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「GeForce GT 640M」搭載のUltrabookを試す。Kepler世代の「GK107」でゲーマー向けノートPCは変わるか
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印刷2012/03/26 12:00

レビュー

Kepler世代のGK107コアが持つポテンシャルを確認する

GeForce GT 640M
(Aspire Timeline Ultra M3-581TG)

Text by 米田 聡


 NVIDIAの新世代GPUアーキテクチャ「Kepler」が離陸した。発表に合わせてレビュー記事を掲載したデスクトップPC向けのシングルGPU最上位モデル「GeForce GTX 680」(以下,GTX 680)では,絶対性能が高いのはもちろんのこと,消費電力対性能比が従来のFermiアーキテクチャと比べて格段に向上しており,そこに惹かれた人は少なくないのではなかろうか。

 そんなNVIDIAから,GTX 680と同時に発表されたのが,ノートPC向けGPU「GeForce GTX 660M」「GeForce GT 650M」「GeForce GT 640M」の3製品だ。GTX 680が「GK104」という開発コードネームのGPUコアを採用するのに対し,GeForce 600Mシリーズの3製品では「GK107」コアを採用するのが特徴となっている。
 今回4Gamerでは,そんなGK107コアを採用するGPUから,GeForce GT 640M(以下,GT 640M)を搭載するAcer製Ultrabook「Aspire Timeline Ultra M3-581TG」(以下,Timeline M3)を入手できたので,GT 640Mの持つ実力をチェックしてみたいと思う。

【関連記事】
NVIDIA,「Kepler」ことGeForce 600ファミリーを発表。アーキテクチャの要点をまとめてチェック
「GeForce GTX 680」レビュー(前編)。低消費電力で「扱いやすい史上最速GPU」に
「GeForce GTX 680」レビュー(後編)。NVIDIA版Turbo Boostになる「GPU Boost」とは何か



Keplerの省電力性を活かし,

Ultrabookに384 CUDA Coreを搭載


Timeline M3。15インチワイド,解像度1366×768ドットの液晶パネルを搭載するUltrabookだ。大きさからするとデスクトップ解像度は低め
GeForce 600M
 今回筆者の手元にやってきた個体は,NVIDIAによる貸出品だ。別にリファレンスモデルという扱いではなく,英語キーボードを採用するなど,「日本市場向け最終製品版」というわけでもない。しかし,NVIDIAは「GeForce 600Mシリーズでは,Keplerアーキテクチャの持つ優れた消費電力あたり性能をGPUの省電力化に向けることで,Ultrabookにも搭載できる外付けGPUを実現した」と述べているので,Timeline M3をリファレンス的な存在と見なしても間違っていないのではないかと考えている。
 ということでまずは,Timeline M3を概観してみることにしたい。

本体はツヤ消し加工された黒色で,雰囲気はなかなかいい(左)。キーボードは主要なキーで19mmピッチが確保され,10キーパッドも用意されているのだが(右),[Enter]キー部分のレイアウトが不自然であるなど,各国独自のキー配列へシングルレイアウトで対応しようとした結果としての不格好さも出てしまっている
GeForce 600M GeForce 600M

GeForce 600M
 AcerのAspire Timelineは,ビジネス&パーソナル向けのモバイルノートと位置づけられるシリーズだ。シリーズ全体で薄型,軽量,最大8時間のバッテリー駆動時間が謳われている。
外観上の特徴は,なんといってもその薄さだろう。従来,単体GPUを搭載するノートPCは,ローエンドクラスの製品を搭載するものでもない限り,冷却機構を大がかりにする必要から分厚くなってしまっていたのだが,Timeline M3は,手前側の最も薄い部分で実測20mm,最も分厚い奥側でも同23mm(※いずれも突起部除く)となっている。

GeForce 600M
最も薄い手前側。向かって中央寄りやや左寄りにある突起は電源ボタンだ
GeForce 600M
各種I/Oインタフェースは最も厚い奥側に集約されている。写真向かって左からヘッドフォン&マイク兼用の3.5mmミニピン×1,USB 2.0×2,USB 3.0×1,HDMI出力×1,1000BASE-T LAN×1,ACアダプタ×1。すべて奥側なので取り回しは面倒だが,モバイル優先なので致し方ないところか
左側面にはDVDスーパーマルチドライブとSDカードスロットが用意される。右側は盗難防止用ロック取り付け穴のみだ
GeForce 600M
GeForce 600M

