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[E3 2014]最新版「Oculus Rift」を装着してゲームを体験。VR対応HMDは“マリオ風”アクションゲームにも新しい面白さをもたらす
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印刷2014/06/18 00:00

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[E3 2014]最新版「Oculus Rift」を装着してゲームを体験。VR対応HMDは“マリオ風”アクションゲームにも新しい面白さをもたらす

 仮想現実対応のヘッドマウントディスプレイ(以下,HMD)「Rift」を投入して,一躍ブームの火付け役となったOculus VRが,E3 2014に巨大なブースを出展していた。体験を希望する来場者は連日引きも切らずで,ブースは会期中,長蛇の列に取り囲まれっぱなしであったほどだ。筆者は,行列が落ち着いた最終日の午後に並んだが,それでも体験するまでに1時間は並ぶはめになった。

画像集#002のサムネイル/[E3 2014]最新版「Oculus Rift」を装着してゲームを体験。VR対応HMDは“マリオ風”アクションゲームにも新しい面白さをもたらす 画像集#003のサムネイル/[E3 2014]最新版「Oculus Rift」を装着してゲームを体験。VR対応HMDは“マリオ風”アクションゲームにも新しい面白さをもたらす
広いスペースにゆったりとしたソファを並べたOculus VRのブース。最終日まで常に順番待ちの行列が絶えなかった

 そんなOculus VRブースにおける来場者のお目当ては,もちろん,Riftの最新版開発キットとなる「Rift Development Kit 2」(以下,DK2)と対応ゲームを使ったデモプレイだ。デモは4種類用意されているらしいのだが,来場者がデモを任意に選ぶことはできなかったので,本稿では筆者が体験した2種類のデモを中心に,仮想現実(以下,VR)対応HMDでのゲームがDK2でどう変わったのかをレポートしたい。


赤外線LED搭載で

「体の位置や動き」を検出可能になったDK2


 デモの話に入る前に,Riftの仕組みをあらためて説明しつつ,DK2の仕様をまとめておこう。なお,DK2の仕様は,GDC 2014での製品発表時にもレポートしているので,そちらも合わせて参照してほしい。

Riftの初代モデルである「Rift Development Kit」
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 さて,まずRiftとは,顔の前につけるゴーグルの中に,1枚のディスプレイパネルを置き,その中央で左右を仕切ったうえで,左右それぞれの目に向けた映像を表示。ユーザーはそれを,搭載された2つの拡大光学系レンズを通じて左右の目で見るという,シンプルな構造のHMDである。
 中央で仕切られたディスプレイパネルの左右それぞれに,片目で見る映像を表示するので,元のディスプレイパネルがアスペクト比16:9の場合,片目で見る映像は縦長の8:9になってしまう。そこで拡大光学系のレンズを使って,16:9に見えるように拡大するというわけだ。
 映像を拡大することで生じる歪みは,「『映像を拡大させるレンズ』を通して見たとき正常に見えるように歪ませた映像をGPU側でレンダリングしておく」という仕組みになっている。

 RiftでVR対応を実現しているのは,プレイヤーの動きを検出する本体内蔵の加速度センサーや角速度センサー,磁気センサーといったセンサー群だ。Oculus VRでは,これらが動きを検出するときの遅延を徹底的に短縮する工夫をRiftに盛り込んでいるという。これによってRiftは,「ゲームに使えるVR対応HMD」として脚光を浴びることとなったわけだ。

DK2本体(右)と赤外線カメラ(左)
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 以上がRiftのおさらいだが,最新版となるDK2では,ここに,2つの大きな特徴が加わった。
 1つめは,プレイヤーの位置や体の動き,向きを検出するために,40個の赤外線LEDをゴーグル部の前面と側面に搭載したこと。このLEDをプレイヤーの前方に設置した赤外線カメラで捉えると,頭部の動きとは別に体の動きを独立して検出可能になり,プレイヤーの動きをより正確にVR対応ゲームへと反映できるようになるわけだ。

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身体の位置や動きを検出する赤外線カメラ。とても小さくてシンプルなものだ。こんな感じで,ディスプレイの上に置いて使うことが想定されている
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Oculus Rift DK2を装着する筆者。この写真では見えないが,赤外線LEDはゴーグル部の前面と側面に装着されている

Oculus VRが公開した,有機ELパネル(左)と液晶パネル(右)の違いをイメージした画像。有機ELパネルなら残像感の少ない映像を表現できると謳われる
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 もう1つの特徴は,ディスプレイパネルに5インチサイズで解像度1920×1080ドットの有機ELパネルを採用したこと。Oculus VRでは,液晶パネルを使っていた初代機に比べて応答速度が向上したとしている。

