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[GDC 2015]ジョン・カーマック氏が見る「モバイル向けVR」の未来
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印刷2015/03/11 13:47

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[GDC 2015]ジョン・カーマック氏が見る「モバイル向けVR」の未来

 id Softwareの創始者の1人で,現在Oculus VRにおいてチーフテクノロジーオフィサーを務めるJohn Carmack(ジョン・カーマック)氏が2015年3月4日,サンフランシスコで開催されたGames Developers Conference 2015で基調講演を行い,モバイル向け仮想現実(以下,VR)の未来について1時間半にわたって語った。

Oculus VRのチーフテクノロジーオフィサー ジョン・カーマック氏

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 「今回は,きちんとしたプレゼンテーションをしようと思いましたが,これまでパワーポイントを使わずに講演をしてきたから,今回も乗り切れるだろうと考え直しました」と,軽いジョークで講演を始めたカーマック氏。驚いたことに,Oculus VRに移籍して以来,ほとんどの時間をモバイル向けのVR技術の開発に捧げているという。
 その理由は,「バーチャルリアリティは,多くの人々の生活に浸透していくものであり,そうなると,もはやゲームだけではなく,身近な形で広まらなければならない」からだそうだ。「私の70歳になる母は,旅行に『Gear VR』を持っていって,携帯で撮影したパノラマ映像を楽しんでいる」と述べ,こうした使い方こそが,一般ユーザーにとってのVR体験になると,カーマック氏は見ているのだ。


Gear VRローンチの真相


 確かに,現在Samsung Electronics(以下,Samsung)から発売されているGear VR関連記事)は,多くの人に“ゲーム向けのデバイス”とは受け取られていないが,GDC 2015に参加したゲーム開発者の多くは,例えば「Dead Secret」のような,モバイル向けVRを念頭においたゲームの制作を考えている。「モバイルがVR機器としてさらに発展するにつれて,ゲームデバイスとしての価値が上がっていく」というのが,カーマック氏の考える未来なのだ。「ここにいる皆さんが,そうしたゲームの開発に時間を割くべき理由をお話ししようと思います」(カーマック氏)。

Samsung ElectronicsのGear VR
Rift

 カーマック氏は,Oculus VRに正式に参加する直前の2013年末頃,Oculus VRの創始者であるPalmer Luckey(パルマー・ラッキー)氏とともに,Samsungのある韓国にビジネス旅行に向かったという。目的は,Samsungの持つ有機ELディスプレイ技術だったが,そのとき,Samsung幹部からGear VRの原型となった“フォンホルダー”(スマートフォンを固定して,レンズを通して画面を見るアダプターと思われるもの)を見せられ,それがGear VRの存在を知る初めてのことだったという。
 それは,演算能力もなければバッファリング機能もセンサーもなく,Oculus VRの「DK1」と比較すれば他愛のないのものだったが,「ソフトウェアでもっとマシになる」と考えたカーマック氏は,Gear VRのソフトウェア開発に関わることになった。「Gear VRのプロトタイプを見たことが,Oculus VRに力を注ぐきっかけになり,それから半年ほどは,ほぼ1人でシステムソフトウェアを改良していた」そうだ。

 2014年3月にバルセロナで開催されたMobile World Congress 2014というイベントで,初めてGear VRのデモを開発者に見せることになったが,カーマック氏の制作したデモの評判が上々であったため,Samsungはそのまま年末の製品化を目指すという決断を下した。
 これに対してカーマック氏らOculus VRのスタッフは,「60fpsというフレームレートやセンサーがないため,モーションシックネス(3D酔い)を誘発し,ユーザーにとって良い経験にならない」と主張したが,Samsung側と話が合わず,結局「Developers Kit」(開発キット)ではなく,「Innovator Edition」とすることで,「Gear VR」 の北米リリースの決定に合意したという。


モバイル向けVRが抱える,現時点での問題点


 Samsungが,それだけ「世界初のモバイルVR機器」のメーカーになることに執念を燃やしていたということだが,案の上,ソフトウェアなどの準備は十分に整わず,有料アプリがリリースされたのは,GDC 2015が始まる直前のことだった。
 今のところ,Gear VRが発売されているのは,北米のBest Buyなど一部に限られているが,「ユーザーが購入しても良いVR体験ができず,返品率が80%になってしまったり,(3D酔いで)吐いている映像をYouTubeにアップロードされたりすれば,商品の終わりにつながる」と,SamsungもOculus VRも当初は非常に緊張していたという。
 しかし,現時点でユーザーの反応は良好であり,Oculus VRも「最初から完璧な製品にしなくてもいいのかもしれない」という心境に変わりつつある,とカーマック氏は語っている。

