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あなたが私の……おとーさん? 「放課後ライトノベル」第43回は『おとーさんといっしょ!』で可愛い娘をお届けしちゃうぞ
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印刷2011/05/28 10:00

連載

あなたが私の……おとーさん? 「放課後ライトノベル」第43回は『おとーさんといっしょ!』で可愛い娘をお届けしちゃうぞ



 育成ゲームの名作に「プリンセスメーカー」という作品がある。
 元々はPC用のゲームであり,その後コンシューマに移植され,PCはもちろんスーパーファミコンやPlayStation 2やPSPなど,さまざまなハードで続編も発売されている人気シリーズだ。自分の元にやって来た少女を娘として育成し,パラメータを上げ,立派なお姫様にしてあげるというのが基本的なゲームの内容だが,正直若い頃はあまりこのゲームに魅力を感じなかった

 育成にこだわるならば,「ダービースタリオン」や「俺の屍を越えてゆけ」,「実況パワフルプロ野球」のサクセスモードのほうが好みだし,可愛い女の子とキャッキャウフフするなら,「ときめきメモリアル」とか「キミキス」でいいじゃない。娘がそんなに良いんですか? 同じ学校の生徒じゃダメなんですか?
 昔は筆者もそんなことを思っていたが,若かった。若さゆえの過ちだった。年を重ねるといろんなことが分かってくるのである。

 娘を育てるというのは,馬や野球選手を育てるのとは違うのだ。娘と対話するというのは,同年代の女子と対話するのとはまったく別の行為なのだ。
 娘はいいものだ
 妹や姉にはない何かがある。そう,それは父性愛。『よつばと!』だって大人気だし,これからは娘だよ! 時代は娘萌えだ! みんなで娘を育てて少子化の時代を乗り越えていこうよ!(※編注:あまりに長いので,以下大幅に省略

 ということで,今回の「放課後ライトノベル」で紹介するのはGA文庫の『おとーさんといっしょ! 少女とメガネとハイペリオン』です。娘が可愛いとかじゃなくて,いや,当然娘も可愛いんだけど,それだけじゃなくてね,SF設定とかもね,しっかりしているんだよ! だから僕の性癖とかは今は関係ないじゃないか!

あなたが私の……おとーさん? 「放課後ライトノベル」第43回は『おとーさんといっしょ!』で可愛い娘をお届けしちゃうぞ
『おとーさんといっしょ! 少女とメガネとハイペリオン』

著者:中谷栄太
イラストレーター:シコルスキー
出版社/レーベル:ソフトバンククリエイティブ/GA文庫
価格:651円(税込)
ISBN:978-4-7973-6509-2

→この書籍をAmazon.co.jpで購入する


●ファーザー・ミーツ・ドーター!


 舞台となるのは,珪素生物たちによる「円卓政府」によって統治された地球。地上は珪素生物たちが溢れかえり,少数派となった人間たちは「人間に対する経済特別区域」,通称「特区」と呼ばれる場所で生活を営んでいた。

 本作の主人公・石弓(いしゆみ)リュウも特区に暮らす人間の一人。運び屋を職業とする彼は,ある晩,棺のような長方形の箱を運ぶ依頼を受けた。しかし,荷物を届けに向かった先でリュウが見つけたのは,依頼人と思われる男の死体だった。その場に居合わせたリュウもただで帰れるわけがなく,謎の敵によって襲撃される。さらに襲われたときの衝撃で箱の蓋も開いてしまった。

 箱の中から出てきたのは,琥珀に閉じ込められた昆虫のように,鉱石の中で眠る一人の少女だった。目を覚ました少女がリュウを見て最初に言った言葉は

――あなたが私の……おとーさん?

 いやいやいや,どう考えても違うだろう。
 明らかにワケありな少女だが,一度依頼を受けてしまった以上,放っておくわけにもいかず,少女の正体と届け先が分かるまで,リュウは少女と一緒に暮らすことに。かくして,人間リュウと,彼を「おとーさん」と呼ぶ珪素生物の少女ルーの奇妙な生活が幕を開ける。


●珪素生物に秘められたユング風の能力とは?