NVIDIAが示したスライドより。GeForce GTX 460M搭載のゲーマー向けPCだと約4.09kgのところが,GTX 640M搭載ノートPCなら同じ性能を維持しつつ約2.27kgまで軽量化できると謳われる
GeForce 600M
 Ultrabookということで薄さの際立つTimeline M3だが,15インチワイドサイズの液晶パネルを搭載するため,サイズは367(W)×253(D)mmと,設置スペースをかなり取るものとなっている。重量も実測約2.1kg。上でAspire Timelineはモバイル向けと述べたが,日本人の感覚からすると,本機はモバイルノートPCとはとてもいえないというのが正直なところだ。
 ただ,15.6インチワイド液晶パネルを採用し,「GeForce GTX 560M」(以下,GTX 560M)や「GeForce GTX 460M」などを搭載するゲーマー向けPCだと,重量は軽く3kgを超えてくるのが普通なので,その観点からはかなり軽量なモデルといえるかもしれない。

 では実際,どのような実装になっているのだろうか。Acerによる国内製品版は分解すると保証対象外になるが,今回はテスト用ということで中を覗いてみよう。

本体底面には,分解せずとも開けられる“窓”が用意されており,そこを開けるとSO-DIMMスロット×1,Mini PCI Expressスロット×2,そして2.5インチストレージデバイス用の空きスロットへアクセスできる。なお,Mini PCI Expressスロットに差さっていたのは,大きいほうのカードがLite-On IT製となる容量256GBのSSD,小さいほうがQualcomm Atheros製の無線LANコントローラだ
GeForce 600M GeForce 600M

キーボード面を取り外したところ
GeForce 600M
 本体底面のネジをすべて外すとキーボード面を外せるようになり,マザーボードと冷却ファン,リチウムイオンバッテリーパックなどの存在を確認できるようになる。
 マザーボードは,キーボード面側に各種インタフェースと,「Intel HM77 Express」チップセット,そしてメインメモリとなるオンボードのDRAMチップを搭載。裏側には,上で紹介した拡張スロットとGT 640M,Sandy Bridgeコアの「Core i7-2637M/1.7GHz」が搭載され,GPUとCPUの熱はヒートパイプでファンユニット部へ運ばれるような仕掛けになっているのが分かる。

マザーボード(左)と,チップセットおよびDRAMチップの拡大(右)。オンボードのDRAMチップは合計容量2GBで,マザーボードの両面にエルピーダメモリ製の2Gbit品を4枚ずつ搭載している
GeForce 600M GeForce 600M

マザーボードの底面側。DRAMチップはこちら側にも4枚搭載され,SO-DIMMの2GBモジュールと合わせて合計容量4GBを実現する。CPUとGPUはクーラー(というか,ヒートパイプ)の下に用意されていた。放熱機構はかなり小さい
GeForce 600M
GeForce 600M
 Core i7-2647MはUltrabook向けの2コア2スレッド仕様となるCPUで,「Intel Turbo Boost Technology」有効時は最大2.8GHzで動作する。TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)は17Wだ。統合するグラフィックス機能は「Intel HD Graphics 3000」で,NVIDIAの「Optimus Technology」(以下,Optimus)により,必要なときだけGT 640Mをグラフィックスアクセラレータ的に用いるような仕様になっている。これについては後段で述べたい。

 さてGT 640Mだが,周囲にはグラフィックスメモリとして機能するDRAMチップが用意されていると分かる。チップはHynix Semiconductor製で,1Gbit仕様のDDR3 SDRAM。仕様上の最大動作クロックは1.8GHz相当(実クロック900MHz)となっており,これを8枚搭載することによってグラフィックスメモリ容量1GBを実現する計算だ。
 NVIDIAの公式仕様によれば,GT 640MはDDR3&GDDR5に対応しているので,Timeline M3ではDDR3の採用によってコストを抑えているように見受けられる。