 Samsungは最近,「Galaxy S6」のリリースに絡んで,次世代Gear VRのリリースを決定している。ソフトウェア面ではまだ多くの改良点が必要らしいが,気温の低い状態で起きやすいレンズの曇りを改善するため,ファンが装着されたりなど,ハードウェア面の改善は進んでいるという。

Robot Invaderが開発中のミステリーアドベンチャー,Dead Secretは,日本のオブジェクトがいっぱい詰まった作品だ。Gear VRを含むモバイル機器を念頭に,開発が進められている
Rift

 ただ,Gear VRやOculus VRの「Rift」が採用する有機ELパネルは,現在のところ,真っ黒な背景から明るいオブジェクトに視点を変えたときなどに,1フレーム分のゴーストが見えてしまうとカーマック氏。PC向けならプログラムを調整して隠すことも可能だが,モバイルでは無理(※やろうとすると,コスト高になる)で,このあたりはモバイル機器の性能向上を待つしかないらしい。

 カーマック氏は,「Samsungが,モバイルVRビジネスをやめてしまう可能性はある。それをOculus VRがどうこう言う権利はないが」と前置きしつつ,「少なくとも我々は,次のGear VRをソフト面で大きくサポートしていくつもりだ」と話し,現状よりもアプリが充実する可能性を示唆した。
 さらに,「今のところ,ソフトウェア開発者がメシの種にするには至っていないが,インフラストラクチャの改善に関しては,(Oculus VRの親会社である)Facebookほど詳しい企業はない」として,「Steam」「PlayStation Network」のようなデジタル配信プラットフォームの開発を匂わせるコメントをしていたのが興味深い。


モバイルVR向けタイトルの作り方


 カーマック氏自身,VR対応のヘッドマウントディスプレイ向けのゲームアプリとして,何が最適なジャンルであるのかは突き止めてはいないそうだ。しかし,「Wolfenstein 3D」「DOOM」のようなゲームは,2Dタイプの「Gauntlet」のカメラ位置を変えたようなものと話したうえで,すでに存在するゲームジャンルをVR向けに応用していくのが一番良いだろうとした。「みんな数字を聞きたがるのだが,だいたいシーンごとに5万ポリゴンくらいを目安にしておくのがいい」というのが,現状のモバイルVRアプリに対する氏の見積もりだそうだ。

Oculus VRには,クラシックなFPS「Hexen」のサンプルプロジェクトがあり,評価も悪くないようだ
Rift

 また,画面の上下の動きが少なく,回転椅子に座った状態でプレイするなら,1時間ほどは疲れを感じることなくゲームを楽しめるだろうとカーマック氏は考えているという。
 「Zバッファリングや細かいテクスチャやシェーダのない,2世代くらい前の据え置き型ゲーム機のグラフィックス程度であるなら,いろんなことができるはず」とし,シューティング以外にもさまざまなジャンルに挑戦していくべきだと開発者に説く。さらに「もし,皆さんが私のような古いタイプのプログラマーであれば,すごいグラフィックスのVRタイトルを作りたいと思うだろう。それは実現できるはずだ」としつつ,現在のゲーム開発者の多くは,Unityのようなツールを使っており,もはやハードルは高くはないと続ける。実際にモバイルVR向けのアプリの95%は,「Unity 3D」で作られているそうだ。

 今のところ,アメリカやカナダ以外のゲーム開発者がモバイルVR向けのアプリを作りたくても,テスト用のSamsung製スマートフォンを北米で買うなどしなければならず,海外のゲーム開発者が経験値を積みにくいという問題もある。ただ,SamsungがモバイルVR機器の開発を続行する限り,Oculus VRはバックアップしていくとのことで,この点は心強いコメントと言っていいのではなかろうか。
 性能が向上し続けるスマートフォンこそが,仮想現実の大衆化を牽引するというカーマック氏の未来像が果たして現実のものになるか,今後も注目していきたい。

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