 珪素生物という名前だけ聞くと,映画「ガメラ2 レギオン襲来」に登場した怪獣レギオンのように,人間とは似ても似つかない生命体を想像してしまうかもしれない。しかし,本作に登場する珪素生物は見た目は人間とほぼ変わらないし,身体の大部分も,我々人間と同じ炭素化合物からできている。

 では,珪素生物と人間は何が違うのか。それは彼らの脳に形成される「脳下珪体(のうかけいたい)」と呼ばれる物質の有無だ。この「脳下珪体」によって珪素生物たちは人間にはない大きな力を手にしている。

 珪素生物たちは「脳下珪体」によって無意識の深い部分――“集合無意識”を種族で共有している。この強い種族意識によって,珪素生物は国境を取り払い,世界を一つにまとめることに成功した。
 さらに,この集合無意識内に存在する「原型(アーキタイプ)」にアクセスすることで,珪素生物たちは物理法則をねじ曲げるほどのエネルギーを発することができるのだ。例えばヒロインであるルーは「原型」にアクセスすることで,身体能力が上昇し,電撃を放てるようになる。
 一方,人間たちもこの「原型」から能力を引き出す方法を持っており,リュウも義手である右手に「原型」の力を利用した武器を仕込んでいる。この「原型」がもたらす特殊能力による,熱いバトルも本作の見どころの一つだ。

 人間とは異なった脳を持つ珪素生物たちだが,彼らが人間には理解不能な生物かというと,そんなことはなく,むしろ人間以上に人間らしいとも言える。
 ルーは,「私おとーさんの娘でしょ,相棒でしょ,将来的にはお嫁さんでしょっ? もっとおとーさんの役に立ちたいの!」と発言の一部がややおかしいところを除けば,父親思いの優しい少女。物語の冒頭でリュウが襲われているところを助けたガリー・オルトマンは,全裸の少女を目の前にしても「アタシは女の子になんか興味なーいの! 男の子になら……興味津々だけれどもね!」と主張する立派なオカマ紳士だ。

 また,リュウにルーを運ぶよう依頼した人物の関係者であるエリスは,ルーに向かって「救世主,愛の使者! 宇宙の解! 私の天使!」とか叫んだり,ルーの姿を見て鼻血をダラダラ流したりする変態だ……って,あれ,なんだかろくな奴がいないな珪素生物。


●タイトルに騙されるなかれ。ただの娘萌え作品ではないんです!


 それと本作を語るうえで避けては通れないのが,ヒロインのルーの可愛さだ!
 子供扱いされて「子供じゃないもん! あ,いやおとーさんの娘という意味では確かに子供だけれども!」というよく分からない主張をしたり,自分の正体が分かるかもしれない状況でも「……わ,私はおとーさんの娘だもんっ。それで十分だもん!」とダダをこねたり。ほかにもリュウが自分以外の女性と話すと機嫌を悪くしたり,露骨にキスをねだってきたりするなど,とにかくルーの一挙一動が愛らしい。

 一方,主人公のリュウは,そんなルーの求愛行動を一切無視し,あくまで仕事だからやっているという態度を崩さない。メガネのくせに(?)ハードボイルドな男だ。作中でリュウが何度も気絶するのもハードボイルドだからだ。気絶はハードボイルドのお約束である。やるな,ハードボイルド。

 この二人の噛み合わないやりとりを読むだけでも楽しいのだが,それだけでは終わらない。本作にはさまざまな謎が張り巡らされているのだ。
 ルーの正体は一体何なのか? 冒頭で依頼人はなぜ殺されたのか? 「偽王事変」と呼ばれる円卓政府内で起こった事件に隠された秘密とは?
 物語の中盤以降ではこうした謎を解き明かす,ミステリー小説のような楽しみを味あわせてくれる。意外な事件の真相も,しっかり伏線を張っており納得のいく作りになっている。

