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ダンジョンRPGを盛り上げるためにどのような変革が必要なのか。「エルミナージュ」「アンチェインブレイズ レクス」「ととモノ。」開発者によるダンジョンRPG座談会
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印刷2011/07/23 00:00

インタビュー

ダンジョンRPGを盛り上げるためにどのような変革が必要なのか。「エルミナージュ」「アンチェインブレイズ レクス」「ととモノ。」開発者によるダンジョンRPG座談会

AppleII版「Wizardry I」のパッケージ
エルミナージュIII 〜暗黒の使徒と太陽の宮殿〜
 複数人のキャラクターでパーティを組み,3Dグラフィックスで描かれたダンジョンを攻略していくハック&スラッシュタイプのコマンド選択式RPGを,俗にダンジョンRPGと呼ぶ。ダンジョンRPGの元祖といえば,1981年に登場した「Wizardry」(ウィザードリィ)が有名だが,「世界樹の迷宮」シリーズや「真・女神転生」シリーズなど,現在でも根強いファンを擁するジャンルだ。
 しかし今,ダンジョンRPG市場にはかつてほどの勢いがなく,若いゲーマーからは“時代遅れ”と評されることもある。「Wizardry」発祥の地であるアメリカですら,今ではダンジョンRPGの姿を見かけることはほとんどなくなってしまった。

 今回の座談会は,ゲーマガ8月号特別企画として実施されたものである。日本のダンジョンRPGファンに注目されているスターフィッシュ・エスディの孫田真吾氏(エルミナージュシリーズ),フリューの阿部浩幸氏(アンチェインブレイズ レクス),ゼロディブの原神敬幸氏(剣と魔法と学園モノ。シリーズ)のお三方に,各々のダンジョンRPGに対する思い出や,今後,ダンジョンRPGを活性化させていくために必要と思われる取り組みなどを,直近のダンジョンRPG最新作にからめて語り合ってもらった。4Gamerではそのインタビューの完全版をお届けするので,ゲーマガ本誌でチェックしたという人も,ぜひ目をとおしてほしい。

左から,ゼロディブの原神敬幸氏(剣と魔法と学園モノ。シリーズ),フリューの阿部浩幸氏(アンチェインブレイズ レクス),スターフィッシュ・エスディの孫田真吾氏(エルミナージュシリーズ)

「エルミナージュIII 〜暗黒の使徒と太陽の宮殿〜」公式サイト

「アンチェインブレイズ レクス」公式サイト

「剣と魔法と学園モノ。3D」公式サイト



発想の原点はやはり「Wizardry」

ダンジョンを少しずつ進んでいく緊張感を味わってほしい


――本日はよろしくお願いします。まずは自己紹介をかねて,皆さんの代表作や,直近のタイトルでの役割をお聞かせください。

孫田真吾氏(以下,孫田氏):
 スターフィッシュ・エスディの孫田と申します。会社では開発部長代理を務めています。弊社の代表作「エルミナージュ」シリーズにはディレクターとして携わっており,シリーズ最新作「エルミナージュIII 〜暗黒の使徒と太陽の宮殿〜」(PSP)が8月4日に発売予定です。

阿部浩幸氏(以下,阿部氏):
 フリューの阿部と申します。7月14日発売の「アンチェインブレイズ レクス」PSP / 3DS)にはディレクターとして関わっています。以前はセガに所属しておりまして,「Rez」という作品の開発にも携わっていました。ほかにはスパイクなど,アクワイアに近しいところでも仕事をしていました。

原神敬幸(以下,原神氏):
 ゼロディブの原神です。7月7日に発売となった「剣と魔法と学園モノ。3D」(3DS)の制作プロデュースを務めました。以前は「Wizardry」シリーズも手がけていて,彩京という会社に所属していたときには,「ホットギミック」という麻雀ゲームのコンシューマ版にも関わっていました。ちなみに「ととモノ。」シリーズには1作目から携わっています。

――ではさっそく本題に入りたいと思うのですが,ダンジョンRPGというクラシカルなジャンルに対して,あえてこだわり続けている理由をお聞かせください。


原神氏:
 僕自身がゲーマーで,昔からPCゲームが大好きだったんです。PCゲームには「Wizardry」「ウルティマ」という二大RPGがありますよね。僕はウルティマを主にプレイしていたんですけど,自分でゲームを作るのならば,「Wizardry」タイプのほうが作りやすいのではないかと思いまして。そこで学生時代に,個人で「ハラザードリィ」なんていうパロディゲームを作ってましたね(笑)。マップもそのままコピーして,モンスターは「イース」のものを取ってきて友達同士で遊んでいました。なので,いざゲームを作るとなったときに,「Wizardry」は押さえておくべきだ,分析しないといけないんだという意識を持って,ずっとプレイしていました。

――学生の頃からゲームを作っていたんですね。それにしても「ハラザードリィ」とは(笑)。ちなみに「ととモノ。」シリーズを作り始めたきっかけはなんだったんですか?

