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「ドラゴンクエストX」の1年をふり返って――Windows版のリリースやプレイ動画配信の公認など,さらなるプレイヤー増に向けた今後の展開について,齊藤陽介氏と藤澤 仁氏に話を聞いた
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印刷2013/08/26 00:00

インタビュー

「ドラゴンクエストX」の1年をふり返って――Windows版のリリースやプレイ動画配信の公認など,さらなるプレイヤー増に向けた今後の展開について,齊藤陽介氏と藤澤 仁氏に話を聞いた

大型アップデート「バージョン1.5前期」よりも,夏の季節イベントが話題に


4Gamer:
 それでは,直近に行われた大型アップデート「バージョン1.5前期」についてもお聞かせください。プレイヤーの反応や所感はいかがでしたか?

藤澤氏:
 実は今回,初の試みとして大型アップデートと季節イベント開催をほぼ同時に行ったんです。そのため,季節イベントに関する反響のほうが大きくて,バージョン1.5そのものの反響は影に隠れてしまったという感じなんですよ(苦笑)。

画像集#031のサムネイル/「ドラゴンクエストX」の1年をふり返って――Windows版のリリースやプレイ動画配信の公認など,さらなるプレイヤー増に向けた今後の展開について,齊藤陽介氏と藤澤 仁氏に話を聞いた

4Gamer:
 今回は,細かいブラッシュアップ的な内容が多かったですしね。

藤澤氏:
 はい。開発的な側面から所感を述べると,Windows版との関連で,バージョン1.5はキーレスポンスの向上をはじめ,プレイヤーからは直接見えづらいプログラムの内部の改善をを実施しています。その影響で,アップデート直後は不具合が発生し,お客様にご迷惑をおかけしてしまうという場面もありましたが,それもようやく落ち着いてきたというところですね。

齊藤氏:
 以前のインタビューでもお話しましたが,バージョン1.3や1.5のように,数字の末尾が奇数になる大型アップデートでは,実装してきた遊びやコンテンツのブラッシュアップを図っています。とは言っても,新しく追加した機能に対して「使いづらい」とのご意見もいただいていますので,まだまだ宿題の残るアップデートですね。

4Gamer:
 ちなみにバージョン1.5を3期に分けてアップデートする理由は何でしょう?

藤澤氏:
 バージョン1.5前期実装後,バージョン2.0のアップデートまでに少し期間が空くからです。また,セカンドシリーズの幕開けとなるバージョン2.0は本当に大規模な内容ですから,リリース日が前後してしまう可能性があります。そこで,もしもバージョン2.0実装までの期間が長くなってしまった場合に備え,中間アップデートを設けて,プレイヤーをを飽きさせないようにしようと考えました。

4Gamer:
 変更点や修正点の多さからすると,普通にバージョン1.6/1.7みたいな形でいいのでは?と思わなくもないですが。

藤澤氏:
 バージョンの変更を伴う「大型アップデート」というからには,その言葉に相応なボリュームと満足感が必要だと思うので,そこに至るほどのアップデートにならない,というのがそうしない最大の理由ですね。また,本作におけるバージョンアップは,システム的な追加&修正だけではなくて,ストーリーとも連動しているんです。ですから,安易に1.6としてしまうと,その分のストーリーを追加する必要もありますし,想定から外れたストーリーを追加することも本意ではないんです。

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4Gamer:
 なるほど。ストーリー準拠という意味合いもあると。
 そう言えば魔法の迷宮に,ミネアが登場するようになりましたが,効果カードやボスカードなどの反響はいかがですか?

齊藤氏:
 パーティアイコンに,効果カードの表示がある人をチラホラ見かけるようになりましたね。うらやましい。

藤澤氏:
 ボスカードは,ボスコインが高すぎて手が出ないというご意見に応えて実装したものです。

4Gamer:
 プレイヤー視点で見ると,仮にボスコインが手に入っても,バザーで換金したほうが得かもと思っちゃいますしね。勝てるかどうか分からないボスに挑戦するより,ゴールドのほうがいいやって(笑)。

齊藤氏:
 でもアトラス,ベリアル,バズズなら,パーティに未経験者が一人いたとしても,ほかの3人が頑張れば勝てるバランスになっているんですよ。2013年3月の「春祭り」イベントで開催した「バトルトライアル」でも,妙なパーティ構成なのに,勝てていたじゃないですか。やってみれば意外と勝てるのに,尻込みをされているプレイヤーさんが多いなと感じていたんです。