GT 640M。リビジョンはA2のようだ。周囲に配されるHynix Semiconductor製のDRAMチップはDDR3メモリで,グラフィックスメモリとして機能する
GeForce 600M GeForce 600M


Ultrabook内で定格クロックのまま動作するGT 640M

今回はGTX 560M搭載のゲーマー向けノートPCと比較


 ここからは,テストのセットアップに入っていこう。
 まずグラフィックスドライバだが,Timeline M3では,NVIDIAから全世界のレビュワー向けに配布されている「Verde 296.11 Driver」が導入されていた。

GeForce 600M
NVIDIAコントロールパネルの「System Information」を開いたところ。GPUコアクロックは405MHzと表示されている。「GPU-Z」(Version 0.6.0)でも表示は405MHzだった
GeForce 600M
Timeline M3には,GT 640Mを搭載するというシールが貼られている
 それをNVIDIAコントロールパネルから確認したのが右のスクリーンショットだが,ここで気になるのは,GPUコアクロックを示す「Graphics Clock」が「405MHz」になっていることだ。
 GT 640Mのスペック上最大動作クロックは625MHzなので,ざっと3分の2。Ultrabookへ搭載するにあたって,スペックを大きく下げてきた……と判断してしまいがちになるが,実のところ,これはドライバの表示バグとのこと。NVIDIAによれば,実際には,スペック上の最大動作クロックである625MHzで動作しているそうなので,この点は安心してほしい。

 なお。既報のとおり,負荷状況に応じた自動クロックアップ機能「GPU Boost」は,GT 640Mでは採用されていない。なので,625MHzというのは,GT 640Mにおける規定にして最大動作クロックということになるはずだ。

 一方,メモリクロックは1.8GHz相当とレポートされているが,こちらは搭載されるメモリチップの仕様どおりで,ドライバ側の表示ミスもとくにない。もっともGT 640Mの場合,GDDR5搭載時にメモリバス帯域幅は最大64GB/sに達するのだが,Timeline M3の場合は28.8GB/sとなり,公式スペックの最大値からはかなり落ちていることになる。
 ゲーマー向けノートPCでフルスペックのGT 640MがGDDR5メモリとセットで搭載される場合,Timeline M3比で最大50%弱の性能向上が得られる可能性がある点は憶えておいたほうがいいだろう。

※お詫びと訂正
 初出時,GPUのコアクロックを,NVIDIAコントロールパネルの表記どおり405MHzと紹介していましたが,正しくはスペックどおり625MHzで動作しています。レビュワーズガイドの見落としによるミスでした。お詫びして訂正いたします。

NVIDIAコントロールパネルはOptimus仕様。基本的なグラフィックス設定はIntel製ドライバのほうで行うことになるため,設定内容は最低限となる。「Manage 3D Settings」メニューからは,アプリケーションごとに,統合型グラフィックス機能とGeForceのどちらを使うか明示的に設定可能
GeForce 600M
 スペックに関してはもう1つ,前段で簡単に述べたとおり,Timeline M3でOptimusを採用している点を述べておきたい。

 Optimus仕様となるNVIDIAコントロールパネルの構成は,Optimusのデビュー当時から変わっていない。「優先GPU」の設定や,個別プログラムに対するGPUの固定割り当てが可能だ。
 基本的には自動切り替えに設定しておけばとくに問題なく,少なくとも4Gamerのベンチマークレギュレーション12.0で採用しているタイトルではいずれも問題なくGT 640Mが使われるようになっていた。テストにあたっては念のため優先GPUをGT 640Mにしておいたが,通常はそこまでしなくても大丈夫だろう。

 なお,画面から分かると思うが,本機には英語仕様の64bit版Windows 7 Home Premiumがインストールされていた。テスト機のOSを入れ替えるわけにもいかないので,今回は英語版Windows 7をそのまま使い,コントロールパネルの「地域と言語」から日本語を選択し直しているので,その点はあらかじめお断りしておきたい。
 もっとも,Windows 7の場合,英語版と日本語版の違いは言語設定だけなので,性能面での違いは生じないはずだが。