原神氏:
 「冒険している感」が一番出ているジャンルってなんだろう,と考えたとき,まず思い浮かんだのがダンジョンRPGだったんですよ。
 「ウルティマ」や「ドラゴンクエスト」タイプの,上から見下ろす視点のRPGも面白いとは思うんですけど,やっぱり「自分目線で歩ける」ものをやってみたかった。ただ,今のゲーマーには,ダンジョンRPGはちょっと難しいかもしれませんね。昔はマップを描くのがすごく楽しかったんですけど,今はプレイヤーの利便性を考えると,自動マッピングを付けざるを得ないですし。あとダンジョンRPGを作る際に,難度を下げるかどうかはすごく悩みます。僕らの感覚では易しくしているつもりでも,今のゲーマーにとっては難しいと感じてしまうこともありますから。

――たしかに,ゲーマー歴の差からくる感覚の違いはありますね。孫田さんはどうですか?
 
孫田氏:
 「エルミナージュ」シリーズの醍醐味はシステムで遊ぶ楽しさなので,見た目は二の次なんです。3Dということもあり,制作にはそれなりにコストがかかるんですけど,開発中はなるべくコストを抑える努力をして,シンプルに仕上げました。なのでキャラは2Dなんですけど,ダンジョンだけは3Dという体裁ですね。
 あと,自分も「Wizardry」をやっていて,その後に「ディープダンジョン」とか「女神転生」シリーズをプレイしました。スターフィッシュに入ってからは,「Wizardry エンパイア」という作品の開発に携わらせてもらいました。
 ただ版権の都合上,Wizardryシリーズの作品は気軽には作れません。そこで,「オリジナルの3DダンジョンRPGを作ろう」という話になり,生まれたのが「エルミナージュ」シリーズだったんです。「エルミナージュ」は,最初の作品こそ「Wizardry」に近い雰囲気でしたが,「II」になってからはキャラのバストアップを出したり,ストーリーをコミカルにしたりと,プレイヤーの意見を聞きながら進化させているのが特徴です。

原神氏:
 「Wizardry」系の醍醐味って,自分だけの世界観やストーリーを妄想しやすいところですよね。ある意味,没入感が凄まじい。

阿部氏:
 RPGにおいても,主観視点で進められるという点は大きいですよね。

――ダンジョンRPGのプレイヤー層自体が,没入感を好む人達なのかもしれないですね。ちなみに「アンチェインブレイズ レクス」は,キャラメイクがないということも含めて,ほかのダンジョンRPGとはちょっと毛色が違いますよね。今回このような作品を企画した経緯についてお聞かせください。

阿部氏:
 主観視点でダンジョンの奥に進んでいくというドキドキ感や,マップを完成させる喜びなど,ダンジョンRPG独自の魅力はすごくよく分かるんですね。ただ,そういった魅力を経験していない人って,実はたくさんいると思うんですよ。なので「アンチェインブレイズ レクス」は,ダンジョンRPGのディープな世界に入っていく入り口,入門編にしたいという想いがあったんです。とにかく,あまりハードルを高く設定したくなかった。


ダンジョンRPGを“現在”に向けて売っていくためには

プレイヤーの好みにあった味付けが必要


――確かに,現在の市場に投入する以上,昔のままのシステムでは厳しいでしょうね。「アンチェインブレイズ レクス」はメジャーなイラストレーターや声優を起用しているあたり,ダンジョンRPGとしては明らかに“今風”な作品だと思います。

阿部氏:
 そうですね。あとダンジョンRPGって,ある意味自由度がものすごく高いと思うんですよ。でも,いきなり「好きにやっていいよ」って言われても,初心者は困ってしまう。なので「アンチェインブレイズ レクス」では,初心者がつまずきがちなキャラクターメイクをなくした代わりに,スキルマップシステムなどでキャラクター育成の自由度を高めたんです。

――ダンジョンRPGに不慣れな人だと,確かにキャラクターメイクでつまずきそうですね。悩みがいのあるキャラクターメイクを自由度の高さと捉えることもできますが,人によっては「不親切」と感じてしまうかも。

原神氏:
 今の若いゲーマーさんに対しては,導入部が一番大事ですよね。そこが不親切だと,プレイを進めてくれない。説明的過ぎても興ざめだし,理解してもらわないと楽しいところまで遊んでくれないわけで……。