藤澤氏:
 そういう意味でも,ボスカードは自分で使うほかありませんので,手に入れたら積極的にボスバトルに挑戦してほしいですね。

4Gamer:
 なるほど。

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藤澤氏:
 また,ボスカードの期限を30日に設定したのは,そのほうが討伐へのモチベーションが上がると考えたからなんですよ。たとえば僕らは「ドラゴンクエストX TV」などでボスバトルをやりますけれど,実は当日に向けて,相当練習するんです。そして,それが意外と楽しいんですね。なので,その感覚を皆さんにも味わっていただければという狙いがあります。
 もっともミネアにはなかなか会えませんから,まだまだボスバトルのハードルが高いことに対する解決法には成り得ていません。今後に期待してほしいですね。

4Gamer:
 これまで「ドラゴンクエストX」の運営開発を続けてきた中で,バージョン1.5はどんな位置付けになるのでしょう?

齊藤氏:
 これまでアップデートを重ねてきた中で,コンテンツが増え,お客様各自の遊び方にもかなりの幅が生まれました。運営開発面から言うと,正直,どこに焦点を絞ってコンテンツやイベントを作るべきか,迷う時期に入ったと言えます。
 お花に水をあげて,ちょっとチャットできれば満足というお客様もいれば,毎日全部の強ボスを倒してオーブを集めないと気がすまないという方もいますからね。

藤澤氏:
 ずっとチームクエストを消化しているお客様もいますね。

齊藤氏:
 そうそう,チームクエストは,チームで一緒に遊んだり,これまでやらなかったことに挑戦したりするいいきっかけになったみたいですね。
 ただ我々からすると,遊園地でメリーゴーランドも,ジェットコースターもそこそこ人気があるような状態ですから,次はどんなアトラクションを作るべきか悩ましいところなんです。

藤澤氏:
 もともとの狙いが,一つのコンテンツに人気が集中しないようにというものでしたから,そこは成功していますよね。もう少し経つと,反対にあまり遊ばれなくなるコンテンツも出てくるとは思いますが,今はそういうものもなく,いい状態です。

4Gamer:
 たとえば,今,話題の新しいコンテンツというと何でしょう?

齊藤氏:
 これはバージョン1.4の話になりますが,一般的なオンラインRPGではパーティレイドにあたる「パーティ同盟」と,その機能を使って戦う最初のレイドボス「災厄の王」を新しい遊びとして実装しました。結果,パーティの人数が倍になっただけなのに,こんなに遊び方が変わった,こんなに面白くなったという感想をいただきました。

藤澤氏:
 災厄の王は,将来的に展開していくことになるであろう「レイドコンテンツ」の先鞭として,うまく機能したように思います。

4Gamer:
 現在進行中の神話篇は,最高レベル帯のプレイヤーに向けたコンテンツですよね。その中でも災厄の王は,これまでのストーリーに登場するボスとは桁違いに強い印象を受けたのですが,どのくらいの数のプレイヤーがクリアしているのでしょう?

藤澤氏:
 パーティ同盟の前提となるクエスト「聖竜の神話」のクリア率は,アクティブプレイヤーの45%と予想以上に高い数字が出ています。

4Gamer:
 おお,神話篇の人気の高さがうかがえますね。

藤澤氏:
 ただし,続くクエスト「闇に眠りし王」で,災厄の王を倒したアクティブプレイヤーの割合は,その半分になっています。つまり,今まさに,災厄の王が倒せなくて挑戦を控えているプレイヤーがたくさんいるというわけです。
 でもその一方では,上手なプレイヤーだと1パーティでも災厄の王を倒しちゃうんですよね……。結果,「藤澤の言う『段違いに強い』は全然強くない」とか言われてしまったり(笑)。

4Gamer:
 なるほど。災厄の王は最初のレイドボスということで,2パーティでの挑戦ですが,今後,パーティ同盟ができるパーティ数は増えるんですか?

