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写真で見る新型ゲームPC「Trident X」。GeForce RTX 20&第9世代Coreプロセッサ搭載の薄型PCをじっくり眺めてみた
容積にして10ℓというコンパクトな縦置き専用筐体に,GeForce RTX 20シリーズ搭載グラフィックスカードと第9世代Coreプロセッサを搭載するという,薄型でもハイスペックを追求したデスクトップPCだ。世界市場における発売時期は2018年11月末の予定で,最小構成時のメーカー想定売価は2699ドル(税別)となっている。
本稿では,イベントで撮影した写真をもとに,Trident Xの特徴を細かく見ていきたい。
エアフローを最大限に重視した薄型ボディ
Trident Xは,やや大きめのフットスタンド上に,縦に長い薄型のPCケースが直立したデザインとなっている。ボディ前面は,フラットな板の左右端を縦方向にそぎ落としたような形状をしており,埋め込まれた3つのLEDイルミネーションが光るという,かなり派手な見た目をしている。
展示機の右側面には,一部がメッシュ状の開口部になった強化ガラス製パネルが取り付けられており,CPUクーラーを彩るLEDイルミネーションの光が目につくようになっていた。
また,Trident Xには半透明のガラスパネルだけでなく,不透明の金属製パネルも付属しているので,好みに応じて好きなパネルを使用できる。ただ,金属製パネルは,一般的なネジ止め式のパネルなので,ドアのように開けるギミックはない。
一方,左側面は,不透明な金属製パネルで覆われている。こちらはネジ止め式で,ドアのように開ける機能はない。左側面パネルには,上側と下側にメッシュで覆われた開口部があり,上側はグラフィックスカードを,下側は電源ユニットを冷やす冷気を取り込む吸気孔となっている。
筐体の天面側は,三角形の大きな電源ボタンがある程度で,ほとんどが開口部となっていた。この開口部からは,グラフィックスカードを冷やして温まった空気が排気される。なお,グラフィックスカードの排気は,上方だけでなく後方に排出されるそうだ。
冒頭でも記したが,Trident Xは縦置き専用PCであり,Trident 3のような縦置き,横置き両対応の筐体ではない。底面側は,ほぼ全体がメッシュで覆われた開口部となっており,CPUや電源ユニットから出た温かい空気を底面から排気する仕組みとなっているのだ。そのため,フットスタンドは筐体底面にガッチリと固定されている。
インタフェース類についても触れておこう。
Trident Xは,前面の下側にUSB 3.1 Gen.1 Type-CポートとUSB 3.1 Gen.1 Type-Aポートが1つずつ,USB 2.0 Type-Aポートが1つ,そして3.5mmミニピンのマイク入力とヘッドセット出力端子を備えている。ただ,既存のゲーマー向け薄型デスクトップPCである「Trident 3」が備えていた前面側のHDMI出力端子「VR Port」は備えていない。やはりVRヘッドマウントディスプレイの接続以外では,使い道がなかったようだ。
一方,背面側には,1000BASE-T対応の有線LAN端子や各種USBポート,CPUが内蔵する統合型グラフィックス機能用のDisplayPort 1.2出力やHDMI 1.4出力,サウンド出力端子などが並んでいる。ちょっと面白いのは,Trident 3が備えていなかったPS/2ポートがあることだ。MSI側に確認したところ,PS/2接続型の特殊な入力デバイスやセンサーなどがあるため,PS/2ポートにはニーズがあるのだそうだ。
外観を一通り眺めてみて分かるのは,Trident Xがエアフローを非常に重視した設計となっていることだ。
MSI製のゲーマー向けデスクトップPCでは,大型の「Aegis Ti3」がそうであったように,グラフィックスカード,CPU,電源ユニットを3つの独立した区画に分けることで,エアフローを分離して冷却効率を高める構造を採用する製品が多い。筐体サイズの小さなTrident Xでも,その構造を踏襲しており,GeForce RTX 20シリーズや「K」型番の第9世代Coreプロセッサを十分に冷やせるようにと,至る所に開口部を設けてエアフローを確保しているわけだ。
逆にいえば,これくらいの配慮をしないと,ハイエンドGPUとCPUを容積約10ℓの筐体に収めて安定的に動作させることはできないということだろう。
ユーザーによるパーツ交換を考慮した設計