4Gamerで独自に用意したQF560。2012年3月26日時点でドスパラが販売中のQF560とはスペックが異なるので注意してほしい
GeForce 600M
 ところで,今回のテストにおいては,単体でスコアを取得しても性能をイメージしづらいことから,ドスパラ(サードウェーブ)製のゲーマー向けノートPC「Prime Note Galleria QF560」(以降,QF560)を比較対象として用意してみた。Fermi世代のGTX 560Mを搭載するノートPCである。
 Timeline M3とQF560両製品のスペックは表1のとおり。Verde 296.11 DriverはGeForce 600Mシリーズ専用のようで,QF560には導入できなかったため,QF560には公式最新版たる「Verde 296.10 Driver」を導入しているが,そもそも,ノートPCではスペックを揃えることが不可能に近いため,ドライバ以外もテスト環境は大きく異なる。なので今回は「GT 640M搭載のUltrabookを,ノートPCとしてはミドルハイクラスの3D性能を持ったゲーマー向けモデルと比較する」イメージでいてもらえればと思う。

 Timeline M3はメインメモリアクセスがシングルチャネルになるなど,性能面では不利だが,3Dゲームにおいてフレームレートを左右する主な要因はGPU性能となるので,GT 640MとGTX 560Mをざっくり比較すること自体は,おそらく問題なくできるはずだ。


 念のためまとめておくと,GT 640MとGTX 560Mのスペックは表2のとおり。Keplerアーキテクチャを採用したGT 640MのCUDA Core数はGTX 560Mの2倍となる。

※本文で紹介しているとおり,Timeline M3の場合,組み合わされるグラフィックスメモリはDDR3 SDRAMであり,メモリバス帯域幅は28.8GB/sに留まる

 テスト方法は4Gamerのベンチマークレギュレーション12.0準拠。GT 640Mのスペックを考慮し,今回はアンチエイリアシングとテクスチャフィルタリングを適用しない「標準設定」(および一部では「低負荷設定」)のみでテストを行う。
 解像度はTimeline M3のパネル解像度である1366×768ドットと,レギュレーションで規定する1280×720ドット,そしてTimeline M3からHDMIで外部ディスプレイへ出力し,QF560のパネル解像度と揃えた1920×1080ドットも用意した。ただし,「Battlefield 3」(以下,BF3)ではTimeline M3から外部ディスプレイ出力を行うとゲームがハングする問題があったため,BF3での1920×1080ドット条件は割愛する。


GTX 560M比で7〜8割のフレームレートを確保

多くのゲームタイトルでプレイアブルに


 テスト結果を順に見ていこう。
 まず,「3DMark 11」(Version 1.0.3)から,「Performance」と「Extreme」両プリセットのスコアをまとめたものがグラフ1である。
 GT 640M搭載ノートPCのスコアは,GTX 560M搭載ノートPC比で80〜83%。とくにより負荷の高いExtremeプリセットのほうで83%のスコアを示したのは評価できそうだ。動作クロックを考えると,GTX 640Mはかなり健闘している印象を受ける。


 グラフ2,3は,「S.T.A.L.K.E.R.: Call of Pripyat」(以下,STALKER CoP)の公式ベンチマークソフトに用意されるベンチマークシークエンス中,最も描画負荷の低い「Day」と逆に最も高い「SunShafts」における平均フレームレートをまとめたものだが,ここでの傾向は3DMark 11の結果をほぼ踏襲したものとなった。DayシークエンスだとGT 640Mは78〜85%,SunShaftsシークエンスだと81〜92%のスコアをGTX 560Mに対して示している。とくにSunShaftsシークエンスの1920×1080ドットでは実スコアでも2.7fpsしか離れていないが,SunShaftsだと演算性能とテッセレーション性能が効いてくるので,その両方に優位性を持つGT 640Mがスコアを詰めているということなのかもしれない。

