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Qualcomm,新世代SoC「Snapdragon 800&600」を発表。現行世代の最上位モデルから75%の性能向上を謳う
Snapdragon 800と同600は現在,サンプル出荷中で,前者は2013年半ば,後者は第2四半期中に搭載製品が登場する見込みとされている。
Snapdragon 800
Snapdragon 800はシリーズ最上位と位置づけられるモデルで,TSMCの28nm HPM(High Performance for Mobile applications)プロセス技術を用いて製造されるSoCだ。最大2.3GHz駆動が可能なクアッドコアCPU「Krait 400」と,GPU「Adreno 330」が組み合わされるのが特徴となっている。Adreno 300シリーズの最新世代となるAdreno 330は,従来製品である「Snapdragon S4 Pro」に統合される「Adreno 320」と比べて2倍の描画性能を持つとのことだ。
組み合わされるメインメモリは800MHz駆動のLPDDR3(Low Power Double Data Rate 3)を搭載し,その転送速度は12.8Gbpsに達する。転送速度150Mbpsの4G LTE(カテゴリ4)対応モデムと,最大1Gbpsの転送速度を実現したIEEE 802.11ac対応の無線LAN機能を統合する点や,いわゆる4K解像度でのビデオ撮影/再生に対応する点もトピックといえるだろう。
サウンド周りでは「DTS-HD」「Dolby Digital Plus」へ対応しており,最大7.1chのマルチチャネルサラウンドサウンド出力も可能になっている。
なお,Snapdragon 800の総合性能は従来の上位モデルである「Snapdragon S4 Pro」から75%程度向上しているとのことで,Qualcommでは,スマートフォンやタブレットだけでなく,スマートテレビやデジタルメディアアダプタなどへの展開も想定しているとのこと。最大7.1chサウンド出力機能などは,モバイルデバイス以外を想定した機能と見たほうがいいかもしれない。
Snapdragon 600
Snapdragon 600は,消費電力を削減しつつSnapdragon S4 Pro比で40%の性能向上を果たしてきたとされる,性能と消費電力のバランスを追求したSoCだ。CPUはSnapdragon 800と同じくクアッドコアのKrait 400だが,動作クロックは最大1.9GHzと,Snapdragon 800より低めに抑えられている。
組み合わされるGPUコアはAdreno 320。「Snapdragon S4」に統合される「Adreno 225」と比べて3倍以上の描画性能を持つとされる。メインメモリはLPDDR3だ。
製品シリーズ名表記の変更
ところで,ここまであえて説明してこなかったが,Snapdragonは2008年の登場以来,「Snapdragon S4」といった具合に,「S+世代番号」でシリーズ名が示されてきた。そのため,Snapdragon 800&600というシリーズ名に違和感を覚えたかもしれない。Qualcommによれば,今回の新製品を機に,3桁数字でのシリーズ名表記へ変更し,今後は下位モデルとして「Snapdragon 400」「Snapdragon 200」も用意するとのことだった。
モバイルSoCが,スマートフォンやタブレットだけでなく,クラムシェル型デバイス,ポータブルメディアプレイヤー,スマートテレビなどへ活用の幅を広げていくなかで,セグメントを分かりやすくするための措置だと,Qualcommは説明している。各シリーズの位置づけは下記のとおりだ。
- Snapdragon 800:最上位クラスのスマートフォンやタブレット,スマートテレビ,デジタルメディアアダプタ向け
- Snapdragon 600:中上位クラスのスマートフォンおよびタブレット向け
- Snapdragon 400:ミドルクラスのスマートフォンおよびタブレット向け
- Snapdragon 200:エントリークラスのスマートフォン向け
Snapdragon 800&600に関するニュースリリース(英語)
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