紹介記事
今度の「真・三國無双6 Empires」は,自分の行動が名声になって表れる。エディット武将でプレイヤーの生き様を歴史に刻もう
もし自分なら,この三国時代をどう生きるか。それを実現してくれる作品が,2012年11月8日に発売されたPlayStation 3用ソフト「真・三國無双6 Empires」だろう。
「真・三國無双6 Empires」公式サイト
もちろん,三国志という世界が楽しめる作品には,同社の一騎当千アクション「真・三國無双」シリーズや,シミュレーションゲーム「三國志」シリーズが存在している。しかし,並みいる敵をなぎ倒すしていくという「動の魅力」と,緻密な戦略に基づいてプレイする「静の魅力」が同時に,かつ絡み合って楽しめる作品が「Empires」シリーズなのだ。本稿では,新たに追加された要素を交えつつ,その魅力を紹介しよう。
「エディットモード」で個性的な分身を生み出そう
「Empires」シリーズの楽しみの一つといえば,キャラクターエディットだ。今作でも,プレイヤーの分身である「エディット武将」を作ってプレイできる。顔や体格,服装,声,得意武器などを組み合わせて,理想の武将を生み出すのだ。
このエディット機能では,既存のパーツを組み合わせるだけでもかなりバリエーション豊かな武将が作れるのだが,今回はパーツごとにかなり細かな調整をかけられるようになっている。
例えば目一つをとっても「大きさ」「幅」「上下位置」「間隔」「角度」「目の開き」「瞳の大きさ」「瞳の左右位置」「瞳の上下位置」と9項目もの調整項目が用意されており,ツリ目で三白眼,たれ目かつより目など,かなり豊かなに再現可能だ。
とくに面白いのは,青年マンガ系の「アジア系で濃い」顔立ちも作れるということだ。「顔の大きさ」「腕の長さ」「腰の高さ」など,体格も調整すれば,一目見ただけで忘れられないような個性派を作ることも夢ではない。
もちろん能力面も自由に設定できる。
エディット武将の「能力タイプ」は,攻撃力に秀でた「攻撃型」,足が速い「俊足型」など,6タイプが用意されている。能力タイプは,戦闘時の使い勝手に直結する要素なので慎重に選びたいところだ。
得意武器も自由に選べ,シリーズでお馴染みの「戟」や「大剣」のほか,前作ではDLCだった「爆弾」「大斧」「牙壁」,新規武器である「撃剣」「破城槍」もエディット武将の得意武器として設定可能だ。とくに破城槍はシリーズでは珍しいメカニックな見た目のうえ,破城槌と共にロケットのように上空に飛び去ったあと,任意の場所に落下するという奇想天外な技も使えるので,一度は試してほしい武器だ。
実際に,どんなキャラクターが作れるのか気になる人は,武将をエディットして5分間だけ戦闘を体験できる「エディットモード体験版」が,PlayStation Storeで配信されているので,ぜひプレイしてみよう。
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武を誇り,人を愛し,裏切りを働く……「名声」で自分の生き様を示そう
三国志の時代には,武勇に生きた武将もいれば,仁愛の心をもって民を救う武将,そして民を虐げる非道な武将もいた。エディット武将を含めて,プレイヤーが操作する武将には,さまざまなステータスが用意されている。その中でユニークなのが,プレイヤーの行動から武将の生き様が決まる「名声」システムという新要素だ。
「名声」は,「武勇」「知略」「仁愛」「規律」「財産」「悪逆」の6タイプが存在しており,例えば,凄まじい強さで知られる呂布なら武勇,仁義の人である劉備なら仁愛,民を虐げる董卓なら悪逆といった具合で初期の名声が設定されている。
今作では,ゲーム中にプレイヤーの行動にあわせて,それぞれの名声ポイントが入手できる。例えば,武器を開発したり,自分の武を示すような選択肢を選べば武勇の名声ポイントが,捕虜を処断したり,無辜(むこ)の民衆から取り立てをすると悪逆の名声ポイントが手に入る。このポイントを貯めることで,その名声タイプのレベルが上がっていくという仕組みだ。そして,名声タイプのレベルが一番高いものが,その武将の“生き様”になるというわけだ。
こうして名声レベルを上げていくと,武勇なら大将軍に就任しやすくなり,悪逆なら非道な計略が使えるようになるなど,名声タイプに応じた恩恵が受けられる。また,軍略や戦闘中に使える特殊な計略である「絶招秘計」も名声が上がることによって覚えられるので,かなり重要な要素といっていいだろう。