 いずれにせよ,1366×768ドットまでならGT 640Mはプレイアブルなフレームレートを確保できている。これは評価していいだろう。


 続いてグラフ4はBF3のテスト結果。ここでGT 640MはGTX 560Mと比べて70〜74%と,スコア差がやや縮まった。BF3はGPUクロックがフレームレートを左右しやすいので,コアクロックが低く,シェーダクロック設定もないGT 640Mでは,GTX 560M比で2倍のCUDA Core数をもってしても高いスコアは出せないということなのだと思われる。
 もっとも,ベンチマークレギュレーションでプレイアブルな水準としている平均35fpsを1366×768ドットで超えてきているから,そう悲観するものでもないのだが。


 旧世代のゲームエンジンを代表して採用している「Call of Duty 4: Modern Warfare」(以下,Call of Duty 4)のテスト結果がグラフ5である。
 Call of Duty 4では,解像度にかかわらず対GTX 560M比で70%程度のスコアに留まっているが,ここでは純粋にGPUクロックとテクスチャ性能によるスループットの違いが効いた結果だと思われる。


 レギュレーション12.0で採用するタイトルのうち,GT 640Mにとって最も厳しい結果となったのが,グラフ6に結果をまとめた「The Elder Scrolls V: Skyim」(以下,Skyrim)だ。GT 640Mは1280×720ドットでも30fpsを超えられなかった。
 この原因はほぼ間違いなく,グラフィックスメモリ容量不足である。ベンチマークレギュレーション12.0では高解像度テクスチャパックを採用しているため,大容量のグラフィックスメモリを要求する。それがスコアに思い切り反映された結果というわけだ。


 グラフ7は,「Sid Meier's Civilization V」(以下,Civ 5)のスコアをまとめたものだ。Civ 5ではGTX 560MノートPCで1280×720ドットを設定できなかったため,比較できるのは1366×768ドットと1920×1080ドットの2パターンになるが,ここでもGT 640Mは,BF3やCall of Duty 4,Skyrimと同じく,GTX 560M比で71〜73%のスコアに留まった。ただし,フレームレート自体は十分プレイアブルなレベルを確保できている。


 最後にグラフ8は「DiRT 3」のテスト結果だが,ここでもGT 640Mのスコアは対GTX 560M比で73〜76%。フレームレート的には低解像度なら十分にプレイできるレベルとなっている。



Timeline M3上のGT 640Mは消費電力15W前後か

最大スペック動作時は20数Wの可能性が


 まずまずといえる3D性能を見せるGT 640Mだが,消費電力は気になるところである。
 ただ,上で示した写真でも分かるように,Timeline M3はバッテリーパックの取り外しが(少なくともメーカー保証のある形では)行えない。なので,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」によるテストが不可能だ。というより,仮にテストしても充電電流を計測するだけになってしまうので意味をなさない。

BBench。「海人」氏によるフリーソフトウェアだ
GeForce 600M
 なので今回は,Timeline M3のバッテリー駆動時間を調べることで,おおよその見当をつけてみよう。
 バッテリー駆動時間の検証には,Webサイトの巡回とキーストロークを定期的に発生させながらログを記録する簡易なバッテリーベンチマーク「BBench」(Version 1.01)と,3DMark 11を用いることにした。

 まずBBenchで,低負荷運用時のバッテリー駆動時間を調べる。無線LANを有効化したうえで,60秒ごとにWebブラウザからWebサイトを巡回し,10秒ごとにキーストロークも発生させる,というテストである。Windowsコントロールパネル上の電源設定は標準の「バランス」,NVIDIAコントロールパネル上のOptimus設定は自動(Auto-select)だ。
 この条件でテストを実行したところ,フル充電から268分(4時間28分)後にバッテリー残量が5%となり,強制的にスリープ状態へ移行した。Timeline M3では最大バッテリー駆動時間が8時間と謳われているので,かなり残念な結果だが,ひとまずこんなところである。

 そして3DMark 11だが,ここでは「Entry」プリセット準拠でデモをループ実行する。デモは一般的な3Dゲームと比べるとやや“重め”なので,Entryプリセットを採用することでバランスをとったわけである。無線LANは有効,ゲームプレイを想定しているのでサウンドもオンだ。