藤澤氏:
 そうですね。レイドボスの追加に伴って,今後増やしていくことは考えています。

齊藤氏:
 「ドラゴンクエストX」のお客様にとって,どのくらいの人数までが楽しくプレイできるのかという検証はまだこれからですね。多すぎてストレスになってしまうようでは逆効果ですから。

藤澤氏:
 パーティ同盟とは別になるかもしれませんが,将来的には100人で同時に巨大なボスを倒すようなお祭りコンテンツもやってみたいですね。

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バージョン2におけるディレクター交代は3年前から決まっていた


4Gamer:
 バージョン1.5よりも先の展開について教えてください。先ほど「2.0は本当に大規模なアップデートになる」というお話がありましたが,やはりそれだけのインパクトがある展開が待ち受けているんですか?

藤澤氏:
 もちろんです。僕自身は,Windows版のサービスインより少しあと,バージョン2.0開始のタイミングが,これまでで一番盛り上がる時期になるだろうと予想しています。と言うのは,現在,プレイを一旦休止しているプレイヤーの方も,2.0がリリースされるタイミングで戻ってきて頂けると考えているからです。

4Gamer:
 その呼び水となる主力コンテンツって何になるんですか?

藤澤氏:
 そこはやっぱり,新ストーリーですね。「ドラゴンクエスト」に何を期待しているのかというアンケートを取ると,70%以上の方がストーリーと答えるくらい,「ドラゴンクエスト」と言えばストーリーなんです。「ドラゴンクエストX」でも,休止したお客様の大半が「メインストーリーが一段落した」ことを理由に挙げているくらいで。

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齊藤氏:
 またオンラインRPGと言えば新しいマップが追加されて,これまでと違う景色の中を歩けるというのは重要ですよね。今までもイベント専用マップなどを提供してきましたが,それとは比較にならないくらい広い大陸が追加されますから,魅力的に見えると思いますよ。

4Gamer:
 ちなみに藤澤さんがディレクターとして指揮するのはいつまでなんですか?

藤澤氏:
 バージョン1シリーズの終わりまでですから,バージョン2.0のパッケージ発売日までです。今後は,バージョン2の話が増えていく中で,徐々にりっきー(「ドラゴンクエストX」バージョン2.0 ディレクター 齋藤 力氏)と交代して,フェードアウトしていく感じですね。

4Gamer:
 具体的な引継ぎ作業などは行われているんですか?

藤澤氏:
 発表こそ2013年に入ってからでしたが,実はバージョン2でりっきーがディレクターを務めるというのは,3年前から決まっていたことなんです。たまに「ディレクターの交代が不安だ」という方もいらっしゃいますが,そこは心配しなくても大丈夫です。

4Gamer:
 個人的には,藤澤さんの視点(ドラゴンクエスト的な考え方で,オンラインゲームを構築する)は非常に貴重だと感じていたので,やっぱり不安なんですが(苦笑)。

齊藤氏:
 藤澤は,次の「ドラゴンクエスト」を作らなければなりませんからね(笑)。

藤澤氏:
 いやいや(笑)。何かそういう噂もあるようですが,ここでハッキリさせておくと,僕が次に何を作るかはまだ決まっていないんです。

齊藤氏:
 強く否定するところが,また怪しいでしょ(笑)。

一同:
 (爆笑)。

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藤澤氏:
 ちょっと,本当にやめてくださいよ(苦笑)。
 まぁ,バージョン2の話に戻すと,僕がりっきーのやることに口を出すことは現状でもほとんどないんです。何でも聞いてくれて構わないとは言っていますけれども,それ以外は,自由に作ったほうがいいよと。ゲーム開発全般に言えることですけれど,僕は,一人のディレクターが芯をもって取り組むのが一番いいと思っていますので。

4Gamer:
 なるほど。そう言えば,「ドラゴンクエストX」の開発メンバーには,オンラインゲーム黎明期を知る開発者が多いと,「ドラゴンクエストX TV」で明かしていましたよね。

齊藤氏:
 そうですね。そもそも日本で本格的なMMORPGを作ろうなんて考える人間はそうそういませんから,同じ志を持つ開発者が集まってきたという側面もあるかもしれません。

4Gamer:
 その中で,藤澤さんは,これまでの「ドラゴンクエストらしさ」を重視したディレクションをしてきたわけですよね。その藤澤さんがディレクターを離れると,方針が変わってしまうのではないかという心配はあると思うんです。

