日本のスタジオサザンカがパブリッシングを手がける
「[AFANTASIA]」 を,Brasil Game Show 2026の同社ブースで遊ばせてもらった。開発者は,noidnoidnoidの名義で活動するブラジルの
Leon Stevans氏 だ。会場に来ていた本人から,作品の成り立ちについても話を聞けた。
主人公は,
すべての記憶を失って目を覚ました少年 だ。手元に残っているのは,都会へ向かわなければならないという気持ちだけ。頭の中に響く「イントルージョン」という声に導かれながら,彼は小さな町「テンポ」を調べて回り,失った過去のかけらを拾い集めていく。
Stevans氏によれば,
少年は記憶と引き換えに,想像する力を手に入れた のだという。生まれて初めて想像できるようになった少年が,故郷の町を探りながら自分の過去を見つけていく。アイデンティティや人格,記憶をテーマにしたゲームだそうだ。
[AFANTASIA] - Trailer
トレイラーの冒頭には,
「思い出すことは不可能だ。」「『今』はまるで牢獄。」「残されたのは想像することだけだ。」「そしてお前はその術を持たない。」 という文字が順に浮かんでは消えていく。なお,タイトルの「AFANTASIA」は,頭の中に映像を思い浮かべられない状態を指すアファンタジア(Aphantasia)のポルトガル語表記だ。
操作は,WASDキーで少年を歩かせ,気になるものにカーソルを合わせてクリックで調べる形だった。木や手紙,建物など,町のあちこちに手がかりが隠されていて,場面ごとに用意された謎を解くと先へ進める。
もう1つの柱は,
ほかの人物の記憶に入り込める ことだ。町の住人の過去をのぞくと,その人の後悔を自分のことのように追体験する。そのたびにゲームプレイががらりと変わる。Stevans氏によれば,犬や町の子供に乗り移って操作する場面もあるという。
遊んでいて何より驚いたのは,
場面が切り替わるたびにゲームの見た目まで変わる ことだった。Stevans氏は本作のグラフィックスを2.5Dと呼んでいて,2Dのスプライトで描いた人物を3Dの背景の中に立たせている。
ドット絵の少年が歩くのは,木々や団地が立体的に組まれた町だ。その町の見え方も,暗い緑に沈んだ夜景のこともあれば,紫の網点で塗られた空の下のこともあり,白黒の線だけで描かれた部屋のこともあった。
文字の見せ方にも,いくつものパターンが用意されていた。風景の中にふっと浮かぶ一文もあれば,ポートレートと枠つきで画面の下に出る台詞もあり,左上には場所の名前が小さく添えられていた。色も場面によって水色だったり赤だったりした。どこで画面を止めてもそのまま1枚のアートになっていて,スクリーンショットの撮りがいがある。
Stevans氏は本作の絵作りを,シュールレアリスム的で,夢の中の風景やドリームコア(夢で見たような既視感を誘う画像表現)に近いものだと説明していた。ゲームプレイは実験的に作り,ビジュアルはレトロに寄せつつ様式化しているそうだ。想像力についてのゲームなので,色をたくさん使い,要素を盛り込んでいくマキシマリズムのスタイルで描くのが好きなのだという。
Stevans氏が本作を作り始めたのは4年前,大学に入る前のことだった。現在は大学で情報システムを学んでいる。ゲームを作るのはこれが初めてだという。それまでは,自分のために音楽を作ったり,ドット絵を描いたりしていた。
1人で4年間開発を続けた末に,スタジオサザンカの
小澤健司氏 とパブリッシング契約を結んだ。いまも制作は1人きりで,アートも音楽もプログラミングも,すべて自分でこなしている。本人にとって,とても個人的な物語だからだという。
ちなみにスタジオサザンカは2026年10月2日にインディーゲームのパブリッシング事業を始めると発表しており,「[AFANTASIA]」はその第1弾タイトルだ。
対応プラットフォームはPC(Steam)で,対応言語には日本語も含まれている。発売日は未定ながら,Stevans氏は来年,つまり2027年の発売を見込んでいると話していた。日本では,10月24日に東京国際フォーラムで開かれるDREAMSCAPE#5に初出展され,試遊もできる予定だ。
noidnoidnoidのLeon Stevans氏