続いては,Trident Xの内部を見ていこう。
MSIでは,Trident Xの主要なコンポーネント,つまりCPU,グラフィックスカード,ストレージ,メモリをユーザーが交換可能であると謳っている。
たとえば右側面には,上側に2.5インチHDD,または互換SSDを取り付けられるシャドウベイが2つあり,ユーザーがストレージを交換,または増設することが可能だ。また,巨大なCPUクーラーを外せば――簡単ではなさそうに見えるが――,メモリスロットやCPU,マザーボードにアクセスできる。
ちなみに,マザーボードはTrident X専用のものではなく,Mini-ITX仕様の「Z370I Mortar」という製品を使っているそうだ。そのため,理論的にはマザーボードを交換することも不可能ではなさそうである。
一方,左側面側のパネルを外すと,上側にはグラフィックスカードが,下側にはマザーボードの裏面側と電源ユニットのファンがあった。
一見すると,グラフィックスカードの周囲には余裕があるようで,より大型のカードを取り付けられそうに見えるが,巻き尺で大雑把に測ってみたところ,カード長は約300mm弱――取り付けの難度を考慮すると290mm程度が無難――,カードの厚みは約50mmが限界のようだ。また,Trident Xに取り付けられるのは,外排気仕様のクーラーを搭載するグラフィックスカードの必要があるそうで,なんでも取り付けられるというわけにはいかない。
Mini-ITXタイプのマザーボードでは,背面側に取り付けたM.2 SSDをいかにして冷却するかが課題になるもの。その点,Trident Xは,シンプルかつ合理的な仕組みで問題を解決しているわけだ。
MSIでは,Trident Xと,ASUSTeK Computer製の小型ゲーマー向けデスクトップPC「ASUS G21」を比較して,性能とコンパクトさ,見せる要素のすべてで勝っているとアピールしていた。容積約10ℓの筐体に,ハイエンドのGPUとCPU,さらに電源ユニットまで内蔵してしまったというのは,現状では唯一無二の特徴と言っても間違いないだろう。
問題は,最も安価なモデルでも2699ドル(税別)という価格である。Trident Xは,ある意味で「いつかは欲しい,憧れの省スペースハイエンドPC」といった位置付けの製品となるかもしれない。
●Trident Xの主なスペック
- CPU:第9世代Coreプロセッサ
・Core i7-9700K(8C8T,定格3.6GHz,最大4.9GHz,共有L3キャッシュ容量12MB)
・Core i9-9900K(8C16T,定格3.6GHz,最大5GHz,共有L3キャッシュ容量16MB) - チップセット:Intel Z370
- メインメモリ:PC4-21300 DDR4 SDRAM×2,最大32GB
- グラフィックス:GeForce RTX 20シリーズ搭載カード
・GeForce RTX 2070(グラフィックスメモリ容量8GB)
・GeForce RTX 2080(グラフィックスメモリ容量8GB)
・GeForce RTX 2080 Ti(グラフィックスメモリ容量11GB) - ストレージ:SSD(M.2接続,最大1基),HDD(Serial ATA接続,最大2基)
- 無線LAN:IEEE 802.11ac+Bluetooth 4.2(※「Intel Dual Band Wireless」とされる)
- 有線LAN:1000BASE-T(Intel「I219-V」)
- 外部インタフェース:USB 3.1 Gen.2 Type-A×1,USB
3.1 Gen.2 Type-C×1, USB 3.1 Gen.1 Type-A×2,USB 2.0 Type-A×2,DisplayPort 1.2出力×1,HDMI 1.4出力×1,3極3.5mmミニピン×5(※ヘッドフォン出力,およびマイク入力用),角型光デジタル出力×1など - 電源:内蔵 450W 80Plus Bronze,650W 80Plus Gold
- 公称本体サイズ:129.74(W)×382.73(D)×396.39(H)mm
- 公称本体重量:6.55kg(通常型サイドパネル時),9.5kg(ガラスパネル時)
- OS:64bit版Windows 10 Home
MSIのTrident X製品情報ページ(英語)
- 関連タイトル:
G Series
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