2009年最高のオンラインゲームを決める「Online Game Award 2009」発表，栄冠は誰の手に？

　ウェブマネーは，12月13日に東京秋葉原で開催した「Online Game messe. 2009」のイベントで，2009年度のOnline Game Awardを発表した。このAwardは，毎年ウェブマネーが独自に表彰しているもので，今回で5回めとなる。国内のオンラインゲームを対象とした表彰というのは，ほかに例がなく，オンラインゲーム業界ではそれなりに権威のある賞として定着しているといっていいだろう。
　ただ，性格上「ウェブマネーを使って決済している」というフィルタがかかっているので，クレジットカード決済が多いと思われる定額系のサービス，例えば「ファイナルファンタジーXI」や「リネージュII」などはプレイヤー数が多くても票は入りにくい状況にあるということを考慮して見る必要があるだろう。それでも，最近のオンラインゲームではアイテム課金系のサービスが大半を占めることや，電子マネーではウェブマネーが最大手であり，実際に非常に多くのプレイヤーがアンケート投票に参加をしていることから見ても，現在のオンラインゲーム業界の状況をかなり色濃く反映していると思って間違いない。

　前置きはこれくらいにして，まずはWebページからのユーザー投票による上位入賞作品から紹介しよう。これらはBest Online Gamesとして表彰され，今年は23作品が選ばれている。選出されたタイトルは以下のとおりだ。

●Best Games賞

• アットゲームズ
• Alliance of Valiant Arms
• アラド戦記
• カウンターストライクオンライン
• Grand Fantasia -精霊物語-
• サドンアタック
• スカッとゴルフ パンヤ
• SPECIAL FORCE
• 777タウン.net
• テイルズウィーバー
• トキメキファンタジー ラテール
• ドラゴンクルセイド
• Nicotto Town -ニコッとタウン-
• Perfect World -完美世界-
• ファンタジーアース ゼロ
• Master of Epic: The ResonanceAge Universe
• マビノギ
• MysticStone -Runes of Magic-
• メイプルストーリー
• ラグナロクオンライン
• Livly Island COR
• ルーセントハート
• RED STONE

　これらの作品の運営代表者には，プレゼンテーターを務めた声優の緑川光氏から盾が手渡されていた。
　2008年やその前からの連続受賞も目立つが，基本的に人気投票をベースにしていることから，プレイヤーによる厚い支持を得ているタイトルが強いといっていいだろう。定番のタイトルに交じって，今年サービスが始まったタイトルも入っているのが心強い。
　自身もオンラインゲームをはじめとしたゲームが大好きという緑川氏は，最近は比較的ライトな作品をいろいろやっているようである。

　後半のプレゼンテーターは声優の能登麻美子さんだ

　後半の発表会では，例年と趣向を変え，今年はモバイルゲーム（携帯電話系）での人気作品を表彰するMobile Content Awardと人気のある個人ブログなど個人ベースのオンラインコンテンツを表彰するEnjoy Awardが追加され表彰を受けていた。授賞したのはそれぞれ以下のとおり。
　
●Mobile Content Award　Best Mobile Content賞

• ハンゲ.jp
• みんなdeクエスト─芯海の楽園─
• モバゲータウン

●Enjoy Award　ダイヤモンド賞

• サドンアタック攻略ブログ　
• 電子帖八番街　
• 読解アヘン　
• Neutral　
• ろじっくぱらだいす（ろじぱら）　

●Enjoy Award　ゴールド賞

• アメリタットのアグレッシブにサドンアタック　
• Citrocube　
• 07th Expansion　
• 染谷翔の自転車世界一周ワロスｗ　
• ちゃとらとはちわれ　
• 僕の見た秩序。　
• White Rabbit　
• ☆MIXMASTERの世界を繋ぐ「モネス板」☆　
• Livetube　

　気になるオンラインゲーム部門の優秀賞は，イベントの終盤に発表され，ゲームのジャンルごとに最多得票のタイトルが表彰された。
　ジャンルごとのベストゲームは以下のとおり。

• BEST RPG 賞　マビノギ
• BESTアクションRPG 賞　アラド戦記
• BEST FPS 賞　サドンアタック
• BESTアバターコミュニティ 賞　ニコッとタウン
• BESTスポーツゲーム 賞　スカッとゴルフ パンヤ
• BESTシミュレーションゲーム 賞　ドラゴンクルセイド
• BESTゲームポータル 賞　アットゲームズ
• BESTテーブルゲーム 賞　777TOWN.net
• BESTソーシャルネットワークゲーム 賞　Livly Island

　マビノギ，アラド戦記，サドンアタック，スカッとゴルフ パンヤなどはそれぞれ定番タイトルといえるものだが，なにげに777TOWNの人気振りを見ると，ユーザー層の広がりを実感してしまう。Livly Islandは，2006年にはグランプリを受賞していた隠れた人気作だ。
　ブラウザゲームながらシミュレーションゲーム賞を受賞したドラゴンクルセイドは，ブラウザゲームブームの先陣を切ったタイトルとして高い評価を受けたようだ。
　従来から数多くあったアバター系コミュニティの中でもアバターのデザインにこだわりまくったニコッとタウンやセルフィを擁するアットゲームズが非常に高い評価を受けていることも興味深い。

グランプリを受賞したネクソン事業部部長金奉石氏（上），ウェブマネー代表取締役古谷彰男氏（中）と日本オンラインゲーム協会会長植田修平氏

　最後に，特別賞とBest Rookie賞，そしてグランプリが発表された。

• 特別賞 サードウェーブ
• BEST ROOKIE賞 Grand Fantasia -精霊物語-
• Grand Prix アラド戦記

　数多くのオンラインゲームで推奨PCを発表している，「ドスパラ」でお馴染みのサードウェーブが特別賞を受賞。まだまだ満足にゲームも動かないPCが多く発売されていることもあってか，同社の功績が評価されたようだ。
　2009年にサービスが開始されたタイトルのなかで最高得票を得たのがGrand Fantasia -精霊物語-だ。可愛いキャラや初心者向きのシステムが高く評価されていた。
　そして，2009年度にプレイヤーから最も愛されたゲームとなったのは，アラド戦記に決定した。NHN Japanからネクソンに運営が移管して動向が注目されていたタイトルだが，元々の人気と新たなプレイヤーとの相乗効果が発揮されたのか，見事栄冠を射止めた。

　日本オンラインゲーム協会の植田修平氏が総評として，オンラインゲームに力強さがあることを語った。2009年にも多くのタイトルが発表されており，主にジャンル面での広がりを見せていることを挙げ，ユーザーの裾野が広がって遊び方も変わってきつつあるとしている。
　ブラウザゲームやソーシャルゲームなどを今年のトレンドであるとし，こういった流れを受けてさらにマーケットを広げたいと語った。氏の個人的要望としては，2010年は国産タイトルに期待とのこと。「FINAL FANTASY XIV」を意識していると思われるが，もしかして植田氏が代表取締役社長を務めるゲームポットでもなにか動きがあるのかもしれない。

　個人的には2009年のオンラインゲーム業界を語るうえで，AIONのAの字も出ないのは奇妙な感じだ。だが，ウェブマネーユーザーを母体とした集計なので課金体系の影響を受けやすいということ以前に，ブラウザゲームの急速な展開などもあって，4Gamerがカバーする比較的コアなプレイヤー層だけでなく，オンラインゲームの裾野はかなり広がっていることをあらためて認識した次第だ。