 下に示したは,DK2と,Sony Computer Entertainmentが開発中のVR対応HMD「Project Morpheus」(以下,Morpheus),ソニーのVR非対応HMD「HMZ-T3W」の主なスペックをまとめたものだ。DK2とMorpheusのスペックはもちろん最終版ではないが,この時点においても,似ている部分とそうでない部分があって興味深い。

※一部は筆者独自取材に基づく
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ありきたりのジャンプアクションがVR対応になると,新しい面白さが見えてくる


 体験レポートに話を戻そう。筆者がまずプレイしたのは,Playfulというデベロッパが開発したアクションゲームの「Lucky’s Tale」だ。

これが主人公のLucky
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 Lucky’s Taleは,キツネのLuckyを操作して,高低差の大きいフィールドを駆け回り,敵を倒したりパズルを解いたりするという,典型的なジャンプアクションゲームとなっている。
 ジャンプ後にゲームパッドのトリガーを押すと,落下してのお尻アタックができたり,所々に浮かんでいる煉瓦ブロックを頭突きするとコインならぬスターメダルが出てきたりと,“3D世界版のスーパーマリオ”的というか,ほとんどそのまんまなタイトルである。
 ただ,可愛らしいキツネのLuckyや敵キャラ,そしてゲーム世界のグラフィックステイストは,統一された世界観のもとに作りこまれており,単なる“スーパーマリオもどき”と切って捨てられない可能性を感じたのも事実だ。

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Lucky’s Taleのイメージ画像

 さて,こうした三人称視点の3DアクションゲームをVR対応にして面白いのか……そんな疑念を持つ読者も多いことだろう。筆者もまさしくそう思ってはいたのだが,実際にプレイしてみたところ,そんな疑念はたちまち消え失せた。
 三人称視点のアクションゲームは,通常なら操作するキャラクターの背後にカメラがあり,プレイヤーはキャラクターの後ろ姿を見ながらプレイするのが普通だ。そして,この手のゲームでよくある「浮いた足場へのジャンプ」は,固定された視点で距離感をイメージしながら操作するのだが,慣れないうちは「飛距離が足りなくて落ちる」というのが当たり前のように起こる。

 このLucky’s Taleも,移動や攻撃といった基本的なゲームメカニクスはセオリーどおりなのだが,そこからが違う。プレイヤーが頭や体を動かすと,操作しているキャラクターから独立してカメラを動かし,ゲーム世界を観察できるのである。

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Lucky’s Taleをプレイ中の画面を,通常のテレビに表示した様子。左右の目で見る映像が,それぞれ別々に,しかも歪んだ形で表示されているが,DK2を装着して見ると,正常なゲーム画面に見える……というのは,前段で説明したとおり

 たとえば,頭を左右に動かすと,プレイヤーの顔が向いている方向の映像が見える。そして,そこでプレイヤーが身を乗り出すように動くと,Luckyから離れてカメラが動き,「これから飛ぼうとする崖から次の足場までの距離感を確認する」といったことができる。
 Luckyの後ろ姿に飽きてきたら,プレイヤーが身を乗り出してLuckyの側面に来るようカメラを動かせば,その位置からサイドビューでプレイすることさえできてしまう。

キャラクターと離れて,プレイヤー自身の動きでカメラを動かしてゲーム世界を自由に観察できるのは,新鮮な面白さがある。隠しアイテムをこうやって探したりするのも楽しそうだ
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 VR対応HMDのゲームといえば,「没入感の高さ」が真っ先に連想されることもあって,どうしても一人称視点のゲームばかりが取り上げられがちだ。それ自体は間違っていないと思うのだが,ありふれた三人称視点のアクションゲームにVR要素を入れることでも,ここまで新しいゲームの面白さを表現できるのか……と,筆者は唸らされてしまった。
 Oculus VRのブースは任天堂ブースの真横にあったのだが,そんな場所でマリオクローンなゲームをVR対応HMDでデモしているのは,もしかしたら「任天堂さんも,VR対応ゲームを作ってみませんか?」という誘いなのかもしれない……いや,さすがに考えすぎか。


Rift対応「Alien Isolation」を体験

エイリアンに襲われる恐怖が倍増


 筆者が挑戦したもう1つのDK2体験デモは,SEGA of Americaが10月に発売を予定している「Alien Isolation」のPC版だ。Rift対応を正式に表明しているゲームでもある。
 実はこのとき,筆者はLucky’s Taleをプレイし終えてブースを離れようとしていたのだが,Alien Isolation体験中の女性があまりにも怖かったらしく,「もう無理!」とゲームパッドを放り投げてDK2を外してしまう場面に出くわしたのだ。そこで,厚かましくも「続きをプレイしてもいいですか?」と頼んで,遊ばせてもらったのである。

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Alien Isolationを体験していた女性(左)が,突然ゲームパッドを放り投げて「もう無理!」(右)。ホラーゲームはVR対応で怖さも倍増?