「絶招秘計」をうまく活用することで,軍議における意見を通りやすくしたり,戦闘を有利に進めることが可能になる。これは「真・三國無双6」から基本的なシステムを引き継いでいる本作のなかで,大きく変化した部分だ。
絶招秘計の中には,30秒間体力が0にならなくなる「絶対防御」や,自分の兵力を回復させる「義勇軍」など武将自身の能力を強化するものや,伏兵を配置する「伏兵」,仲間を復活させる「不屈」,敵武将に自分を追ってこさせる「挑発」などさまざまな種類が存在する。プレイヤーはこうした秘計を,戦闘開始前に準備しておき,1度の戦場でそれぞれ1回ずつ使用できる。
戦闘時は,敵も味方もこうした絶招秘計を使いまくるので,戦局がどんどん変化していくのが面白い。中でもユニークなのはマップに作用するタイプだ。例えば「宝物拠点」は,マップ上の拠点を宝物拠点(宝の倉のようなもの)に改装するもの。当然だが,操作武将が改装したい拠点にいないと使えない。宝物拠点は,確保したまま戦闘に勝てば,資源を獲得することができるので,その後の戦略に大きく影響していくだろう。
こうした絶招秘計は,上昇した名声タイプによって入手できるものが違うため,武将としての生き様が重要になってくるわけだ。シミュレーション部分とアクション部分が,有機的にリンクしているという印象を受ける要素となっている。
「争覇モード」で乱世の三国時代を自由に駆け抜けよう
本作の本編である「争覇モード」は,さまざまなシナリオで三国志の世界が楽しめるというものとなっている。
史実を再現したシナリオもあれば,あらゆる武将が年代関係なくランダムで登場するものもある。例えば,呉の武将である陸遜が君主を務め,その下に蜀の重鎮であるはずの趙雲がついているありえない国もあれば,その南には関羽の息子の関平がなぜか広大な領地を有している……というようなカオスな状況が出現することもあるのだ。
ゲーム中は,シミュレーションのようにコマンドを入力して内政を整えたり,外交をしたりするのがプレイの基本となる。プレイヤーが何かを行うと1か月が経過していく形式で,ゲーム進行は同社の「三國志」シリーズを思い浮かべてもらえれば,ほぼ間違いないだろう。
さて,今作のシミュレーション部分で面白いのは,自分の地位によって可能な行動が変わってくることだ。
例えば,エディット武将や特定の国を持たない放浪武将の場合,とくに国を意識することなく,どこかの戦場に乗り込んだり,拠点にする街を転々と移動できる。しかし,自ら旗揚げして特定の地域を支配して君主になれば,外交や人材の登用,国を栄えさせる内政など国にまつわることをすべて自分で行えるものの,ほかの地域に自由に移動することができなくなるのだ。
また,既存国に仕官すれば,武将としてその国に仕えることになり,軍議に参加したり,君主から与えられる任務を選択して実行できるようになる。ほかの地域に自由に移動できなくなるのは君主と同じ。地位と自由が両立しないのは,なんともリアルだ。
このように,プレイヤーがどのような立場で乱世を生き抜くのかは自由だが,それはプレイヤーを突き放したものではない。どうすればいいか分からなければ,充実した「チュートリアル」で何をするべきなのかを学べるし,ゲーム中にいろいろなイベントが起こるので,すぐ慣れるはずだ。
ちなみに,筆者が作った女性エディット武将は,最初は北の地域,北平で独立勢力として旗揚げを考えた。
仲間を集め,郭嘉が率いる隣国との小競り合いに義勇軍として参加するも敗北。守るべき国(北平)が滅び,今まで敵だった郭嘉が支配者になってしまった。どう身を振るべきか悩んだものの,仲間と共に新たな支配者である郭嘉に仕えることにした。郭嘉のもとで,出世を目指すことにしたのだ。
その後,地道に功績を立てて一番下っ端の「副将」から「一般武将」に出世すると,友好度の上がった郭嘉から言い寄られたので,「婚姻」のコマンドを使って郭嘉の妻に。かつての自国を滅ぼした武将の妻になるというのは数奇な運命だ。このまま郭嘉を助けて中国統一を目指すのもいいし,それとも……? プレイヤーには,最大限の自由が与えられているのである。
本作をプレイした人は三国志の世界で,どんな武将で,どのような名声を上げて,どうやって歴史を刻んでいくのか。もしかしたら,自分の意外な一面に気づかされる,そんな一作となるかもしれない。
「真・三國無双6 Empires」公式サイト
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