 結果,116分(1時間56分)後にバッテリ残量が7%になったところで(面白いことに)「3Dデバイスの応答がなくなった」という意味のエラーが表示されてデモが停止した。理由は推測だが,もしかするとOptimusでは,バッテリー残量が一定水準を下回ったとき,強制的にGPUをシャットダウンしてCPU側のグラフィックス機能へ切り替える仕掛けが組み込まれているのかもしれない。
 いずれにせよ,3Dゲームをバッテリー駆動でプレイし続けられる時間は2時間弱ということになりそうである。

 というわけでここからが本題。今回のテスト結果からGPUの消費電力を計測してみたいと思う。
 Timeline M3のバッテリー容量は11.1V,4850mAhだ。4850mAhというのはざっくり「4850mAの電流を1時間流すだけの容量がある」という意味に考えておけばいい。バッテリーには,「流す電流の大きさによっては,スペックどおりのバッテリー容量をフルに使えなくなる」という特性があるのだが,ここではざっくりと概算するため,バッテリー容量をフルに使えると仮定して話を進めていく。

 3DMark 11のデモを実行し続けたときの運用時間は116分(約1.9時間)で,このときのバッテリー残量は7%。すると,1.9時間の平均消費電力は下に挙げる計算式のとおりとなる。消費電力(W)を求めたいので,4850mAh=4.85Ahに電圧を乗じたもの(つまりはバッテリー容量をWhに換算した値である53.585Wh)にバッテリー使用量をかけ,使用時間で割った次第だ。

4.85(Ah)×11.1(V)×0.93(バッテリー使用量)÷1.9(時間)=約26.4W
 
 順番は前後するが,Webサイトの巡回とキーストロークのみを行ったBBenchだと,4.47時間経過で残量が5%になったから,平均消費電力は以下の式で求められる。

4.85(Ah)×11.1(V)×0.95(バッテリー使用量)÷4.47(時間)=約11.4W

 つまりその差分となる15Wが,GT 640Mの典型的な消費電力ということになりそうである。CUDA Core数384基でGPUコアクロック625MHzを実現しながら平均15Wというのはかなり優秀な値ではないだろうか。

Timeline M3に付属のACアダプター
GeForce 600M
 ちなみに,付属するACアダプターの容量はかなり小さい。DC出力は19V,3.42Aという仕様で,DC側が約65Wしかないのだ。ノートPCはバッテリーパックを搭載するため,付属ACアダプターの容量はピークの消費電力よりやや低い程度の容量になることが一般的ということまで踏まえると,3DMark 11実行時の平均26.4Wというのは妥当な数字といえるのではなかろうか。


ポテンシャルはかなり高そうなGK107

より洗練されたデザインのゲームPCに期待


GeForce 600M
 以上のテストから,GT 640Mを1.8GHz相当で動作するDDR3メモリと組み合わせた状態は,GTX 560Mに対して70〜80%の性能を発揮できると判断して問題ないと思われる。GDDR5 SDRAMを組み合わせてメモリ周りの帯域幅を拡張できれば,今回の結果よりもさらに高い性能が得られるはずだ。
 GeForce 600Mシリーズのうち,Keplerアーキテクチャを採用する製品としてはGeForce GT 640Mが最下位モデルとなるが,それでこの程度の結果なのだから,上位モデルには相応の期待ができそうである。消費電力的にもかなり期待できそうなので,Ultrabookとは言わないまでも,ゲーマー向けノートPCのデザインを洗練させる起爆剤となってくれることを期待したい。

 なお,GT 640Mの競合となりそうなものとしては,AMDが計画している次期A-Series APU「Trinity」(トリニティ,開発コードネーム)の存在が挙げられる。TrinityではAMDの提唱するUltrabook対抗ノートPC「Ultrathin」向けSKU(≒ラインナップ)が予定されているが,絶対性能はともかく,消費電力あたりの3D性能はGT 640M+Intel製CPUより高くなる可能性があり,こちらも気になる存在といえるだろう。
 今後,ゲーマー向けノートPC周りが面白くなりそうな予感である。

NVIDIAのGT 640M製品情報ページ

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