阿部氏:
 逆に,往年のダンジョンRPGファンって,丁寧な前置きに対して煩わしさを感じてしまいますよね。

原神氏:
 ですねぇ,考えれば考えるほど難しい。ちなみに,僕がプレイヤーに一番楽しんでもらいたいのは,実はマッピングだったりします。僕も昔は方眼紙にマップを描きつつ,飯を食いながらダンジョンRPGをプレイしました。よくマップに味噌汁をこぼしたもんです(笑)。

「アンチェインブレイズ レクス」
エルミナージュIII 〜暗黒の使徒と太陽の宮殿〜
――自作マップの汚れって,昔ダンジョンRPGを遊んでいた人にとってはいい思い出ですよね。ちなみに皆さんは,現状ではオートマッピング機能の搭載は必須だと考えていますか?

孫田氏:
 う〜ん,個人的にはなくてもいいかなと思うんですけど,あったほうが間違いなく便利ですよね。「エルミナージュ」は,一歩一歩が怖い作りにはなっていないので,マップは表示されても魅力は損なわれないと思います。まあ,扉を開けたら強いモンスターが出てきたりするんですけどね(笑)。

阿部氏:
 僕は「世界樹の迷宮」のように,マッピングすることがシステム的に組み込まれていないゲームであれば,必須だと考えています。

原神氏:
 僕もオートマッピングは必須だと思います。ライトユーザーにダンジョンRPGの魅力を伝えようと思ったら,“手間”は一つでも多く外す必要がある。まあそういう意味でいうと,最近は一歩一歩のドキドキ感をどう出すかが非常に難しくなっていますよね。


ダンジョンRPGの魅力はプレイヤー=自分という視点


――ダンジョンRPGならではの緊張感を好む人も多いと思いますが,少しでも多くの人に遊んでもらうことを考えると,その緊張感を生む仕組みがハードルの高さになってしまう。若いゲーマーのニーズに応えようと思ったら,やはりオートマッピングは欠かせないのかもしれませんね。
 ところでお三方は,ダンジョンRPGの最大の魅力は何だと思いますか?


孫田氏:
 僕は「プレイヤー=自分」という視点だと思います。

原神氏:
 曲がり角を曲がるときの恐怖感ですかね。制作時には,いつもそこを意識しています。あと,マップの一か所だけが埋まってなくて,そこを埋められたときの喜びというのもありますよね。

阿部氏:
 「新大陸を探せ!」じゃないですけど,まだ見ぬものを発見したときの達成感は,ダンジョンRPGを語るうえで欠かせませんね。

原神氏:
 「Wizardry」系って,戦闘が作業的だと言われてしまうことがあるんですけど,主となっているのは戦闘ではなく,“冒険”の部分なんですよね。マップを埋めながら宝箱を探しにいったりとか,次の階に上がったり下がったりとか,そういうのがダンジョンRPGの醍醐味かなと考えています。

――ダンジョンRPGって,日本では比較的受け入れられているほうだと思うんですけど,現状,欧米ではあまり支持されていないと思うんですよ。日本において,ダンジョンRPGが根強く支持されている理由はなんだと思いますか?

「エルミナージュIII」

原神氏:
 日本人って,枠の中を埋めていく作業が好きなんじゃないかな。日本自体が島国だから……というわけではないけど,こぢんまりしているのがいいんだと思います。あと,日本人は妄想力がすごいから「俺のパーティはこうだ」とか「俺の○○ちゃんはこうだ」とか,制作側が考えていなかった設定をドンドン出してくるじゃないですか。そういう発想力って,海外の人より日本人のほうが高い気がするんです。それが,日本でダンジョンRPGが生き残っている理由の一つだと思いますね。

孫田氏:
 欧米では,視覚的なアピールがないとプレイしてもらえない。そこは文化の違いでしょうね。ただ,アジアの南のほうでは受けそうな感じがするんですけどね。

――欧米ではオープンワールドタイプのアクションアドベンチャーやFPSなどが主流であるのに対し,日本ではSRPGやコマンド選択式/ターン制のRPGが普通に遊ばれているというのも,なんだか面白いですよね。ちょっと古いゲームですが,「ダンジョンマスター」なんかはエポックメイキングだったと思うんですけど,日本ではあまり支持されませんでした。それに対し「Wizardry」は,今でも強く支持されているというのも興味深いですね。

孫田氏:
 日本人では多少面倒くさくても,熟考した結果がちゃんと返ってくるゲームが好まれるのかもしれませんね。

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    エルミナージュIII 〜暗黒の使徒と太陽の宮殿〜

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    アンチェインブレイズ レクス

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