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プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏も感涙!「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」完成記念発表会の模様をレポート
この発表会は二部構成で行われ,第一部がメディア向けの発表会,第二部が一般ユーザー向けのトークショーとなっていた。少々時間が経ってしまったが,本稿では第一部/第二部のレポートを,まとめて紹介していこう。
「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」公式サイト
多くのパートナーに支えられ,ついに正式サービス開始
新生FFXIVは「ファイナルファンタジーのテーマパークを目指す」
また,後日リリース予定のPlayStation 4版について,「PS3版からいち早くゲームを楽しんだ方が決して後悔しないような“何らかの仕組み”を,スクウェア・エニックスと共に用意したい」とも語っていた。
その後,吉田氏が会場からの質問に応えるコーナーが設けられたので,以下にその内容をまとめておこう。
質問1:
新生FFXIVは,一般的なゲームファンにとってややハードルが高いオンライン専用RPGですが,吉田さんが考えるオンラインRPGの魅力は何でしょうか。
吉田氏:
オンラインゲームは,僕らが作りあげたエオルゼアのような世界を,世界中の人々と共有しながら遊べるのが最大の魅力だと思います。確かにハードルが高いと感じられるかもしれませんが,この新生FFXIVに関しては,「いつものファイナルファンタジーのつもりでプレイしてください」と答えています。とくにゲームの序盤は,コミュニケーションをとらずに,いつものFFを1人で遊ぶ感覚でプレイできるようになっています。
パーティを組む際も,「コンテンツファインダー」という便利なマッチングシステムを用意しています。今回は若い層や,オンラインゲーム未経験者でも,オンラインゲームの素晴らしさを徐々に味わえるようになっていますので,ぜひ遊んでいただければと思います。
質問2:
これまでのβテストやアーリーアクセスなどを通じて得られた,手応えやプレイヤーからの反応についてお聞かせください。
吉田氏:
一番分かりやすいのは数字でしょうか。βテストフェーズ3の段階で100万人を超えるご応募をいただき,大部分の方にプレイをしていただきました。キャラクターデータが削除されてしまうクローズドβテストでありながら,全世界で50万人以上の方が,プレイ時間30時間を超えるほど熱中してくれたんです。
それを踏まえたβテストフェーズ4では,我々が見込んだプレイヤー数を超え,サーバーの増強をしなければならないほどの大盛況となりました。そしてその後のアーリーアクセス以降は,40万人を超える方々が全世界でプレイされています。2回目のローンチという世界でも例を見ないゲームですが,今のところは好調な滑り出しという手応えを感じています。
質問3:
本作の再開発に至った経緯とその狙いについて,あらためてお聞かせください。
吉田氏:
旧FFXIVは,世界中から期待されたオンラインゲームであるにもかかわらず,多くのプレイヤーを失望させてしまい,ブランドにも大きな傷が付きました。
2010年12月3日に僕が全権を引き継ぎ,調査をしてみると,プレイヤー達のゲーム体験が,“ファイナルファンタジー”と呼べる品質に達していなかったのが,失敗の一番の原因だったと分かりました。これではいけないと考え,世界でも類を見ない同名タイトルの作り直しを決意し,旧FFXIVのアップデートを続けていく裏で,新しいFFXIVを作っていくことを決断しました。
なぜ「FFXV」ではなく「FFXIV」のまま開発を続行したのかといえば,26年の歴史を持つ看板シリーズの最新作を中止し,「FFXV」を開発してしまえば,ファンの信頼を大きく失ってしまうからです。我々は絶対にギブアップをせず,もう一度プレイヤーの信頼を取り戻すために頑張り,少しずつではありますが,信頼を取り戻してきて今に至ります。
これまでやってきたことが,この先のファイナルファンタジーの未来につながり,結果的に近道になるのではないかと,僕は信じています。
開発コアメンバーがプレイヤーからの質問に答えた
「FFXIV出張プロデューサーレターLIVE」番外編
最初の話題は「ゲームデザインとバトル部門」。ここでは,リードUIアーティストの皆川裕史氏と,リードゲームデザイナーの河本信昭氏がステージに登場した。
「FFXIVを作り直すことになったとき,最初に思ったことは何ですか?」という問いに,皆川氏は「ぶっちゃけ,大変なことになった」と最初の印象を語る。失った信頼を回復することの大変さはもちろんのこと,吉田氏に提示されたスケジュールが非常にタイトで,頭を抱えたという。