齊藤氏:
 そうは言っても,開発スタッフは皆,藤澤の隣でずっと仕事をしてきたわけですからね。「ドラゴンクエストらしさ」とは何か,みたいな部分はチーム全員で共有できていると思います。

藤澤氏:
 運営が始まった以降の1年間だけに限っても,僕がどうお客様に接してきたか,その反応がどうだったのかを,皆はずっと見てきたわけですから,いきなり急ハンドルを切って方針転換するようなことにはなりません。

齊藤氏:
 最終的には,堀井さんと相談することになりますしね。

藤澤氏:
 なので,ディレクターが代わったくらいでは,そうそう屋台骨は変わらないんです。

齊藤氏:
 まあ急にPK解禁,首をはねられて血が吹き出すような世紀末なゲームに,なんてことにはなりませんよ(笑)。

4Gamer:
 そんな「ドラゴンクエスト」も一度くらいなら見てみたいですけれど(笑)。

画像集#022のサムネイル/「ドラゴンクエストX」の1年をふり返って――Windows版のリリースやプレイ動画配信の公認など,さらなるプレイヤー増に向けた今後の展開について,齊藤陽介氏と藤澤 仁氏に話を聞いた


作り手はプレイヤーに「提案」をする


4Gamer:
 ともあれ藤澤さんは,これまで「ドラゴンクエストX」のディレクターを務めてきたわけですが,もしもやり残したことがあればぜひ教えてください。

藤澤氏:
 うーん,難しい質問ですね。やり残したことは,いろんな観点でありますし,すべてがうまくいったなんてことは当然思っていませんが……。ただ,あえて一つ言うなら,もっとも心残りなのは,やっぱり“プレイヤーの数”ですね。

4Gamer:
 どういう意味ですか?

藤澤氏:
 いや,僕らはずっと,従来の「ドラゴンクエスト」が記録した400万人以上のお客様に,オンラインゲームとしてのドラゴンクエストを届ける,オンラインゲームの面白さを知って頂くということを目標に掲げてやってきたわけですけれど,残念ながら数字の部分では,僕がディレクターを務めた期間ではそこまでは達成できませんでした。

4Gamer:
 なるほど。

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藤澤氏:
 あと,今になって思うのは,もっともっとプレイヤーと対話すればよかったということですね。もし今の知識と経験を持ったまま,最初からやり直せるのであれば,もっとたくさんプレイヤーの皆さんと対話をしたと思います。その点が,もう一つの大きなやり残しかもしれません。

4Gamer:
 でも藤澤さんは,「開発・運営だより」で情報を発信したり,「目覚めし冒険者の広場」で返信したりと,こまめにプレイヤーと対話している印象がありますけれども。

藤澤氏:
 うーん,個人的な心境としては,まだ全然足りてないですね。それまでの(パッケージゲームの)開発では,実際にプレイしてくれるプレイヤーの方と触れ合う機会があまりなかったので,「ドラゴンクエストX」ではもっとそこを徹底的にやっておけばよかったなと今は本当に思います。

4Gamer:
 プレイヤーさんの意見を汲み取るのってかなり難しいですよね。例えば,プレイヤーさんの意見を採用する/しないの基準はどこにあるんですか?

藤澤氏:
 大前提として,僕ら作り手側は,僕達自身の意志を持ってお客様に「提案」をしていかなければならないと考えています。

4Gamer:
 「ドラゴンクエストX」であれば,それはオンラインゲームの面白さというものを,まだ遊んだことがない方に向けて提案するということですよね。

藤澤氏:
 はい。ですから,いろいろなご意見を頂くなかで,まずその軸(オンラインゲームの面白さを提案する)をぶれさせることはできないし,するべきじゃないと考えているんですね。結果として,お客様のご意見をいったんは受け取りますが,それを全部叶えることはできないんです。

4Gamer:
 「ドラゴンクエストX」の難しさって,やっぱり従来のファンからの期待――今まで通りの楽しみ方――と,開発側が提示する新しい面白さが衝突するって部分だと思うんですよね。端から見ていても,そこは本当に大変そうだなと感じています。

藤澤氏:
 はい。もちろん,本作はそこを覚悟したうえでの取り組みでしたから,仕方ないことだと思ってはいました。けど,やっぱり決断していく苦しさみたいなものはありましたね。

