛けになっている。GPUクーラーの冷却には,Vapor Chamber(ヴェイパーチャンバー,ヒートパイプと同じ原理で動作するヒートシンク技術)仕様のパッシブヒートシンクが用意され,電源部や(GPUと同じ面に置かれている)メモリチップなどは,補強板およびファン台座も兼ねたアルミダイキャストのヒートシンクに覆われている。

カード後方から放熱フィンを覗き込んだところ(左)と,GPUクーラーのカバー部を取り外したところ(右)
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 下の写真は,GPUクーラーを完全に取り外した状態だ。Vapor ChamberベースのGPU用パッシブヒートシンクが独立していることと,アルミダイカストのクーラーがカード全体を覆うようになっていることが分かる。
 なお,レビュワーズガイドによると,「thermal interface material」と呼ばれる素材には,信越化学工業製のものが使われているそうだ。おそらく放熱シートのことを指すのではないかと思われるが,このような新素材採用効果もあって,GeForce GTX 680比でGPUクーラーは2倍の冷却能力を持つに至っているという。

GPUクーラーを取り外したところ
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Vapor Chamber技術が採用されているパッシブヒートシンク。見た目はGeForce GTX 690のそれに似ているが,一回り大きい
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 ようやく基板だ。71億トランジスタを集積するGK110チップのダイサイズは公表されていないが,デジタルノギスで計測したところ23.46(W)×24.32(D)mmだった。本稿の序盤で500円玉と比べた写真もお届けしているが,サイズの数字を見ると,あらためてその巨大さに驚かされる。

カード全体(左)とGeForce GTX TITAN GPU(右)。チップ上の刻印は「GK110-400-A1」で,たしかにGK110コアであることが分かる
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 GPUを取り囲むように配されたグラフィックスメモリチップは,Samsung Electronics製の2Gbit GDDR5。GPU側の面に12枚,裏側に12枚の計24枚で,総容量6GBを実現している。カードの背面側にクーラーはないので,こちらはPCケース内のエアフローに冷却を頼ることになるのだろう。
 なお,メモリチップは0.3ns(=6Gbps)仕様なので,動作クロック面での余裕はなさそうである。

グラフィックスメモリチップの型番はK4G20325FD-FC03。カード背面側にも12枚搭載されている
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電源部はGPUに対して6フェーズ,メモリに対して2フェーズ。GPUコア用の6フェーズにはFAIRCHILD Semiconductor製のDriver MOSFETが採用されている。基板上にはあと1フェーズも見えるが,この用途は不明だ
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 この巨大なGPUを支える電源部は,GPUに対して6フェーズ構成となっている。NVIDIAの公式発表では,GPU用の6フェーズに加えてGDDR5 SDRAM用に2フェーズが用意されているとあり,基板上にもそれらしいインダクタの姿を確認できた。また,GPUコア電圧制御には「NCP4206」と記されたチップが使われているのも見てとれたが,これはGeForce GTX 690で採用されていたのと同じものだ。
 ちなみに,GPUを支えるメインの6フェーズには発熱の低さで定評のあるDriver MOSFETが採用されていた。


超小型ゲームPCから3-way SLIシステムまでがターゲットとなるGeForce GTX TITAN。気になるその性能は……?


ファンの回転数をはじめとして制御アルゴリズムが改定され,より賢い制御が可能になっているという
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 NVIDIAはGeForce GTX TITANを,「(従来のハイエンドGPU搭載機では考えられなかったような)小型PCから,3-way SLIの超ハイエンドPCまで対応できる」GPUだと位置づけている。
 公開されている小型PCのサイズは,下に示したスライドのとおり,相当に小さそうだが,そのような小型筐体にも対応できる理由のひとつには,「新たに採用した制御アルゴリズムによって高度な温度制御が可能になっている」(Waller氏)ことがあるようだ。TDP自体は250Wと決して低くないので,冷却システムだけでなく,制御アルゴリズム関連のブレイクスルーが,小型PCへの対応を可能にした面は確かに大きいかもしれない。

GeForce GTX TITANは,小型PCから超ハイエンドPCにまで対応できるという。すでに,右のスライドで示したとおり,さまざまな小型PCが開発に入っているそうだ
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 なお,999ドルのシングルGPUが持つその実力だが,現在4Gamerでは,入手した個体を用いて性能検証中だ。結果は近いうちにお伝えできるはずなので,お楽しみに。

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GeForce公式Webサイト(英語)

NVIDIA日本語公式Webサイト

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