死の世界で出会った少年と少女の物語。スマートフォン向けサウンドノベル「紺箔の少女」を紹介する「（ほぼ）日刊スマホゲーム通信」第47回

スマートフォンには相当な数のゲームが存在しているが，「じゃあ，どれが面白いの？」「そもそも，数が多すぎて好みのタイトルが探せない！」と思っている人も少なくないはず。　そんな問題を解決すべく，スタートした連載が「（ほぼ）日刊スマホゲーム通信」だ。話題の新作タイトルからネタ要素多めのオモシロ系まで，スマートフォンのゲームを片っ端からプレイして（ほぼ）毎日お届けする。

　今回紹介する「紺箔の少女」（iOS / Android）は，テキストを読み進めるタイプのサウンドノベル。最初にお断りしておくと，本作は，ゲーム中に選択肢などが登場せず，ただストーリーを追っていくタイプの作品となっている。そのため，厳密にいうとゲームではないかもしれないが，不気味で美しい世界観と丁寧に作られたシステムなどは目を見張るものがあるので，本連載で紹介してみたい。

iOS版「紺箔の少女」ダウンロードページ

Android版「紺箔の少女」ダウンロードページ

　テキストを読み進めていくには，画面内のどこかをタップするだけでオーケー。上方向へフリック操作すればテキストの履歴が確認でき，2本の指でタップすればメニュー画面が開けるようになっている。
　注意したいのは，ホームボタンなどを使ってゲームを中断してしまうと，セーブした時点まで巻き戻ってしまうこと。なおこれは，iOS版，Android版共通の仕様となっているため，中断するときは必ずセーブするようにしよう。

メニューでは，BGM・SEのボリューム，テキストのスピードなどが細かく設定できる

世界規模で巻き起こった死病「ターク」。主人公はこのタークと向き合い，原因を探っていく

　本作の舞台は，一度感染すると決して治療することができず，やがて死へと至る謎の疫病「ターク」が蔓延する世界。物語は，タークの進行を抑える薬を，ターク研究者の父親が死ぬ間際に主人公へと渡すところから始まる。
　主人公は，タークのせいで生存者が皆無になってしまった街を出て，父親の遺言である「タークのワクチン」を作るために父親の研究所へ向かうのだった。

主人公の体もタークにむしばまれているが，抑制剤によって進行を遅らせている状況。何とかしてワクチンを作らなければならない

　主人公は，研究所への道中で，白いワンピースを着た儚げな雰囲気の少女と出会うことになる。彼女はなんとタークに感染しない体を持っているという。ターク根絶の鍵を握るのは彼女だと考えた主人公は，少女とともにタークのワクチン作りを始めていく……と，ここまでが本作のおおまかなストーリー。主人公が持つ死への恐怖や，少女の孤独感など，それぞれの心情が切々と描かれているのだ。タークの真相や少女の正体，そして物語の結末は，ぜひ自分の目で確かめてみてほしい。

すべての鍵を握る謎の少女。果たして彼女は一体どこから現れ，そして何を知っているのか？

　本作を制作，開発した「Fivemeogames」は，ゲームメーカーというわけではなく，同人ゲームサークルであり，彼らはリリース当時，まだ高校生だったという。そのため，グラフィックスやテキストなどに荒削りな部分も多い。しかし，作品を作り上げる情熱や，同人即売会ではなく，App StoreやGoogle Playで配信するという行動力は，素晴らしいことだと思う。
　Fivemeogamesでは，本作以外にも，紺箔の少女のスピンオフ作品となる「パンドラの子供たち」や，Twitter風のシステムを搭載した「ブルーバード」など，意欲作を作り続けているので，本作が気に入った方はぜひこれらもプレイしてみるといいだろう。

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著者紹介：トリスター/目代将規
　ゲームやアニメの書籍企画，編集，シナリオライティングや広告制作なども手がける編集プロダクション「トリスター」所属。スマートフォンならではのゲームや，一瞬で遊べてしまうゆるいゲームが大好物。好きなゲームのジャンルはRPGとアドベンチャー。“モンハン”好き。

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