4Gamer:
 具体的にはどういったものですか。

藤澤氏:
 例えばですが,以前「なんでサポート仲間のレベルが上がるようにしてくれなかったんだ!」というご意見を頂いたことがあったんですよ。これまでのドラクエは,仲間を含めて自分で育てていく楽しさがあったのに,本作ではなくなっている。これだと一人では楽しめない!――という。

4Gamer:
 ああ,オンラインゲームとしてみれば,サポート仲間は素晴らしい仕組みですが,オフラインのゲームと同じ目線で見たら,そういうことにもなりますね。

藤澤氏:
 ええ。言いたいことはとてもよく分かりますし,それにその方は,これまでのドラクエがものすごく大好きだというのが,文章からも伝わってくるんですよ。でも「ドラゴンクエストX」は,やっぱり「オンラインゲームの面白さ」を提案している作品ですから,そっちには舵を切れない。どんなに「なんとかしてあげたい!」と思っても,それができないというもどかしさというか,申し訳ない気持ちみたいなものが常にありましたね。

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齊藤氏:
 もちろん,お寄せいただくご意見の中にはものすごくいいものもあります。そういうものは,日々,前向きに実現を検討していますよ。


藤澤氏:
 そうですね。いただいたご意見から実際に修正したケースはいくらでもあります。あと,小さな提案も多くて,それがいわゆる「地味な修正点」なんですよ。「そこかよ!」っていう(笑)。

4Gamer:
 でも,本当にそのへんのさじ加減が難しいですよね。プレイヤーさんの意見ばかり重視すると,どんどん“狭い方向”へ突き進んでしまうことは少なくありませんし,エンターテイメントそのものが,これまでにない新たな面白さを提案していかないと廃れていくという側面もあります。
 とくにオンラインゲームの場合は,プレイヤーの意見やリクエストへの対応にどうしてもリソースが割かれがちですから,余計にその配分が難しいですよね。

藤澤氏:
 こう言ってしまうと不快に感じられるプレイヤーの方もいるかもしれませんが,やっぱりゲームは,まずは作り手から「自分たちがこれが面白いと思ったので作りました」という「提案」があるべきなんですよ。まず自分たちから提案して,その上で,いただいたご意見には真摯に耳を傾ける。そういう姿勢で臨むべきだと思います。

4Gamer:
 分かりました。では,そろそろお時間ですので,最後に,Windows版の登場で興味を持った人や,これから「ドラゴンクエストX」を始めたいと考えている人に向けて,お二人からメッセージをお願いします。

齊藤氏:
 やはり4Gamerさんというと,もともとPCゲームやオンラインゲームに関心の高い読者さんが多いと思いますが,私としては,「一周回った人」にこそ,「ドラゴンクエストX」を遊んでみてほしいですね。
 ハードコアなオンラインゲームに疲れたり,シビアだと感じはじめたりしている人で,それでもオンラインゲームで遊びたいと思ったときに,「ドラゴンクエストX」はちょうどいいゲームだと思います。

4Gamer:
 ああ,まさに私がそんな感じかもしれません。

齊藤氏:
 一通りオンラインゲームを遊んできた人だからこそ楽しめるところも考えられている―――「ドラゴンクエストX」は,そんな作品に仕上がっていると思うので,ぜひ4Gamer読者の皆さんにも遊んでみていただければと思います。もちろん,ずっと言い続けている初めてオンラインRPGを遊ぶという人も大歓迎です。

藤澤氏:
 振り返ってみると,この1年間は,「ドラゴンクエストのオンラインゲームってどうなの?」というプレイヤーの皆さんの心配に対して,ひたすらお答えしていく1年だったような気がします。そして結局,その疑問への回答となるものは,一朝一夕で培われるものではなく,長い時間をかけて醸造していく「信用」でしか説明がつかないものだ,とも感じました。
 そういう意味では,サービスインから1年を経て,なお遊び続けてくださるたくさんのプレイヤーさん達こそが,「ドラゴンクエストのオンラインゲームってどうなの?」という疑問に対する,答えそのものではないかと感じています。
 僕らがこだわりぬいて作った「ドラゴンクエストX」というオンラインゲームは,あらためて「ドラゴンクエスト」が大好きな人にこそ遊んでほしいゲームです。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

――8月6日収録

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