「とくにこの時期は苦しかった! というのはいつで,それを乗り越えたときの心境は?」という質問には,「2011年6月頃が精神的にしんどかったです」と吉田氏。新体制になったものの,大型アップデートもなく,15人だった最大パーティメンバー数を8人に減らし,使い勝手がよすぎたケアルガの調整をしたところ,「お前の最初の大きなテコ入れがコレか!」と叩かれまくったことが,とくに苦しかったそうだ。
河本氏には,「あと3か月時間を使えるとしたら,何を調整したいか?」という質問が投げられた。河本氏はこの数か月,ずっとバランス調整とバグ修正を行っていたそうで,「3か月あるなら,僕は新しいコンテンツを作りたい」と即答。とはいえ本作はMMORPGなので,発売後もしばらくは調整づけの日々を送ることになるだろうとも語っていた。
なお河本氏は,旧FFXIVの頃から運営部分にも携わっているそうで,今後も彼がエオルゼアの生活を支えるだろうと,吉田氏はその功績を大いに評価していた。
なお橋本氏は,同様に本作の技術面を支えるメインプログラマーの春日秀之氏の名前を挙げ,「本当はこの場所に来るはずでしたが,それをがんとして断り,リリース直後のゲームサーバの番人として,今もがんばっています」と来場者に伝えた。
「プログラマーは“魔法使い”と表現されることがあるが,本当に魔法を使わないと無理,と感じた無茶振りエピソードは?」との問いには,「自分達も覚悟はしていたので,無茶振りではないんですが,新生FFXIVという試み自体が相当無茶でしたよね」と,正式サービスを迎えた安堵もあってか,ホッとした表情で答えた。そして「あえて言うなら,対応PCの幅を大きく広げたことや,PS3の性能の限界まで引き出せたことは,ある意味魔法でした」として,番組を見ている“魔法使い”達に「ご苦労様でした」とメッセージを贈っていた。
「エフェクトはどうやって作るの?」という質問には,「とくに絵的なものは用意せず,プランナーからのオーダーをもとに,VFXの担当者が作ります」と高井氏が答え,「現実に存在しないものから作るという,実は一番の職人芸」と吉田氏が続けた。エフェクトは,色や大きさなどをすべて担当者が決めなくてはならないのだが,完成後にプランナーに見せても,「イメージと違う」と言われれば作り直しを余儀なくされる,非常に大変な作業とのことだ。
「キャラクターの身長に“cm”表記が使われるようになったが,バストをカップ別で数字表記したりはしませんか?」という,新生FFXIVの新仕様についての質問(要望!?)については,2人とも苦笑い。身長の表記はβ版での要望により追加したそうだが,キャラクターの身長が分かってしまい,ガッカリされるケースもあったとのことだ。バストサイズについては「ご想像にお任せしたいと思います(笑)」だそうである。
続いては「我々はアラミゴを奪還できるのですか?」という直球の質問。これについて「エオルゼアの民にとって,アラミゴの奪還は悲願です。だからいつかは奪還できるようにしたいですね」と前廣氏が発言すると,会場からも驚きの声が上がっていた。ただし,もし奪還できるとしても,相当厳しい戦いになるのではないかと前廣氏は付け加えていた。
次に出されたのは「新生FFXIVに登場するキャラクターで誰が好き?」という質問。これに対し新納氏は,イシュガルド四大名家のオルシュファンが気に入っていると答えた。新納氏によると,FFXIVには「ピーキーなキャラクター」がたくさん登場するそうなので,プレイヤーは楽しみにしていてほしい。
「吉田Pに秘密で仕込んだネタやギミックはありませんか?」との質問に対しては,タイタンのBGMの制作時,まだ詞が入っていなかった仮歌に,英語の放送禁止用語が頻出する歌詞を入れてテストしたという話を祖堅氏が披露。アメリカのスタッフからは「発売できなくなるよ!」というメールが届いたものの,吉田氏からは「いやー,タイタンいいわ!」とべた褒めされたことを暴露し,質問コーナーを締めくくった。
旧FFXIVを引き継いでもうすぐ3年,『もう一度作り直す』とスタッフ全員に告げたのが,発表2日前の(2010年の)12月1日でした。そのとき,祖堅がガッツポーズをしていたのがすごく印象的だったのですが,プレイヤーの皆さんが思うように,“本当にどうにかなるの?”という雰囲気もありました。世界中のプレイヤーのみなさんと,ここにいるコアスタッフ,そしてここに来られない何百人というのスタッフのおかげで,今日という日を迎えることができました。
我々スクウェア・エニックスが一丸となって,ファイナルファンタジーの名に恥じないゲームができたと自負しています。この「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」は,皆さんと一緒に作ってきたファイナルファンタジーなので,この初心を忘れず,皆さんと一緒に5年,10年と作り続けたいと思っています。これからも,どうぞよろしくお願いします!」と,深々と頭を下げ,発表会を締めくくった。
「ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア」公式サイト
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