 作者はあとがきで,本作のSF設定に関して「あくまで風味です。エッセンスです。お刺身のパックに入っているタンポポ同然です」と謙遜しているが,SF設定はかなり作りこまれている。珪素生物の能力の名称に,心理学者であるユングの用語を多数使っているのも面白い。

 タイトルや表紙からは予想もつかない設定や展開の連続だが,決してそれらがつまらないというわけではなく,むしろ予想以上にしっかりしている。タイトルを見て,「妹属性や姉属性はあるけど,娘はどうもなあ」と敬遠してしまう人もいるかもしれないが,とくにそういった属性がなくても十分楽しむことができる一作だ。これでデビュー作なのだから,今後がますます楽しみである。

■可愛い娘が欲しいという,おとーさんにお勧めのライトノベル

『パパのいうことを聞きなさい!』(著者:松智洋,イラスト:なかじまゆか/スーパーダッシュ文庫)
→Amazon.co.jpで購入する
あなたが私の……おとーさん? 「放課後ライトノベル」第43回は『おとーさんといっしょ!』で可愛い娘をお届けしちゃうぞ
 ライトノベルはあくまで中高生向けの分野。そのようなジャンルなのに,父親が主人公の作品なんてそんなにあるわけがないよなあと思ったら,結構あるのだ。
 まず紹介するのは,『迷い猫オーバーラン!』でもお馴染みの松智洋の『パパのいうことを聞きなさい!』(スーパーダッシュ文庫)。主人公・瀬川祐太は大学一年生。姉夫婦が飛行機事故にあってしまい,二人が残した子供たち(全員娘)が離れ離れになるのを避けるために,子供たちを三人まとめて引き取ることに。
 子供たちの年齢は14歳,10歳,3歳。ちなみに上の子二人は旦那さんの連れ子なので血は繋がっていない。これだけ聞くと,なかなか羨ましそうなシチュエーションなのだが,実際はお金の問題とか料理の問題とか授業参観とか,いろいろ大変。
 次に紹介するのは,岡崎裕信の『ななぱっぱ』(スーパーダッシュ文庫)。こちらの主人公・鶴谷天馬は7人の子持ち(全員義理の娘)だったが,ある日,突然身体も記憶も若返って15歳に。15歳でも立派な父親であろうとするが,中には自分より年上(?)の娘までいるので,舐められたりして結構大変。ちなみに2巻では天馬が7人に増えるぞ。
 最後に紹介するのは丸山英人の『おまえなんぞに娘はやれん』(電撃文庫)。ここまでは義理の娘が続いたが,本作に登場する霧島萌は正真正銘,主人公の実の娘。ただし前世の。娘が生まれた直後に,事故によって死んでしまった主人公は生まれ変わって国分隼人となり,娘である萌の後輩に。記憶の上では「父親」なので,萌にふさわしくない男を必死で遠ざけようとするのだが,実際は赤の他人なので,何だか変な人にしか見えなくて,やっぱり大変。
 しかし,こうして見ると,父親という設定にもいろいろバリエーションがあって,どのお父さんも大変な思いをしてるんだなあ。

■■柿崎憲(ライター/ロボっ娘属性)■■
『このライトノベルがすごい!』(宝島社)などで活動中のライター。女の子を育てるゲームでは,ニンテンドー64の「ワンダープロジェクトJ2」が名作だと思うという柿崎氏。「ジョゼットたん超かわいい。近所の電器屋で500円ぐらいで売られていたのが良い思い出です。俺,発売日に買ったんだけど……」と,当時を懐かしんでおりました。「ワンダープロジェクトJ2」といえば,去年(2010年)iモード用の携帯アプリも出ましたが,ぜひiPhoneやAndroid版も出してほしいところです。ジェペット博士,お願いします!
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