 Alien Isolationは典型的なFPS風の画面構成をしたゲームだが,迫り来るエイリアンを撃退することはできず,ひたすら逃げ回るという,スニーキング要素の強いタイトルとなっている。
 DK2を装着してプレイを始めると,金属の質感がむき出しとなった暗い室内が視界に広がる。宇宙船の船内か宇宙基地か,あるいはなにかの研究施設といった雰囲気だ。

 Rift対応版Alien Isolationにおいて,ゲーム内空間の移動はゲームパッド,周囲を見渡す動作はプレイヤー自身の首を動かすことで行う。VR対応HMDを使うタイプの一人称視点採用タイトルではお馴染みの操作系である。
 押さえておきたいのは,DK2では体の動きを認識できるため,プレイヤーが身をかがめるとゲーム内でもちゃんと身をかがめる動作ができるということ。障害物の陰でプレイヤーが身をかがめると,ゲーム内でもキャラクターが身をかがめて隠れるといった具合だ。逆もまたしかりで,障害物の向こう側を観察したい場合は,プレイヤーが背筋を伸ばせばいい。
 プレイしていると,本当にスニーキングしている気分になれるのが面白い。

Alien Isolation体験中の筆者。屈みながら動いて隠れようとしている
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 ただし,いいことばかりというわけでもない。体を動かすということは,ゲームパッドの操作よりもどうしても動きが遅くなりがちなので,筆者はゴール到達前に,エイリアンに殺されてしまった。

この写真はヤラセでなく,背後からエイリアンにやられて本当に驚いている筆者。「後ろを見たらエイリアンがいた。いつ殺されたのか分からなかった」といった感覚で,映画「エイリアン」の劇中で殺された者の多くが,きっと同じ感想だったに違いない
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 正直,ゲームとしての難度は,普通のテレビで遊ぶよりもむしろ高いなと感じたが,一人称視点のスニーキングアクションとVR対応HMDはかなり相性が良さそうであることも実感できた。Alien Isolationについていえば,やたらと立ったりしゃがんだりを繰り返すので,かなりの運動量になることは間違いない。ゲーマーの運動不足解消に最適かも?


マトリックス風のバレットタイムで戦うFPS風パズルゲームも出展


 冒頭でもお断りしたとおり,残る2つのデモを体験することはできなかったが,体験している様子を観察したり,Oculus VRのスタッフから話を聞くことはできたので軽く紹介しておこう。

 ひとつは,早くからRift対応に名乗りを上げていた「EVE: Valkyrie」だ。出展されていたバージョンはGDC 2014版より新しく,操作系やグラフィックスがリファインされているという。

「EVE: Valkyrie」をMorpheusで体験中の筆者。右下の画面に映っているのは筆者が見ている画面をミラーリングしたもの
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 ちなみにこのゲームは,RiftだけでなくMorpheus用にも提供が決まっており,これと同じバージョンを筆者はMorpheusで体験できた。GDC 2014でDK2を使って体験したときの印象と比べると,グラフィックスやサウンド,操縦操作のレスポンスも良くなっていて,ゲームとしての完成度が高まってきた印象だ。

 最後の1つは,ポーランドのデベロッパであるSUPERHOTが,Kickstarterで開発費を募集しながら開発しているインディゲーム「SUPERHOT」だ。
 一見すると「Mirror’s Edge」(PC / PS3 / Xbox 360)風のモノトーングラフィックスな世界を舞台にしたFPSに見える本作だが,「FPS風VRパズル」という新ジャンルのゲームなのだという。
 映画「マトリックス」で一躍ブームになったバレットタイムアクションをゲームメカニクスに組み込んだ作品で,圧倒的な数の敵が撃ってくる銃弾を,プレイヤー自身が体を動かして避けながら,敵に近づいていってぶちのめす内容になっている。

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SUPERHOTのスクリーンショット。銃弾の雨をマトリックスばりの動きで避けながら戦うというゲームだ

SUPERHOTをプレイする来場者
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 プレイヤーが身体を動かすたびに時間が進行し,動かなければ時間も(つまり敵弾も)止まっているというシステムなので,いつどのタイミングで身をかがめたり移動したりすべきかを,止まって考え,考えては動くといった感覚で進めていくのだという。
 パズルゲームと銘打たれているように,跳弾や流れ弾で破壊される大道具や小道具の挙動も先読みしながら戦う必要がありそうだ。

 時間の流れが遅い世界を自由に動けるというゲームなので,横を飛んでいく銃弾を目で追うような,VR対応HMDならではの表現も楽しめそうな予感がある。


 DK2でずいぶんと完成度が上がった印象を受けるRiftだが,製品版のリリース時期や価格は,いまだに未発表のままだ。
 競合であるMorpheusは,2015年以降に発売と予想されている。Oculus VRはそれに先んじてRiftの製品版を発売することができるだろうか。

Oculus VR公式Webサイト

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